労働契約法 第13条(法令及び労働協約と就業規則との関係)
クイックジャンプ
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。
この条文の基本情報
法令及び労働協約と就業規則との関係とは何ですか?
定義法令及び労働協約と就業規則との関係とは、労働契約法第13条に定められた規定で、「就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約に…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働契約法第13条(法令及び労働協約と就業規則との関係)は、日本の労働契約法に含まれる条文です。
- 労働契約法第13条の条文原文は「就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約に…」で始まります。
- 労働契約法第13条は第二章 労働契約の成立及び変更に置かれています。
- 労働契約法の公布日は平成19年12月5日です。
- 労働契約法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働契約法第13条の前の条は労働契約法第12条です。
- 労働契約法第13条の次の条は労働契約法第14条です。
- 労働契約法第13条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第13条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 - 本サイト収録
労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第13条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/419AC0000000128/13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働契約法13条は、就業規則が法令または労働協約に反する場合、その反する部分について就業規則の効力(7条・10条・12条)が及ばないと定める規定である。
Q · 就業規則に書いてあれば、法律に反する内容でも従わなきゃいけないの?
法令や労働協約に反する就業規則の条項は、その部分が無効です
労働契約法13条により、就業規則が法令または労働協約に反する場合、その反する部分には就業規則の契約内容補充効(7条)・不利益変更効(10条)・最低基準効(12条)が及びません。つまり違反条項は、当該法令・協約の適用を受ける労働者の労働契約には適用されません。空白になった部分は放置されず、労働基準法93条を介して法令や労働協約の基準が自動的に滑り込んで穴を埋めるため、結果として労働者に有利な条件へ置き換わります。
解説
入社初日に分厚い就業規則を渡され、ろくに読まずに引き出しへ。多くの人がそうしている。だがその束の中に、法律や労働組合の協定に反する条項が紛れていたら、その部分はあなたに対して効力を持たない。労働契約法13条が定めるのはこの順位だ。会社が一方的に作る就業規則は、国が定めた法令と、労働組合が会社と結んだ労働協約の、二段下に位置する。だから就業規則が労働基準法に反する残業ルールや、協約より低い賃金を定めていても、その条項を根拠に労働契約の中身を補充したり(7条)、不利益に変更したり(10条)、あなたを縛る最低基準にしたり(12条)することはできない。就業規則は会社の聖書ではない。その上に、頭をぶつければ効力を失う二枚の天井がある。
法的な位置づけ
労働契約法13条は、就業規則と上位規範との効力関係を定める規定である。就業規則が法令または労働協約に違反する場合、その違反部分には就業規則の契約内容補充効(7条)・不利益変更効(10条)・最低基準効(12条)が及ばず、当該法令または労働協約の適用を受ける労働者の労働契約には適用されない。就業規則は法令・労働協約の下位規範として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.就業規則の全文を入手して問題条項を特定 会社には就業規則の周知義務がある(労働基準法106条)。掲示・書面交付・社内ネットワーク等で全文を入手し、自分に不利益を与えている条項を正確に抜き出す
- 2.法令・労働協約と照合して抵触の有無を確認 問題の条項を、労働基準法など強行法規や、自社に適用される労働協約と並べて照合する。協約は組合員でなくても4分の3要件を満たせば一般的拘束力(労組法17条)で及ぶ点も確認する
- 3.抵触部分は適用されないと主張 反していれば、その部分は労働契約法13条により7条・10条・12条の効力を持たず、自分には適用されないと会社に主張する。空白は法令・協約の基準に置き換わる(労基法93条)ため、有利な基準の適用を求める
- 4.会社が応じなければ外部手続と証拠保全 会社が撤回・是正に応じない場合、労働基準監督署への申告(労基法104条)、労働局のあっせん、労働組合・弁護士への相談を検討する。就業規則・給与明細・各種通知書を証拠として保全しておく
よくある質問 AI による整理
Q1就業規則の効力の順位は?
上から法令、労働協約、就業規則、個別の労働契約の四層です。労働契約法13条により、就業規則は法令と労働協約の下位に置かれ、上位規範に反する部分は労働者を拘束しません。
Q2就業規則は会社が自由に変更できる?
作成・変更権は会社にありますが、不利益変更には合理性と周知が必要です(労契法10条)。さらに法令・労働協約に反する変更は13条によりその部分が効力を持ちません。
Q3就業規則と法令、どちらが強い?
法令が上位です。就業規則が法令に反する部分は、労働契約法13条によりその限度で適用されず、空白は法令の基準に置き換わります(労基法93条)。
Q4就業規則が無効になる条件は?
法令の強行規定または自社に適用される労働協約に反する場合です。その反する部分について7条・10条・12条の効力が及ばず、労働者の労働契約には適用されません。
Q5管理職に残業代が出ないのは違法?
部下や人事権のない名ばかり管理職は労基法41条の管理監督者に当たらず、不支給を定める就業規則条項は法令に反し効力を持ちません。割増賃金を請求できます。
Q6就業規則はどこで確認できる?
会社には周知義務があります(労基法106条)。事業場の見やすい場所への掲示、書面交付、社内ネットワークでの閲覧など、いずれかの方法で確認できます。
Q7退職は何日前に申し出ればいい?
期間の定めのない雇用なら、民法627条で原則2週間前の申し出で退職できます。就業規則が「3か月前」と定めていても、法令を超える部分は効力を持ちません。
Q8就業規則の不利益変更は拒否できる?
変更に合理性と周知がなければ労働条件は変わりません(労契法9条・10条)。さらに変更内容が法令・労働協約に反すれば、13条によりその部分は適用されません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1就業規則と労働契約書で書いてあることが違ったら、どっちが優先されるんですか?
原則として労働者に有利な方です。就業規則を上回る個別合意はその合意が生き(労働契約法7条但書)、就業規則を下回る労働契約はその部分が無効となって就業規則の基準に引き上げられます(同12条)。実務のポイント:会社は「就業規則は全社共通だから」と個別の好条件を否定したがるが、入社時の口頭約束やメールも個別合意の証拠になりうる。やり取りは必ず文面で残しておく
Q2労働組合に入っていないんですが、労働協約の保護は受けられますか?
原則は組合員だけですが、その協約が同種の労働者の4分の3以上に適用されると、一般的拘束力(労働組合法17条)で非組合員のあなたにも及びます。実務のポイント:会社は非組合員に「協約は組合員のものだ」と説明しがちだが、職場の組織率を確認すれば4分の3要件を満たしていることがある。自分の職場の組合員比率を一度調べておくと、交渉カードが一枚増える
Q3就業規則が労基法に反していた場合、その部分は何に置き換わるんですか?
空白のまま放置されるのではなく、法令や労働協約の基準が自動的に適用されます(労働基準法93条を受けた労働契約法12条)。たとえば違法に低い割増賃金率は、労働基準法の法定率まで引き上げられます。実務のポイント:無効を主張するときは「だから無給だ」ではなく「だから法定基準が適用される」と組み立てるのが正しい。前者だと自分の取り分まで消しかねない
間違えやすい点 AI による整理
- 「就業規則は会社が決めたルールだから、書いてある以上は従うしかない」と思い込んでいる。実際は逆で、就業規則は法令と労働協約の下位規範にすぎず、それらに反する部分は最初からあなたを拘束しない
- 就業規則が労働基準法に反すれば無効、までは知っている人も多い。だがその先を知らない。無効になった空白は放置されず、法令や労働協約の基準が自動的に滑り込んで穴を埋める(労働基準法93条、労働契約法12条)。つまり「無効」は単なる削除ではなく、あなたに有利な条件への置き換えを意味する
- 「就業規則と労働契約、強いのはどっち?」と問う人が多いが、その問いの立て方が浅い。実際の序列は四層、法令、労働協約、就業規則、個別の労働契約。二者択一で考えている限り、上二層の武器を取りこぼす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の機能 | 13条:法令・協約に反する就業規則条項の効力を否定する限界規定 | 7条:合理的な就業規則が労働契約の内容を補充する効力 12条:就業規則を下回る労働契約を就業規則の基準まで引き上げる最低基準効 |
| 働く方向 | 上位規範に反する就業規則を排除(マイナス方向の歯止め) | 就業規則を契約内容に取り込む(プラス方向の補充) 労働契約を就業規則水準へ引き上げる(底上げ) |
| 適用が及ぶ範囲 | 当該法令・労働協約の適用を受ける労働者との契約 | 就業規則を周知された労働者一般 就業規則の適用を受ける労働者一般 |
| 無効後の処理 | 反する部分は法令・協約の基準に置換(労基法93条経由) | 個別合意が就業規則を上回ればその合意が優先(7条但書) 下回る部分は就業規則の基準が適用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
工作規則が法令の強行規定・禁止規定または団体協約に反する場合は無効とする点で、日本の労契法13条と同趣旨
就業規則は法令・団体協約に反しえず、行政官庁が変更を命じうる。日本の労契法13条と労基法92条を合わせた構造に対応
事業所協定(Betriebsvereinbarung)は労働協約(Tarifvertrag)に反しえないという労働協約優位(Tarifvorrang)の構造が共通
随意雇用が原則で就業規則の法的序列を定める一般規定はないが、団体交渉協約が使用者の一方的変更を制限する点で機能的に類似
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 就業規則に「管理職には残業代を支払わない」とある。だがあなたは部下なし、人事権なしの名ばかり管理職。労働基準法41条の管理監督者に当たらないなら、この不支給条項は法令に反し、あなたには効かない。過去にさかのぼって割増賃金を請求できる(最新の改正状況をご確認ください)
- もし就業規則に「退職は3か月前に届け出ること」と書いてあったら、本当に3か月縛られる? 期間の定めのない雇用なら、民法627条で2週間前の申し出で辞められる。法令に反する超過部分は無効、つまりあなたは2週間で去れる
- あなたの労働組合が会社と結んだ労働協約は、賞与を月給2か月分と定めている。ところが就業規則は1か月分。組合員であるあなたには低い方の就業規則は適用されず、協約の2か月分が生きる
- あなたが人事として古い就業規則を運用していたら、数年前に締結した労働協約と矛盾する賃金条項が残っていた。組合員にその条項を適用した処理は無効になり、差額の支払いと是正を迫られる
- 懲戒解雇を通告され、離職票の発行まであと数日。その懲戒事由が就業規則だけにあって労働基準法の解雇規制に反していないか、今夜のうちに照合せよ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 就業規則の全文を入手(会社には周知義務がある、労働基準法106条)、問題の条項を特定2. その条項が労働基準法などの法令、または自社に適用される労働協約に反していないか照合3. 反していれば、その部分は7条・10条・12条の効力を持たず、あなたには適用されないと主張4. 会社が応じなければ労働基準監督署への申告、労働組合・弁護士・労働局のあっせんを検討。就業規則・給与明細・通知書を証拠として保全
訴えられた側:1. 自社の就業規則を全条項、最新の法令と適用される労働協約に照らして点検2. 抵触条項を洗い出し速やかに改定(不利益変更には10条の合理性と周知が必要)3. 行政官庁から変更命令(労働基準法92条2項)が出る前に自主是正4. 抵触条項を組合員・対象労働者に適用していた過去分は、差額清算と記録の修正を準備
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。ただし就業規則条項の無効を前提に未払賃金などを請求する場合、賃金請求権の消滅時効(労働基準法115条、当面3年、最新の改正状況をご確認ください)が適用され、起算点は各賃金の支払日
学説
通説:就業規則は法令・労働協約の下位規範であり、上位規範に反する部分は労働契約を規律する効力を持たない。13条は行政取締りの面を担う労働基準法92条と表裏をなし、私法上の効力序列を明示する条文と理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:労働契約法の制定に伴い新設。秋北バス事件以来の判例法理を踏まえ、就業規則と法令・労働協約の私法上の効力序列を明文化し、労働基準法92条の効力面を担う条文として位置づけられた。
- 労働契約法 第7条就業規則による労働契約内容の補充、本条で適用除外される対象
- 労働契約法 第10条就業規則による労働条件の不利益変更、本条で適用除外される対象
- 労働契約法 第12条就業規則の最低基準効、前条で適用除外される対象
- 労働契約法 第9条合意によらない不利益変更の原則禁止
- 労働契約法 第11条就業規則変更の手続、労働基準法の準用
- 労働基準法 第92条就業規則の法令・協約違反禁止と変更命令、本条と表裏
- 労働組合法 第16条労働協約の規範的効力、基準違反部分の無効
- 労働組合法 第17条労働協約の一般的拘束力、非組合員への拡張
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める