労働契約法 第12条(就業規則違反の労働契約)
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就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
この条文の基本情報
就業規則違反の労働契約とは何ですか?
定義就業規則違反の労働契約とは、労働契約法第12条に定められた規定で、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約)は、日本の労働契約法に含まれる条文です。
- 労働契約法第12条の条文原文は「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。」で始まります。
- 労働契約法第12条は第二章 労働契約の成立及び変更に置かれています。
- 労働契約法の公布日は平成19年12月5日です。
- 労働契約法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働契約法第12条の前の条は労働契約法第11条です。
- 労働契約法第12条の次の条は労働契約法第13条です。
- 労働契約法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 - 本サイト収録
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/419AC0000000128/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働契約法12条は、就業規則の基準を下回る労働契約はその部分が無効となり、就業規則の基準で補充されると定める。労働者の同意の有無を問わず適用される。
Q · 契約書の給料が就業規則より低かったら、もう諦めるしかないの?
諦め不要。就業規則の基準まで自動で引き上げられます
労働契約法12条により、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、その部分が無効になります。無効になった部分には就業規則の基準が自動的に補充されるため、契約書の金額が就業規則を下回っていれば、就業規則の水準まで引き上げられます。サインや同意の有無は関係ありません。逆に就業規則を上回る有利な個別合意は有効に残ります。下回る部分の差額は、賃金支払日から原則5年(当分の間3年)以内であればさかのぼって請求できる可能性があります。
解説
入社のとき手渡された雇用契約書に、月給22万円と書いてあった。ところが半年後、たまたま見た会社の就業規則には「基本給は月25万円以上」とある。あなたは泣き寝入りする必要はない。労働契約法12条は、就業規則の基準に達しない労働条件を定めた契約は、その部分について無効とし、無効になった部分は就業規則の基準で埋めると定める。つまりあなたの月給は、自動的に25万円に引き上げられる。サインしたかどうかは関係ない。納得して同意したかどうかも関係ない。就業規則は職場の最低ライン(床)であり、それを下回る個別合意は、法律が問答無用で打ち消す。逆に言えば、就業規則を下回る契約を結ばされていたら、その差額をさかのぼって請求できる可能性がある。多くの人は「契約書にハンコを押したから仕方ない」と思い込むが、この条文を知っている人だけが、消えたはずのお金を取り戻せる。
法的な位置づけ
労働契約法12条は就業規則の最低基準効を定める規定であり、就業規則の基準に達しない労働条件を定めた労働契約はその部分が無効となり、無効部分には就業規則の基準が補充される旨を規定する。当事者の同意の有無にかかわらず適用される片面的強行規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.就業規則を入手する 労働基準法106条の周知義務に基づき会社に開示を求めるか、職場の備付け・社内システムで就業規則を確認する。退職後は入手が難しくなるため、在職中に写しを確保しておく
- 2.契約条件と就業規則を項目別に突き合わせる 基本給・各種手当・賞与・退職金・労働時間などの項目ごとに、自分の労働契約と就業規則の基準を並べ、就業規則を下回っている部分を特定する
- 3.無効部分を就業規則基準で計算し直し差額を算出 下回る部分は12条で無効となり就業規則の基準が補充されるため、就業規則の水準で再計算し、支払済額との差額を月別に積み上げて請求総額を出す
- 4.会社へ書面で差額請求する 算出した差額の根拠(労働契約法12条・就業規則の該当条項)を明示した書面で請求する。応じない場合は労働基準監督署への相談、労働審判・訴訟へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1最低基準効とは何ですか?
就業規則の基準を下回る労働契約をその部分につき無効とし、無効部分を就業規則の基準で補充する効力です。労働契約法12条が根拠で、労働者の同意があっても下回る部分は無効になります。
Q2就業規則と給料が違うときどうすればいい?
就業規則の方が高ければ、その水準まで引き上げられます。まず就業規則の写しを入手し、契約条件と項目別に比較して下回る部分を特定し、差額を請求します。
Q3就業規則を下回る契約は無効になりますか?
なります。労働契約法12条により下回る部分が無効となり、就業規則の基準で補充されます。サインしていても、納得して同意していても結論は変わりません。
Q4賃金の差額請求の時効は何年ですか?
賃金請求権の時効は支払日から原則5年(当分の間3年)です。2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金が対象。最新の改正状況をご確認ください。
Q5就業規則がない会社でも最低基準効は使えますか?
就業規則が存在しなければ12条の床はありません。常時10人以上の事業場には作成義務(労基法89条)があり、未作成自体が違法の可能性があります。
Q6賞与が就業規則にあるのに支給されない場合は?
就業規則に支給基準があり契約で除外されているなら、その除外部分が無効になる余地があります。過去の未支給分を請求できる可能性が出てきます。
Q7退職金が契約書になく就業規則にある場合どうなる?
就業規則に退職金の基準があれば、契約書の「なし」がその部分につき無効となり、就業規則の基準が補充されます。退職金ありの扱いが生き残ります。
Q8口約束で残業代なしと言われたら有効ですか?
就業規則に残業代の規定があれば、その口約束は12条で無効です。会社は結局、就業規則の基準に従って差額を支払う必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1求人票には月25万って書いてあったのに、契約書は22万でした。どっちが正しいんですか?
法的には別の問題が二つ重なっています。求人票と契約の食い違いは労働条件明示義務(労働基準法15条)の話、契約と就業規則の食い違いが労働契約法12条の話です。就業規則に25万以上とあれば、12条で22万の契約はその部分が無効となり25万になります。実務のポイント:求人票だけを根拠に争うのは実は難しいのですが、就業規則を根拠にすると一気に有利になります。揉めたら求人票よりまず就業規則を確認するのが鉄則です
Q2就業規則より良い条件で契約してもらった場合、それも無効になっちゃうんですか?
なりません。12条が無効にするのは就業規則の基準に「達しない」契約だけです。上回る有利な特約は完全に有効に残ります(労働契約法7条但書も同じ趣旨)。つまり常に労働者に有利な方が生き残る、片面的なルールです。実務のポイント:だから優秀な人材は個別交渉で就業規則を上回る条件を勝ち取る価値があります。しかもその特約は、会社が後から就業規則を改定しても簡単には下げられず、不利益変更の問題になります
Q3会社が就業規則を見せてくれないんですが、どうすればいいですか?
就業規則には周知義務があり(労働基準法106条)、見せないこと自体が違法です。労働基準監督署に申告できますし、そもそも周知されていない就業規則は効力自体が争われる余地もあります。実務のポイント:「就業規則は非公開」という会社の言い分は、ほぼ嘘か違法状態です。退職後は入手が極端に難しくなるので、在職中にスマホで撮るかコピーを取っておくのが実務上の常識になっています
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書にサインした以上、その条件に縛られる」と思い込んでいるが、就業規則を下回る部分は、サインの有無に関係なく無効になる。納得して同意したことは救いにならない。形式的な合意は、最低基準効の前では無力である
- 「就業規則と契約書、結局どっちが優先なの」と多くの人が問うが、その問いの立て方自体がずれている。就業規則を上回る有利な個別契約は有効、下回る個別契約だけが無効になる。常に労働者に有利な方が適用される、という非対称のルールこそが正しい理解である
- 就業規則の存在は知っていても、それを下回る契約が「無効になる」だけでなく「無効になった部分に就業規則の基準が自動で流し込まれる」ことまで知る人は少ない。穴が空いて空白になるのではなく、就業規則の数字がそのまま埋め込まれる。だからこそ請求額が具体的に計算できる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効力の方向 | 12条:就業規則を下回る契約を無効化(片面的・強行) | 7条:就業規則の合理的内容が契約を補充(締結時) 13条:法令・労働協約に反する就業規則の効力を制限 |
| 同意の要否 | 労働者の同意の有無を問わず適用 | 周知された合理的就業規則であれば契約内容となる 上位規範(法令・協約)との優劣で自動的に決まる |
| 適用場面 | 既存の契約条件が就業規則を下回るとき | 労働契約の締結時に個別合意がない部分 就業規則が法令・労働協約に違反するとき |
| 不利益変更との関係 | 個別合意では床を下げられない | — 就業規則自体の不利益変更は9・10条の合理性要件が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は法令・団体協約に反する工作規則を無効とし、労働条件は法定最低基準を下回れないとする。就業規則が個別契約の床になるという日本の発想と機能的に近い
韓国は就業規則の基準に達しない労働契約をその部分につき無効とし就業規則基準で補充する、と日本12条とほぼ同一の条文構造を採る。日本法を継受した典型例
ドイツは事業所協定に強行的・直律的効力を認め、有利原則により労働者に有利な個別合意のみ優先させる。下回る合意は協定基準に置き換わる点が共通
米国は随意雇用(at-will)が原則で就業規則の最低基準効はないが、従業員ハンドブックの記載が黙示の契約条件を構成しうるとする州判例があり、機能的に一部近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- パートで働き始めて1年、ふと就業規則を見たら「賞与は年2回支給」と書いてあった。だが自分は一度ももらっていない。賞与の支給基準が就業規則にあるのに契約で除外されていたなら、その除外部分は無効になりうる。過去の未支給分を請求できる余地が出てくる
- もし、求人や就業規則では「退職金あり」なのに、入社時の契約書だけ「退職金なし」となっていたら、どちらが優先されるのか。就業規則の基準を下回る契約部分は無効になる。つまり退職金ありの基準が生き残り、契約書の「なし」が打ち消される
- あなたが店長として新人にこっそり「うちは残業代つかないから」と口約束したとする。就業規則には残業代の規定がある。その口約束は12条で無効。会社は結局、差額を払う羽目になる
- 退職を2週間後に控え、最後の給与計算で就業規則にある手当が抜けていることに気付いた。賃金請求権の時効は支払日から5年(当分の間3年、最新の改正状況をご確認ください)。在職中の証拠、就業規則の写しと給与明細を今のうちに確保しないと、退職後は手に入りにくくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず就業規則を入手する(労働基準法106条の周知義務に基づき会社に開示を求める、または備付け・社内システムを確認)。2. 自分の契約条件と就業規則の基準を項目別に並べ、基本給・手当・賞与・退職金・労働時間で下回っている部分を特定する。3. 下回る部分は12条で無効、就業規則の基準で計算し直して差額を算出する。4. 会社へ書面で差額請求、応じなければ労働基準監督署への相談、労働審判や訴訟へ。就業規則の写し・契約書・給与明細を時系列で揃えておく
訴えられた側:1. 自社の就業規則と個々の労働契約を突き合わせ、就業規則を下回る契約条項がないか点検する。2. あれば、その部分は無効で就業規則基準が適用されると認識し、未払差額の総リスクを試算する。3. 労働条件を下げたいなら安易な個別合意では覆せない、就業規則自体の不利益変更には労働契約法9条・10条の厳格な手続(合理性と周知)が要る。4. 適正な変更手続を踏むか、労働者の自由な意思に基づく真の同意を得るルートを設計する
時効(請求できる期限):賃金差額の請求権の消滅時効は、各賃金支払日から5年(労働基準法115条、ただし当分の間3年。2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金が対象。最新の改正状況をご確認ください)。退職金請求権の時効は5年。起算点はそれぞれの支払日
学説
通説:労働契約法12条の最低基準効は片面的強行規定であり、就業規則の基準を下回る部分のみを無効とし就業規則基準で補充する一方、上回る有利な個別合意は有効に残ると解する。学説・判例で結論が割れにくい条文上明白な効果である。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)労働契約法制定 労働契約法の制定により新設。従来は労働基準法旧93条が定めていた就業規則の最低基準効を、労働契約一般法である労働契約法へ移し、就業規則を下回る労働契約の無効と就業規則基準による補充を労働契約法上の効果として整理した。施行は平成20年(2008年)3月1日
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:労働契約法の制定により新設。従来は労働基準法旧93条が定めていた就業規則の最低基準効を、労働契約一般法である労働契約法へ移し、就業規則を下回る労働契約の無効と就業規則基準による補充を整理した。施行は平成20年(2008年)3月1日。
- 労働契約法 第7条就業規則の合理的内容が労働契約を補充する効力
- 労働契約法 第9条就業規則変更による不利益変更の原則禁止
- 労働契約法 第10条就業規則変更が労働条件を拘束する合理性要件
- 労働契約法 第13条法令・労働協約に反する就業規則の効力制限、上位規範との関係
- 労働基準法 第13条法定基準を下回る契約を無効とする本条のモデル規定
- 労働基準法 第89条常時10人以上の事業場の就業規則作成・届出義務
- 労働基準法 第93条労働契約と就業規則の関係は本条によると明示する規定
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