不動産登記法 第69条の2(買戻しの特約に関する登記の抹消)
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買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。
この条文の基本情報
買戻しの特約に関する登記の抹消とは何ですか?
定義買戻しの特約に関する登記の抹消とは、不動産登記法第69条の2に定められた規定で、「買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請すること…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第69条の2(買戻しの特約に関する登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第69条の2の条文原文は「買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請すること…」で始まります。
- 不動産登記法第69条の2は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第69条の2の前の条は不動産登記法第69条です。
- 不動産登記法第69条の2の次の条は不動産登記法第70条です。
- 不動産登記法第69条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第69条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第69条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/69_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法69条の2は、買戻特約の登記について契約の日から10年を経過したときは、登記権利者が単独で抹消を申請できると定める。買戻権者の同意や所在確認は不要である。
Q · 登記簿に古い買戻特約が残っているけど、相手の印鑑がないと消せないの?
契約から10年経っていれば、あなた一人で消せます
不動産登記法69条の2により、買戻しの特約に関する登記は、契約の日から10年を経過していれば、登記権利者(現在の所有権登記名義人)が単独で抹消を申請できます。民法580条で買戻期間の上限が10年とされているため、10年経過後の買戻権は実体上必ず消滅しており、買戻権者の同意も所在確認も要件ではありません。契約の日は登記記録に記載されているため、登記事項証明書1枚で要件を判定できます。登録免許税は不動産1個につき1,000円です。
解説
登記事項証明書の甲区、所有権移転のすぐ下に「買戻特約」という一行が残ったままの中古住宅は珍しくない。分譲時に自治体や住宅供給公社が付けた転売防止の仕掛けで、実体としてはとっくに死んでいる。民法580条により買戻しの期間は最長10年、契約の日から10年経てば買戻権は必ず消えているからだ。ところが登記は自動では消えない。しかも不動産登記法60条の共同申請主義により、抹消には買戻権者側の実印と印鑑証明書が要る。相手が解散した法人や統廃合で消えた旧町村だと、探すだけで数か月、最悪詰む。69条の2はその出口をこじ開けた条文である。契約の日から10年を経過していれば、登記権利者、つまり今の所有権登記名義人が単独で抹消を申請できる。相手方の同意も所在も要件に入っていない。契約の日は登記記録に書かれているので、登記官は記録だけで要件充足を確認できる。
法的な位置づけ
不動産登記法69条の2は、買戻しの特約に関する登記の単独抹消を定める規定である。買戻しの期間は民法580条により最長10年とされるため、契約の日から10年を経過した買戻権は実体上消滅している。本条はこの確実性を前提に、共同申請主義を定める同法60条の例外として、登記権利者による単独申請での抹消を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で「契約の日」を確認 法務局またはオンラインで登記事項証明書を取得し、甲区の買戻特約の登記に記載された「契約の日」を確認する。そこから10年を経過していれば69条の2の単独申請の対象になり、買戻権者を探す作業は一切不要になる
- 2.抹消登記申請書を作成 登記の目的を「買戻特約の登記の抹消」、原因を買戻期間の満了等とし、申請人を登記権利者(現在の所有権登記名義人)単独として申請書を作成する。抹消対象の買戻特約登記の受付年月日・受付番号を特定して記載する
- 3.登録免許税を計算して納付 登録免許税は不動産1個につき1,000円。土地と建物なら2,000円、不動産が20個を超える場合は2万円が上限となる。収入印紙または電子納付で納める
- 4.管轄法務局へ申請(他の登記と同時申請を検討) 不動産所在地を管轄する法務局へ窓口・郵送・オンラインのいずれかで申請する。同じ物件で相続登記や住所変更登記が必要なら同時申請にまとめ、司法書士報酬と往復コストを圧縮する
- 5.決済日から逆算して完了を確認 申請から完了までおおむね1〜2週間。売却や借り換えを予定しているなら決済日の3週間前を実務上の締切とし、完了後に登記事項証明書を再取得して買戻特約の行が抹消されたことを確認する
よくある質問 AI による整理
Q1買戻特約とは何ですか?
売主が代金と契約費用を返して不動産を買い戻せる特約です(民法579条)。自治体や住宅供給公社が分譲住宅の転売防止のために付ける例が多く、登記されると甲区に記録されます。
Q2買戻特約の抹消登記はどこに申請しますか?
不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に申請します。窓口・郵送のほかオンライン申請も可能で、登記権利者が単独で申請できます。標準的には申請から1〜2週間で完了します。
Q3買戻権者が解散した法人でも抹消できますか?
できます。69条の2の要件は契約の日から10年経過だけで、買戻権者の存否も所在も要件ではありません。市町村合併で消えた旧町村や解散した公社の買戻特約も単独で抹消できます。
Q4買戻特約が付いていると売却できませんか?
法律上売却自体は可能ですが、実務では金融機関が買主への融資条件として抹消を求めるため、決済が止まります。売却を決めた時点で抹消に着手するのが安全です。
Q5買戻特約の「契約の日」はどこを見れば分かりますか?
登記事項証明書の甲区、買戻特約の登記の記録に「契約の日」として記載されています。登記官もこの記載だけで10年経過を確認するため、証明書1枚で判定が完結します。
Q6契約から10年経っていない買戻特約はどうすればいいですか?
本条の対象外です。従来どおり不動産登記法60条により買戻権者と共同で申請するか、買戻権の放棄を受けて抹消します。10年経過を待って単独申請する選択肢もあります。
Q7買戻特約の抹消に期限はありますか?
申請期限はなく、放置しても過料はありません。3年以内の申請義務がある相続登記とは別枠です。ただし売却・借り換えの決済日が事実上の締切になります。
Q8買戻特約の抹消はいつから単独でできるようになりましたか?
令和3年の民法等一部改正で69条の2が新設され、令和5年4月1日から施行されています。所有者不明土地問題への対応として設けられた規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1買戻特約って、10年経ってもまだ買い戻される可能性はないんですか?
ありません。民法580条1項で買戻しの期間は最長10年、これより長く定めても10年に短縮されます。契約の日から10年経てば買戻権は実体上必ず消えており、不動産登記法69条の2はその確実性を前提に単独抹消を認めた規定です。実務のポイント:契約の日は登記記録に記載されているので登記官は記録だけで要件を確認でき、この単独抹消では登記原因証明情報の提供が不要とされています(最新の通達をご確認ください)。
Q2これ、自分でやるといくらかかりますか?
登録免許税は不動産1個につき1,000円(登録免許税法別表第一)。土地と建物の2個なら2,000円で、20個を超える場合は2万円が上限です。司法書士に依頼すれば報酬が別途1万円前後から。実務のポイント:買戻特約の抹消だけを単発で頼むと割高になります。相続登記や住所変更登記が同じ物件で必要なら、まとめて一件の依頼にすると報酬も登記所への往復コストも大きく下がる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「買戻権は10年で消えるのだから、登記も自動的に効力を失う」と考えている人がいるが、実体上の権利が消えることと、登記記録から一行が消えることは完全に別の出来事である。登記は誰かが申請しない限り、何十年でもそのまま残り続ける
- 買戻特約が残っていても実害はないと軽く見られがちだが、実害の出方が問題である。それは平時ではなく決済直前に出る。金融機関は買戻特約付きの物件への融資を渋り、抹消を融資実行の条件にしてくる。10年前に1,000円で消せたはずの一行が、決済の数日前に取引全体を止める
- 「買戻権者に連絡がつかない場合どうすればいいか」という問いを立てた時点で、もう論点がずれている。69条の2の要件は契約の日から10年の経過だけで、相手方の所在も同意も承諾も要件に入っていない。探す作業そのものが法律上不要になった、というのが改正の中身である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請の形式 | 69条の2:登記権利者の単独申請 | 60条:登記権利者と登記義務者の共同申請 70条の2:解散した法人の担保権について登記権利者の単独申請 |
| 発動要件 | 買戻特約の登記+契約の日から10年経過(登記記録のみで判定可) | 登記義務者の協力(実印・印鑑証明書) 法人の解散+清算人の所在不明等+一定期間の経過 |
| 相手方の関与 | 同意・所在確認とも不要 | 相手方の押印が必須、不在なら訴訟か公示催告が必要 所在不明であることが前提要件 |
| 実務上の詰まり方 | 10年未経過なら本条は使えず60条に戻る | 解散法人・旧町村が相手だと探索に数か月〜不能 調査資料の準備に手間がかかる |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は買回期限の上限が5年と日本より短い。ただし期限経過後の塗銷登記について、日本の69条の2のような単独申請の一般規定は置かれておらず、土地登記規則に基づく会同申請が原則となる
韓国は日本民法を経由して買戻し制度を継受したが、不動産の環買期間は5年と短い。期間経過後の登記整理は原則として공동신청による
ドイツは土地について30年という長期の期間制限を置く。登記の抹消は Bewilligung(承諾)によるのが原則で、承諾がない場合は登記の不正確性を証明して Grundbuchberichtigung を求める構造となる
フランスは買戻期間を5年以内に制限し、これを超える定めは5年に短縮される点で日本の民法580条と発想が近い。公示の抹消は publicité foncière の手続による
米国には統一的な買戻し制度はなく、契約上の repurchase covenant として扱われる。古い権利負担の整理は、一定年数を経過した記録上の負担を消滅させる Marketable Record Title Act 型の州法が機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし決済まであと3週間の段階で、買主側の司法書士から「甲区に買戻特約が残っています」と連絡が来たら、どうなるか。従来なら買戻権者を探して印鑑証明書を取り寄せる時間はなく、決済延期か契約解除の話になった。契約の日が10年より前なら、あなた単独の申請で足り、標準的には1週間から2週間で登記は片付く。逆算すれば十分間に合う
- 亡くなった親名義の家。登記を取ったら昭和58年の買戻特約が付いていた。相手は市町村合併で消えた旧町村だが、契約から40年経っているので単独で消せる
- あなたが自治体や住宅供給公社の担当で、分譲住宅の買戻特約について「抹消に協力してほしい」という照会を年に何件も受けている側だとする。契約の日から10年を過ぎている案件については、もう協力印を押す必要も、決裁を回す必要もない。照会が来たら69条の2による単独申請を案内すれば足りる。押印を求められて漫然と応じている組織は、不要な事務を抱え込んでいる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取得し、甲区の買戻特約の「契約の日」を確認、そこから10年経過しているかを判定2. 経過していれば買戻権者への連絡は不要、登記権利者(現在の所有権登記名義人)単独で抹消登記を申請3. 登録免許税は不動産1個につき1,000円、土地建物なら2,000円4. 売却や借り換えの予定があるなら、決済日の3週間前までに申請を済ませる5. 相続登記や住所変更登記が必要な物件なら、同時申請にまとめる
訴えられた側:1. 買戻権者側(自治体、公社、旧分譲事業者)として抹消協力を求められたら、まず契約の日から10年経過しているかを確認2. 経過していれば、押印も印鑑証明書の交付も法律上不要であり、69条の2による単独申請を案内すれば足りる3. 10年未経過の案件は本条の対象外であり、従来どおり60条の共同申請が必要4. 買戻権をなお行使する意思があるなら、10年の期間内に行使しなければ権利自体が失われる
時効(請求できる期限):本条による抹消申請自体に申請期限はなく、放置しても過料の制裁はない(3年以内の申請義務がある相続登記とは別枠)。起算点は買戻特約の「契約の日」で、そこから10年経過が唯一の入口。実務上の締切は売買決済日または融資実行日であり、そこから3週間の逆算が現場のラインになる
学説
登記実務における通説的理解:本条は、実体上の権利消滅が法律上確実であり、かつその判定が登記記録の記載のみで完結する場面に限って共同申請主義の例外を認めたものと解されている。したがって要件は形式的・客観的に判断され、買戻権者の主観や所在の調査は要求されない。
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正、令和5年(2023年)4月1日施行 所有者不明土地問題への対応を目的とする民法等の一部改正により新設。従来は買戻権者との共同申請でしか抹消できず、相手方の所在不明や法人解散で登記が半永久的に残る例が多発していた。契約の日から10年経過を要件に、登記権利者の単独申請を可能とした
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:所有者不明土地問題への対応を目的とする民法等の一部を改正する法律により69条の2を新設。令和5年(2023年)4月1日施行。従来は買戻権者との共同申請でしか抹消できず、相手方の所在不明や法人解散により登記が半永久的に残る例が多発していたため、契約の日から10年経過を要件に登記権利者の単独申請を可能とした
- 不動産登記法 第60条共同申請主義の原則、本条はその例外
- 不動産登記法 第68条登記上の利害関係人の承諾要件
- 不動産登記法 第69条死亡・解散による権利消滅の単独抹消
- 不動産登記法 第70条の2解散法人の担保権の単独抹消(同時期新設)
- 民法 第579条買戻しの特約の実体法上の根拠
- 民法 第580条買戻期間の上限10年、本条の10年要件の前提
- 登録免許税法 第9条抹消登記の税率(不動産1個1,000円)
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