不動産登記法 第94条(抵当証券に関する登記)
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- 登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。
- 2.抵当証券法第一条第二項の申請があった場合において、同法第五条第二項の嘱託を受けた登記所の登記官が抵当証券を作成したときは、当該登記官は、職権で、抵当証券作成の登記をしなければならない。
- 3.前項の場合において、同項の申請を受けた登記所の登記官は、抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、同項の申請を却下したときは抵当証券作成の登記の抹消を同項の登記所に嘱託しなければならない。
- 4.第二項の規定による抵当証券作成の登記をした不動産について、前項の規定による嘱託により抵当証券交付の登記をしたときは、当該抵当証券交付の登記は、当該抵当証券作成の登記をした時にさかのぼってその効力を生ずる。
この条文の基本情報
抵当証券に関する登記とは何ですか?
定義抵当証券に関する登記とは、不動産登記法第94条に定められた規定で、「登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第94条(抵当証券に関する登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第94条の条文原文は「登記官は、抵当証券を交付したときは、職権で、抵当証券交付の登記をしなければならない。」で始まります。
- 不動産登記法第94条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第94条の前の条は不動産登記法第93条です。
- 不動産登記法第94条の次の条は不動産登記法第95条です。
- 不動産登記法第94条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第94条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第94条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/94
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法94条は、登記官が抵当証券を交付したときに職権で抵当証券交付の登記をすべき義務を定める。複数の登記所が関与する場合、交付の登記は作成の登記の時に遡って効力を生ずる。
Q · 登記簿に「抵当証券交付」と書いてありますが、これは誰が入れた登記ですか?
登記官が申請なしで自ら入れる職権登記です
不動産登記法94条1項により、登記官は抵当証券を交付したときは職権で抵当証券交付の登記をしなければなりません。抵当証券を作成・交付できるのは登記所だけであるため、当事者の申請を待つ仕組みになっていないのです。担保不動産が複数の登記所の管轄にまたがる場合は、嘱託を受けた登記所が抵当証券作成の登記を職権で行い(2項)、申請を受けた登記所が交付または却下に応じて交付の登記または作成の登記の抹消を嘱託します(3項)。交付の登記の効力は作成の登記の時に遡ります(4項)。
解説
登記事項証明書の抵当権の欄に「抵当証券交付」という一行が入っているとき、その抵当権はもう普通の抵当権ではない。抵当証券とは、抵当権と被担保債権をまとめて一枚の証券にしたもので、作って交付するのは登記所である。94条は、その交付や作成を登記官が職権で、つまり誰の申請も待たずに登記簿へ書き込む義務を定めている。証券を作れるのが登記所しかない以上、当事者の申請を待つ理屈がないからだ。そしてここからがあなたに効いてくる。証券が発行されると、以後その債権と抵当権は証券の裏書と交付で動く。登記簿の抵当権者の名義は据え置かれたまま、実際の権利者だけが何度も入れ替わっていく。完済のつもりで登記簿に載っている名前の相手に払っても、その相手が証券を持っていなければ、有効な弁済として通らないおそれがある。「抵当証券交付」の数文字は、この先の権利関係は登記簿では追えないという警告灯である。
法的な位置づけ
不動産登記法94条は、抵当証券に関する登記を登記官の職権に委ねる規定である。登記官は抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、嘱託を受けて証券を作成したときは抵当証券作成の登記を、いずれも申請を待たずに行う。申請が却下された場合の作成の登記の抹消嘱託、および交付の登記が作成の登記の時に遡って効力を生ずることも併せて定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書の乙区で抵当証券の記録を探す 所有権欄(甲区)ではなく乙区を先に読む。抵当権の登記に「抵当証券交付」または「抵当証券作成」の記録が付いていないかを確認する。契約や意向表明の前に確認することが決定的に重要である
- 2.登記名義人ではなく現在の証券所持人を特定する 抵当証券は裏書と交付で移転し、移転に登記は不要である。登記簿上の抵当権者に連絡しても現在の権利者に届かない前提で、発行元・販売業者・保管先・破綻案件なら管財人へ照会する
- 3.弁済と抹消は証券の呈示と引換えで設計する 金を動かす前に、相手が実際に抵当証券を所持していることを呈示で確認する。支払後に別人が証券を持って現れた場合、二重払いを避ける手立てはほぼ残らない。順序を入れ替えるだけで防げる事故である
- 4.所持人が判明しないときの代替ルートを検討する 弁済供託、または不動産登記法70条の休眠担保権の抹消手続が使えるかを司法書士・弁護士と詰める。要件は厳格なので、早い段階で専門家に事案を渡すほど選択肢が残る
- 5.決済日は所持人の特定後に確定させる 抹消の目処が立たないうちに決済日を固定すると、遅延損害金や違約金を払う側に回る。売買契約では抵当証券に関する調査完了を条件として設定し、期日の主導権を手放さない
よくある質問 AI による整理
Q1抵当証券とは何ですか?
抵当権と被担保債権を一体化して登記所が交付する有価証券である。裏書と交付で譲渡でき、譲渡ごとの登記が不要なため、現在の権利者は登記簿には現れない。
Q2抵当証券交付の登記は誰が申請するのですか?
申請は不要である。不動産登記法94条1項により、証券を交付した登記官が職権で登記する。証券を作れるのが登記所だけである以上、当事者の申請を待つ理由がないためである。
Q3抵当証券作成の登記と交付の登記の違いは?
作成の登記は嘱託を受けた登記所の登記官が証券を作った段階の記録、交付の登記は申請を受けた登記所が証券を実際に交付した段階の記録である。両者の時点は94条4項で揃えられる。
Q4抵当証券の登記がある不動産は売れますか?
売却自体は可能だが、抵当権の抹消には現在の証券所持人の関与が必要になる。所持人の特定に時間がかかるため、決済日を先に固定すると遅延のリスクを自分で背負うことになる。
Q5抵当証券は今でも発行されていますか?
新規発行はほぼ行われていないが、過去に交付された証券に対応する登記は全国の登記簿に残り続けている。制度が現役かどうかではなく、対象物件に記録があるかどうかが問題となる。
Q6抵当証券交付の登記はいつ効力が生じますか?
94条2項の作成の登記がされた不動産について3項の嘱託により交付の登記がされたときは、その効力は作成の登記をした時に遡る(4項)。登記所間の記録のずれを事後に埋める仕組みである。
Q7抵当証券の交付申請が却下されたら作成の登記はどうなりますか?
94条3項により、申請を受けた登記所の登記官が、作成の登記の抹消を作成した登記所に嘱託する。却下理由を解消すれば再申請の道は残されている。
Q8登記事項証明書のどこを見れば抵当証券の有無が分かりますか?
乙区の抵当権に関する記録を確認する。抵当証券交付の登記または抵当証券作成の登記があれば、その抵当権は証券化されており、権利者は登記名義人と一致しない可能性がある。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿に抵当証券交付って書いてあるんですが、結局誰にお金を返せばいいんですか?
登記簿上の抵当権者ではなく、今その抵当証券を所持している人が相手である。抵当証券は裏書と交付で移転し、その移転に登記は要らない。94条の職権登記は「証券が出た」という事実を示すだけで、現在の所持人までは公示しないからだ。実務のポイント:業者経由で売られた証券は業者が保管し、投資家には預り証しか渡らない例が多かった。破綻案件では管財人や保管先への照会が最短ルートで、登記簿を睨んでいても相手には届かない
Q2登記官が勝手にした登記なのに、こっちは文句を言えないんですか?
言える。登記官の処分を不当とする者は、その登記官を監督する法務局または地方法務局の長へ審査請求ができる(不動産登記法156条)。94条による職権登記も対象である。実務のポイント:登記官の処分に対する審査請求は、通常の行政不服申立てと異なり、登記が是正されるまで期間の制限なく申し立てられると実務上扱われている。「三か月を過ぎたから無理」と自分で幕を引く人が多いが、そこが分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「抵当権が一本付いているだけ」の不動産だが、法律から見れば、抵当証券が発行された抵当権は有価証券に姿を変えている。弁済も抹消も、まず相手方を特定する作業から始めなければならない。この落差が、決済直前の資金繰りとスケジュールを直撃する
- 職権登記だから登記官が勝手にやること、という理解までは多くの人が届いている。深刻なのはその先だ。職権でされた登記であっても、内容が不当なら監督法務局長への審査請求で争える(不動産登記法156条)。しかも登記官の処分に対する審査請求は、通常の行政不服申立てと異なり、登記が是正されるまで期間の制限なく申し立てられると実務上扱われている。争えないと思い込んで幕を引いている人がいる
- 「抵当証券など昔の話で今は関係ない」という前提そのものがずれている。新規の発行はほぼ止まっているが、過去に発行された証券に対応する登記は、今も全国の登記簿に残り続けている。問題は制度が現役かどうかではなく、あなたが触る一筆の登記簿に痕跡があるかどうかだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記の端緒 | 不動産登記法94条:登記官の職権(申請不要) | 不動産登記法16条:当事者の申請または官庁・公署の嘱託 不動産登記法88条:抵当権設定登記の申請に伴う記録 |
| 対象となる事項 | 抵当証券の交付・作成という事実そのもの | 登記手続一般の開始原則 債権額・利息・抵当証券発行の定めなど抵当権の登記事項 |
| 当事者の関与 | 不要(登記官が単独で実行) | 必須(原則として登記権利者・登記義務者の共同申請) 申請情報として提供する必要がある |
| 効力の基準時 | 交付の登記は作成の登記をした時に遡及(4項) | 原則として登記をした時 抵当権設定登記をした時 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には抵当証券に相当する登記所交付型の有価証券制度がなく、抵押權の流通は債権譲渡と登記の変更で処理される。職権登記自体は土地登記規則に規定があり、機能の一部が重なる
韓国も抵当権付債権の証券化は特別法の枠組みで行われ、登記所が証券を交付する日本型の抵当証券制度とは構造が異なる
ドイツでは抵当権は原則として Briefhypothek(証券抵当)とされ、抵当証書は登記所(Grundbuchamt)が交付する。日本の抵当証券制度の直接の系譜であり、登記簿の外で権利が移転する構造も共通する
米国では抵当権付債権は promissory note の裏書譲渡で移転し、記録(recording)は対抗要件にとどまる。誰が note の holder かを立証できないと執行できないという実務問題は、日本の証券所持人特定問題と同型である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続した実家の登記簿に、40年前の抵当権と「抵当証券交付」の登記が残っていたらどうなる? 売る前に抹消したいが、同意をもらうべき相手は登記簿に名前のある抵当権者ではなく、今その証券を握っている誰かだ。誰の手にあるのか、登記簿は最後まで教えてくれない
- 借入金を完済したので抵当権を抹消しようと連絡したら、「その債権は抵当証券にして売却済み」と返ってきた。買主との決済まであと10日。証券の所持人を突き止め、証券と引換えに処理しない限り、抹消登記に必要な書類は一枚も揃わない。遅延損害金を払う側に回るのはあなたである
- 担保不動産が複数の登記所の管轄にまたがると、証券を作る登記所と交付する登記所が別になることがある。二つの登記簿の記録には必ず数日のずれが生じる。そのずれを事後に消すのが4項の遡及効である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取り、乙区に抵当証券交付(または作成)の登記があるか確認する2. あれば、登記簿上の抵当権者ではなく現在の証券所持人が権利者である前提で動く3. 業者経由の案件なら管財人・保管先へ照会し、所持人が判明しないなら弁済供託や不動産登記法70条の休眠担保権抹消の可否を司法書士・弁護士と詰める4. 決済日を先に確定させない。相手の特定に要する時間が読めないうちに日程を固めると、違約金を払う側に回る
訴えられた側:1. 交付・作成の登記の内容が事実と食い違うなら、監督法務局長への審査請求(不動産登記法156条)を検討する。訴訟の前に使える低コストの是正ルートである2. 申請が却下された場合は作成の登記が職権で抹消される(3項)ので、却下理由を潰して再申請する道が残る3. 複数の登記所にまたがる案件では、交付の登記の効力は作成の登記の時点まで遡る(4項)。第三者との優劣を争うときは、この基準時を必ず主張の起点に据える
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。登記官の処分に対する審査請求(不動産登記法156条)は、実務上、登記が是正されるまで期間の制限なく申し立てられると扱われている。他方、被担保債権そのものは民法166条の消滅時効(権利行使できることを知った時から5年、または権利行使できる時から10年)に服し、抵当権は債務者および設定者との関係では被担保債権と同時でなければ時効消滅しない(民法396条)
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 現行不動産登記法(平成16年法律第123号)の全部改正により、旧法下の抵当証券関係規定が整理され本条に置かれた。オンライン申請制度導入に伴う条文再編の一環であり、職権登記と嘱託の役割分担、複数の登記所にまたがる場合の処理が現行の形に整理された。本条固有の個別改正履歴は未検証であり、人的確認を要する
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により、旧法下の抵当証券関係規定を整理して本条に置いた。職権登記と嘱託の役割分担、複数の登記所にまたがる場合の処理が現行の形に整えられた。本条固有の個別改正履歴は未検証である
- 不動産登記法 第16条申請・嘱託主義の原則、本条は職権登記の例外
- 不動産登記法 第88条抵当権の登記事項、抵当証券発行の定めの記録
- 不動産登記法 第70条所在不明の担保権者に対する抹消手続(現行効力を要確認)
- 不動産登記法 第156条職権登記に対する審査請求の根拠
- 抵当証券法 第1条抵当証券交付申請の根拠、本条の前提手続
- 抵当証券法 第5条他の登記所への嘱託、2項以下の適用要件
- 抵当証券業の規制等に関する法律 第3条抵当証券業者の登録制による投資家保護
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