不動産登記法 第139条(意見又は資料の提出)
クイックジャンプ
- 筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。この場合において、筆界特定登記官が意見又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
- 2.前項の規定による意見又は資料の提出は、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により行うことができる。
この条文の基本情報
意見又は資料の提出とは何ですか?
定義意見又は資料の提出とは、不動産登記法第139条に定められた規定で、「筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第139条(意見又は資料の提出)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第139条の条文原文は「筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。」で始まります。
- 不動産登記法第139条は第二款 筆界の調査等に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第139条の前の条は不動産登記法第138条です。
- 不動産登記法第139条の次の条は不動産登記法第140条です。
- 不動産登記法第139条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第139条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第139条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/139
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法139条は、筆界特定の申請人と関係人が筆界特定登記官へ意見又は資料を提出できると定める。登記官が期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならない。
Q · 筆界特定の通知が来たけど、こちらから何か出せるんですか?
出せます。期間内に出したものだけが記録に載ります
不動産登記法139条1項により、筆界特定の申請人と関係人は、対象土地の筆界について筆界特定登記官へ意見又は資料を提出できます。筆界特定は職権調査で進むため、当事者が能動的に中身を入れられるのはこの経路です。筆界特定登記官が相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければなりません(1項後段)。提出は法務省令で定める電磁的方法によることもできます(2項)。何も出さなければ、手元の資料は最初から無かったものとして手続が進みます。
解説
隣地との境界で揉め、筆界特定を申請した、あるいは隣人から申請された。ここから先の勝負を決めるのは、玄関先での口論ではない。139条があなたに開いているのは「意見又は資料を提出できる」という一本の入口であり、そしてそれが、あなたの言い分が手続の公式記録に載る唯一の保証された経路である。筆界特定は民事訴訟と違い、当事者が主張と反論を尽くして裁判官が判断する構造になっていない。筆界調査委員が自ら調査し、筆界特定登記官が判断する。だから、あなたが古い公図の写し、祖父の代の境界確認書、塀を築いたときの領収書と施工写真を出さなければ、それらは最初から存在しなかったものとして処理が進む。しかも登記官が提出期間を定めたときは、その期間内に出さなければならない(1項後段)。2項により、オンライン等の電磁的方法(法務省令が定めるインターネット等を使った提出方法)でも出せる。
法的な位置づけ
不動産登記法139条は、筆界特定手続における当事者の意見・資料提出権を定める規定である。筆界特定の申請人及び関係人は、対象土地の筆界について筆界特定登記官に意見又は資料を提出することができ、筆界特定登記官が相当の期間を定めたときはその期間内に提出しなければならない。提出は法務省令で定める電磁的方法によることも認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.通知書で提出期間の指定と期限日を確認する 筆界特定の申請通知または資料提出の求めが届いたら、本文より先に「意見又は資料を提出すべき期間」の記載を探す。139条1項後段の期間が定められている場合、その日付が唯一の実務的締切になる。期間の記載がない場合も、意見聴取等の期日が事実上の分水嶺になると理解しておく
- 2.手元資料を年代順に棚卸しする 旧土地台帳附属地図(公図)の写し、法務局備付けの地積測量図、境界確認書、造成・分筆当時の図面、塀や境界標が写った日付の分かる写真、市町村の道路査定図、固定資産税課税明細を集め、作成年代順に並べる。作成時期が古く作成者に利害関係がない資料ほど、筆界の証明力が高い
- 3.現況を日付入りで記録する 境界標、塀、側溝、擁壁の位置を、日時情報が残る形で撮影する。境界標がある場合は標識の種類と刻印まで写す。現況写真は過去資料との照合材料になり、後の筆界確定訴訟でもそのまま使えるため、撮影者・撮影日を明記しておく
- 4.土地家屋調査士に整理を依頼し意見書にまとめる 収集した資料を土地家屋調査士に見せ、どの図面がどの根拠になるかを整理してもらったうえで意見書の形にする。資料は列挙するだけでなく、「どの資料がどの筆界主張を支えるか」を対応表にすると、筆界調査委員が読み解く負荷が下がる
- 5.期間内に提出し、相手方資料を確認して追加提出する 書面または法務省令で定める電磁的方法(139条2項)で期間内に提出する。提出後は相手方が出した資料を確認し、その根拠図面の作成経緯や精度の弱点を突く反証資料を、意見聴取等の期日より前に追加提出する
よくある質問 AI による整理
Q1筆界特定とは何ですか?
筆界特定登記官が、筆界調査委員の調査を踏まえて登記された土地の筆界の位置を特定する制度です。訴訟より短期間・低コストで境界問題を整理できますが、当事者の合意で線を動かす制度ではありません。
Q2筆界特定で意見や資料を出せるのは誰ですか?
不動産登記法139条1項により、筆界特定の申請人と関係人の双方です。申請された側でも同じ提出権があり、受け身のまま何も出さないと相手の資料だけで記録が構成されます。
Q3筆界特定の資料はオンラインで提出できますか?
同条2項により、法務省令で定める電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法等)で提出できます。具体的な方式は法務省令によるため、提出先の法務局に事前確認するのが確実です。
Q4筆界特定の関係人とは誰のことですか?
対象土地に隣接する土地の所有権登記名義人など、筆界特定の結果に利害関係を持つ者です。申請人ではなくても139条の提出権を持つため、通知が届いた時点で準備を始める意味があります。
Q5筆界特定の結果に不服があるときはどうする?
筆界特定は行政処分ではないとされ、審査請求や取消訴訟という受け皿がありません。争うには筆界確定訴訟を別途提起することになります。だからこそ139条の段階での資料提出が重要です。
Q6筆界特定の手続は土地家屋調査士に頼めますか?
土地家屋調査士法3条により、一定の要件を満たす土地家屋調査士は筆界特定手続の代理ができます。図面の読み解きと意見書の形式面で差が出るため、早い段階で相談する価値があります。
Q7筆界特定にはどれくらい時間がかかりますか?
法令上の処理期限はなく、対象土地の数、資料の量、測量の要否で大きく変わります。確実に言えるのは、139条の提出期間だけは登記官が個別に定め、その日付が動かない締切になるという点です。
Q8筆界特定の手数料は誰が負担しますか?
申請手数料は申請人が納付します。加えて測量が必要な場合の費用も生じ得ます。関係人側は申請手数料を負担しませんが、自分の資料の作成・整理費用は自己負担になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1資料って、結局どんなものを出せば効くんですか?
効くのは、作成時期が古く、作成者に利害関係がないものである。旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)、法務局備付けの地積測量図、市町村の道路査定図、古い航空写真、建築確認の配置図などが典型だ。実務のポイント:地積測量図は作成年代によって精度が大きく違い、近年の座標値付きのものは証明力が段違いに高い。まず法務局で対象地と隣接地の地積測量図の作成年を確認し、古い世代しかない土地なら、写真や占有の証拠で厚みを補う戦い方に切り替える
Q2うっかり提出期限を過ぎました。もう出せませんか?
139条1項後段は期間内の提出を義務づけるが、期間経過後の提出を一律に締め出す明文までは置いていない(実務上、受理されるか判断に反映されるかは事案による)。ただし意見聴取等の期日(不動産登記法140条)を過ぎると事実上手遅れになる。実務のポイント:間に合わないと分かった時点で、提出予定の資料の一覧と入手見込み時期を先に書面で出しておく。何も言わずに遅れるのと、見込みを示して遅れるのとでは、期間の扱いが変わる余地がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「隣とハンコを押し合えば境界は動く」という前提そのものが誤っている。筆界特定が決めるのは筆界、つまり登記された土地の区画を区切る公法上の線であり(不動産登記法123条1号)、隣同士の合意では1センチも動かない。合意で動かせるのは所有権が及ぶ範囲(所有権界)だけで、二つは別物である。この区別を知らずに「話がついたから大丈夫」と資料を出さない人が、後で最も後悔する
- 資料を出せること自体は多くの人が知っている。知られていないのは、出さなかった場合の深刻度である。筆界調査委員は職権で調査するが、その調査対象は法務局備付けの図面と現地の状況が中心で、あなたの家の物置に眠る書類までは掘り出してくれない。「調べてくれるはず」と待った人と、段ボール一箱を出した人の間に、結論の差が生まれる
- あなたから見れば、これはご近所トラブルの延長線上にある話し合いだ。法律から見れば、筆界特定は行政処分ではない。だから結果に不満でも審査請求や取消訴訟という受け皿が用意されていない。争いたければ筆界確定訴訟という別の土俵をゼロから立ち上げるしかない。この落差を知らずに139条の段階で手を抜くと、やり直しの費用は桁が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続上の位置づけ | 不動産登記法139条:書面・電磁的記録で意見と資料を投入する経路 | 不動産登記法131条:筆界特定手続そのものを起動する申請 不動産登記法140条:口頭で意見を述べる意見聴取等の期日 |
| 行使できる主体 | 申請人と関係人の双方(申請していなくても行使できる) | 土地の所有権登記名義人等、申請適格を持つ者 申請人および関係人(期日に出頭して陳述) |
| 形式 | 書面のほか、法務省令で定める電磁的方法も可(2項) | 申請情報の提出(手数料の納付を伴う) 期日における口頭の意見陳述 |
| 時間的な縛り | 登記官が相当の期間を定めたときはその期間内(1項後段) | 申請自体に法定の出訴期間のような制限はない 指定された期日に出頭しなければ機会を逃す |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も地籍図重測に伴う界址争議を地政機関の調処手続で処理し、当事者が意見と資料を出す構造を持つ。行政機関が線を確定し、不服は民事訴訟という二段構えは日本の筆界特定に近い
韓国は地籍再調査事業の中で경계결정위원회が境界を決定し、当事者は意見提出と異議申請ができる。委員会型である点が、登記官が判断する日本と異なる
中国は土地の権属争議を人民政府が処理する行政手続とし、当事者に証拠材料の提出を求める。筆界(公法上の線)と権属(権利)を分けない点で日本と設計思想が異なる
ドイツは Liegenschaftskataster を基礎に、州の測量当局による Grenzfeststellung と行政手続法上の聴聞・資料提出で処理する。カタスターの精度が高いため紛争密度が低い
フランスは bornage を原則として当事者間の合意(bornage amiable)か裁判所の手続で行い、行政官庁が境界を特定する日本型の制度を持たない。当事者の資料提出は contradictoire 原則で担保される
米国は連邦統一法典を持たず、州裁判所の訴訟でサーベイヤーの証言と測量図を証拠として争う。行政的な事前特定手続に相当するものは一般的ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 隣家が建て替えを機にブロック塀を30センチこちら側へ動かした。話し合いは平行線、そこで筆界特定を申請する。申請書を出した時点で仕事は半分も終わっていない。手元にある昭和の分筆当時の測量図、塀の旧位置が写った家族写真、市の道路査定図、これらを139条で出して初めて、調査委員の机の上にあなたの世界が乗る
- 申請されたのはあなたの方だとしたら、どう動くか。関係人にも139条は同じ権利を与えている。「申請されたということは自分は受け身だ」と思って何も出さないでいると、相手が出した資料だけで記録が埋まる。関係人が沈黙した事案ほど、結論は申請人の主張線に近づく
- 登記官から「意見又は資料は1か月以内に提出されたい」という書面が届いた。実家の物置にある古い図面を探すのに2週間、土地家屋調査士に見てもらうのに1週間。残りは3日。動き出す日が1週間遅れると、その1週間は取り返せない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 提出期間の指定の有無と期限日を通知書で真っ先に確認する2. 手元資料を年代順に棚卸し:旧公図の写し、地積測量図、境界確認書、造成時の図面、塀や境界標が写った古い写真、固定資産税の課税明細3. 現地の境界標、塀、側溝の位置を日付入りで撮影4. 認定を受けた土地家屋調査士に整理を依頼し、意見書の形にまとめて期限内に提出5. 相手の提出資料は閲覧の仕組みで確認し、必要なら追加提出する
訴えられた側:1. 申請されても不利ではない。関係人にも同じ提出権があると理解するところから始める2. 自分の側に有利な資料(先代からの占有状況、塀の設置費用の領収書、過去の測量の記録)を集める3. 相手の主張線の根拠がどの図面かを閲覧で特定し、その図面の作成経緯や精度の弱点を突く意見書を出す4. 意見聴取等の期日(不動産登記法140条)の前に主要な資料を出し切り、期日での質問に耐えられる状態にしておく
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。実務上の期限は筆界特定登記官が個別に定める提出期間(139条1項後段)であり、その通知書の記載日が唯一の締切である。期間が定められていない場合も、意見聴取等の期日(不動産登記法140条)より後に出した資料は判断に反映されにくい。なお、筆界特定の結果を争う筆界確定訴訟には出訴期間の定めがない
学説
通説:筆界特定制度は職権主義を基調とするが、139条の意見・資料提出権は当事者の手続保障を担保する中核的な規定と理解されている。提出期間の設定は手続の遅延防止のための制度的な枠と解される
実務上の理解:筆界特定は行政処分に当たらないと解されており、審査請求や取消訴訟の対象とならない。結果を争うには筆界確定訴訟によることになるため、139条段階での資料提出が事実上の主戦場となる
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正後の筆界特定制度創設(平成17年法律第29号、平成18年1月施行) 境界紛争を訴訟によらず登記官の判断で解決する筆界特定制度が新設され、その手続の一部として当事者の意見・資料提出権が設けられたと解される。2項の電磁的方法に関する規定の追加時期は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請等を前提とする現行法体系が成立
- 2.平成17年(2005年) 新設:筆界特定制度の創設(平成17年法律第29号)に伴い、筆界特定手続における意見又は資料の提出に関する規定が置かれた。電磁的方法に関する規定の追加・改正時期は人的検証が必要
- 不動産登記法 第123条筆界・対象土地・関係人の定義
- 不動産登記法 第131条筆界特定の申請、本条の前提手続
- 不動産登記法 第140条意見聴取等の期日、口頭で述べる場
- 不動産登記法 第141条調書等の閲覧、相手方資料の確認(現行条番号を要確認)
- 不動産登記法 第143条筆界特定登記官による筆界特定の判断
- 土地家屋調査士法 第3条筆界特定手続の代理権の範囲
- 民法 第223条境界標設置請求、所有権界の規律
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める