要点労災保険法 36 条は、海外派遣者を対象とする第三種特別加入を定める。会社が政府に申請し承認を得れば、海外で働く労働者も労災給付を受けられるが、未加入なら無保険となる。
Q · 海外赴任中に事故に遭ったら、日本の労災は使えるの?
会社が第三種特別加入をしていれば使えます
労災保険は原則として国内の事業にのみ適用されるため、海外赴任中の事故には自動では使えません。労災保険法 36 条の第三種特別加入を会社が政府に申請し、承認を得ていれば、海外で働く労働者も『労働者とみなされ』労災給付を受けられます。逆に会社が手続を忘れていれば無保険です。さらに加入していても、第三種特別加入保険料が滞納されていた期間中の事故は、政府が給付の全部または一部を行わないことができます。
海外の子会社へ三年間の赴任を命じられた。あなたは「日本の会社の社員のままだから、現地で事故に遭っても日本の労災が下りる」と思っているかもしれない。そこに落とし穴がある。日本の労災保険は原則として国内で行われる事業にしか適用されない。国境を越えて「派遣」された瞬間、あなたは国内労災の傘の外に出る。この穴を塞ぐ唯一の仕組みが、36 条が定める第三種特別加入だ。会社が政府に申請し承認を得て初めて、海外で働くあなたは労災給付を受けられる「労働者とみなされる」。逆に言えば、会社がこの手続を忘れていたら、あなたは海外で大怪我をしても一円も出ない。さらに加入していても、会社が第三種特別加入保険料を滞納していた期間中の事故であれば、政府は給付の全部または一部を行わないことができる。あなたの海外赴任の安全網は、会社の事務処理一つにぶら下がっている。
第三種特別加入とは、労働者災害補償保険法 36 条に基づき、海外へ派遣される労働者を労災保険の保護対象に取り込む制度である。労災保険は原則として国内の事業にのみ適用されるため、団体または事業主が政府に申請し承認を受けることで、海外派遣者を当該事業に使用される労働者とみなし、業務災害・複数業務要因災害・通勤災害の保険給付を可能にする。
海外へ派遣される労働者を労災保険の対象に取り込む制度です。労災保険法 36 条が根拠で、会社が政府に申請し承認を得れば、海外派遣者も労働者とみなされ労災給付を受けられます。
赴任する本人ではなく、会社(33 条 6 号の団体または 7 号の事業主)が申請主体です。本人がいくら望んでも、会社が手続をしなければ加入できません。
実際の給与ではなく、申請時に申告した給付基礎日額が基準になります(34 条 1 項 3 号準用)。低く申告されると給付も低くなるため、赴任前の確認が重要です。
申請後、政府の承認まで一定の期間がかかります。出発までに承認が下りないと無保険のまま渡航することになるため、赴任日から逆算して早めに申請する必要があります。
対象になります。36 条 1 項は業務災害だけでなく通勤災害も給付対象に含みます。ただし会社が第三種特別加入をしており、保険料を滞納していないことが前提です。
第三種特別加入保険料は会社(団体・事業主)が負担し納付します(徴収法 10 条)。本人は納付状況を把握しにくく、滞納期間中の事故は給付制限の対象になります。
現地国の制度と日本の第三種特別加入の双方から補償を受けられる場合があります。社会保障協定の有無や調整規定によるため、赴任前に両国の制度を確認しておくべきです。
派遣期間中の業務が原因と認められれば、帰国後に発病したうつや過労性疾患も給付対象になりえます。第三種特別加入をしていたことが前提となります。
決め手は名称や期間ではなく、現地での働き方の実態です。日本の事業場の指揮命令下で一時的に業務をするのが出張で、これは国内労災が自動で効きます。現地法人の組織に組み込まれて働くのが派遣で、こちらは 36 条の第三種特別加入をしなければ無保険です。業界裏話ヒント:労働基準監督署は『出張』という辞令の文言ではなく、誰の指揮下で、どの組織の一員として働いていたかという実態で判定します。会社が出張と処理していても実態が派遣なら覆りますし、逆もまた然りで、ここを争えば結論が変わることがある
できません。第三種特別加入は事前に申請して政府の承認を得る制度で(36 条 1 項)、事故が起きてから遡って加入することは認められていません。業界裏話ヒント:未加入のまま被災した場合、労災は出ませんが、会社には労働契約法 5 条の安全配慮義務があります。特別加入を怠ったこと自体が義務違反と評価されれば、本来労災で出たはずの額を会社が損害賠償として負担する構図になる。『労災が出ないから泣き寝入り』ではなく、請求先が国から会社へ移ると考える
あります。会社が第三種特別加入保険料を滞納していた期間中に起きた事故については、政府は保険給付の全部または一部を行わないことができます(36 条 1 項、徴収法 10 条)。業界裏話ヒント:加入者本人は保険料が現に納められているかを普段は知りません。会社任せで、滞納に気付くのは事故が起きて給付を断られた瞬間です。年に一度でも会社の労働保険料の納付状況を確認しておくと、この落とし穴を踏まずに済む
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象者 | 海外へ派遣される労働者(33 条 6 号・7 号) | — |
| 特別加入の種別 | 第三種特別加入(36 条) | — |
| 適用場面 | 国内事業から海外の事業へ派遣される場合 | — |
| 給付制限 | 第三種特別加入保険料の滞納期間中の事故は給付制限あり | — |
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