不動産登記法 第9条(登記官)
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登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。
この条文の基本情報
登記官とは何ですか?
定義登記官とは、不動産登記法第9条に定められた規定で、「登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第9条(登記官)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第9条の条文原文は「登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。」で始まります。
- 不動産登記法第9条は第二章 登記所及び登記官に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第9条の前の条は不動産登記法第8条です。
- 不動産登記法第9条の次の条は不動産登記法第10条です。
- 不動産登記法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第9条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法9条は、登記所における事務を登記官が取り扱うと定める。登記官は法務局又は地方法務局の長が指定した法務事務官で、自己の名で申請の受否を処分する。
Q · 登記の申請を却下したのは、法務局という役所ですか、それとも人ですか?
組織ではなく、指定を受けた登記官個人が処分します
不動産登記法9条により、登記所における事務を取り扱うのは登記官です。登記官とは、登記所に勤務する法務事務官のうち、法務局又は地方法務局の長が指定した者をいいます。登記官は個々の申請について自己の名で受否を判断する独任制の行政庁であり、却下決定書にも記名されます。したがって不服がある場合は、当該登記官を経由して、監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求を行います(同法156条)。
解説
登記所の窓口の向こうに座っているのは、ただの窓口係ではない。不動産登記法9条は「登記所における事務は、登記官が取り扱う」と定め、その登記官を「登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者」と定義する。この一文に、知らないままだと損をする仕掛けがある。登記官は上司の決裁で動く一般職員ではなく、自分の名で処分を下す独任制の行政庁(役所として自分の名前で決定を出せる立場)である。あなたの申請を却下するのも、誤った登記を実行するのも、組織ではなく記名された一人の判断だ。だからこそ不服があるとき、あなたには審査請求という道が開いている(同法156条)。逆に言えば、登記官の権限は原則として形式的審査権にとどまる。書類の形が整っているかを見る権限であって、中身が真実かを調べ尽くす権限ではない。この線引きが見えた瞬間、登記制度があなたを守る範囲と、守らない範囲がはっきり分かれる。
法的な位置づけ
不動産登記法9条は、登記所の事務処理主体を定める規定であり、当該事務を取り扱う者を登記官とし、登記官を登記所に勤務する法務事務官のうち法務局又は地方法務局の長が指定した者と定義する。登記官は個々の申請につき自己の名で受否の処分を行う独任制の行政庁として位置づけられ、その審査権は原則として形式的審査権にとどまる。
よくある質問 AI による整理
Q1登記官とは何ですか?
登記所に勤務する法務事務官のうち、法務局又は地方法務局の長が指定した者をいいます(不動産登記法9条)。登記申請の受否を自己の名で処分する立場の公務員です。
Q2登記所と法務局の違いは何ですか?
登記所は登記事務を取り扱う官署の呼称で、実際には法務局・地方法務局とその支局・出張所がこれに当たります。処分をするのは官署ではなく、そこに配置された登記官個人です。
Q3登記官になるにはどうすればいいですか?
法務省の職員として登記所に勤務する法務事務官であることが前提で、その中から法務局又は地方法務局の長が指定します。司法書士や土地家屋調査士とは別の公務員のポストです。
Q4登記官の審査はどこまで行われますか?
原則として形式的審査権にとどまり、提出書類が法定の形式を満たすかを審査します。申請人となるべき者以外の者による申請を疑うに足りる相当な理由があるときのみ、本人確認調査を行います(同法24条)。
Q5登記申請が却下されたらどうすればいいですか?
却下決定書に記載された登記官名と根拠条項を確認します。形式不備なら補正して再申請、判断そのものに不服なら審査請求へ進みます。却下事由は同法25条に列挙されています。
Q6登記官の処分に不服があるときの申立先はどこですか?
当該登記官を経由して、監督する法務局又は地方法務局の長に審査請求を行います(同法156条)。審査請求前置の規定はないため、取消訴訟を直接選ぶこともできます。
Q7日本の登記に公信力はありますか?
ありません。登記を信じて取引しても、それだけで権利を取得できるわけではありません。だからこそ登記官の形式的審査を通った登記でも、実体的な権利関係の確認が別途必要になります。
Q8オンライン申請でも登記官が処分するのですか?
そのとおりです。申請の経路が電子化されても、事務を取り扱い受否を決めるのは指定を受けた登記官個人であるという9条の建て付けは変わりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記官って、裁判官みたいに独立してるんですか?
独立の趣旨は違うが、自分の名で処分を出す点は共通する。登記官は法務局又は地方法務局の長の指定を受けた法務事務官であり(同法9条)、監督は受けるが、個々の申請の受否は登記官の判断として外に出る。だから10条が自己・配偶者・四親等内の親族が申請人のときの除斥を定めている。実務のポイント:10条にはただし書があり、他に登記官がいないときは除斥されず、その旨を記録したうえで処理される。除斥は絶対の壁ではなく、記録に残して透明化する仕組みだ
Q2偽造書類で勝手に登記されたら、登記官の責任は問えますか?
登記官の審査は原則として形式的審査なので、形が整っていれば通ってしまう。ただし申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときは調査義務が生じ(同法24条)、これを怠れば国家賠償法1条の過失が問題になる。実務のポイント:日本の登記に公信力はない。登記を信じて買っても、それだけで所有権は手に入らない。だから実務では登記の確認に加え、登記識別情報と本人確認情報を二重に取る
Q3審査請求って、結局は身内が身内を審査するだけじゃないですか?
構造としてはそのとおりで、審査するのは当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長である(同法156条1項)。ただし157条により、登記官自身が理由ありと認めれば相当の処分をし、局長が理由ありと認めれば登記官に処分を命じる。実務のポイント:不動産登記法に審査請求前置の規定はないため、審査請求を経ずに最初から取消訴訟へ行ける。それでも実務が先に審査請求を投げるのは、費用がほぼかからず結論が早いからだ
間違えやすい点 AI による整理
- 登記官は書類の中身が本物かどうかを調べてくれる、と多くの人が思っている。実際の審査権は原則として形式的審査権にとどまり、提出書類が法定の形式を満たしていれば、その内容が真実かを実地に調査する権限は原則としてない。例外は、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときの本人確認調査だけである(同法24条)
- 登記官のミスで損害が出たら国に賠償を求められる、というところまでは知られている。知られていないのはその深刻度だ。日本の登記には公信力がない(登記を信じて取引した人が、それだけで権利を取得できるわけではない)ため、誤った登記の結果をあなたが所有権ごと失う形で引き受ける可能性がある。国家賠償法1条の請求が通っても、戻ってくるのは金銭であって、不動産そのものではない
- 「法務局を訴えたい」という問いの立て方そのものが外れている。処分をしたのは登記官、審査請求の相手方は当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長、取消訴訟や国家賠償の被告は国である。相手を取り違えた申立ては、中身を判断してもらう前に手続で終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 不動産登記法9条:事務を取り扱う主体(登記官)の定義 | 同法10条:登記官の除斥(扱えない事件の範囲) 同法24条:登記官の本人確認調査義務 |
| 働く場面 | すべての登記事務に常時適用される前提規定 | 自己・配偶者・四親等内の親族が申請人等であるとき 申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるとき |
| 違反・逸脱の効果 | 指定を受けない者の処分は権限のない処分として争われうる | 除斥に反した登記は手続の適法性が問題になる 調査義務違反は国家賠償法1条の過失評価に直結する |
| 利用者の打ち手 | 処分をした登記官名を特定し、審査請求の相手方を確定する(156条) | 親族関係を指摘して処理者の交代を求める なりすまし申請の端緒を登記官に情報提供する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は登記事務を直轄市又は県(市)の地政機関が行う行政機関型。日本のように条文で「指定された個人」を事務取扱者と定義する構造ではなく、機関単位で権限が組まれている点が異なる
韓国は登記事務を裁判所(登記所)の系統に置き、地方法院長が指定した者を등기관とする。指定という手法と形式的審査の建て付けは日本型に近い
ドイツは登記所を区裁判所に置き、実務処理は司法補助官(Rechtspfleger)が担う。日本と最も大きく異なるのは、ドイツの土地登記簿には公信力が認められる点である
米国は登記官の審査を書類の受理・記録という機械的作業に限定し、権利の安全は title insurance という市場的仕組みで担保する。国家が審査主体を条文で定義する日本型とは補完手段の設計が根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続登記を申請して二週間後、封筒を開けたら「却下決定書」だったとしたら、あなたは誰に文句を言えばいい? 却下したのは法務局という組織ではなく、決定書に記名された一人の登記官である。不服なら、その登記官を経由して法務局又は地方法務局の長へ審査請求を出す(同法156条2項)。行政不服審査法の原則では処分を知った日の翌日から3か月。誰に何を出すのか調べている間に、窓は静かに閉じる
- 地方の小さな登記所で、あなたの相続登記の申請人に、その登記所に勤める登記官のいとこが名を連ねていた。四親等内の親族が申請人なら、その登記官はその登記をすることができない(同法10条)。身内審査を防ぐ仕組みは、条文一本で先回りして用意されている
- あなたが不動産会社の担当者で、売主を名乗る人物から都心の一等地を買い付けたとする。代金を払い、所有権移転登記を申請する。数週間後、法務局から却下の連絡が入る。売主は本人ではなかった。2017年に発覚した積水ハウスの地面師事件は、まさにこの形で表面化した。申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるとき、登記官には調査義務が生じる(同法24条)。取引の最後の関門に立っているのは、捜査機関ではなく一人の登記官である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 却下決定書または登記事項証明書を入手し、処分をした登記官名と根拠条項を特定する2. 却下理由が形式不備なら補正して再申請、判断そのものに不服なら審査請求へ(同法156条)。申立ては当該登記官を経由し、監督する法務局又は地方法務局の長宛てに出す3. 誤った登記が既に実行されている場合は、まず職権更正の可否を登記官に確認する(同法67条) 4. 審査請求と取消訴訟は前置関係にないため選択できる。損害が確定しているなら国家賠償法1条の請求を並行して検討する
訴えられた側:あなた名義の登記に他人から審査請求が出された、または職権更正の通知が届いた場合。1. 同法67条1項の通知を放置しない、更正されれば名義や持分が動く2. 登記の基礎になった売買契約書、遺産分割協議書、登記識別情報などを揃え、申請の適法性を主張する3. 審査請求は登記官と法務局長の判断で完結する行政手続にすぎない。争いの実質が権利の帰属そのものなら、別途民事訴訟で確定させる方が最終的に強い
時効(請求できる期限):不動産登記法に審査請求期間の特則はなく、行政不服審査法18条の原則(処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月、処分の日の翌日から1年)が基準になる。ただし、既に実行された登記に対する審査請求は違法な登記が存続する限り可能とする実務の取扱いがあり、この点は実務上、解釈が分かれている。却下決定に対しては3か月以内に動くのが安全。取消訴訟の出訴期間は処分を知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:9条の登記官は独任制の行政庁であり、個々の申請の受否は登記官自身の判断として外部に表示される。権限を一人に集約して処理の迅速性を確保する代わりに、除斥・本人確認調査・却下事由の法定・職権更正・審査請求という事後統制が周囲に配置されているとみる
実務の理解:登記官の審査は形式的審査にとどまるため、登記記録の正確性は制度単独では担保されない。実務では登記識別情報と本人確認情報を重ねて確認する運用が定着しており、これは公信力を持たない登記制度を取引側で補完する対応である
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 明治32年法律第24号の旧不動産登記法を全部改正し、現行法(平成16年法律第123号)が制定された。オンライン申請と登記識別情報制度の導入に伴い条文構成が全面的に再編され、登記官に関する規定も現行の位置に置かれた。旧法下の対応規定との異同および本条自体のその後の改正有無については人的検証が必要
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)が制定され、登記所の事務処理体制が整備された。ドイツの登記所制度を参照した形式的審査主義の枠組みがこの段階で採られたとされる
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請と登記識別情報制度の導入に伴い条文構成が全面的に再編され、登記所の事務を取り扱う者に関する規定が現行9条の位置に置かれた。旧法下の対応規定との異同および本条自体のその後の改正有無については人的検証が必要
- 不動産登記法 第6条管轄登記所の決定、事務を扱う場所の特定
- 不動産登記法 第10条登記官の除斥、親族が申請人の場合の処理制限
- 不動産登記法 第24条登記官による申請人の本人確認調査義務
- 不動産登記法 第25条登記官による申請却下事由の法定
- 不動産登記法 第156条登記官の処分に対する審査請求の根拠
- 行政不服審査法 第18条審査請求期間を定める一般法
- 国家賠償法 第1条登記官の過誤による損害の賠償責任
- 行政事件訴訟法 第3条登記官の処分に対する抗告訴訟の受け皿
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