不動産登記法 第90条(抵当権の処分の登記)
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第八十三条及び第八十八条の規定は、民法第三百七十六条第一項の規定により抵当権を他の債権のための担保とし、又は抵当権を譲渡し、若しくは放棄する場合の登記について準用する。
この条文の基本情報
抵当権の処分の登記とは何ですか?
定義抵当権の処分の登記とは、不動産登記法第90条に定められた規定で、「第八十三条及び第八十八条の規定は、民法第三百七十六条第一項の規定により抵当権を他の債権のための担保とし、又は抵当権を譲渡し、若しくは放棄する場合の登記について準…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第90条(抵当権の処分の登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第90条の条文原文は「第八十三条及び第八十八条の規定は、民法第三百七十六条第一項の規定により抵当権を他の債権のための担保とし、又は抵当権を譲渡し、若しくは放棄する場合の登記について準…」で始まります。
- 不動産登記法第90条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第90条の前の条は不動産登記法第89条です。
- 不動産登記法第90条の次の条は不動産登記法第91条です。
- 不動産登記法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法90条は、転抵当・抵当権の譲渡・抵当権の放棄の登記について83条・88条を準用し、受益者の債権額や利息を付記登記で公示させる。順位の譲渡と順位の放棄は含まれない。
Q · 登記簿の抵当権の下にある「付記1号 転抵当」って、何を意味しているんですか?
銀行が抵当権をさらに担保に出した記録で、その登記ルールが90条です
不動産登記法90条は、民法376条1項に基づく転抵当・抵当権の譲渡・抵当権の放棄の登記について、83条(債権額・債務者)と88条(利息・損害金等)を準用します。つまり受益者となった第三者の債権額や利息まで登記簿に書き込まれ、付記登記として公示されます。実務上の影響は抹消時に現れ、原抵当権を抹消するには転抵当権者など利害関係人の承諾書が必要になります(同法68条)。なお順位の譲渡・順位の放棄は本条の射程に含まれません。
解説
「準用する」で終わる一行を、条文集の中で立ち止まって読む人はまずいない。だがここに置かれているのは、いったん設定された抵当権を「もう一度動かす」ときの登記の設計図である。銀行があなたの住宅ローンの抵当権を、自行の資金調達のために別の債権者へ担保として差し出す(転抵当)。あるいは抵当権者が、同じ債務者に無担保で貸している債権者のために、自分の抵当権を譲る、放棄する。この三つの場面で、83条(債権額・債務者)と88条(利息・損害金・債権に付した条件)の登記事項がそのまま持ち込まれる。結果として登記簿には、受益者側の債権の中身まで書き込まれる。あなたが登記事項証明書を取ったとき、抵当権欄の下に小さな「付記1号」があれば、そこには面識のない第三者の債権が乗っている。あなたの家を担保に取った銀行が、その担保をさらに誰かに差し出した記録だ。
法的な位置づけ
不動産登記法90条は、抵当権の処分の登記に関する準用規定である。民法376条1項に基づく転抵当、抵当権の譲渡、抵当権の放棄の三類型について、83条の担保権共通の登記事項(債権額・債務者)と88条の抵当権固有の登記事項(利息・損害金等)を準用し、受益者の債権内容を付記登記として公示させる。順位の譲渡・順位の放棄は本条の射程に含まれない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書の付記登記を全部拾う 抵当権の主登記だけでなく、その下にぶら下がる「付記1号」以降の行を全部読む。転抵当・抵当権の譲渡・抵当権の放棄があれば、受益者の氏名・住所と債権額(83条準用事項)、利息・損害金(88条準用事項)を控える
- 2.抹消に必要な承諾書の相手方を確定する 付記登記の受益者は、原抵当権抹消の利害関係人になる(不動産登記法68条)。誰から承諾を証する情報を取るのか、法人なら決裁ルートと所要日数まで確認し、決済日から逆算して取得スケジュールを組む
- 3.受益者側は民法377条1項の通知・承諾を別途確保する 付記登記は第三者対抗要件にすぎない。主たる債務者・保証人・抵当権設定者に対抗するには、主たる債務者への通知(内容証明郵便が実務の安全域)または承諾を取る。これを欠くと債務者が原抵当権者へ弁済した瞬間に担保の実体が消える
- 4.原抵当権の枠と自分の債権額を突き合わせる 転抵当では原抵当権の被担保債権額の枠を超える部分は回収できない。原抵当の債権額・利息・弁済期と、自分の債権額・弁済期の前後関係を数字で照合し、実際に配当が回る金額を試算する
- 5.売買契約書にリスク配分の一行を入れる 付記登記付きの不動産を買う場合、売買契約書に「付記登記の抹消は売主の責任と費用で行う」旨を明記する。承諾が取れない事態を想定し、白紙解除または決済延期の条件も併せて設計する
よくある質問 AI による整理
Q1転抵当とは何ですか?
抵当権者が自分の抵当権を、さらに別の債権の担保として差し出すことです。民法376条1項が根拠で、原抵当権は消えず二階建てになります。登記事項は不動産登記法90条が定めます。
Q2抵当権の処分の登記は付記登記になりますか?
はい。転抵当や抵当権の譲渡・放棄は、原抵当権の登記に付随する付記登記として実行されます。登記事項証明書では抵当権欄の下に「付記1号」として印字されます。
Q3不動産登記法90条で準用される登記事項は何ですか?
83条の担保権共通の事項(債権額、債務者の氏名・住所など)と、88条の抵当権固有の事項(利息、損害金、債権に付した条件など)です。受益者側の債権内容が書き込まれます。
Q4転抵当の登記があると抵当権を抹消できますか?
原抵当権者の書類だけでは抹消できません。不動産登記法68条により、転抵当権者などの利害関係人の承諾を証する情報が必要です。決済日から逆算した取得スケジュールが必須です。
Q5抵当権の放棄と抵当権の抹消は同じですか?
違います。90条の「放棄」は同一債務者に対する無担保債権者の利益のために優先枠を譲る処分で、抵当権自体は残ります。抹消は抵当権そのものを登記簿から消す手続です。
Q6転抵当の登記に債務者の承諾は必要ですか?
登記自体は原抵当権者と転抵当権者の共同申請で可能です。ただし主たる債務者・保証人・抵当権設定者に対抗するには、民法377条1項の通知または承諾が別に必要です。
Q7抵当権の処分の登記の登録免許税はいくらですか?
債権金額を課税標準とする方式が原則ですが、税率は登記の種別と登録免許税法の改正状況で変わります。申請前に管轄法務局または司法書士へ確認してください。
Q8順位の変更の登記は何条ですか?
不動産登記法89条です。90条の射程は転抵当・譲渡・放棄の三つで、順位の譲渡・順位の放棄は既登記の抵当権同士の並び替えのため83条・88条の準用が不要とされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1転抵当って、うちの家の抵当権が知らないうちに別の銀行に渡ってるってことですか?
渡っているのではなく、二重に載っている状態です。原抵当権は銀行のまま、その上に別の債権者の担保が乗ります(民法376条1項、不動産登記法90条)。返済義務も金額も変わらず、増えるのは抹消時の手続だけです。実務のポイント:完済しても原抵当権者の書類だけでは抹消できず、転抵当権者の承諾書(不動産登記法68条)が要ります。抹消の依頼は返済日の直前ではなく1か月前に司法書士へ回すのが実務の安全域です
Q2無担保で貸してるんですが、相手の抵当権者から抵当権を譲ってもらうなんて本当にできるんですか?
できます。民法376条1項は、抵当権者が同じ債務者に対する他の債権者の利益のために抵当権を譲渡または放棄できると定め、その登記事項は不動産登記法90条が83条・88条を準用して決めています。譲渡なら受益者が優先枠を丸ごと取り、放棄なら両者が債権額に応じて按分します。実務のポイント:この交渉が通るのは、抵当権者側に別の思惑がある場面です。登録免許税は債権金額を基準に計算されるので、交渉と同時に税額も試算しておくこと(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「民法376条1項に並ぶ処分は全部この条文で登記される」という前提で読むと、必ず躓く。90条が挙げるのは転抵当、抵当権の譲渡、抵当権の放棄の三つだけで、順位の譲渡と順位の放棄は入っていない。問いを「なぜ抜けているのか」に変えると構造が見える。前三者は受益者の債権額や利息を新たに登記簿へ書き込む必要があるが、順位の入れ替えは既に登記済みの抵当権同士の並び替えで、新しく書き込むべき債権が存在しない。だから83条・88条の準用が要らない
- 転抵当の登記をすれば第三者に対抗できる、ここまでは知られている。知られていないのはその効力の射程だ。登記はあくまで第三者対抗要件であり、主たる債務者・保証人・抵当権設定者に対抗するには民法377条1項の通知または承諾が別に要る。通知を欠いたまま債務者が原抵当権者へ弁済すれば、原抵当権は消滅し、付記登記は担保の実体を失って宙に浮く
- 「抵当権の譲渡」と「抵当権の順位の譲渡」は、あなたから見れば言い回しの違いに見える。法律から見れば相手方そのものが違う。前者の受益者は同じ債務者に対する無担保債権者、後者の受益者は後順位の抵当権者である。誰に対して何を渡すのかを取り違えたまま交渉や登記申請を進めると、期待した優先枠が一円も回ってこない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる行為 | 90条:転抵当・抵当権の譲渡・抵当権の放棄(民法376条1項) | 89条:抵当権の順位の変更(民法374条) 68条:権利の登記の抹消 |
| 83条・88条の準用 | 準用あり。受益者の債権額・利息まで新たに登記される | 準用なし。既登記の抵当権同士の並び替えで新規債権の記載が不要 準用なし。登記の消滅が目的 |
| 受益者となる相手 | 転抵当は抵当権者の債権者、譲渡・放棄は同一債務者に対する無担保債権者 | 後順位の抵当権者など既に登記された担保権者 抹消により利益を受ける登記名義人 |
| 登記の形式と実務論点 | 付記登記。抹消時に受益者の承諾書が必要になる | 変更の登記。利害関係人の承諾が要件となる 登記上の利害関係人の承諾を証する情報が必要 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は抵押權を他の債權の擔保とすることを明文で禁止しており、日本の転抵当に相当する制度が存在しない。認められるのは次序讓與・拋棄のみで、日本の90条と89条の区別に照らすと台湾は89条相当の類型だけを持つ構造となる。
韓国も抵当権を被担保債権から分離して譲渡し、又は他の債権の担保とすることを禁止する。日本民法を継受した法制でありながら、この点は日本と逆の立法選択をとっている。
抵押権は債権と分離して単独で譲渡したり他の債権の担保とすることができないと定める。債権が譲渡されれば抵押権も随伴するという随伴性の規律に純化している。
ドイツは抵当権を債権と切り離して処分することを認めず、債権の譲渡に抵当権が随伴する。担保価値の再利用は、抵当権付債権を権利質として入質する構成や、Grundschuld(土地債務)の活用によって実現される。
米国では mortgage の assignment や subordination agreement を county recorder に recording することで公示する。連邦統一法典ではなく州ごとの recording statute が規律し、優先順位は recording の先後で決まるのが原則。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が資金繰りに詰まっている。あなたはその会社に無担保で2,000万円を貸している。相手の不動産に一番抵当を持つ金融機関に対し、抵当権の譲渡または放棄を求める交渉ができると知っていたら、動き方は変わるか。破産手続開始の申立てまで残り数週間。放棄を受けて付記登記まで完了させれば、あなたはその抵当権の配当枠を分け合う立場に移れる。ただし支払不能後の担保取得は偏頗行為として否認されうるので、時計はすでに動いている
- あなたが担保を取る側の金融機関担当者だとする。融資先に対する抵当権を自行の資金調達のため転抵当に出し、付記登記も入れた。だが主たる債務者への通知を忘れた。債務者が原抵当権者へ弁済すれば原抵当権は消え、登記だけが残る(民法377条1項)
- 自宅を売るために登記事項証明書を取り寄せたら、抵当権の下に「付記1号 抵当権転抵当」と印字されていた。決済で抵当権を抹消するには、原抵当権者の書類だけでは足りず、転抵当権者の承諾書が要る(不動産登記法68条)。決済日の三日前にこれに気付いた売主と司法書士が、承諾書を追いかけて走る。実務で現に起きている事故である
取るべき行動
被害を受けた側:抵当権付きの不動産を買う、または自分の不動産の抵当権を抹消する立場なら、登記事項証明書の付記登記を全部拾うところから始める。1. 付記に転抵当・抵当権の譲渡・放棄があれば、受益者の氏名と債権額を控える2. 抹消には受益者の承諾書が必要になる(不動産登記法68条)ので、決済日から逆算して取得スケジュールを組む3. 承諾が取れない前提で決済条件を組み直す余地も残す4. 売買契約書に「付記登記の抹消は売主の責任と費用で行う」と一行入れておけば、リスクは売主側へ戻る
訴えられた側:あなたが担保を受け取る側(転抵当権者、譲渡や放棄の受益者)なら、登記が入った時点で安心しないこと。1. 付記登記で第三者対抗要件を確保する2. 同時に主たる債務者へ民法377条1項の通知を内容証明で出すか、承諾書を取る。これを欠くと債務者が原抵当権者へ弁済した瞬間、付記登記は担保の実体を失う3. 原抵当権の被担保債権額と自分の債権額を突き合わせる。転抵当では原抵当の枠を超える部分は回収できない4. 原抵当権の弁済期と自分の債権の弁済期の前後関係も確認する
時効(請求できる期限):本条自体に申請期限はない。ただし抵当権の処分は登記が第三者対抗要件であり、遅れれば他の処分登記に順位を越される。加えて主たる債務者・保証人・抵当権設定者に対しては、民法377条1項の通知または承諾がない限り対抗できず、この状態が続く間は担保として機能しない。被担保債権自体が一般消滅時効(民法166条1項、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)にかかれば、付従性により抵当権も消滅する
学説
通説(登記実務の理解):90条が83条・88条を準用するのは、受益者の債権内容を登記簿に書き込ませて担保の二階建て構造を公示する趣旨である。順位の譲渡・放棄が除外されているのは、既登記の抵当権同士の並び替えにすぎず、新たに記載すべき債権が存在しないためと説明される。
転抵当の性質論:転抵当を抵当権のみの入質と捉える説と、被担保債権と抵当権の共同質入と捉える説が対立する。いずれの説でも、民法377条1項の通知・承諾を欠くと債務者の原抵当権者への弁済によって担保の実体が失われる点は共通して指摘される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 オンライン申請導入を伴う全部改正により現行法が制定され、抵当権の処分の登記に関する準用規定が現行90条に置かれた。旧法における対応条文の条番号および同条のその後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:オンライン申請の導入を伴う不動産登記法の全部改正により現行法が制定され、抵当権の処分の登記に関する準用規定が現行90条に置かれた。旧法における対応条文の条番号および同条のその後の改正の有無は人的検証が必要。
- 不動産登記法 第83条準用される担保権共通の登記事項(債権額・債務者)
- 不動産登記法 第88条準用される抵当権固有の登記事項(利息・損害金)
- 不動産登記法 第89条順位の変更の登記、本条の射程外となる類型
- 不動産登記法 第68条抹消には利害関係人の承諾を要する
- 民法 第376条抵当権の処分を認める実体法上の根拠
- 民法 第377条債務者への通知・承諾という別個の対抗要件
- 民法 第374条順位の変更を処分から区別する実体法上の基準
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