不動産登記法 第161条(不正に登記識別情報を取得等した罪)
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- 登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的で、登記識別情報を取得した者は、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
- 2.不正に取得された登記識別情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。
この条文の基本情報
不正に登記識別情報を取得等した罪とは何ですか?
定義不正に登記識別情報を取得等した罪とは、不動産登記法第161条に定められた規定で、「登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的で、登記識別情報を取得した者は、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第161条(不正に登記識別情報を取得等した罪)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第161条の条文原文は「登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的で、登記識別情報を取得した者は、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 不動産登記法第161条は第八章 罰則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第161条の前の条は不動産登記法第160条です。
- 不動産登記法第161条の次の条は不動産登記法第162条です。
- 不動産登記法第161条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第161条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第161条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/161
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法161条は、不実の登記の申請に供する目的での登記識別情報の取得・提供・保管を、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金で処罰する目的犯の規定である。
Q · 登記識別情報を勝手に控えたり、預かったままにしているだけでも罪になるんですか?
不実登記の目的があれば、使わなくても罪になります
不動産登記法161条1項は、登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託に供する目的で登記識別情報を取得した者、及び情を知って提供した者を、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処します。さらに2項は、不正に取得された登記識別情報を同じ目的で保管した者を同一の法定刑で処罰します。つまり登記が実際に書き換わる前、申請すらしていない段階で既遂となります。ただし本罪は目的犯であり、その目的がない正当業務(司法書士・金融機関・不動産仲介の通常の取扱い)は処罰範囲に入りません。
解説
登記識別情報通知書、目隠しシールの下に12桁の英数字が印刷された、あの一枚。不動産を買ったときに法務局から渡され、多くの人は封筒ごと引き出しに突っ込んで忘れる。あれが昔の「権利証」の後継であり、2005年施行の新しい不動産登記法からは、紙そのものではなく、その12桁の文字列こそが本体になった。ここに落とし穴がある。文字列は財物ではないから、他人にスマホで撮影されても窃盗罪では立件しにくい。その空白を埋めるのが本条だ。不実の登記を申請する目的で登記識別情報を取得すれば二年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金、事情を知って渡した者も同じ、そして2項は、不正に取得された情報を同じ目的で保管しているだけで処罰する。まだ何も申請していない段階、持っているだけで犯罪が成立するという設計である。登記が書き換わるずっと手前に、この網は張られている。
法的な位置づけ
不動産登記法161条は、登記識別情報の不正な取得・提供・保管を処罰する罰則規定である。登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的を要する目的犯であり、法定刑は二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金。2項は、不正に取得された登記識別情報を同一の目的で保管する行為を、現実の使用や申請の有無にかかわらず処罰する。
よくある質問 AI による整理
Q1登記識別情報とは何ですか?
不動産の登記名義人であることを証明するために法務局が通知する12桁の英数字です。2005年施行の現行不動産登記法で、従来の権利証(登記済証)に代わる本人確認手段として導入されました。
Q2登記識別情報と権利証の違いは何ですか?
権利証は世に一通しかない紙の存在自体が意味を持ちましたが、登記識別情報は複製可能な文字列です。守るべき対象が「所持」から「秘匿」へ移ったため、コピーが流出すれば原本の保管は防御になりません。
Q3登記識別情報を紛失したらどうなりますか?
再発行はされません。売却や抵当権設定の際は、事前通知(不動産登記法23条1項)か、司法書士が作成する本人確認情報(同条4項1号、数万円)に切り替えて手続します。取引自体は可能です。
Q4不動産登記法161条の罰則はどれくらいですか?
二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。取得した者、情を知って提供した者、不正取得情報を保管した者のいずれも同じ法定刑で、提供者に利得がなくても軽くはなりません。
Q5いわゆる地面師事件で161条は使われますか?
なりすまし不動産詐欺では、詐欺(刑法246条)や公正証書原本不実記載(同157条)が中核ですが、161条は情報を横流しした周辺関係者を捕捉する条文として機能します。
Q6自分の登記識別情報が使われたか確認する方法はありますか?
登記事項証明書を取得して名義や抵当権に動きがないか確認します。加えて登記識別情報の有効証明(不動産登記規則68条)を司法書士経由で請求すれば、その情報が生きているか確認できます。
Q7司法書士に登記識別情報を渡すのは違法ですか?
違法ではありません。本罪は不実の登記に供する目的を要する目的犯であり、決済のために司法書士へ提供する行為(不動産登記法22条)は正当業務として処罰範囲外です。
Q8不動産登記法161条の公訴時効は何年ですか?
法定刑が二年以下の拘禁刑のため公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)で、犯罪行為が終わった時から起算します。2項の保管罪は起算点の解釈が実務上分かれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記識別情報を他人に見られちゃったら、もう家を取られるしかないんですか?
見られた時点で終わりではない。法務局へ失効の申出(不動産登記規則65条)を出せば、その12桁は無効になり、誰が持っていても登記に使えなくなる。手数料は無料である。実務のポイント:失効させると、次にあなた自身が売却や抵当権設定をするときは事前通知(不動産登記法23条1項)か司法書士の本人確認情報(同条4項1号、数万円)が必要になる。この後日コストを嫌って様子見を勧める実務家もいるが、疑いがあるなら失効が先である
Q2興味本位でシールを剥がして見ただけでも、捕まりますか?
本条は目的犯であり、「登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的」が必要である。純粋な好奇心だけなら本罪は成立しない。ただし目的は本人の弁解ではなく、撮影の有無・保管態様・関係者とのやり取りといった客観的事情から推認される。実務のポイント:161条が単独で立件される例は多くない。詐欺(刑法246条)や公正証書原本不実記載(同157条)の周辺で、情報を渡しただけ、預かっただけの人物を捕まえるための条文として機能している
Q3不動産屋から登記識別情報のコピーを先に送ってくれと言われました。渡していいですか?
原則として不要である。登記識別情報は決済当日に司法書士へ提供すれば足り(不動産登記法22条)、事前にコピーを流通させる実務上の必要はほとんどない。求められたら理由を書面で確認すべきである。実務のポイント:不安があるなら法務局へ不正登記防止申出(不動産登記事務取扱手続準則35条)を出しておく。3か月間、その不動産に登記申請があった場合に本人へ通知が届く。無料で、申出をしたこと自体が抑止力になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「登記識別情報が漏れたらまずい」ことは多くの人が知っている。だが2項の射程の深さまでは知られていない。不正に取得された情報を、不実登記の目的で持っているだけで既遂になる。使う必要も、申請する必要もない。「まだ何もしていないから大丈夫」という感覚は、この条文の前では通用しない
- 「権利証を金庫にしまっておけば安全か」という問いの立て方そのものが、すでに時代遅れである。現行制度で守るべきは紙の所在ではなく12桁の文字列の秘匿だ。コピーが一枚でも流出していれば、原本を金庫に入れていることに防御上の意味はほとんどない。守る対象を間違えたまま、安心していることが最大のリスクになる
- あなたから見れば「取引先に協力して書類のコピーを渡しただけ」でも、法律から見れば「情を知って、その情報を提供した者」に該当しうる。この落差が怖いのは、提供者本人には一円の利得もないのに、正犯と同じ二年以下の拘禁刑が用意されている点だ。得をしていないことは、無罪の理由にならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 不動産登記法161条:登記識別情報の取得・提供・保管 | 不動産登記法160条:虚偽の本人確認情報の提供 刑法157条:登記簿に不実の記載をさせる行為 |
| 既遂の時点 | 情報を取得・提供・保管した時点(申請前でも既遂) | 虚偽の本人確認情報を提供した時点 登記簿に不実の記録がされた時点 |
| 主観的要件 | 不実の登記の申請又は嘱託の用に供する目的(目的犯) | 虚偽であることの認識 不実の記載をさせることの故意 |
| 法定刑 | 二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 | 二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には登記識別情報に相当する制度がなく、所有権状と印鑑証明・本人確認で運用される。不実登記そのものを処罰する構造で、日本のように情報の取得・保管という前段階を独立に処罰する規定は置かれていない
韓国も登記畢情報という日本の登記識別情報に近い仕組みを採用しており、不正取得や目的外利用を禁止する。日本と同様、紙の権利証から情報型へ移行した過程で生じた保護の空白を埋める設計である
ドイツは Grundbuch への登記に公証人(Notar)の関与を必須とし、本人確認を公証制度が担う。したがって名義人に渡す秘密情報という発想がなく、本条に相当する罰則も存在しない
米国は連邦法で本人確認書類の不正取得・保管を処罰し、州法で deed theft(登記名義の不正移転)に対応する。目的を伴う保管を処罰する点で、本条2項と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは不動産会社の営業担当。売主から預かった書類の束に、目隠しシールが未開封の登記識別情報通知書が混ざっていた。社内で「念のため中身を控えておけ」と言われてシールを剥がした瞬間、あなたは161条の入口に立っている。不実登記の目的がなければ罪にはならないが、その目的があったかどうかを後から判断するのは、あなたではなく捜査機関である
- もし決済まであと3日という段階で、売主が「登記識別情報は紛失した」と言い出したら? 正規ルートは事前通知(不動産登記法23条1項)か、司法書士が作る本人確認情報(同条4項1号、数万円かかる)への切り替えである。ここで「別ルートで用意できる」と言い出す関係者がいたら、あなたが見ているのは161条の現場かもしれない
- 司法書士事務所を辞めた元職員が、担当していた顧客の登記識別情報のコピーを自宅に持ち帰ったまま持っている。不実の登記に使う目的が認められれば、一度も使っていなくても2項の保管罪で既遂だ
- 実家の遺品整理で、開封済みの登記識別情報通知書が引き出しから出てきた。誰が、いつシールを剥がしたのか分からない。相続登記が済むまでの数か月、その12桁は誰かの手元で生きている。失効の申出を出すか放置するかを決めるのは、相続人であるあなただ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏洩を疑った時点で法務局へ登記識別情報の失効の申出(不動産登記規則65条)、無料でその日に出せる2. 併せて不正登記防止申出(不動産登記事務取扱手続準則35条)を行い、3か月間、その不動産に登記申請があれば通知が届く状態にする3. 登記事項証明書を取得し、すでに名義が動いていないか確認4. 動いていれば、刑事は不動産登記法161条と刑法157条で警察へ、民事は所有権移転登記抹消請求を直ちに。善意の第三者へ転売される前が勝負である
訴えられた側:1. 本罪は目的犯であり、不実の登記を申請する目的が立証されなければ成立しない。取得の経緯・用途・指示者を時系列で書き出す2. 業務上正当に預かった立場(司法書士、不動産仲介、金融機関)なら、委任状・決済予定表・業務日誌が最大の防御材料になる3. 2項の保管罪は、不正に取得された情報だと知らなければ成立しない。入手経路の説明が核心4. 詐欺(刑法246条)や公正証書原本不実記載(同157条)と併せて捜査されている場合、初期供述の一貫性が全体を左右する。取調べ前に必ず弁護人へ
時効(請求できる期限):法定刑が二年以下の拘禁刑であるため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)、犯罪行為が終わった時から起算する。2項の保管罪は保管が続く限り犯罪行為が終わらないと解する余地があり、起算点について実務上、解釈が分かれている。民事側では、不実登記の抹消登記請求権自体に消滅時効はないが、損害賠償請求は民法724条の3年・20年の制約を受ける(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本罪は「不実の登記の申請又は嘱託の用に供する目的」を要する目的犯であり、目的を欠く取得・保管は不可罰と解される。目的の有無は被疑者の弁解ではなく、取得の経緯、保管態様、関係者とのやり取りといった客観的事情から推認されると理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 新設。従来の登記済証(権利証)を廃止して登記識別情報制度を導入したことに伴い、情報という無形の客体を保護するための罰則として設けられた。財物を前提とする窃盗罪では捕捉できない領域を埋める趣旨である
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 改正。刑法における懲役と禁錮の統合に伴う整備により、法定刑の「二年以下の懲役」が「二年以下の拘禁刑」に改められた。罰金額(五十万円以下)および構成要件に変更はない
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不動産登記法の全部改正により、登記済証(権利証)に代わる登記識別情報制度が導入されたことに伴い新設。財物を前提とする窃盗罪では捕捉できない、無形の情報の不正取得・提供・保管を処罰する趣旨
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)施行 改正:刑法における懲役と禁錮の拘禁刑への一本化に伴う関係法律の整備により、法定刑の「二年以下の懲役」が「二年以下の拘禁刑」に改められた。罰金額および構成要件に変更はない
- 不動産登記法 第21条登記識別情報の通知、本罪の客体の発生根拠
- 不動産登記法 第22条登記申請時の提供義務、悪用される場面
- 不動産登記法 第23条提供できない場合の事前通知と本人確認情報
- 不動産登記法 第24条登記官による申請人の本人確認調査
- 不動産登記法 第160条虚偽の本人確認情報提供罪、同一法定刑の隣接類型
- 刑法 第157条公正証書原本不実記載罪、本罪の結果段階
- 刑法 第246条詐欺罪、なりすまし売買事案の中核罪名
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第3条オンライン経由の不正取得と競合しうる
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