不動産登記法 第71条(職権による登記の抹消)
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- 登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者及び登記義務者並びに登記上の利害関係を有する第三者に対し、一月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならない。
- 2.登記官は、通知を受けるべき者の住所又は居所が知れないときは、法務省令で定めるところにより、前項の通知に代えて、通知をすべき内容を公告しなければならない。
- 3.登記官は、第一項の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならない。
- 4.登記官は、第一項の異議を述べた者がないとき、又は前項の規定により当該異議を却下したときは、職権で、第一項に規定する登記を抹消しなければならない。
この条文の基本情報
職権による登記の抹消とは何ですか?
定義職権による登記の抹消とは、不動産登記法第71条に定められた規定で、「登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者及び登記義務者並びに登記上…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第71条(職権による登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第71条の条文原文は「登記官は、権利に関する登記を完了した後に当該登記が第二十五条第一号から第三号まで又は第十三号に該当することを発見したときは、登記権利者及び登記義務者並びに登記上…」で始まります。
- 不動産登記法第71条は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第71条の前の条は不動産登記法第70条の2です。
- 不動産登記法第71条の次の条は不動産登記法第72条です。
- 不動産登記法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法71条は、登記官が完了後の登記に25条1号〜3号・13号の却下事由を発見したとき、一月以内に書面の異議がなければ職権で抹消すると定める。無権限者の申請(4号)は対象外。
Q · 偽造書類で入れられた登記、法務局が職権で消してくれますか?
消せません。71条の対象は25条1〜3号と13号だけです。
不動産登記法71条の職権抹消が及ぶのは、25条1号(管轄違い)、2号(登記事項以外)、3号(既に登記されている)、13号(法務省令で定める登記すべきでない場合)に限られます。25条4号の「申請の権限を有しない者の申請」、つまり偽造委任状や成りすましによる登記は射程外で、登記官は職権で抹消できません。この類型で登記を消すには、抹消登記手続請求訴訟を提起して判決を得る必要があります。なお71条の通知を受けた側は、一月以内の期間内に書面で異議を述べなければ、同条4項により職権抹消が確定します。
解説
登記が完了し、登記識別情報の通知まで手元にある。それでも、その登記が裁判所を経ずに消えることがある。71条は、登記官が権利に関する登記を完了した後でその登記が25条1号(管轄違い)、2号(登記事項以外)、3号(既に登記されている)、13号(法務省令で定める登記すべきでない場合)に当たると気付いたとき、登記権利者・登記義務者・登記上の利害関係を有する第三者に一月以内の期間を定めて通知し、その期間内に書面の異議がなければ職権で抹消すると定める。押さえるべきは、消せる範囲が驚くほど狭いという事実だ。25条4号の「申請の権限を有しない者の申請」、つまり偽造委任状や成りすましによる登記は、この条文の対象に入っていない。法務局に持ち込んでも登記官は職権では消せない。あなたが起こすのは訴訟である。そして通知を受けた側にとっては、沈黙が同意と同じ効果を持つ。
法的な位置づけ
不動産登記法71条は、登記官による職権抹消の手続を定める規定である。権利に関する登記の完了後に、当該登記が同法25条1号から3号まで又は13号の却下事由に該当することが判明した場合に、関係者への通知と一月以内の異議申述期間、異議に対する決定を経て、登記官が職権で当該登記を抹消する手続を規律する。実体的な権利の存否は審査対象とならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書から「期間」と「25条の号数」を抜き出す 法務局からの通知が届いたら、まず定められた期間の末日と、根拠とされている25条の号数(1号・2号・3号・13号のいずれか)を特定し、期限日をカレンダーに落とす。この二点が異議の可否と主張の骨格を決める
- 2.附属書類を閲覧して登記官が掴んだ事実を特定する 不動産登記法121条により申請書類(附属書類)の閲覧を請求し、登記官がどの資料からどの却下事由を認定したのかを確認する。閲覧には利害関係を明らかにする必要があるため、権利関係を示す資料を持参する
- 3.期間内に書面で異議を述べる(理由は後から補充) 理由を練り込むより先に、期間内に書面を提出した事実を確保する。提出は内容証明郵便または受領印付きの控えが残る方法で行い、後日の補充書面で主張を厚くする。一月の経過だけは取り返しがつかない
- 4.「25条4号の類型にすぎない」と条番号で名指しする 登記官が事由を取り違えている場合、異議書に「本件は25条4号の問題であり、1号から3号まで及び13号のいずれにも当たらない」と明記する。71条の射程外であることが認められれば、職権抹消の前提が崩れる
- 5.却下されたら156条の審査請求、並行して訴訟を検討 異議が決定で却下されたら、不動産登記法156条の審査請求へ進む。無権限者による登記が問題の本体なら、審査請求と並行して抹消登記手続請求訴訟を準備する。抵当権者など利害関係人がいる場合は68条の承諾要件も先に確認する
よくある質問 AI による整理
Q1職権抹消とは何ですか?
登記官が申請を待たずに自ら登記を消す手続です。不動産登記法71条が根拠で、25条1号から3号まで及び13号の却下事由が完了後に判明した場合に限られ、通知と一月の異議期間を経て行われます。
Q2不動産登記法25条13号とは何ですか?
「その他登記すべきものでないとき」として法務省令に具体化を委ねた包括的な却下事由です。省令が定める類型に当たれば71条の職権抹消の対象になるため、通知が来たらどの号を根拠にしているか必ず確認してください。
Q3法務局から抹消の通知が届いたら何をすればいい?
まず封筒を開けて「定められた期間」と「25条の何号か」の二点を特定します。理由の作り込みより先に、一月以内に書面を出す事実を確保してください。電話や窓口での口頭の抗議は、法律上は異議を述べたことになりません。
Q4異議は電話やメールでもいいですか?
71条1項は「書面で異議を述べる」と規定しています。電話での抗議は法的には何も述べていない扱いです。提出は控えを残せる方法(内容証明郵便、受領印付きの持参提出など)を選んでください。
Q5通知先の住所がわからない場合はどうなりますか?
71条2項により、登記官は法務省令の定めるところに従い、通知に代えて通知すべき内容を公告します。本人が現実に知らないまま期間が進むため、住所変更登記を放置している不動産は特に危険です。
Q6職権で抹消された登記は元に戻せますか?
不動産登記法72条の回復登記によります。ただし登記上の利害関係を有する第三者がいるときはその承諾が必要で、抹消後の空白に新たな登記が入るほど承諾を得る相手が増え、回復は実務上難しくなります。
Q7登記官の決定に納得できないときは?
不動産登記法156条の審査請求を、登記官を経由して監督法務局または地方法務局の長に対して行います。さらに行政事件訴訟法3条の抗告訴訟で処分そのものを争う道も残されています。
Q8二重登記が見つかった場合、どちらが消されますか?
25条3号(既に登記されている)に当たる後発の登記が71条の職権抹消の候補になります。もっとも登記官が発見しなければ手続は始まらないため、当事者からの事実の申出が実務上の起点になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1勝手に他人名義にされた登記、法務局に言えば消してくれますよね?
消せません。71条の対象は25条1号から3号までと13号に限られ、4号の「申請の権限を有しない者の申請」は含まれないからです。偽造委任状や成りすましの登記は、抹消登記手続請求訴訟で判決を取るしかない。実務のポイント:登記官への「職権で消して」という申出は職権発動を促す事実の申出にすぎず申請権ではないため、放置されても審査請求では争いにくい。窓口で粘る時間は証拠固めに回す方が早い
Q2一月のあいだ何もしなかったら、どうなるんですか?
71条4項により、登記官は職権でその登記を抹消します。異議を述べた者がいない場合と、異議が理由なしとして却下された場合が同じ扱いです。取り戻すには72条の回復登記になりますが、登記上の利害関係を有する第三者がいればその承諾が要る。実務のポイント:抹消された空白に新たな登記が入ると承諾を得る相手が増え、回復は事実上詰みます。沈黙の代償は日数とともに跳ね上がる
間違えやすい点 AI による整理
- 「勝手に他人名義にされた登記を法務局に消してもらう」という問いの立て方自体が誤っている。71条の職権抹消は25条1号から3号までと13号に限られ、無権限者による申請(25条4号)は射程外。求めるべきは登記官への申出ではなく、抹消登記手続請求訴訟である。問いを間違えたまま窓口に通う数か月が、そのまま損失になる。
- 登記官が職権で登記を消せることを知っている人でも、その通知が誰に届くかまでは知らない。抵当権者、差押債権者、地上権者、つまり登記上の利害関係を有する第三者の全員に同じ内容が通知される。あなたの登記の瑕疵は、あなたが説明する前に取引相手と金融機関に知られる。
- あなたから見れば「返事をしなかっただけ」だが、法律から見れば「定められた期間内に異議を述べなかった」という要件事実の充足である。71条4項はそれだけで職権抹消を義務付ける。沈黙が処分の完成条件になっているという落差が、放置した人を潰す。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動する場面 | 71条:完了後に25条1〜3号・13号の却下事由を発見 | 67条:登記に錯誤または遺漏がある(更正) 72条:抹消された登記を元に戻す(回復) |
| 登記の運命 | 登記そのものが消える | 登記は残り、内容が正しく直る 消えた登記が復活する |
| 第三者の関与 | 利害関係第三者に通知、異議権あり(1項) | 更正により不利益を受ける第三者の承諾が問題になる 登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要 |
| 何もしなかった場合 | 一月経過で職権抹消が義務化される(4項) | 誤った内容の登記が残り続ける 空白に新登記が入ると回復は事実上困難になる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は、登記証明文件が偽造と認定された場合や登記機関の過失による錯誤登記を、上級機関の査明核准を経て職権で塗銷できる。偽造書類の類型を職権塗銷の対象に含める点で、これを外す日本71条と決定的に異なる
韓国も登記官による직권말소を定め、通知と異議申述の機会を与える構造を採る。日本統治期の登記制度を出発点とするため、手続の骨格が日本71条と近い
ドイツは登記官の職権による Amtswiderspruch(職権異議の登記)と Löschung(抹消)を区別し、内容上許されない登記のみ職権抹消、実体的疑義には職権異議を付記して公信力を止める二段構えを採る
米国の多くの州は届出(recording)制度であり登記官に実体審査権も職権抹消権もない。誤った記録の是正は原則として裁判所の quiet title action による
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし法務局から「貴殿の所有権移転登記を抹消する」という予告通知が届いたら、残された時間はどれだけか。71条1項が定めるのは「一月以内の期間」、しかも異議は書面でなければならない。窓口に電話で文句を言っても、法律上は何も述べていないのと同じ扱いになる。封筒を開けないまま三週間積んだ時点で、勝負はほぼ決まっている。
- あなたが売主として登記を渡した側だとする。買主の登記が職権で抹消されれば、代金を受け取ったあなたの立場も揺れる。71条1項の通知は登記義務者、つまりあなたにも届く。
- 住宅ローンの抵当権者である銀行は、71条1項でいう「登記上の利害関係を有する第三者」にあたる。あなたの所有権登記が抹消候補になった事実は、あなたと同じ日に銀行へも通知される。担保の土台が揺れたと判断した金融機関がどう動くかは、あなたの手の届かない会議室で決まっていく。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書に書かれた期間と該当する25条の号数を確認し、期限日をカレンダーに落とす2. 期間内に必ず書面で異議を述べ、内容証明または受領印付きの控えを残す3. 不動産登記法121条で申請書類(附属書類)の閲覧を求め、登記官がどの事実を掴んだか特定する4. 25条4号の類型にすぎないなら71条の対象外である旨を異議書に明記する5. 異議が却下されたら156条の審査請求へ進む
訴えられた側:1. 二重登記や管轄違いを見つけたら登記官に事実を申し出る。ただしこれは職権発動を促す申出にすぎず、動かない登記官を強制する権利ではない2. 相手方の登記が25条4号の類型なら待たずに抹消登記手続請求訴訟を提起する3. 抵当権者など利害関係人がいるなら、68条の承諾要件と72条の回復要件を先に確認する。空白に新たな登記が入ると回復は事実上詰む
時効(請求できる期限):異議は登記官が定める一月以内の期間内に、書面で述べなければならない(71条1項)。起算点は通知の到達、住所または居所が不明の場合は法務省令に基づく公告(同条2項)。異議を却下する決定に不服なら不動産登記法156条の審査請求へ進む。この審査請求には行政不服審査法の審査請求期間が適用されないと解されており、処分の状態が続く限り申し立てられるとされる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:71条の職権抹消は、登記官の形式的審査権の範囲内で判断できる外形的な瑕疵に限って認められ、実体的な権利の存否には及ばない。25条4号の無権限者の申請が射程外とされるのは、その判断が実体審理を要するためであり、通知と一月の異議期間は行政の自己是正権に対する手続的統制として機能すると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法下の職権抹消手続(通知・公告・異議・決定・抹消)を承継しつつ現代語化し、オンライン申請を前提とする新法の登記手続体系に組み込んだ
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法全部改正。旧法下の職権抹消手続(通知・公告・異議・決定・抹消)を承継しつつ現代語化し、オンライン申請を前提とする新法の登記手続体系に組み込んだ
- 不動産登記法 第25条却下事由、職権抹消の対象範囲を画定
- 不動産登記法 第72条抹消された登記の回復と承諾要件
- 不動産登記法 第67条登記の更正、職権更正との役割分担
- 不動産登記法 第156条登記官の処分に対する審査請求
- 不動産登記法 第121条附属書類の閲覧、異議の資料収集手段
- 行政不服審査法 第2条処分の審査請求の一般法、156条が特則
- 行政事件訴訟法 第3条職権抹消処分に対する抗告訴訟の受け皿
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