不動産登記法 第72条(抹消された登記の回復)
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抹消された登記(権利に関する登記に限る。)の回復は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
この条文の基本情報
抹消された登記の回復とは何ですか?
定義抹消された登記の回復とは、不動産登記法第72条に定められた規定で、「抹消された登記(権利に関する登記に限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第72条(抹消された登記の回復)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第72条の条文原文は「抹消された登記(権利に関する登記に限る。」で始まります。
- 不動産登記法第72条は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第72条の前の条は不動産登記法第71条です。
- 不動産登記法第72条の次の条は不動産登記法第73条です。
- 不動産登記法第72条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第72条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第72条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/72
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法72条は、抹消された権利の登記の回復は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合、その第三者の承諾があるときに限り申請できると定める。
Q · 勝手に消された抵当権を、元どおりに戻すことはできますか?
戻せるが、抹消後に登記を入れた第三者の承諾が要る
不動産登記法72条により、抹消された権利に関する登記の回復は、登記上の利害関係を有する第三者がいる場合、その承諾があるときに限り申請できます。抹消後に抵当権を設定した者や差押債権者は、回復により順位が下がるため利害関係人にあたります。承諾が得られないときは、承諾を求める訴えを提起し、確定判決を得れば承諾を証する情報に代えられます(不動産登記令7条1項5号)。回復されると抹消前と同一の登記が復活し、順位も従前のまま戻ります(不動産登記規則155条)。
解説
登記は消える。しかも、あなたの知らないところで消える。偽造された委任状で抵当権が抹消される、司法書士の入力ミスで残すべき登記が落ちる、詐欺グループが所有権の移転を巻き戻す。消えた登記を元に戻す手続が「抹消回復登記」であり、その入口が不動産登記法72条だ。壁になるのは条文の後半である。登記上の利害関係を有する第三者がいる場合、その第三者の承諾がなければ、そもそも申請できない。あなたの一番抵当権が不当に消された隙に、二番だった銀行が一番に繰り上がっていたとしたら、その銀行が首を縦に振らない限り、法務局は回復を受け付けない。ただし承諾は「お願い」で終わらない。承諾を求める訴えを起こし、確定判決を得れば、それが承諾に代わる情報になる(不動産登記令7条1項5号)。あなたが失ったのは登記ではなく、承諾を取りにいくための時間である。
法的な位置づけ
不動産登記法72条は抹消登記の回復を定める規定であり、権利に関する登記が抹消された場合において、登記上の利害関係を有する第三者があるときは、その第三者の承諾があるときに限り回復を申請できる旨を規律する。利害関係人には当該回復につき利害関係を有する抵当証券の所持人および裏書人が含まれる。表示に関する登記は本条の対象外である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で抹消の事実を特定する 対象不動産の全部事項証明書を取得し、取消線の入った登記の受付年月日・登記原因・申請人を確認する。抹消時の申請書類は、利害関係人として法務局に閲覧を請求できる場合がある
- 2.承諾が必要な第三者を確定する 抹消の受付日より後に入った登記(抵当権設定、差押え、所有権移転、抵当証券の発行)をすべて洗い出し、回復により順位が下がる者を利害関係人としてリスト化する
- 3.処分禁止の仮処分で盤面を凍結する 利害関係人がさらに増えると必要な承諾も増えるため、承諾請求訴訟に先行して、登記請求権を保全する処分禁止の仮処分(民事保全法53条)を検討する
- 4.承諾書を取得する、または承諾請求訴訟を提起する 利害関係人に承諾書(印鑑証明書付き)を求め、拒まれた場合は承諾を求める訴えを提起する。確定判決は承諾を証する情報に代わる(不動産登記令7条1項5号)
- 5.回復登記を申請し、順位の復活を確認する 承諾証明情報または承諾に代わる裁判の謄本を添付して回復の登記を申請する。完了後、抹消前と同一の登記が復活し順位も従前どおりであること(不動産登記規則155条)を証明書で確認する
よくある質問 AI による整理
Q1抹消回復登記とは何ですか?
不実または誤って抹消された権利の登記を、抹消前と同一の内容・順位で復活させる登記です。根拠は不動産登記法72条で、権利に関する登記に限られます。
Q2登記上の利害関係を有する第三者とは誰ですか?
回復により順位や権利が不利益を受ける登記名義人です。抹消後に設定された抵当権者、差押債権者、所有権を取得した者のほか、抵当証券の所持人・裏書人も含まれます。
Q3抹消回復登記に申請期限はありますか?
申請自体に法定の期間制限はありません。ただし承諾請求権や損害賠償請求権には時効があり、実務上は新たな利害関係人が増える前に動くことが実質的な期限になります。
Q4建物の床面積が誤って消された場合も72条で戻せますか?
戻せません。72条は括弧書きで「権利に関する登記に限る」と明示しています。表示に関する登記の誤りは、更正登記または変更登記の手続で処理します。
Q5抹消回復登記は誰が申請しますか?
原則として、回復により権利を回復する者を登記権利者、抹消時の相手方を登記義務者とする共同申請です(不動産登記法60条)。判決があれば単独申請も可能です(同法63条)。
Q6職権で抹消された登記も回復できますか?
登記官の職権抹消(不動産登記法71条)に誤りがあった場合も回復の対象になり得ます。具体的な処理方法は個別事情によるため、管轄法務局への相談が必要です。
Q7抵当証券の所持人はなぜ利害関係人になるのですか?
抵当証券は抵当権と債権を化体した有価証券で、その所持人・裏書人は登記の回復により権利内容が影響を受けるためです。72条括弧書きが明文で含めています。
Q8登記を勝手に消されたら最初に何をすべきですか?
全部事項の登記事項証明書を取得し、抹消の受付年月日・登記原因・申請人を特定します。その上で抹消後に入った登記を洗い出し、承諾が必要な第三者を確定します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が承諾してくれないんですが、それでもう終わりですか?
終わりではない。承諾を求める訴えを起こし、確定判決を得れば、それが承諾を証する情報の代わりになる(不動産登記令7条1項5号)。実務のポイント:承諾義務があるかどうかは実体法上の判断であり、抹消後に事情を知らずに登記を入れた第三者に対しては、承諾義務が否定される余地がある。「訴えれば必ず勝てる」前提で交渉を長引かせるのが、いちばん危険な戦い方になる
Q2勝手に登記を消されたのに、なぜ法務局は止めてくれなかったんですか?
登記官は提出書類が形式的に整っているかを審査するにとどまり、実体的な真偽までは調べない。だから整った偽造書類は通ってしまい、却下(不動産登記法25条)にも至らない。実務のポイント:登記識別情報を提供できない場合、資格者代理人の本人確認情報(同法23条4項1号)で進める運用が偽造の温床になりやすい。時間に余裕があるなら、本人に郵便が届く事前通知(同条1項)を選ぶ方が、なりすましに気付ける
Q3回復されたら、順位は元どおりになるんですか?
戻る。回復の登記がされると、抹消される前と同一の登記が復活する(不動産登記規則155条)ので、順位も従前のままだ。だからこそ第三者の承諾が要件になっている。実務のポイント:承諾した第三者は自分の順位が下がることを受け入れたことになる。実務では承諾を無償で出さず、一部弁済、追加担保、弁済順位の調整などを交換条件にするのが通例で、「頭を下げれば押してもらえる」と考えて手ぶらで交渉に行くと足元を見られる
間違えやすい点 AI による整理
- 「不実に消された登記なのだから、証拠を出せば法務局が元に戻してくれる」と考える人が多いが、72条は逆を定めている。利害関係のある第三者がいる限り、その承諾がなければ申請そのものができない。あなたの主張の正しさは、承諾を代替する判決を取るまで、登記所の窓口では一円の価値も持たない
- あなたから見れば「元に戻すだけ」の手続だが、抹消後に登記を入れた第三者から見れば、順位が一段落ちる実損である。回復されれば従前の順位がそのまま復活する(不動産登記規則155条)からだ。承諾を拒むのは嫌がらせではなく、その第三者にとっては完全に合理的な行動である。この落差を理解しないまま感情で交渉に入る人が、いちばん時間を溶かす
- 「承諾は判決で代替できる」ところまで知っている人は多い。だがその判決を取るのに一年かかる間、対象不動産に新しい抵当権・差押え・所有権移転が積み上がっていくことの深刻さを、たいてい見落としている。利害関係人が三人に増えれば、承諾も三人分、訴訟も三人分になる。だから実務では、訴えの前に処分禁止の仮処分(民事保全法53条)で盤面を凍らせる
- 建物の床面積や地目の記載が誤って消された、という相談で72条を持ち出す人がいるが、問いの立て方が違う。本条は括弧書きで「権利に関する登記に限る」と明言しており、表示に関する登記は射程外である。表示の誤りは更正・変更の手続で処理する話であって、第三者の承諾を取りにいく話ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 72条:抹消された権利の登記を復活させる | 68条:存在する権利の登記を消す 66条:登記の内容の錯誤・遺漏を直す(更正・変更) |
| 第三者の承諾の位置づけ | 利害関係人がいれば承諾が申請の絶対要件 | 利害関係人の承諾がなければ抹消できない 承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行 |
| 順位への効果 | 抹消前と同一の登記が復活し順位も従前どおり戻る | 後順位者が順位上昇する 原則として従前の順位を維持する |
| 承諾が得られない場合 | 承諾請求訴訟の確定判決で代替(不動産登記令7条1項5号) | 同じく承諾に代わる裁判が必要 承諾なしでも主登記により実行可能な場合がある |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は登記官による更正登記の職権処理を一定範囲で認めるが、利害関係人の同意または裁判所の確定判決を要する点は日本と共通する構造を持つ
韓国も抹消回復登記につき登記上の利害関係ある第三者の承諾(または承諾に代わる裁判)を要件とし、日本72条とほぼ同型の規律を採る
ドイツは実体的権利と登記の不一致を Grundbuchberichtigungsanspruch(登記更正請求権)で処理し、登記官の職権による Amtswiderspruch(職権異議)制度を持つ点で日本より登記所の介入余地が広い
米国は登記に公信力がなく、記録の争いは裁判所の quiet title 判決で確定させる。行政窓口での回復手続という発想自体が存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実印と登記識別情報を身内に持ち出され、あなた名義の抵当権が抹消されていたとしたら、法務局は元に戻してくれるのか? 答えは、戻すのは法務局ではなくあなた自身だ。しかも抹消後に設定された別の抵当権者が承諾しない限り、回復の申請すら受け付けられない。不実の抹消であることが明白でも、この順序は変わらない
- ある朝、見知らぬ会社の代理人から「抹消回復登記への承諾書に押印してほしい」という手紙が届く。押せばあなたの抵当権は一番から二番に落ちる。押さなければ訴えられる。ここで即答するのが最悪手で、まず抹消が本当に不実だったのかを示す資料の開示を求めるのが正しい一手になる
- 共有していた土地の抵当権が、手続の行き違いで全部抹消された。司法書士は保険で賠償すると言う。だが債権者の銀行が求めているのは金ではなく、失われた順位そのものだ
- 競売開始決定が出て、配当要求の終期まであと三週間。あなたの抵当権は不実に抹消されたままで、回復しなければ配当表に名前が載らない。承諾書を取りにいくか、承諾請求訴訟と処分禁止の仮処分を同時に走らせるか、判断できる時間は数日しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 全部事項の登記事項証明書を取得し、抹消の受付年月日・原因・申請人を特定する2. 抹消後に入った登記(抵当権設定、差押え、所有権移転)を洗い出し、承諾が必要な第三者を確定する3. 相手が増える前に承諾書を求め、同時に処分禁止の仮処分を検討する4. 拒まれたら承諾請求訴訟へ。確定判決は承諾に代わる情報になる5. 抹消の原因が専門職や金融機関のミスなら、賠償請求は別ルートで並行させる
訴えられた側:1. 承諾書に押す前に、抹消が本当に無効だったことを裏付ける資料(判決、和解調書、抹消時の申請書類の写し)の開示を求める2. 自分の登記が抹消後に入ったものなら、回復で順位が確実に一段下がることを計算する3. 承諾義務の有無は実体法上の争点なので、争う余地があるなら訴訟で決めさせてよい4. 争わない場合でも、承諾と引き換えに弁済順位の調整や追加担保を交渉材料にできる
時効(請求できる期限):抹消回復登記の申請自体に法定の期間制限はない。ただし承諾請求権や賠償請求権には時効が働く(一般債権は民法166条で権利を行使できることを知った時から5年または行使可能時から10年、不法行為に基づく賠償は民法724条で知った時から3年、行為時から20年)。実務上の締切は法ではなく事実の側にあり、「新たな利害関係人が現れる前」が唯一の期限になる
学説
通説:72条の承諾は登記手続上の要件であるが、承諾すべき義務の有無は実体法上の問題であり、承諾請求訴訟によって決せられる。不実抹消につき善意で登記を取得した第三者には承諾義務が否定される余地があるとされる
実務通説:回復の登記により抹消前と同一の登記が復活し順位も遡って回復することから、後順位者に生じる不利益は実質的であり、第三者の承諾を絶対的要件とする本条の構造は公示の安定と真の権利者の保護を調整するものと理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 オンライン申請の導入等を目的とした全部改正により現行法が成立し、抹消された登記の回復に関する規律が第72条として整理された。第三者の承諾を申請の要件とする枠組みと、抵当証券の所持人・裏書人を利害関係人に含める括弧書きが現行の文言で明示されている
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:オンライン申請の導入等を目的とした不動産登記法の全部改正により現行法が成立し、抹消された登記の回復に関する規律が第72条として整理された。第三者の承諾を申請の要件とする枠組みと、抵当証券の所持人・裏書人を利害関係人に含める括弧書きが現行の文言で明示された
- 不動産登記法 第60条共同申請の原則、回復申請の当事者構造
- 不動産登記法 第66条変更・更正登記における第三者の承諾要件
- 不動産登記法 第68条抹消登記における第三者の承諾要件、本条の裏返し
- 不動産登記法 第71条職権抹消の手続、不実抹消が生じる典型経路
- 不動産登記法 第63条確定判決による単独申請の根拠
- 民法 第177条対抗要件、回復による順位復活の実体的意味
- 民事保全法 第53条登記請求権保全の処分禁止仮処分、利害関係人の増加防止
- 抵当証券法 第1条抵当証券の所持人・裏書人が生じる根拠法
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