不動産登記法 第93条(根抵当権の元本の確定の登記)
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民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。
この条文の基本情報
根抵当権の元本の確定の登記とは何ですか?
定義根抵当権の元本の確定の登記とは、不動産登記法第93条に定められた規定で、「民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかか…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第93条(根抵当権の元本の確定の登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第93条の条文原文は「民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかか…」で始まります。
- 不動産登記法第93条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第93条の前の条は不動産登記法第92条です。
- 不動産登記法第93条の次の条は不動産登記法第94条です。
- 不動産登記法第93条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第93条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第93条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/93
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法93条は、民法398条の19第2項等により根抵当権の元本が確定した場合の登記を、根抵当権の登記名義人が単独で申請できると定める規定である。
Q · 銀行から元本確定請求の書面が届いたら、登記はこちらの押印なしで入ってしまうのですか?
根抵当権者が自ら請求した確定なら単独で登記できます
不動産登記法93条により、民法398条の19第2項(根抵当権者からの確定請求)で元本が確定した場合、根抵当権の登記名義人は60条の共同申請原則にかかわらず単独で確定の登記を申請できます。設定者の押印は不要です。398条の20第1項3号・4号(競売手続の開始・差押え・破産手続開始決定)による確定も単独申請は可能ですが、ただし書により根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記と併せて申請しなければなりません。設定者側から請求した確定(同19条1項)は本条の対象外で、60条の共同申請に戻ります。
解説
根抵当権は、元本が確定するまで被担保債権と切り離された器のままだ。銀行が債権を譲渡しても、根抵当権は付いていかない(民法398条の7)。確定した瞬間、その器は普通の抵当権に近づき、随伴性が生まれ、あなたの側にも極度額の減額請求(民法398条の21)や消滅請求(同398条の22)という反撃手段が開く。ところが、この決定的な変化は登記記録の表面には何も現れない。93条はその確定を登記に刻む条文だが、本当に見るべきは申請の形式だ。登記は原則として権利者と義務者が二人で申請する(60条)。本条はその例外として、根抵当権者自身が確定を請求した場合(民法398条の19第2項)に限り、根抵当権の登記名義人が一人で申請できるとする。自分に不利な確定を自分から言い出した以上、相手の関与は要らないという理屈である。設定者であるあなたの側から請求した確定(同条1項)は、この単独申請の対象外だ。
法的な位置づけ
不動産登記法93条は、根抵当権の元本確定の登記に関する単独申請の特則である。民法398条の19第2項又は398条の20第1項3号・4号により元本が確定した場合、共同申請の原則を定める60条にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。3号・4号による場合は、根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記と併せて申請することを要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.確定事由と根拠条文を切り分ける 元本が確定した原因が、民法398条の19第2項(根抵当権者からの確定請求)か、398条の20第1項3号・4号(競売手続の開始・差押え・破産手続開始決定)かを特定する。同19条1項(設定者からの請求)なら93条の対象外で、60条の共同申請に戻る
- 2.確定事由を証する登記原因証明情報を揃える 398条の19第2項なら、確定請求の意思表示が到達したことを示す配達証明付内容証明郵便を用意する。398条の20第1項3号・4号なら、競売手続開始・差押え・破産手続開始決定の事実を示す書面を用意する。確定日は起算点そのものなので到達日を正確に特定する
- 3.登記申請書を作成する 登記の目的を「○番根抵当権元本確定」、登記原因を「令和○年○月○日確定」として申請情報を作成する。申請人は根抵当権の登記名義人であり、60条の共同申請によらない旨の根拠が本条であることを意識して添付情報を組む
- 4.3号・4号の場合は権利取得の登記と併せて出す 398条の20第1項3号・4号による確定の場合、93条ただし書により、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せて申請しなければならない。確定登記だけを先行させると却下されるため、連件として同時に提出する
- 5.管轄法務局に申請し完了を確認する 不動産の所在地を管轄する法務局に申請し、完了後に登記事項証明書を取得して、根抵当権の欄に確定の記録が入ったことを目視で確認する。決済や抹消を予定している場合は、完了予定日から逆算して期日を設定する
よくある質問 AI による整理
Q1元本確定登記とは何ですか?
根抵当権が担保する元本が確定した事実を登記記録に反映する登記です。不動産登記法93条が単独申請の特則を定めており、確定後にしかできない登記の前提になります。
Q2根抵当権の元本確定はいつ生じますか?
登記した時ではなく、実体法上の確定事由が生じた時です。根抵当権者の確定請求は到達時、破産手続開始決定はその決定時に確定します(民法398条の19、398条の20)。
Q3元本確定登記は誰が申請できますか?
原則は根抵当権者と設定者の共同申請ですが、民法398条の19第2項・398条の20第1項3号・4号による確定は、根抵当権の登記名義人が単独で申請できます。
Q4元本確定登記に必要な書類は何ですか?
登記申請書のほか、確定事由を証する登記原因証明情報が必要です。確定請求なら配達証明付内容証明郵便、破産なら破産手続開始決定を示す書面が中心になります。
Q5確定期日の登記があれば元本確定登記は不要ですか?
確定期日が登記されており、その期日の経過で確定が登記記録から読み取れる場合は、元本確定登記を経ずに確定後の登記を申請できるのが実務の扱いです。
Q6元本確定登記の登録免許税はいくらですか?
権利の変更の登記として、不動産1個につき1,000円が原則です(登録免許税法別表第一)。不動産の個数が多いほど積み上がるため、事前に個数を確認してください。
Q7元本確定後に根抵当権はどうなりますか?
被担保債権が特定され、随伴性が生じて債権譲渡に伴って移転します。設定者側には極度額の減額請求(民法398条の21)や消滅請求(同398条の22)が開きます。
Q8元本確定登記ができないと何が困りますか?
確定後にしかできない登記、たとえば債権譲渡に伴う根抵当権移転や抹消が前提を欠いて申請できません。売却・借換えの決済直前に手続が止まる典型パターンです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1元本確定の登記って、そもそも入れないとダメなんですか?
確定は実体法上すでに生じており、登記は効力要件ではない。だが確定後にしかできない登記、たとえば債権譲渡に伴う根抵当権移転や抹消を申請するとき、登記記録から確定が読み取れなければ、前提として本条の登記を要求される。確定期日の登記があれば省略できる。実務のポイント:司法書士が根抵当権の抹消でまず見るのは極度額ではなく確定期日欄だ。そこで手続が一つ増えるかどうかが決まる。
Q2銀行が勝手に単独で登記を入れられるって、こちらは止められないんですか?
単独申請が認められるのは、根抵当権者が自ら確定を請求した場合(民法398条の19第2項)である。自分に不利な確定を自分で選んだ以上、設定者の関与は要らないという理屈で、止める筋合いがない。398条の20第1項3号・4号なら、ただし書きにより根抵当権の取得の登記と併せてしか申請できない。実務のポイント:この「併せて」は、確定が後から覆る可能性を封じる装置だ。単独申請が通っていれば、確定はもう動かないと読める。
間違えやすい点 AI による整理
- 単独申請できるのは元本確定の登記全般だと思われがちだが、本条が拾っているのは民法398条の19第2項(根抵当権者からの確定請求)と398条の20第1項3号・4号だけである。設定者が確定請求した場合(同19条1項)は条文の文言から外れ、原則どおり60条の共同申請に戻る。試験でも実務でも、最も多くの人が滑る分岐がここだ。
- 「元本確定登記を入れないと確定の効力が生じないのでは」という問いの立て方自体が誤っている。確定は実体法上、請求の到達や破産手続開始決定によってすでに発生済みだ。登記は効力要件ではなく、その後の登記手続を通すための前提として要求されるにすぎない。効力の話と手続の話を混ぜた瞬間、判断の順序が壊れる。
- 確定期日が登記されていれば元本確定登記は不要、というところまでは知っている人が多い。深刻なのはその裏側である。登記記録から確定が読み取れない場合、確定後にしかできない登記(債権譲渡に伴う根抵当権移転など)は、前提の確定登記なしには通らない。抹消や決済の直前で申請が止まり、期日が飛ぶのはこのパターンだ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請の形式 | 93条:根抵当権の登記名義人が単独で申請できる | 60条:登記権利者と登記義務者が共同で申請する 63条:判決による登記・相続による登記は権利者が単独で申請できる |
| 単独申請を正当化する理由 | 確定により不利益を受ける根抵当権者自身が申請するため、真実性の担保が働く | 双方の関与によって記録の真実性を担保する原則規定 判決の既判力または戸籍等の公文書によって真実性が担保される |
| 手続上の制約 | 398条の20第1項3号・4号の場合は権利取得の登記と併せて申請しなければならない | 義務者の登記識別情報と印鑑証明書が必要になる 確定判決の正本や戸籍謄本等の添付が必要になる |
| 対象外になる場面 | 民法398条の19第1項(設定者からの確定請求)は対象外で60条に戻る | 本条や63条など個別の特則がある場合は適用されない 和解調書等でも給付文言を欠けば単独申請できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2007年の物権編改正で最高限額抵押権を明文化し、確定事由を列挙する構造を採る。登記手続上の単独申請の切り分けは土地登記規則側に置かれ、条文の配置が日本と異なる
韓国は根抵当を民法357条の一箇条で規律し、日本のように確定事由を細分化した条文群を持たない。確定に関する登記も一般の変更登記として処理される点が異なる
中国は民法典423条で債権確定事由を列挙し、日本の民法398条の20に近い構造を持つ。ただし登記実務は不動産登記暫行条例に基づく行政手続として組まれ、共同申請・単独申請の区別が日本ほど条文化されていない
ドイツは最高額抵当を実体法で規律しつつ、登記手続は不動産登記法(GBO)の承諾主義(Bewilligungsgrundsatz)で処理する。日本の共同申請主義とは前提が異なり、単独申請の特則という発想自体が生じにくい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の資金繰り悪化を受けて、銀行から元本確定請求の書面が届いたらどうなる? 民法398条の19第2項の請求は到達した時点で確定の効果が生じる。2週間の猶予があるのは設定者側から請求した場合(同条1項)だけで、根抵当権者からの請求に猶予はない。封筒が届いた日が、あなたの不動産の担保の性格が変わった日である。
- 銀行が確定登記を単独で入れてくる。設定者であるあなたに押印を求める連絡すら来ないことがある。登記事項証明書を自分で取らなければ、変化に気付かない。
- 連帯保証していた取引先の社長が破産手続開始決定を受けた。民法398条の20第1項4号により、あなたの自宅に設定された根抵当権の元本はその時点で確定する。ただしこの確定は破産手続開始決定が取り消されれば覆りうる(同条2項)。銀行がこの不安定な状態で確定登記を単独申請するには、根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記と併せて申請しなければならない、それが93条ただし書きの正体だ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取り、確定期日の定めと差押えの登記の有無を確認する。2. 確定事由(銀行の確定請求書、破産手続開始決定、競売開始決定)の到達日を特定し、封筒ごと保管する。3. 確定していれば、極度額の減額請求(民法398条の21)や、現存債務が極度額を超える場合の消滅請求(同398条の22)が使えるか試算する。4. 売却や借換えを予定しているなら、決済日から逆算して確定登記が前提になるかを司法書士に確認する。
訴えられた側:1. 単独申請の根拠が民法398条の19第2項か、398条の20第1項3号・4号かを最初に切り分ける。根拠が違えば添付情報も申請の組み方も変わる。2. 19条2項なら、確定請求書と配達証明付内容証明郵便による到達の証明を揃える。3. 3号・4号なら、本条ただし書きにより根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記と同一の申請で出す。確定登記だけを先行させれば却下される。4. 設定者からの請求(同19条1項)は本条の対象外で、60条の共同申請に戻る。
時効(請求できる期限):本条の登記申請そのものに法定の期限はない(権利に関する登記に一般的な申請義務はないため)。ただし実体上の期限が周囲に密集している:設定者からの元本確定請求は請求到達から2週間の経過で確定(民法398条の19第1項)、競売手続の開始または滞納処分による差押えを知った時から2週間で確定(同398条の20第1項3号)、相続の場合は相続開始から6か月以内に指定債務者の合意の登記をしないと相続開始時に確定したものとみなされる(同398条の8第4項)。起算点はいずれも「到達日」「知った日」「相続開始日」であり、書面を受け取った日付の記録が生死を分ける。
学説
通説:元本の確定は実体法上の事由の発生によって当然に生じ、確定の登記は効力要件ではなく、確定後にしかできない登記を申請するための手続的前提にすぎないと解されている。
手続法上の理解:93条が単独申請を認める理由は、確定によって不利益を受ける根抵当権者自身が申請する場合と、権利取得の登記を伴い確定がもはや覆らない場合に限り、登記の真実性が構造的に担保される点にあると説明される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正(平成16年法律第123号、平成17年3月7日施行) オンライン申請の導入を含む登記制度全体の再構成に伴い、根抵当権の元本確定の登記に関する単独申請の特則が現行93条として整理された。旧法下の対応規定との文言上の異同は要確認
改正の年表
- 1.昭和46年(1971年) 新設:民法改正により根抵当権に関する規定(民法398条の2以下)が新設され、元本確定という制度が明文化された。登記手続上の対応規定はこの実体法を前提に整備された
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)に伴い、根抵当権の元本確定の登記に関する単独申請の特則が現行93条として整理された。旧法下の対応規定との文言上の異同は要確認
- 不動産登記法 第60条共同申請の原則、本条が破る原則規定
- 不動産登記法 第61条登記原因証明情報、確定事由の証明義務
- 不動産登記法 第63条判決・相続による単独申請、他の例外類型
- 不動産登記法 第92条分割譲渡の登記、元本確定前にのみ可能な処分
- 民法 第398条の19元本確定請求権、本条本文の実体法上の根拠
- 民法 第398条の20元本の当然確定事由、ただし書きの適用場面
- 民法 第398条の22確定後に開く根抵当権消滅請求権
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