要点不動産登記法 95 条は、質権・転質の登記事項として存続期間、利息、違約金、債権に付した条件、民法 359 条等の別段の定めを定める。登記しなければ第三者に対抗できない。
Q · 質権の契約書に書いた特約って、登記しないとどうなるんですか?
契約書だけでは足りず、登記して初めて第三者に対抗できます
不動産登記法 95 条 1 項は、質権・転質の登記事項として存続期間、利息、違約金又は賠償額、債権に付した条件、民法 346 条ただし書・359 条・361 条準用 370 条ただし書の別段の定めを列挙します。使用収益させない、利息を取るといった特約は当事者間では有効ですが、登記されていなければ後順位債権者、差押債権者、競売の買受人には主張できません。同条 2 項は抵当権に関する第 88 条 2 項及び第 89 条から第 93 条までを質権に準用します。
不動産を担保に金を借りる方法は、抵当権だけではない。もう一つ、質権という道がある。抵当権と決定的に違うのは、債権者がその不動産を占有し、使用収益できる点(民法356条)。その代わり債権者は利息を請求できない(同358条)。ここまでは民法の話だ。95条が効いてくるのはここから先である。この使用収益と利息のルールは、契約で逆にできる(同359条)。「所有者が住み続ける、代わりに利息を払う」型の質権だ。ただしその別段の定めは、登記しなければ第三者に対抗できない。登記簿に載っていない約束は、後順位の債権者や競売の買受人から見れば存在しないのと同じである。95条1項が並べる七項目は、あなたと相手だけの合意を、外の世界に主張できる権利へ変換する変換器だと考えるといい。
不動産登記法 95 条は、質権及び転質の登記における登記事項を定める規定である。第 59 条各号及び第 83 条第 1 項各号の一般的登記事項に加え、存続期間の定め、利息に関する定め、違約金又は賠償額の定め、債権に付した条件、民法 346 条ただし書・359 条・361 条準用 370 条ただし書の別段の定めを登記事項とする。第 2 項は抵当権の規定を質権に準用する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
債権者が不動産の占有を受け、使用収益しながら債権を担保する物権です。抵当権と異なり占有が移り、原則として利息を請求できません(民法 356 条・358 条)。
不動産登記法 59 条各号・83 条 1 項各号の共通事項に加え、95 条 1 項の存続期間、利息、違約金又は賠償額、債権に付した条件、民法上の三つの別段の定めです。
民法 360 条により 10 年が上限です。これを超える定めをしても期間は 10 年に短縮されます。更新はできますが、更新の時から 10 年を超えられません。
できます。95 条は「質権又は転質の登記」と明記しており、転質も登記事項の対象です。乙区を見れば自分の不動産が誰の債務を支えているか確認できます。
権利部の乙区です。所有権以外の権利が記録される欄で、質権・転質のほか抵当権や地上権も並びます。存続期間と別段の定めの行を必ず確認してください。
存続期間の定めがなければ登記事項になりません。この場合、民法 360 条の 10 年上限を前提に、設定時から満了時期を逆算して検討することになります。
被担保債権が弁済や時効で消滅していれば、抹消登記を申請できます。相手方が所在不明の場合は除権決定など別手続が必要で、司法書士への相談が現実的です。
原則として質権者(登記権利者)と設定者(登記義務者)の共同申請です。登記識別情報、登記原因証明情報、印鑑証明書などの添付情報が必要になります。
債権者がその不動産を占有して使用収益できるからである(民法356条)。抵当権者が賃料を取るには物上代位や担保不動産収益執行の手続が要るが、不動産質権者は最初から果実を自分のものにできる。代わりに利息は請求できない(同358条)。ただし95条1項2号・6号の登記で、この配分は逆にもできる。業界裏話ヒント:賃料を確実に押さえたい貸主が親族間融資や事業再生の場面で質権を選ぶことがある。抵当権しか提案しない相手は、選択肢を知らないか、占有の管理コストを負いたくないだけかもしれない
登記事項の追加や変更は、原則として質権者と設定者の共同申請による変更登記で可能である。ただし後順位の抵当権者など登記上の利害関係人がいる場合、その承諾を求められる場面がある。放置している間に第三者が現れれば、95条1項各号の定めはその者に主張できない。業界裏話ヒント:司法書士は「登記できる事項」と「登記しないと第三者に対抗できない事項」を分けて見ている。ドラフト段階で、どの条項が登記簿に載るのかを一項ずつ聞くと、相手方の力の入れどころが透けて見える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の対象 | 95 条:質権・転質に固有の登記事項(七項目) | — |
| 使用収益に関する定め | 民法 359 条の別段の定めを 1 項 6 号で登記事項とする | — |
| 存続期間 | 1 項 1 号で登記事項、実体法上は民法 360 条の 10 年上限 | — |
| 他条の準用関係 | 2 項で 88 条 2 項及び 89 条〜93 条を準用 | — |
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