不動産登記法 第3条(登記することができる権利等)
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- 登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。次条第二項及び第百五条第一号において同じ。)についてする。
- 一所有権
- 二地上権
- 三永小作権
- 四地役権
- 五先取特権
- 六質権
- 七抵当権
- 八賃借権
- 九配偶者居住権
- 十採石権(採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)に規定する採石権をいう。第五十条、第七十条第二項及び第八十二条において同じ。)
この条文の基本情報
登記することができる権利等とは何ですか?
定義登記することができる権利等とは、不動産登記法第3条に定められた規定で、「登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第3条(登記することができる権利等)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第3条の条文原文は「登記は、不動産の表示又は不動産についての次に掲げる権利の保存等(保存、設定、移転、変更、処分の制限又は消滅をいう。」で始まります。
- 不動産登記法第3条は第一章 総則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第3条の前の条は不動産登記法第2条です。
- 不動産登記法第3条の次の条は不動産登記法第4条です。
- 不動産登記法第3条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第3条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第3条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法3条は、登記できる権利を所有権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・抵当権・賃借権・配偶者居住権・採石権の十種類に限定する。使用貸借は登記できない。
Q · 登記簿に載せられる権利って、どこまで決まっているんですか?
所有権や抵当権など十種類だけで、使用貸借は登記できません
不動産登記法3条は、登記の対象を不動産の表示と、所有権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・抵当権・賃借権・配偶者居住権・採石権の十種類の権利の保存等(保存・設定・移転・変更・処分の制限・消滅)に限定しています。この十個は限定列挙であり、無償で借りる使用貸借や占有権は登記できません。登記できない権利は民法177条の対抗要件を備えられないため、所有者が売却・相続で代わった瞬間、新所有者に権利を主張できなくなります。賃借権のように列挙されていても実際には登記されにくい権利については、借地借家法10条・31条が代替の対抗要件を用意しています。
解説
十個。不動産登記に載せられる権利は、この数で打ち止めだ。所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、配偶者居住権、採石権。3条はこの限定列挙で、登記制度の入口に線を引いている。線の外側にあるものは、どれだけ現実の生活を支えていても登記簿には載らない。親の土地を無償で借りて家を建てた使用貸借がその代表だ。ここで効いてくるのが、登記できない権利は原則として新しい所有者に対抗できないという民法177条の構造である。あなたが二十年住んでいても、地主が土地を売った瞬間、買主から明渡しを求められる側に立つ。逆に言えば、自分の立場をこの十個のどれかに翻訳できるかどうかが、生活基盤が法的に守られるかどうかの分岐点になる。
法的な位置づけ
不動産登記法3条は、登記の対象範囲を画する規定である。登記は不動産の表示、または所有権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・抵当権・賃借権・配偶者居住権・採石権という十種類の権利の保存、設定、移転、変更、処分の制限、消滅についてのみ行われる。列挙されない権利関係は、現実に存在しても登記記録には反映されない。
よくある質問 AI による整理
Q1不動産登記法3条とは?
登記の対象範囲を定める規定です。不動産の表示と、十種類の権利の保存・設定・移転・変更・処分の制限・消滅についてのみ登記できると限定しています。
Q2登記できる権利は何種類ありますか?
十種類です。所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、配偶者居住権、採石権。この列挙は限定列挙で、外の権利は登記できません。
Q3占有権は登記できる?
できません。3条の十種類に含まれていないためです。占有は現実の支配状態であり、登記による公示になじまないと整理されています。
Q4譲渡担保は登記できますか?
譲渡担保という名称では登記できません。実務では所有権移転登記の形式をとり、原因を売買や譲渡担保と記録して対応しています。列挙外の権利を既存の枠に翻訳する典型例です。
Q5乙区に載る権利はどれ?
所有権以外の権利です。地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、配偶者居住権、採石権が乙区に、所有権は甲区に記録されます。
Q6採石権とは?
他人の土地で岩石や砂利を採取する権利で、採石法に基づく物権です。3条10号で登記でき、土地を手放さずに採取関係を公示できます。
Q7不動産工事の先取特権はいつまでに登記する?
工事に着手する前です。着手前に工事費用の予算額を登記しなければ効力が生じません(民法338条)。着工後に気づいても後戻りできません。
Q8相続登記の義務化はいつから?
2024年4月1日からです。取得を知った日から3年以内に申請しなければ、正当な理由なく怠った場合10万円以下の過料の対象となります(不動産登記法76条の2)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親の土地をタダで借りてるんですけど、これって登記できないんですか?
登記できない。3条の十個に使用貸借(民法593条)は入っていないからだ。土地が売られれば新所有者から明渡しを求められる。実務のポイント:親の土地に建てるなら、固定資産税相当額を明確に超える地代を払って賃貸借に切り替える手がある。そうすれば建物を自分名義で登記するだけで土地の買主に対抗できる(借地借家法10条)。税務の扱いが絡むので、税理士と司法書士を同じ席に座らせて設計する
Q2賃借権って登記できるはずなのに、なんでうちのアパートは登記されてないんですか?
登記はできるが、賃借人には賃貸人へ登記手続を請求する権利がないと解されており(大判大正10.7.11)、貸主が拒めばそれまでだ。実務は借地借家法10条の建物登記、31条の建物引渡しで対抗力を代替している。実務のポイント:事業用定期借地や大型テナントでは「賃貸人は賃借権設定登記に協力する」の一行を契約書に入れる交渉が普通に通る。この一行の有無が、貸主が破産したときに残れるかを分ける
Q3配偶者居住権、遺産分割で決めたのに、まだ登記が要るんですか?
必要である。配偶者居住権は3条9号で登記でき、登記が第三者への対抗要件になる(民法1031条2項)。協議書だけでは、建物を相続した子が売れば買主に負ける。なお配偶者短期居住権(民法1037条)は3条の列挙になく、登記できない。実務のポイント:登記は建物所有者との共同申請だから、関係がこじれてからでは動かない。遺産分割協議書に「成立後速やかに配偶者居住権設定登記手続をする」と書き込むのが定石
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の権利は登記できるか」と問う前に、自分の立場が3条の十個のどれなのかを確定させる必要がある。多くの人は「親の土地を借りている」と説明するが、地代を払っていれば賃借権、無償なら使用貸借であり、登記の可否も対抗力もまったく違う。問いの立て方が誤っていれば、答えも誤る
- 賃借権が3条に載っていることは比較的知られている。だが賃借人には賃貸人に登記手続を請求する権利がないと解されており(大判大正10.7.11)、貸主が首を縦に振らなければ登記できない。この一点まで届いている人は少ない。登記できる権利であることと、実際に登記できることは別の話であり、その隙間を埋めるために借地借家法10条・31条という迂回路が用意されている
- あなたから見れば、三十年住み続けた家は生活そのものだ。だが登記簿から見れば、記載のない者は存在しない。この落差は普段まったく表面化せず、相続、売却、差押えという所有者が動く瞬間に、一気に牙を剥く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 不登法3条:登記できる権利の範囲を十種類に限定 | 不登法4条:登記された権利どうしの順位を決める 不登法59条:権利登記に共通して記録する事項を定める |
| 問いの立て方 | そもそも登記できる権利か | 登記された二つの権利のどちらが勝つか 登記簿に何が書かれるか |
| 外れたときの帰結 | 登記手段自体が存在せず、民法177条の対抗要件を備えられない | 順位が後れ、先順位者に劣後する 記録事項の不備として補正・却下の対象になる |
| 実務で効く場面 | 使用貸借・占有・譲渡担保など列挙外の関係の翻訳作業 | 抵当権の順位争い、仮登記の順位保全 登記事項証明書の読み方、申請情報の作成 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も登記対象を所有権と他項権利に限定する構造をとり、地上権・農育権・不動産役権・典権・抵当権などを列挙する。典権という日本にない類型を持つ点、および慣習により形成された物権を取り込む余地を認める点が日本法との差異
韓国も条番号まで同じ3条で登記可能な権利を列挙する。所有権・지상권・지역권・전세권・저당권・권리질권・채권담보권・임차권を掲げ、日本にない전세권(チョンセ権)を含む点が最大の違い。日本統治期の継受構造が条文配置に残っている
ドイツも登記簿の対象を物権に限定するが、登記に公信力(BGB § 892)を認める点が決定的に異なる。ドイツでは登記を信頼した取得者が原則保護されるため、日本のように現地の占有調査を重ねる実務負担は相対的に小さい
米国は登記簿ではなく証書記録(recording)方式で、記録できる文書の範囲は州法により幅がある。権利の限定列挙という発想は薄く、代わりにタイトル保険(title insurance)が調査リスクを吸収する市場構造になっている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親の土地に家を建てて三十年、地代は一円も払っていない。もし親が亡くなり、土地を相続した兄が第三者に売ったらどうなるか。無償で借りる使用貸借は3条の十個に入っておらず、登記する手段そのものが存在しない。買主が所有権移転登記を入れた翌日から、あなたは明渡しを求められる立場になる
- 投資用アパートを買う側に立ったとき、登記事項証明書の乙区に賃借権の登記は一件も出てこない。それでも入居者には借地借家法31条の対抗力があり、あなたは大家の地位ごと引き継ぐ。3条8号に賃借権が載っているのに登記簿が沈黙している理由を知らずに買うと、決済後に想定外の占有者と向き合うことになる
- 相続で配偶者居住権を取得した。登記しないまま半年が過ぎた。建物を相続した子が売却し、買主から出ていくよう通知が届く
- リフォーム工事を請け負ったが、施主の資金繰りが怪しい。不動産工事の先取特権は3条5号で登記できるものの、工事に着手する前に予算額を登記しなければ効力が生じない(民法338条)。着工まであと五日。この五日を逃せば、担保はゼロのまま数千万円の工事に入る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の立場を3条の十個に翻訳する。地代の支払いの有無、建物の名義、契約書の有無を紙に書き出す2. 法務局で登記事項証明書を取得し(600円程度)、乙区に自分の権利があるか確認する3. なければ賃借権設定登記を求める交渉か、借地借家法10条の建物登記、31条の建物引渡しなど代替の対抗要件を確保する4. 所有者が売却や相続を口にした瞬間から時間との勝負になる。その前に動く
訴えられた側:1. 買う前に登記事項証明書の乙区を精査し、地上権・賃借権・地役権・先取特権・配偶者居住権の有無を確認する2. 登記に現れない占有者がいないか現地を見る。使用貸借や未登記賃借権は登記簿に一切出てこない3. 売買契約書に占有者不存在の表明保証と、判明した場合の解除・代金減額条項を入れる4. 相続がらみの物件は、遺産分割の内容と配偶者居住権の設定予定まで確認する
時効(請求できる期限):3条自体に期間の定めはない。ただし不動産工事の先取特権は工事着手前に予算額を登記しなければ効力を生じない(民法338条)。相続による所有権の取得は、取得を知った日から3年以内の登記申請が義務であり、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料の対象となる(不動産登記法76条の2、2024年4月1日施行)。配偶者居住権は存続期間の満了により消滅する
学説
通説(限定列挙説):3条の十種類は限定列挙であり、類推による拡張は認められない。登記簿の速読性と取引安全を確保するため、公示になじむ物権的権利に対象を絞る立法政策の帰結と理解されている
通説(公信力否定):日本の登記には公信力がなく、登記簿は権利関係の完全な写像ではない。3条による対象限定と公信力否定が組み合わさることで、買主には登記調査に加えて現地の占有調査が実務上要求される
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 明治32年法律第24号の旧不動産登記法を全面改正して現行法が成立し、登記対象を定める規定が本条に置かれた。オンライン申請の導入と登記記録の電子化に対応した条文構成へ再編されている
- 平成30年(2018年)相続法改正・令和2年(2020年4月1日)施行 民法に配偶者居住権が新設されたことに伴い、本条の列挙に配偶者居住権が追加された。登記可能な権利が一つ増えた数少ない改正であり、相続実務における登記の重要性が一段上がった
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)制定。ドイツの土地登記簿制度を範として、登記対象を物権中心に限定する構造が導入された
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号)。登記対象を定める規定が本条に置かれ、オンライン申請の導入と登記記録の電子化に対応した条文構成へ再編された
- 3.平成30年(2018年)改正・令和2年(2020年)4月1日施行 改正:民法に配偶者居住権が新設されたことに伴い、本条の列挙に配偶者居住権が追加された。登記可能な権利が増える数少ない改正であり、相続実務における登記の比重が一段上がった
- 不動産登記法 第2条不動産・登記記録等の用語定義
- 不動産登記法 第4条登記された権利相互の順位決定
- 不動産登記法 第59条権利に関する登記の共通登記事項
- 不動産登記法 第105条本条の保存等の定義を援用する仮登記
- 不動産登記法 第76条の2相続による所有権移転登記の申請義務
- 民法 第177条不動産物権変動の対抗要件の実体的根拠
- 借地借家法 第10条建物登記による借地権の対抗力の代替
- 民法 第1031条配偶者居住権の登記請求権と対抗要件
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