不動産登記法 第95条(質権の登記等の登記事項)
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- 質権又は転質の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
- 一存続期間の定めがあるときは、その定め
- 二利息に関する定めがあるときは、その定め
- 三違約金又は賠償額の定めがあるときは、その定め
- 四債権に付した条件があるときは、その条件
- 五民法第三百四十六条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
- 六民法第三百五十九条の規定によりその設定行為について別段の定め(同法第三百五十六条又は第三百五十七条に規定するものに限る。)があるときは、その定め
- 七民法第三百六十一条において準用する同法第三百七十条ただし書の別段の定めがあるときは、その定め
- 2.第八十八条第二項及び第八十九条から第九十三条までの規定は、質権について準用する。この場合において、第九十条及び第九十一条第二項中「第八十八条」とあるのは、「第九十五条第一項又は同条第二項において準用する第八十八条第二項」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
質権の登記等の登記事項とは何ですか?
定義質権の登記等の登記事項とは、不動産登記法第95条に定められた規定で、「質権又は転質の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第95条(質権の登記等の登記事項)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第95条の条文原文は「質権又は転質の登記の登記事項は、第五十九条各号及び第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。」で始まります。
- 不動産登記法第95条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第95条の前の条は不動産登記法第94条です。
- 不動産登記法第95条の次の条は不動産登記法第96条です。
- 不動産登記法第95条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第95条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第95条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/95
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法95条は、質権・転質の登記事項として存続期間、利息、違約金、債権に付した条件、民法359条等の別段の定めを定める。登記しなければ第三者に対抗できない。
Q · 質権の契約書に書いた特約って、登記しないとどうなるんですか?
契約書だけでは足りず、登記して初めて第三者に対抗できます
不動産登記法95条1項は、質権・転質の登記事項として存続期間、利息、違約金又は賠償額、債権に付した条件、民法346条ただし書・359条・361条準用370条ただし書の別段の定めを列挙します。使用収益させない、利息を取るといった特約は当事者間では有効ですが、登記されていなければ後順位債権者、差押債権者、競売の買受人には主張できません。同条2項は抵当権に関する第88条2項及び第89条から第93条までを質権に準用します。
解説
不動産を担保に金を借りる方法は、抵当権だけではない。もう一つ、質権という道がある。抵当権と決定的に違うのは、債権者がその不動産を占有し、使用収益できる点(民法356条)。その代わり債権者は利息を請求できない(同358条)。ここまでは民法の話だ。95条が効いてくるのはここから先である。この使用収益と利息のルールは、契約で逆にできる(同359条)。「所有者が住み続ける、代わりに利息を払う」型の質権だ。ただしその別段の定めは、登記しなければ第三者に対抗できない。登記簿に載っていない約束は、後順位の債権者や競売の買受人から見れば存在しないのと同じである。95条1項が並べる七項目は、あなたと相手だけの合意を、外の世界に主張できる権利へ変換する変換器だと考えるといい。
法的な位置づけ
不動産登記法95条は、質権及び転質の登記における登記事項を定める規定である。第59条各号及び第83条第1項各号の一般的登記事項に加え、存続期間の定め、利息に関する定め、違約金又は賠償額の定め、債権に付した条件、民法346条ただし書・359条・361条準用370条ただし書の別段の定めを登記事項とする。第2項は抵当権の規定を質権に準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.乙区を取得して質権の登記内容を洗い出す 法務局または登記情報提供サービスで登記事項証明書を取得し、権利部乙区の質権・転質の行を確認する。債権額、債務者、存続期間、利息、別段の定めが記録されているかを95条1項の七項目と突き合わせる
- 2.契約書の特約と登記事項を一行ずつ照合する 使用収益させない定め、利息を取る定め、管理費用の負担の定め、付加一体物の範囲を制限する定めが契約書にある場合、それぞれ95条1項5号・6号・7号のどれに当たるかを特定し、登記されているかを確認する
- 3.未登記の定めがあれば変更登記を検討する 登記されていない登記事項が見つかった場合、質権者と設定者の共同申請による変更登記を検討する。後順位抵当権者など登記上の利害関係人がいる場合は承諾書が必要になることがあるため、司法書士に申請情報のドラフトを作らせる
- 4.存続期間の満了日を逆算して更新スケジュールを組む 民法360条の10年上限を前提に満了日を算出し、更新が必要なら満了前に合意して変更登記まで完了させる。満了後に占有と収益の根拠を失うリスクを避けるため、遅くとも3か月前には司法書士を押さえる
よくある質問 AI による整理
Q1不動産質権とは何ですか?
債権者が不動産の占有を受け、使用収益しながら債権を担保する物権です。抵当権と異なり占有が移り、原則として利息を請求できません(民法356条・358条)。
Q2質権の登記事項には何が含まれますか?
不動産登記法59条各号・83条1項各号の共通事項に加え、95条1項の存続期間、利息、違約金又は賠償額、債権に付した条件、民法上の三つの別段の定めです。
Q3不動産質権の存続期間は何年までですか?
民法360条により10年が上限です。これを超える定めをしても期間は10年に短縮されます。更新はできますが、更新の時から10年を超えられません。
Q4転質は登記できますか?
できます。95条は「質権又は転質の登記」と明記しており、転質も登記事項の対象です。乙区を見れば自分の不動産が誰の債務を支えているか確認できます。
Q5登記事項証明書のどこを見れば質権が分かりますか?
権利部の乙区です。所有権以外の権利が記録される欄で、質権・転質のほか抵当権や地上権も並びます。存続期間と別段の定めの行を必ず確認してください。
Q6存続期間の登記がない質権はどう扱われますか?
存続期間の定めがなければ登記事項になりません。この場合、民法360条の10年上限を前提に、設定時から満了時期を逆算して検討することになります。
Q7昭和の質権が登記に残っているのですが消せますか?
被担保債権が弁済や時効で消滅していれば、抹消登記を申請できます。相手方が所在不明の場合は除権決定など別手続が必要で、司法書士への相談が現実的です。
Q8質権の登記は誰が申請しますか?
原則として質権者(登記権利者)と設定者(登記義務者)の共同申請です。登記識別情報、登記原因証明情報、印鑑証明書などの添付情報が必要になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1抵当権があるのに、なんでわざわざ質権なんて使うんですか?
債権者がその不動産を占有して使用収益できるからである(民法356条)。抵当権者が賃料を取るには物上代位や担保不動産収益執行の手続が要るが、不動産質権者は最初から果実を自分のものにできる。代わりに利息は請求できない(同358条)。ただし95条1項2号・6号の登記で、この配分は逆にもできる。実務のポイント:賃料を確実に押さえたい貸主が親族間融資や事業再生の場面で質権を選ぶことがある。抵当権しか提案しない相手は、選択肢を知らないか、占有の管理コストを負いたくないだけかもしれない
Q2契約書に書いた特約が登記されていませんでした。今からでも直せますか?
登記事項の追加や変更は、原則として質権者と設定者の共同申請による変更登記で可能である。ただし後順位の抵当権者など登記上の利害関係人がいる場合、その承諾を求められる場面がある。放置している間に第三者が現れれば、95条1項各号の定めはその者に主張できない。実務のポイント:司法書士は「登記できる事項」と「登記しないと第三者に対抗できない事項」を分けて見ている。ドラフト段階で、どの条項が登記簿に載るのかを一項ずつ聞くと、相手方の力の入れどころが透けて見える
間違えやすい点 AI による整理
- 「不動産の担保=抵当権」という前提で契約書を読み始めると、そもそも質権の条項が視界に入らない。立てるべき問いは「抵当権より条件が有利か」ではなく「なぜ相手はここで質権を選んだのか」である。質権を選ぶ側には、占有を取れる、賃料を直接取れるという明確な狙いがある。狙いを読まずに条件だけ並べて比べても、交渉の土俵に上がれていない
- 「特約は契約書に書いてあるから大丈夫」までは、多くの人が理解している。理解されていないのはその効き目の届く範囲だ。95条1項の登記事項に挙がっている定めを登記しなければ、当事者間では有効でも、後順位債権者・差押債権者・競売の買受人には主張できない。一番効いてほしい相手にだけ効かない、という形で崩れる
- 存続期間を長く設定しておけば回収まで安心だと考える質権者がいるが、民法360条は10年を上限とし、これを超えて定めても期間は10年に切り詰められる。長い年数を書き込んだ契約書は、安全の証拠ではなく、10年目に何が起きるかを誰も設計していない証拠になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の対象 | 95条:質権・転質に固有の登記事項(七項目) | 83条:担保権の登記に共通する登記事項(債権額・債務者等) 88条:抵当権に固有の登記事項 |
| 使用収益に関する定め | 民法359条の別段の定めを1項6号で登記事項とする | 規定なし(占有移転を前提としない) 規定なし(抵当権は占有を伴わない) |
| 存続期間 | 1項1号で登記事項、実体法上は民法360条の10年上限 | 共通事項としての定めなし 抵当権に存続期間の上限規定なし |
| 他条の準用関係 | 2項で88条2項及び89条〜93条を準用 | 59条とともに全担保権の基礎規定 95条2項により2項が質権に準用される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾民法は質権の目的を動産と権利に限り、不動産質権の制度自体を置かない。不動産担保は抵押権(860条以下)に一本化され、他項権利の登記事項は土地登記規則が定める
韓国民法も不動産を目的とする質権を認めず、占有と使用収益を伴う担保的機能は전세권(伝貰権)が担う。登記事項は부동산등기법が権利ごとに定める
ドイツには占有型の不動産質が存在せず、Hypothek と Grundschuld が不動産担保を担う。登記内容は BGB と GBO が定め、非占有型を前提とするため使用収益の別段の定めという発想自体がない
米国は登録(recording)による優先順位決定が中心で、占有型担保は mortgagee in possession として歴史的・例外的に扱われる。日本のように占有型担保の特約を条文で登記事項化する構造はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、質権を設定した相手が更新の話を一切持ち出さないまま、設定から10年目の月末が近づいていたら? 不動産質権の存続期間は民法360条で10年が上限、更新するなら満了前に合意し、変更の登記まで終わらせる必要がある。残り数週間で司法書士を押さえられるか、それとも占有と収益の根拠が消えた状態で年を越すか。ここで動けるかどうかは、乙区に存続期間が登記されているかを今日確認できるかにかかっている
- あなたが貸主側で、建物を占有して家賃を取る条件の質権を設定した。ところが登記されたのは債権額と存続期間だけ。後順位の抵当権者が競売を申し立てた日、あなたの収益権は契約書の中にしか存在しない
- 親の遺した農地の登記を司法書士に見てもらったら、乙区に昭和の日付の質権が残っていた。友人からこの相談を受けたあなたは、まず存続期間の登記があるか、被担保債権の額はいくらかを聞き返せる。登記の行が生きて見えても、権利の中身は民法360条の期間上限や被担保債権の時効で、すでに空洞になっていることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書の乙区を取得し、質権の登記内容を95条1項の七項目と突き合わせる2. 存続期間の登記がなければ民法360条の10年上限を前提に満了日を逆算する3. 契約書にある特約が登記されていない場合、それは第三者に効かない代わりに、あなたに不利な特約も同じ運命だと確認する4. 転質の登記があれば、誰に弁済すれば債務が消えるのかを司法書士か弁護士に確認してから支払う
訴えられた側:1. 使用収益させない、利息を取る、被担保債権の範囲を絞る、こうした別段の定めは契約書だけでは足りない。95条1項2号・5号・6号・7号に当たるものを漏れなく登記申請情報に入れる2. 存続期間は民法360条の10年が上限、更新するなら満了前に合意し変更登記まで完了させる3. 占有を取る以上、管理費用と修繕の負担が生じる(民法357条)。この配分も別段の定めとして登記できる
時効(請求できる期限):本条自体に期間制限はない。ただし不動産質権の存続期間は民法360条により10年が上限で、超えて定めても10年に短縮される。更新は可能だが更新の時から10年を超えられない。被担保債権そのものの消滅時効は民法166条(権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が基準となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:95条1項各号の定めは、当事者間の合意としては登記の有無にかかわらず有効だが、第三者に対抗するには登記を要すると解される。特に民法359条による使用収益・費用負担の逆転特約は、後順位担保権者の把握する担保価値に直結するため、公示が対抗力の前提とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法の全部改正により現行法が成立し、オンライン申請制度の導入とあわせて担保権ごとの登記事項が条文単位で整理された。質権および転質の登記事項は本条にまとめられている。その後の民法改正に伴う引用条文の調整の有無は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正により現行法が成立。オンライン申請制度の導入とあわせ、担保権ごとの登記事項が条文単位で整理され、質権及び転質の登記事項が本条にまとめられた
- 不動産登記法 第59条権利に関する登記の共通登記事項
- 不動産登記法 第83条担保権の登記に共通する登記事項
- 不動産登記法 第88条抵当権の登記事項、2項を質権に準用
- 民法 第359条使用収益・費用負担の別段の定めの根拠
- 民法 第360条不動産質権の存続期間10年の上限
- 民法 第348条転質、転質の登記の実体法上の根拠
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