不動産登記法 第70条の2(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)
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登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
この条文の基本情報
解散した法人の担保権に関する登記の抹消とは何ですか?
定義解散した法人の担保権に関する登記の抹消とは、不動産登記法第70条の2に定められた規定で、「登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第70条の2(解散した法人の担保権に関する登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第70条の2の条文原文は「登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同…」で始まります。
- 不動産登記法第70条の2は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第70条の2の前の条は不動産登記法第70条です。
- 不動産登記法第70条の2の次の条は不動産登記法第71条です。
- 不動産登記法第70条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第70条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第70条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/70_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法七十条の二は、担保権者である法人が解散し清算人の所在も不明で、弁済期から三十年かつ解散から三十年を経過した場合に、登記権利者が単独で抵当権等の登記を抹消できると定める。
Q · 解散した会社の古い抵当権が登記簿に残っているとき、相手なしで消せますか?
相手が解散法人で二つの三十年を満たせば単独で消せます
不動産登記法七十条の二により、担保権者である法人が解散し、法務省令所定の調査によっても清算人の所在が判明しない場合、被担保債権の弁済期から三十年かつ解散の日から三十年を経過していれば、登記権利者は単独で抵当権等の抹消を申請できます。共同申請を求める六十条の例外であり、七十条第四項の供託ルートと異なり供託金は不要です。ただし二つの三十年はいずれも満たす必要があり、弁済期を証する資料がない場合は供託や公示催告のルートに切り替えることになります。
解説
祖父の代の土地を売ろうとして登記事項証明書を取ったら、昭和三十年代設定の抵当権が残っていた。権利者は「○○無尽株式会社」、とうに解散している。清算人を探しても誰も出てこない。この瞬間、その土地は売れない。買主も融資銀行も、担保が付いたままの不動産を嫌うからだ。従来は公示催告と除権決定を待つか、被担保債権の全額を供託するか、いずれにせよ時間か金が飛んだ。令和五年四月から使えるようになった三本目の鍵が不動産登記法七十条の二である。相手方の法人が解散していること、法務省令の定める方法で調べても清算人の所在が判明しないこと、被担保債権の弁済期から三十年、かつ法人の解散の日から三十年が経過していること。この四つが揃えば、登記権利者は相手の関与なしに単独で抹消を申請できる。登記は共同申請が原則(六十条)だが、その原則を正面から外す例外がここにある。しかも供託金は不要だ。三十年という数字を、どの日付から数えるかを知っているかどうかで結果が変わる。
法的な位置づけ
不動産登記法七十条の二は、休眠担保権の単独抹消を定める規定である。登記義務者たる法人が解散し、法務省令所定の調査によっても清算人の所在が判明せず、被担保債権の弁済期から三十年かつ解散の日から三十年を経過した場合に、共同申請の原則を定める同法六十条の例外として、登記権利者による単独の抹消申請を認める。供託は要件とされない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で担保権の中身を確定する 対象不動産の登記事項証明書を取得し、担保権の種類(先取特権・質権・抵当権)、設定年月日、登記記録上の弁済期の定め、権利者の商号と本店所在地を書き出す。弁済期の記録がなければ本条ルートは使えない可能性が高い
- 2.法人の解散の日を登記で確定する 権利者である法人の登記事項証明書(閉鎖登記簿を含む)を取得し、解散の日を特定する。合併により権利義務が承継されている場合は解散ではないため本条は使えず、承継先の法人と共同申請することになる
- 3.二つの三十年を計算して要件充足を判定する 被担保債権の弁済期から三十年、かつ法人の解散の日から三十年を経過しているかを両方計算する。片方でも足りなければ本条は使えないため、七十条第四項の供託ルートか公示催告・除権決定ルートに切り替える判断をこの段階で行う
- 4.省令所定の方法で清算人の所在を調査し記録を残す 七十条第二項が委任する法務省令の定める方法により清算人の所在を調査し、判明しなかったことを証する情報を作成する。目的は探し当てることではなく、探しても出てこなかった事実を証明可能な形で残すことにある
- 5.登記権利者として単独で抹消登記を申請する 登記申請書に解散を証する情報、所在不明を証する情報、弁済期を証する情報を添付し、不動産所在地を管轄する法務局に単独で抹消申請を行う。登録免許税は不動産一個につき所定額。売却決済日が決まっている場合は逆算して着手する
よくある質問 AI による整理
Q1休眠担保権とは何ですか?
実体上は消滅している可能性が高いのに、登記簿上だけ残り続けている先取特権・質権・抵当権のことです。権利者が解散した無尽会社や旧信用組合など、現存しない法人であることが多く、不動産の売却や融資を妨げます。
Q2不動産登記法70条の2はいつから使えますか?
令和三年法律第二十四号で新設され、令和五年四月一日から施行されています。所有者不明土地対策の一環で、相続登記義務化と同じ改正パッケージに含まれています。施行日前に要件を満たしていた事案にも使えます。
Q3抵当権を単独申請で抹消できる条件は?
登記義務者が法人であること、その法人が解散していること、省令所定の調査でも清算人の所在が判明しないこと、被担保債権の弁済期から三十年かつ解散の日から三十年を経過していること。この四つをすべて満たす必要があります。
Q430年はいつから数えますか?
起算点は二つあります。一つは被担保債権の弁済期、もう一つは法人の解散の日です。抵当権の設定日ではありません。両方から三十年が必要なので、実質的には遅い方の日付が基準になります。
Q5解散した会社の抵当権は消せないの?
消せます。従来は公示催告と除権決定、または被担保債権全額の供託しか手段がありませんでしたが、令和五年からは七十条の二による単独申請という三本目のルートが加わりました。この方法だけ供託金が不要です。
Q6清算人の所在調査はどうやればいいですか?
七十条第二項が委任する法務省令の定める方法によります。法人の登記事項証明書(閉鎖分含む)から清算人を特定し、その住所を調査したうえで、判明しなかったことを証する情報を申請書に添付します。調査記録そのものが要件です。
Q7供託して抹消する方法とどちらが得ですか?
二つの三十年を満たすなら七十条の二が有利です。供託金が不要だからです。ただし戦前の担保権で元本が数十円という場合、供託額が数千円で済み、要件立証の手間を考えると供託の方が早いこともあります。
Q8単独申請に必要な書類は何ですか?
登記申請書のほか、法人の解散を証する登記事項証明書、清算人の所在が判明しないことを証する調査資料、被担保債権の弁済期を証する情報が中心です。弁済期は登記記録に記載があればそれを使います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1三十年は経ってるはずなんですが、弁済期がいつだったか分かりません。どうすればいいですか?
登記記録に弁済期の定めが記録されていればその日付で数えます。記録がなく他に証する資料もない場合、本条の三十年を証明できず、七十条第四項の供託ルート(被担保債権と利息等の全額を供託して単独で抹消する方法)に切り替えるのが実務です。実務のポイント:明治大正期や戦前の担保権は元本が数十円ということも珍しくなく、供託額が数千円で済むことがある。三十年を待つより供託した方が早くて安い場面は実在する
Q2相手が会社じゃなくて、行方不明の個人だった場合も同じ手が使えますか?
使えません。本条は登記義務者が解散した法人で、その清算人の所在が判明しない場合に限られます。相手が自然人なら七十条第一項の公示催告と除権決定によるルート、または同条第四項の供託ルートを使うことになります。実務のポイント:登記簿の権利者欄に「株式会社」「組合」の文字があるかどうかで進む条文が分岐する。まずそこを見るだけで、司法書士への相談の入口が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 三十年経てば権利は自動的に消えると理解している人がいる。それは半分しか合っていない。抵当権の実体は被担保債権の消滅時効で既に消えていることが多く、深刻なのはその先だ。実体上消滅した権利でも、登記簿の記載は誰かが申請しない限り永久に残り続ける。登記は自動更新もしないが自動消滅もしない。実体と登記の乖離を埋める作業は、必ず生きている側の人間の手で行うしかない
- 「誰に頼めば消してもらえるのか」という問いの立て方自体がずれている。この条文は、消してくれる相手を探すのを法が公認して諦めさせる仕組みだ。探索の努力(前条第二項の省令が定める方法による調査)を尽くしてもなお見つからなかったという記録そのものが、申請の要件になる。目的は探し当てることではなく、探しても出てこなかったことを証明可能な形で残すことである
- 三十年の起算点を「抵当権の設定日」だと思い込んでいる人が多いが、条文が数えるのは「被担保債権の弁済期」からである。設定日と弁済期は通常ずれるうえ、法人の解散日からも別に三十年が必要な二重要件だ。ここを取り違えると、実は要件を満たしているのに諦める、あるいは足りないのに申請して却下される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠条文と手段 | 七十条の二:解散法人の担保権を単独申請で抹消 | 七十条第四項:被担保債権等の全額を供託して単独抹消 七十条第一項・第二項:公示催告と除権決定を経て抹消 |
| 相手方の属性 | 解散した法人に限る(自然人は対象外) | 法人・自然人を問わず所在不明であればよい 法人・自然人を問わず所在不明であればよい |
| お金の負担 | 供託金は不要。登録免許税と調査実費のみ | 元本・利息・遅延損害金の全額を供託する必要がある 供託金は不要だが公示催告の申立費用と時間がかかる |
| 期間要件と所要時間 | 弁済期から三十年かつ解散から三十年の二重要件 | 期間要件は緩いが供託額の算定に時間がかかる 期間要件は緩いが除権決定まで数か月から一年程度 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日拠時期に設定された抵当権・典権等について、期間内に申報がなければ抹消するという一括清理の立法で対応した。個別要件審査型の日本と異なり、期限を切った全面清理型である点が対照的
韓国は除権判決を経由する構成を維持しており、解散法人に特化した無供託の単独申請類型を置いていない点で日本の七十条の二とは設計が異なる
ドイツは不明抵当権者を Aufgebotsverfahren(公示催告手続)により失権させる構成をとる。裁判所手続を必要とする点で日本の七十条第一項ルートに近く、七十条の二のような登記所限りの単独申請類型ではない
米国の多くの州は、一定年数を経過した古い担保権や旧権利を root of title から自動的に整理する制定法を持つ。期間経過による一律失効という発想は本条の三十年要件と機能的に共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続した実家にようやく買主がつき、決済まであと四十五日。登記簿を見たら昭和四十一年設定の抵当権、権利者は解散済みの株式会社。ここから何ができるか? 登記記録上の弁済期と法人の解散日を確認し、両方が三十年を超えていれば単独申請で抹消できる。片方でも足りなければ供託ルートか公示催告に切り替えることになり、その場合は決済日そのものを動かす交渉が先になる
- あなたが解散した会社の元清算人だとする。法務局からあなたに事前の通知は来ない。会社名義で登記されていた抵当権は、相手方の単独申請で静かに登記簿から消える
- 農地を宅地に転用しようとしたら、農協の前身組織が持つ質権が登記簿に残っていた。弁済期がいつだったのか登記記録からは読み取れず、当時の契約書も残っていない。この条文が使えるかどうかは、三十年を数える起点を書面で示せるかにかかっている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取得し、担保権の種類、設定日、登記記録上の弁済期、権利者の商号を書き出す2. 法人の登記事項証明書(閉鎖分を含む)を取り、解散の日を確定する3. 弁済期から三十年、解散日から三十年の両方を満たすか計算する4. 前条第二項の省令が定める方法で清算人の所在調査を行い、調査結果を証する情報を残す5. 要件を満たさない場合は七十条第四項の供託ルート、または公示催告と除権決定のどちらが安いかを比較して切り替える
訴えられた側:1. 解散した法人の担保権に実体上の価値が残ると考えるなら、抹消される前に清算人選任(会社法四百七十八条第二項)を裁判所に申し立て、所在を明らかにしておく2. 既に抹消された場合でも、実体上の権利が存続しているなら回復登記や損害賠償の余地を検討する3. 担保権を資産として承継した側(合併先の金融機関など)は、承継関係の登記を放置しないことが唯一の防御になる
時効(請求できる期限):本条は請求権の時効ではなく申請要件の期間である。被担保債権の弁済期から三十年、かつ法人の解散の日から三十年の両方を経過して初めて単独申請ができる。要件を満たした後の申請自体に期限はない。なお実体面の権利については民法百六十六条の消滅時効および抵当権の時効に関する民法三百九十六条の制限が別途問題となる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)法律第24号、令和5年(2023年)4月1日施行 所有者不明土地問題への対応として新設。解散した法人の担保権について、清算人の所在が判明せず、弁済期から30年かつ解散から30年を経過した場合に、供託を要さず登記権利者の単独申請で抹消できる道を開いた
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:令和三年法律第二十四号(民法等の一部を改正する法律)により新設。所有者不明土地問題への対応として、解散した法人の担保権につき、清算人の所在が判明せず、弁済期から三十年かつ解散から三十年を経過した場合に、供託を要さず登記権利者の単独申請で抹消できる道を開いた。令和五年四月一日施行
- 不動産登記法 第60条共同申請の原則、本条が明文で排除する対象
- 不動産登記法 第70条所在調査の方法と供託による単独抹消の並行ルート
- 不動産登記法 第63条判決による単独申請、共同申請原則の別の例外
- 不動産登記法 第69条の2買戻特約登記の単独抹消、同時期新設の並行規定
- 不動産登記法 第68条抹消登記における登記上の利害関係人の承諾
- 会社法 第478条裁判所による清算人選任、所在判明時の代替手段
- 民法 第396条抵当権の消滅時効の制限、登記が残存する法的背景
- 非訟事件手続法 第99条公示催告手続、除権決定による抹消ルートの根拠
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