要点健康保険法 97 条は、療養の給付を受けるため病院に移送された場合の費用を移送費として支給する規定。支給は保険者が必要と認める場合に限られ、償還払いとなる。
Q · 転院のときの寝台車代って、健康保険から戻ってくるんですか?
保険者が必要と認めれば移送費として戻ります
健康保険法 97 条により、療養の給付を受けるため病院又は診療所に移送されたときは移送費が支給されます。ただし 2 項が「保険者が必要であると認める場合に限り」と絞りをかけており、施行規則 81 条は適切な療養であること、移動が著しく困難であること、緊急その他やむを得ないことの三要件を求めます。消防の救急車は無料なので出番はなく、実際に効くのは民間救急や寝台車での転院搬送です。支払方法は償還払いで、いったん全額を立て替えます。
救急車は無料だ。だが病院から病院へ移るとき、消防の救急車は原則として使えない。使うのは民間救急や寝台車で、距離によっては十数万円が請求される。その請求書を握ったまま「これは自腹だ」と諦める人が大半だが、健康保険法97条は別の道を用意している。移動が著しく困難な状態で、緊急その他やむを得ず病院に運ばれたのなら、その搬送費用は健康保険から戻りうる。ただし関門は二段ある。1項は金額の算定を厚生労働省令に委ね、最も経済的な通常の経路と方法で計算した額とする。より重いのは2項で、保険者が必要と認める場合に限る、と絞りをかけている。つまり領収書があるだけでは足りず、なぜその搬送が必要だったのかを医師に書いてもらえるかで結果が決まる。しかも支払方法は償還払い、いったん全額を自分の財布から立て替えることになる。
健康保険法 97 条は移送費を定める規定であり、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む)を受けるため病院又は診療所に移送された場合に、厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を現金給付する。支給は保険者が必要と認める場合に限られ、支払方法は償還払いである。
AI 輔助整理,以條文原文為準
療養の給付を受けるため病院又は診療所へ移送されたときに、健康保険から支給される現金給付です。健康保険法 97 条が根拠で、保険者が必要と認めた場合に限り支給されます。
最も経済的な通常の経路及び方法によって算定した額が上限です(施行規則 80 条)。実際に支払った金額が割高だった場合、その差額は自己負担になります。
移送費支給申請書、移送を指示した医師の意見書、搬送業者の領収書と明細(経路・距離・車種・付添の有無)です。領収書は原本で保管してください。
保険給付を受ける権利は 2 年で時効消滅します(健康保険法 193 条)。起算点は移送に要した費用を支払った日の翌日です。
移動が著しく困難で、かつ緊急その他やむを得ない場合であれば移送費の対象になりえます。ただし保険者が必要と認めることが前提で、自動的に支給されるわけではありません。
移送を指示した側の医師です。移動困難性と緊急性を判断したのは送り出した医師であり、受け入れ先の医師の記載では施行規則 81 条の要件を埋めにくくなります。
なりません。移送費は療養の給付ではないため自己負担額の頭打ちが効かず、立て替える金額に制度上の上限がありません。キャッシュフローの負担が重い理由がここにあります。
通勤災害・業務災害なら労災保険の療養の給付に移送が含まれ(労災保険法 13 条)、健保と労災は同時に使えません。倒れた場所と時間帯の記録が窓口を分けます。
消防の救急車は無料なので、移送費の出番はありません。97条が効くのは民間救急、寝台車、患者搬送車を使った転院搬送や入退院時の搬送です。業界裏話ヒント:病院が手配する民間救急は提携業者一社に固定されがちで、料金交渉の余地がない。支給額は最も経済的な通常の経路及び方法で算定されるため(施行規則80条)、割高な業者を使うと差額はまるごと自己負担になる。時間があるなら自分で一社は相見積もりを取る
原則として戻りません。移送費は移動が著しく困難で、かつ緊急その他やむを得ない場合に限られます(施行規則81条)。日常的な通院の交通費は制度の外です。業界裏話ヒント:ここで諦めず税の側に回す。病状からみて急を要する等の事情があれば、通院のタクシー代は医療費控除の対象になりうる(所得税法73条)。保険で落ちた費用の領収書は、確定申告まで捨てないこと
終わりではありません。不支給決定に対しては社会保険審査官へ審査請求でき(健康保険法189条)、さらに社会保険審査会への再審査請求(同190条)、その後に取消訴訟という経路があります。業界裏話ヒント:ひっくり返る案件の多くは、法律論ではなく医学的記載の追加で決まる。当初の意見書が「歩行困難」で止まっていたものを、移動によって具体的にどんな危険があったかまで踏み込んで書き直してもらうと、審査請求段階で判断が変わることがある
被扶養者については家族移送費として支給されます(健康保険法112条)。算定方法と要件は被保険者の移送費と同じ枠組みで、申請するのは被保険者本人です。業界裏話ヒント:医師や看護師が付き添った場合の付添料を移送費に含められるかは、保険者ごとに運用が分かれており、実務上、解釈が一様ではない。申請前に自分の加入先(協会けんぽか健保組合か)の取扱いを電話で確認しておくと、後の不支給を避けられる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 給付の対象 | 97 条(移送費):病院又は診療所への移送に要した費用 | — |
| 支給の関門 | 保険者が必要と認める場合に限る(2 項)+施行規則 81 条の三要件 | — |
| 申請者 | 被保険者本人 | — |
| 支払方法と上限 | 償還払い。最も経済的な通常の経路及び方法による算定額が上限(施行規則 80 条) | — |
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