不動産登記法 第157条(審査請求事件の処理)
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- 登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。
- 2.登記官は、前項に規定する場合を除き、審査請求の日から三日以内に、意見を付して事件を前条第一項の法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。この場合において、当該法務局又は地方法務局の長は、当該意見を行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十一条第二項に規定する審理員に送付するものとする。
- 3.前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか登記上の利害関係人に通知しなければならない。
- 4.前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、前項の処分を命ずる前に登記官に仮登記を命ずることができる。
- 5.前条第一項の法務局又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、登記官に当該申請を却下する処分を命じなければならない。
- 6.前条第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、同法第二十九条第五項中「処分庁等」とあるのは「審査庁」と、「弁明書の提出」とあるのは「不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五十七条第二項に規定する意見の送付」と、同法第三十条第一項中「弁明書」とあるのは「不動産登記法第百五十七条第二項の意見」とする。
この条文の基本情報
審査請求事件の処理とは何ですか?
定義審査請求事件の処理とは、不動産登記法第157条に定められた規定で、「登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第157条(審査請求事件の処理)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第157条の条文原文は「登記官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。」で始まります。
- 不動産登記法第157条は第七章 雑則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第157条の前の条は不動産登記法第156条です。
- 不動産登記法第157条の次の条は不動産登記法第158条です。
- 不動産登記法第157条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第157条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第157条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/157
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法157条は、登記官が審査請求を理由ありと認めれば自ら処分を是正し、そうでなければ三日以内に意見を付して法務局長へ送付すると定める。局長は仮登記も命じられる。
Q · 登記の申請が却下されたら、裁判を起こすしかないんですか?
審査請求なら登記官が三日以内に局長へ送ります
不動産登記法157条により、審査請求を出すとまず処分をした登記官自身が見直し、理由があると認めれば自ら相当の処分をします(1項)。そうでない場合でも、登記官は審査請求の日から三日以内に意見を付して法務局または地方法務局の長へ送付しなければなりません(2項)。局長は理由ありと認めれば登記官に相当の処分を命じ、審査請求人のほか登記上の利害関係人へ通知します(3項)。さらに、その処分を命じる前に登記官へ仮登記を命じることもできます(4項)。
解説
登記の申請が却下された。その通知書を握って、多くの人はまず弁護士に訴訟の相談をする。だが不動産登記法157条は、もっと速くて安い道を用意している。審査請求を出すと、まず処分をした登記官自身が見直し、理由があると認めれば自ら相当の処分をする(1項)。折れなければ、登記官は審査請求の日から三日以内に、意見を付けて法務局または地方法務局の長へ送付しなければならない(2項)。三日である。通常の行政不服審査で弁明書の提出に数週間かかることを思えば、異例の速さだ。そして本条の最大の武器は4項にある。局長は最終的な処分を命じる前に、登記官に仮登記を命じることができる。審理をしている間に第三者が先に登記を入れ、勝っても順位が取れないという最悪の結末を止めるための装置である。
法的な位置づけ
不動産登記法157条は、登記官の処分または不作為についての審査請求の処理手続を定める規定である。登記官による自己是正(1項)、審査請求の日から三日以内の意見送付義務(2項)、法務局または地方法務局の長による相当の処分の命令と利害関係人への通知(3項)、および決定前の仮登記命令(4項)を内容とし、行政不服審査法の特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.却下決定書と申請書類一式を保全する 却下決定書、補正指示の書面、提出した申請書と添付書面の控えを原本で保管する。窓口でのやり取りは日時と担当者名までメモし、却下理由の条文(25条の各号)を特定する
- 2.審査請求書を作成する 宛先は監督する法務局または地方法務局の長。行政不服審査法19条の記載事項(処分の内容、審査請求の趣旨および理由など)を満たし、却下理由のどこが違法・不当かを条文単位で書く
- 3.第三者に先を越される危険を日付入りで書き添える 対象不動産が売却活動中である、決済期日が迫っている等の具体的事実を日付入りで記載し、4項の仮登記命令の職権発動を促す。抽象的な「念のため」では動かない
- 4.処分をした登記官へ提出する 審査請求書は処分をした登記官を経由して提出する(156条2項)。受付日は2項の「審査請求の日」となり、三日以内の送付義務の起算点になるため受付の記録を残す
- 5.登記官の意見を確認して反論を準備する 三日以内に局長へ送付される登記官の意見は、行政不服審査法上の弁明書に読み替えられる(6項)。その内容を早期に把握し、審理員への反論書を組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1登記の審査請求とは何ですか?
登記官の処分や不作為に不服があるとき、法務局または地方法務局の長に是正を求める行政上の不服申立てです。不動産登記法156条・157条が手続を定めています。
Q2登記の審査請求に期限はありますか?
不動産登記法158条が行政不服審査法18条(審査請求期間)の適用を除外しているため、処分の是正が可能な限り期間制限なく請求できると解されています。
Q3審査請求書はどこに提出しますか?
宛先は法務局または地方法務局の長ですが、提出先は処分をした登記官です(156条2項)。自分を却下した登記官を経由する構造になっています。
Q4審査請求書に決まった様式はありますか?
法定の書式はありませんが、行政不服審査法19条の記載事項(処分の内容、審査請求の趣旨および理由、処分を知った年月日など)を満たす必要があります。
Q5登記がされないまま放置されている場合も審査請求できますか?
できます。157条は不作為に係る処分についての審査請求も対象とし、局長は登記官に相当の処分を命じることができます(3項)。
Q6審査請求の裁決に不服があるときはどうしますか?
行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を検討します。登記官の処分は審査請求前置ではないため、最初から訴訟を選ぶことも可能です。
Q7登記の審査請求は司法書士に依頼できますか?
できます。司法書士法3条は、法務局または地方法務局の長に対する登記に関する審査請求の代理を業務として明記しています。
Q8審査請求が認められたら申請はやり直しになりますか?
やり直しではなく、局長が登記官に「相当の処分」を命じます(3項)。ただし命じられる内容は事案により異なり、常に登記が実行されるとは限りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審査請求って、裁判より本当に早いんですか?
登記官が理由ありと認めれば自ら処分を直すので(1項)、早ければ数日で決着します。折れなくても三日以内に局長へ送付され(2項)、費用も原則かかりません。実務のポイント:ただし速いのは「送付まで」であって、審理員の審理と裁決まではさらに数か月かかることもある。速さが本当に効くのは登記官が自ら折れる1項の局面だけだと分かっていれば、期待の掛け方を間違えない
Q2審査請求が認められたら、他人名義になっている登記は消えますか?
必ずしも消えません。局長は登記官に相当の処分を命じますが(3項)、完了した登記を職権で抹消できる場面は不動産登記法71条が限定しており、25条1号から3号および13号の却下事由に当たる場合が中心です。実務のポイント:実体上の権利を争うなら本筋は抹消登記請求訴訟。審査請求で取れるものと取れないものを最初に切り分ける専門家は、依頼者に無駄な数か月を使わせない
Q3仮登記を命じてもらうには、どう頼めばいいんですか?
4項は局長の職権として定められており、申立権として明文化されているわけではありません。実務では審査請求書や上申書に、第三者へ処分される具体的な危険を書いて職権発動を促します。実務のポイント:「念のため」と書くだけでは動きません。相手が売却活動をしている、決済期日が何月何日に迫っている、といった日付入りの事実を添えるかどうかで、局長が動く確率が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 審査請求が通れば登記が直る、というところまでは知っている人もいる。深刻なのはその先だ。局長が命じられるのは「相当の処分」(3項)だが、すでに完了している登記を登記官が職権で抹消できる場面は不動産登記法71条が厳しく限定しており、25条1号から3号および13号の却下事由に当たる場合が中心である。認容されたのに登記簿は動かない、という結末が現実にありうる
- 「審査請求と訴訟、どちらを先にやるべきか」という問いの立て方そのものがずれている。登記官の処分は審査請求前置ではなく、いきなり取消訴訟を起こしてもよい。本当に問うべきなのは順番ではなく、仮登記命令(4項)という審査請求にしかない道具が、自分の案件で効くかどうかである
- 審査請求書は法務局へ持ち込むものだと思われがちだが、宛先は局長でも、提出先は処分をした登記官である(156条2項)。自分を却下した相手に書面を渡すことになるので気が進まない人も多い。だがその構造があるからこそ、登記官が自ら見直して数日で決着する1項のルートが生まれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定する内容 | 157条:審査請求を受けた後の処理手続(自己是正・三日以内の送付・仮登記命令) | 156条:審査請求の相手方と、登記官を経由する提出方式 71条:完了した登記を登記官が職権で抹消する手続とその限界 |
| 動く主体 | 登記官(1項・2項)と法務局または地方法務局の長(3項〜5項) | 審査請求人(提出)と登記官(経由) 登記官(職権) |
| 時間の制約 | 登記官は審査請求の日から三日以内に意見を付して送付(2項) | 158条により審査請求期間の制限は適用除外 職権抹消は登記名義人等への通知と異議手続を経る |
| 使いどころ | 却下・不作為をひっくり返し、審理中の順位も守りたいとき | そもそもどこへ何を出すのかを確認するとき すでに実行された登記を消せるかを判断するとき |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では地政事務所の登記処分に対して訴願を提起し、原処分機関がまず自ら再審査したうえで答弁書を付して訴願管轄機関へ送付する。構造は似るが、日本のような三日という極端に短い法定期限や、審理中の仮登記命令に相当する明文の装置は置かれていない
韓国は等記官が異議に理由なしと認めるときは三日以内に意見を付して管轄地方法院へ送付すると定め、日本と同じ期限を持つ。ただし送付先が行政庁ではなく裁判所である点が本質的な違いで、処分前の仮登記命令に相当する規定も置かれている
ドイツは登記所の処分に対する Beschwerde を上級裁判所(原則 OLG)が審理するが、その前段で登記所自身が是正できる Abhilfe を認め、決定前に Vormerkung や Widerspruch の登記を命じる暫定処分も可能。日本157条1項・4項と機能的にほぼ一致する
米国には登記官の処分に対する行政内部の不服申立て手続が一般に存在せず、受理拒否は mandamus、権利関係の争いは quiet title action として州裁判所で処理される。順位保全は lis pendens の登録が担う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし審査請求を出して審理が続いている間に、同じ不動産へ第三者が先に所有権移転登記を入れてしまったら? 局長が理由ありと判断しても、失った順位は戻らない。だからこそ4項の仮登記命令を、審査請求書を出すのと同時に求めておく必要がある。相手が動く前に打てる手は、たいてい数日しか残っていない。
- あなたが司法書士で、依頼者の申請が却下された。依頼者には「登記所の判断がおかしい」と言いたいところだが、審査請求を出せば登記官自身が三日以内に意見書を書いて局長へ送る(2項)。その意見書には、あなたの申請のどこが足りなかったかが役所の言葉で書かれる。自分の書面の穴が先に露出する覚悟が要る。
- 亡父名義のままの実家を相続登記しようとしたら却下された。理由の文面を読んでも意味が分からない。その一枚を持って登記所の窓口へ戻り、審査請求と書けば、三日後には局長が判断する側に回っている。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 却下決定書や補正指示の書面を原本で保管し、窓口でのやり取りは日時と担当者名までメモする2. 審査請求は処分をした登記官を経由して提出(156条2項)、宛先は監督する法務局または地方法務局の長3. 第三者に先を越される恐れがあるなら、その事情を具体的な日付入りで書き、4項の仮登記命令の職権発動を促す4. 三日以内に送付される登記官の意見(弁明書に読み替えられる、6項)の内容を確認し、審理員への反論を組み立てる
訴えられた側:他人の審査請求により自分名義の登記が覆されそうな側の動き方。1. 3項により審査請求人だけでなく登記上の利害関係人にも通知が届く、届いた時点で処分の射程を精査する2. 完了済みの登記を職権で抹消できる場面は71条が限定している、その射程外であることを主張する3. 仮登記命令が出ていないか登記事項証明書で確認する4. 局長の裁決になお不服なら、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を検討する
時効(請求できる期限):登記官には厳格な期限があり、審査請求の日から三日以内に意見を付して法務局または地方法務局の長へ送付しなければならない(2項)。他方で請求する側には、不動産登記法158条が行政不服審査法18条(審査請求期間)の適用を除外しているため、処分の是正が可能である限り期間制限なく審査請求できると解されている(最新の実務の取扱いをご確認ください)
学説
通説:157条の審査請求は前置ではなく、取消訴訟との選択が可能であると解される。審査請求を選ぶ実益は、登記官による短期の自己是正(1項)と、審理中の順位を保全する仮登記命令(4項)という他の手続にない道具にある。
実務の取扱い:4項の仮登記命令は局長の職権として定められており、申立権として明文化されていない。実務では審査請求書や上申書に第三者処分の具体的危険を記載して職権発動を促す運用がとられている。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により現行157条として整備。登記官による自己是正、三日以内の意見送付義務、局長による仮登記命令という処理手順が現在の条文構成にまとめられた
- 平成26年(2014年)公布、平成28年(2016年)4月1日施行 行政不服審査法の全面改正に伴う整備で、2項後段に審理員への送付が加えられ、6項の読替え規定により登記官の意見が弁明書に相当するものと位置づけられた
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により現行157条として整備。登記官による自己是正、三日以内の意見送付義務、局長による仮登記命令という処理手順が現在の条文構成にまとめられた
- 2.平成26年(2014年)公布・平成28年(2016年)4月1日施行 改正:行政不服審査法の全面改正に伴う整備で、2項後段に審理員への送付が加えられ、6項の読替え規定により登記官の意見が弁明書に相当するものと位置づけられた
- 不動産登記法 第156条審査請求の相手方と登記官経由の提出方式
- 不動産登記法 第158条行政不服審査法の適用除外、審査請求期間の不適用
- 不動産登記法 第71条完了した登記の職権抹消の限界
- 不動産登記法 第25条申請却下事由、処分の適否の判断基準
- 不動産登記法 第105条仮登記の一般規定、4項の命令の対象
- 行政不服審査法 第11条審理員の指名、2項の送付先の根拠
- 行政不服審査法 第29条弁明書提出を意見送付に読み替える対象
- 行政事件訴訟法 第3条取消訴訟、審査請求前置によらない選択肢
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