要点不動産登記法 161 条は、不実の登記の申請に供する目的での登記識別情報の取得・提供・保管を、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金で処罰する目的犯の規定である。
Q · 登記識別情報を勝手に控えたり、預かったままにしているだけでも罪になるんですか?
不実登記の目的があれば、使わなくても罪になります
不動産登記法 161 条 1 項は、登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託に供する目的で登記識別情報を取得した者、及び情を知って提供した者を、二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処します。さらに 2 項は、不正に取得された登記識別情報を同じ目的で保管した者を同一の法定刑で処罰します。つまり登記が実際に書き換わる前、申請すらしていない段階で既遂となります。ただし本罪は目的犯であり、その目的がない正当業務(司法書士・金融機関・不動産仲介の通常の取扱い)は処罰範囲に入りません。
登記識別情報通知書、目隠しシールの下に 12 桁の英数字が印刷された、あの一枚。不動産を買ったときに法務局から渡され、多くの人は封筒ごと引き出しに突っ込んで忘れる。あれが昔の「権利証」の後継であり、2005 年施行の新しい不動産登記法からは、紙そのものではなく、その 12 桁の文字列こそが本体になった。ここに落とし穴がある。文字列は財物ではないから、他人にスマホで撮影されても窃盗罪では立件しにくい。その空白を埋めるのが本条だ。不実の登記を申請する目的で登記識別情報を取得すれば二年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金、事情を知って渡した者も同じ、そして 2 項は、不正に取得された情報を同じ目的で保管しているだけで処罰する。まだ何も申請していない段階、持っているだけで犯罪が成立するという設計である。登記が書き換わるずっと手前に、この網は張られている。
不動産登記法 161 条は、登記識別情報の不正な取得・提供・保管を処罰する罰則規定である。登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的を要する目的犯であり、法定刑は二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金。2 項は、不正に取得された登記識別情報を同一の目的で保管する行為を、現実の使用や申請の有無にかかわらず処罰する。
不動産の登記名義人であることを証明するために法務局が通知する 12 桁の英数字です。2005 年施行の現行不動産登記法で、従来の権利証(登記済証)に代わる本人確認手段として導入されました。
権利証は世に一通しかない紙の存在自体が意味を持ちましたが、登記識別情報は複製可能な文字列です。守るべき対象が「所持」から「秘匿」へ移ったため、コピーが流出すれば原本の保管は防御になりません。
再発行はされません。売却や抵当権設定の際は、事前通知(不動産登記法 23 条 1 項)か、司法書士が作成する本人確認情報(同条 4 項 1 号、数万円)に切り替えて手続します。取引自体は可能です。
二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。取得した者、情を知って提供した者、不正取得情報を保管した者のいずれも同じ法定刑で、提供者に利得がなくても軽くはなりません。
なりすまし不動産詐欺では、詐欺(刑法 246 条)や公正証書原本不実記載(同 157 条)が中核ですが、161 条は情報を横流しした周辺関係者を捕捉する条文として機能します。
登記事項証明書を取得して名義や抵当権に動きがないか確認します。加えて登記識別情報の有効証明(不動産登記規則 68 条)を司法書士経由で請求すれば、その情報が生きているか確認できます。
違法ではありません。本罪は不実の登記に供する目的を要する目的犯であり、決済のために司法書士へ提供する行為(不動産登記法 22 条)は正当業務として処罰範囲外です。
法定刑が二年以下の拘禁刑のため公訴時効は 3 年(刑事訴訟法 250 条 2 項 6 号)で、犯罪行為が終わった時から起算します。2 項の保管罪は起算点の解釈が実務上分かれています。
見られた時点で終わりではない。法務局へ失効の申出(不動産登記規則 65 条)を出せば、その 12 桁は無効になり、誰が持っていても登記に使えなくなる。手数料は無料である。業界裏話ヒント:失効させると、次にあなた自身が売却や抵当権設定をするときは事前通知(不動産登記法 23 条 1 項)か司法書士の本人確認情報(同条 4 項 1 号、数万円)が必要になる。この後日コストを嫌って様子見を勧める実務家もいるが、疑いがあるなら失効が先である
本条は目的犯であり、「登記簿に不実の記録をさせることとなる登記の申請又は嘱託の用に供する目的」が必要である。純粋な好奇心だけなら本罪は成立しない。ただし目的は本人の弁解ではなく、撮影の有無・保管態様・関係者とのやり取りといった客観的事情から推認される。業界裏話ヒント:161 条が単独で立件される例は多くない。詐欺(刑法 246 条)や公正証書原本不実記載(同 157 条)の周辺で、情報を渡しただけ、預かっただけの人物を捕まえるための条文として機能している
原則として不要である。登記識別情報は決済当日に司法書士へ提供すれば足り(不動産登記法 22 条)、事前にコピーを流通させる実務上の必要はほとんどない。求められたら理由を書面で確認すべきである。業界裏話ヒント:不安があるなら法務局へ不正登記防止申出(不動産登記事務取扱手続準則 35 条)を出しておく。3 か月間、その不動産に登記申請があった場合に本人へ通知が届く。無料で、申出をしたこと自体が抑止力になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 不動産登記法 161 条:登記識別情報の取得・提供・保管 | — |
| 既遂の時点 | 情報を取得・提供・保管した時点(申請前でも既遂) | — |
| 主観的要件 | 不実の登記の申請又は嘱託の用に供する目的(目的犯) | — |
| 法定刑 | 二年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 | — |
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