要点不動産登記法 94 条は、登記官が抵当証券を交付したときに職権で抵当証券交付の登記をすべき義務を定める。複数の登記所が関与する場合、交付の登記は作成の登記の時に遡って効力を生ずる。
Q · 登記簿に「抵当証券交付」と書いてありますが、これは誰が入れた登記ですか?
登記官が申請なしで自ら入れる職権登記です
不動産登記法 94 条 1 項により、登記官は抵当証券を交付したときは職権で抵当証券交付の登記をしなければなりません。抵当証券を作成・交付できるのは登記所だけであるため、当事者の申請を待つ仕組みになっていないのです。担保不動産が複数の登記所の管轄にまたがる場合は、嘱託を受けた登記所が抵当証券作成の登記を職権で行い(2 項)、申請を受けた登記所が交付または却下に応じて交付の登記または作成の登記の抹消を嘱託します(3 項)。交付の登記の効力は作成の登記の時に遡ります(4 項)。
登記事項証明書の抵当権の欄に「抵当証券交付」という一行が入っているとき、その抵当権はもう普通の抵当権ではない。抵当証券とは、抵当権と被担保債権をまとめて一枚の証券にしたもので、作って交付するのは登記所である。94条は、その交付や作成を登記官が職権で、つまり誰の申請も待たずに登記簿へ書き込む義務を定めている。証券を作れるのが登記所しかない以上、当事者の申請を待つ理屈がないからだ。そしてここからがあなたに効いてくる。証券が発行されると、以後その債権と抵当権は証券の裏書と交付で動く。登記簿の抵当権者の名義は据え置かれたまま、実際の権利者だけが何度も入れ替わっていく。完済のつもりで登記簿に載っている名前の相手に払っても、その相手が証券を持っていなければ、有効な弁済として通らないおそれがある。「抵当証券交付」の数文字は、この先の権利関係は登記簿では追えないという警告灯である。
不動産登記法 94 条は、抵当証券に関する登記を登記官の職権に委ねる規定である。登記官は抵当証券を交付したときは抵当証券交付の登記を、嘱託を受けて証券を作成したときは抵当証券作成の登記を、いずれも申請を待たずに行う。申請が却下された場合の作成の登記の抹消嘱託、および交付の登記が作成の登記の時に遡って効力を生ずることも併せて定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
抵当権と被担保債権を一体化して登記所が交付する有価証券である。裏書と交付で譲渡でき、譲渡ごとの登記が不要なため、現在の権利者は登記簿には現れない。
申請は不要である。不動産登記法 94 条 1 項により、証券を交付した登記官が職権で登記する。証券を作れるのが登記所だけである以上、当事者の申請を待つ理由がないためである。
作成の登記は嘱託を受けた登記所の登記官が証券を作った段階の記録、交付の登記は申請を受けた登記所が証券を実際に交付した段階の記録である。両者の時点は 94 条 4 項で揃えられる。
売却自体は可能だが、抵当権の抹消には現在の証券所持人の関与が必要になる。所持人の特定に時間がかかるため、決済日を先に固定すると遅延のリスクを自分で背負うことになる。
新規発行はほぼ行われていないが、過去に交付された証券に対応する登記は全国の登記簿に残り続けている。制度が現役かどうかではなく、対象物件に記録があるかどうかが問題となる。
94 条 2 項の作成の登記がされた不動産について 3 項の嘱託により交付の登記がされたときは、その効力は作成の登記をした時に遡る(4 項)。登記所間の記録のずれを事後に埋める仕組みである。
94 条 3 項により、申請を受けた登記所の登記官が、作成の登記の抹消を作成した登記所に嘱託する。却下理由を解消すれば再申請の道は残されている。
乙区の抵当権に関する記録を確認する。抵当証券交付の登記または抵当証券作成の登記があれば、その抵当権は証券化されており、権利者は登記名義人と一致しない可能性がある。
登記簿上の抵当権者ではなく、今その抵当証券を所持している人が相手である。抵当証券は裏書と交付で移転し、その移転に登記は要らない。94条の職権登記は「証券が出た」という事実を示すだけで、現在の所持人までは公示しないからだ。業界裏話ヒント:業者経由で売られた証券は業者が保管し、投資家には預り証しか渡らない例が多かった。破綻案件では管財人や保管先への照会が最短ルートで、登記簿を睨んでいても相手には届かない
言える。登記官の処分を不当とする者は、その登記官を監督する法務局または地方法務局の長へ審査請求ができる(不動産登記法156条)。94条による職権登記も対象である。業界裏話ヒント:登記官の処分に対する審査請求は、通常の行政不服申立てと異なり、登記が是正されるまで期間の制限なく申し立てられると実務上扱われている。「三か月を過ぎたから無理」と自分で幕を引く人が多いが、そこが分かれ目になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 登記の端緒 | 不動産登記法 94 条:登記官の職権(申請不要) | — |
| 対象となる事項 | 抵当証券の交付・作成という事実そのもの | — |
| 当事者の関与 | 不要(登記官が単独で実行) | — |
| 効力の基準時 | 交付の登記は作成の登記をした時に遡及(4 項) | — |
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