不動産登記法 第163条(両罰規定)
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法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百六十条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、不動産登記法第163条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百六十条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第163条(両罰規定)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第163条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百六十条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法…」で始まります。
- 不動産登記法第163条は第八章 罰則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第163条の前の条は不動産登記法第162条です。
- 不動産登記法第163条の次の条は不動産登記法第164条です。
- 不動産登記法第163条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第163条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第163条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/163
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法163条は両罰規定で、従業者が業務に関し160条・162条に違反したとき、行為者に加え法人または個人事業主にも各本条の罰金刑を科す。
Q · うちの社員が登記でやらかしたら、会社まで罰金を取られるんですか?
原則そうなる。ただし無過失を示せれば会社は免れる
不動産登記法163条は両罰規定を定めており、従業者が業務に関し同法160条または162条の違反行為をしたときは、行為者だけでなく、その法人または個人事業主にも各本条の罰金刑が科されます。もっとも判例は両罰規定を事業主の選任監督上の過失を推定した規定と解しており、相当の注意を尽くしたと事業主側が立証できれば処罰を免れる余地があります。決め手は事件後の弁明ではなく、平時に残された研修記録や二重チェックの運用実績です。
解説
罰則章の最後、過料規定の直前に挟まれた一条。条文集をめくる人のほとんどが素通りするが、ここが個人の犯罪を法人の犯罪へ変換する装置である。司法書士法人の補助者が虚偽の登記名義人確認情報を作れば(160条)、事業者の従業者が登記識別情報を不正に取得すれば(162条)、行為者本人が罰せられるのに加えて、その法人または個人事業主にも各本条の罰金刑が科される。ここで多くの経営者が読み違える。会社の責任は自動的に発生する連帯責任ではない。最高裁は両罰規定の性質を、事業主の選任監督上の過失を推定したものと解している(最大判昭和32.11.27)。つまり、従業者の選任と監督に相当の注意を尽くしたと会社側が示せれば、会社だけが責任を免れる余地がある。推定を覆せるかどうかは、事件後の弁明ではなく平時に積み上げた記録で決まる。
法的な位置づけ
不動産登記法163条は両罰規定を定める条文であり、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関し同法160条または162条の違反行為をした場合に、行為者を処罰するほか、事業主である法人または個人に対しても各本条の罰金刑を科すことを規定する。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
違反行為をした行為者本人と、その事業主である法人または個人の双方を処罰する規定です。不動産登記法では163条が該当し、事業主には各本条の罰金刑が科されます。
Q2会社が罰金を免れる方法はありますか?
判例は両罰規定を事業主の選任監督上の過失の推定と解しています。従業者の選任と監督に相当の注意を尽くしたことを客観的資料で示せれば、法人だけが免れる余地があります。
Q3不動産登記法163条の対象になる違反は何条ですか?
同法160条と162条の違反行為です。条文は「第百六十条又は前条」と限定しており、罰則章のすべての条文が両罰の対象になるわけではありません。
Q4テレワーク中の違反も「業務に関し」に当たりますか?
勤務場所は決め手ではありません。自宅から電子申請を代行した場合でも、外形上その事業の業務に結び付いていれば「業務に関し」に含まれ、法人の刑事責任が生じ得ます。
Q5法人に科される罰金はいくらですか?
163条は「各本条の罰金刑」と定めるため、160条・162条それぞれの法定刑の罰金額がそのまま法人にも科されます。金額は各本条の現行法定刑をご確認ください。
Q6法人の罰金前科はどんな影響がありますか?
刑事手続が終わっても記録は残り、司法書士法上の懲戒判断の基礎事実や、取引先の与信審査・入札資格審査の場面で参照され続けることがあります。
Q7両罰規定の公訴時効は何年ですか?
法人に科されるのは罰金刑であるため公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。行為者と法人の時効は別個に進行します。
Q8161条の違反にも両罰規定は適用されますか?
適用されません。163条は160条と前条(162条)のみを対象としており、161条の違反は行為者個人の処罰にとどまります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社員が勝手にやったことなのに、なんで会社が罰金を払うんですか?
両罰規定は会社を連帯責任で縛るものではなく、従業者の選任と監督についての会社自身の過失を問う構造である(163条、最大判昭和32.11.27)。相当の注意を尽くしたと示せれば会社は免れる。実務のポイント:この反証で効くのは社長の陳述書ではなく、日付の入った運用記録である。事件後に整えた規程は作成日で見抜かれる
Q2担当者が起訴猶予になりました。会社はもう安心していいですか?
安心できない。行為者が現に処罰されることは法人処罰の要件ではなく、行為者に犯罪が成立していれば法人だけを起訴することもできる(163条)。逆に法人だけ不起訴となる例もある。実務のポイント:検察が法人を落とすかどうかは再発防止策の提出時期で分かれる。処分が決まった後に出しても、量刑の材料にしかならない
Q3個人でやっている事務所なら、両罰規定は関係ないですよね?
関係する。条文は「法人又は人」と定めており、個人事業主も使用人の違反行為について罰金を科されうる(163条)。法人格の有無は分岐点ではない。実務のポイント:個人事業主の場合、本人が行為者として立件されるのか業務主として立件されるのかで前科の意味も防御方針も変わる。弁護人に最初に確認すべきはその区別である
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社に落ち度がなければ関係ない」のではなく、「落ち度がなかったと会社側が示さない限り関係がある」。両罰規定は事業主の選任監督上の過失を推定する構造と解されており(最大判昭和32.11.27)、立証の負担は事実上会社側に転がっている。何もしなければ、会社は自動的に責任を負う側に置かれる
- 代表者が知らなかったから会社は無関係だ、と考える人は制度の半分しか見ていない。処罰の根拠は代表者が違反を認識していたかではなく、監督体制の不備そのものにある。知らなかったという事実は免罪符ではなく、監督が機能していなかった証拠として読まれることがある
- 「担当者の処分がどうなるか」という問いの立て方自体がずれている。行為者が現に処罰されることは法人処罰の要件ではなく、両者は別個に判断される。問うべきは、担当者の処分がどう転んでも会社の体制がどう評価されるか、である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の性質 | 163条:各本条の罰金刑を事業主にも科す刑罰 | 161条:行為者個人に対する罰則(両罰の対象外) 164条:過料(秩序罰)であり刑罰ではない |
| 責任を負う主体 | 行為者+その法人または個人事業主 | 行為者本人のみ 義務に違反した本人 |
| 免れる手段 | 選任監督に相当の注意を尽くしたとの反証で免責の余地 | 構成要件該当性・故意の有無を刑事手続で争う 過料の裁判手続で争う |
| 前科の有無 | 法人にも罰金前科が残り、懲戒・与信審査で参照され得る | 行為者に前科が残る 秩序罰のため前科にならない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も法人と行為者を併せて罰する構造を持つが、行政罰(罰鍰)を中心に組み立てられており、日本のように刑事罰の枠内で両罰を置く例は個別業法に限られる
韓国の양벌규정は日本法の影響を受けた構造だが、憲法裁判所が免責規定を欠く양벌규정を責任主義違反としたため、多くの法律に「相当な注意と監督を게을리하지 아니한 경우」の免責条項が明文で置かれている
ドイツは法人の刑事責任を認めず、秩序違反法により法人に過料(Geldbuße)を科す構造。監督義務違反(§ 130)を独立の責任根拠とする点で、日本の過失推定構成と発想が近い
米国は respondeat superior により従業員の職務範囲内の犯罪行為を広く法人に帰責する。無過失に近い厳格さであり、日本の免責可能な過失推定構成とは対照的で、コンプライアンス体制は量刑段階で考慮される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの事務所の補助者が、決済日に間に合わせるため本人確認の手順を省いて確認情報を作ってしまったら? 罰せられるのは補助者一人ではない。法人にも各本条と同額の罰金刑が科されうる(160条、163条)。そして法人に付いた罰金前科は、その後の懲戒審査でも取引先の与信審査でも、静かに参照され続ける
- 不動産会社の営業担当が、顧客から預かった登記識別情報を別件の取引に流用した。逮捕されたのは担当者一人。だが検察は同じ時期に、会社の管理体制を調べている
- 捜索差押えの三日後、会社宛てに検察から出頭要請が届いた。残された時間で用意すべきは弁解の言葉ではなく、選任監督に注意を尽くしたことを示す客観的記録である。研修の受講簿、二重チェックの運用実績、過去の内部通報への対応履歴。これらが揃わないまま出頭日を迎えると、過失の推定は覆らないまま起訴判断の机に載る
- あなたの雇い主が法人化していない個人事務所だとしても、条文は「法人又は人」と書いている。事業主個人が業務主として同じ罰金を負う。法人格がないから両罰規定は無関係、という理屈はここでは通らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取り、確認情報を提供した資格者代理人の氏名と所属を法務局で確認して写しを確保する2. 所轄警察または地方検察庁へ告訴、160条・162条違反と併せて事業主の両罰責任(163条)も申告書に明記する3. 民事は行為者個人だけでなく法人へ、使用者責任(民法715条)と併せて構成する4. 不実登記の抹消は別の民事手続、刑事の結論を待たずに並行して動かす
訴えられた側:1. 社内調査を人事案件として閉じない。刑事で使う前提で、研修記録・チェック体制・監督実績を時系列に編綴する2. 行為者と法人で弁護人を分ける、利益相反が生じた瞬間に防御は崩れる3. 起訴判断が下りる前に、選任監督に相当の注意を尽くした事実の疎明資料を提出する4. 再発防止策は実装まで進め、施行日入りの規程と受講者名簿という形で証拠化する
時効(請求できる期限):160条・162条の罪は長期5年未満の自由刑にあたり、法人に科されるのは罰金刑であるため、いずれも公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)。行為者と法人の時効は別個に進行し、行為者の処分が先に確定しても法人側の期間が残ることがある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定は事業主の選任監督上の過失を推定した規定であり、事業主が相当の注意を尽くしたことを立証すれば処罰を免れると解する立場。責任主義と処罰の実効性を両立させる説明として支配的である。
無過失責任説:両罰規定を事業主の無過失責任を定めたものと解する立場。抑止の実効性は高いが、自己の責任なくして罰せられないという責任主義との緊張が指摘され、現在では支持を失っている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により現行法が成立し、オンライン申請制度の導入に対応した罰則章が整備された。その末尾に両罰規定として本条が置かれている。
- 不動産登記法 第160条両罰規定が適用される本罪の一つ
- 不動産登記法 第162条前条として両罰規定が適用される本罪
- 不動産登記法 第161条両罰規定の適用対象から外れる罰則
- 不動産登記法 第23条資格者代理人の本人確認情報提供、160条の前提手続
- 不動産登記法 第164条刑罰ではなく秩序罰(過料)を定める対照規定
- 刑法 第8条刑法総則が本条の罰金刑にも適用される根拠
- 刑事訴訟法 第250条法人に対する公訴時効期間の算定基準
- 司法書士法 第47条罰金前科が懲戒処分の基礎事実となる
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