児童福祉法 第60条の3
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- 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 一第二十一条の四の六の規定に違反して、匿名小児慢性特定疾病関連情報の利用に関して知り得た匿名小児慢性特定疾病関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用したとき。
- 二第二十一条の四の八又は第三十三条の二十三の九の規定による命令に違反したとき。
- 三第三十三条の二十三の七の規定に違反して、匿名障害児福祉等関連情報の利用に関して知り得た匿名障害児福祉等関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用したとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 児童福祉法第60条の3は、日本の児童福祉法に含まれる条文です。
- 児童福祉法第60条の3の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 児童福祉法第60条の3は第八章 罰則に置かれています。
- 児童福祉法の公布日は昭和22年12月12日です。
- 児童福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 児童福祉法第60条の3の前の条は児童福祉法第60条の2です。
- 児童福祉法第60条の3の次の条は児童福祉法第61条です。
- 児童福祉法第60条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第60条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 - 本サイト収録
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第60条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000164/60_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点児童福祉法60条の3は、匿名化された小児慢性特定疾病・障害児福祉データの漏示や不当目的利用、是正命令違反に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(併科可)を科す。
Q · 国から匿名の小児慢性疾病データをもらった研究者が、使い方を間違えると犯罪になるの?
漏示・不当目的利用・命令違反なら刑事罰の対象になる
児童福祉法60条の3により、匿名小児慢性特定疾病関連情報や匿名障害児福祉等関連情報の提供を受けた者が、その内容をみだりに他人に知らせたり不当な目的に利用したりした場合、1年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金、又はその併科となりえます。さらに、21条の4の8・33条の23の9に基づく命令に違反しただけでも同じ刑が定められており、情報が外部に漏れていなくても処罰対象になりうる点に注意が必要です。
解説
「匿名化されているのだから、もう個人情報ではない」。研究者や事業者がそう考えた瞬間に踏み抜くのが、この罰則である。児童福祉法は、小児慢性特定疾病(小児がん、1型糖尿病、重い心疾患など)の児童の医療データと、障害児福祉サービスの利用データを国のデータベースに集め、研究者・自治体・民間事業者へ「匿名」の形で提供する仕組みを持つ。その提供を受けた側が、知り得た内容をみだりに他人に知らせたり、不当な目的に使ったりすれば、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、しかも両方を併せて科されうる。そしてあなたが本当に注意すべきは、処罰の入口が「漏らした」だけではないという点だ。厚生労働大臣の是正命令に従わないだけで、同じ刑が待っている。情報が一件も外に出ていなくても、机に置きっぱなしの命令書が犯罪を成立させる場面がある。
法的な位置づけ
児童福祉法第60条の3は、国が収集した小児慢性特定疾病児童等および障害児福祉サービスに関する情報を匿名化して提供を受けた者について、その内容の漏示・不当目的での利用、ならびに同法所定の命令への違反を処罰する規定である。法定刑は1年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金またはその併科とされる。
よくある質問 AI による整理
Q1匿名小児慢性特定疾病関連情報とは何ですか?
小児慢性特定疾病の児童等に関する医療データを、特定の個人を識別できないよう加工した情報です。研究者等への提供が認められ、受け手には遵守義務が課されます。
Q2児童福祉法60条の3の罰則はどのくらい重いですか?
1年以下の拘禁刑若しくは50万円以下の罰金で、両方を併せて科すこともできます。漏示・不当目的利用・命令違反のいずれも同じ法定刑です。
Q3匿名障害児福祉等関連情報 目的外利用 違法?
不当な目的での利用は33条の23の7違反となり、60条の3第3号で処罰対象になりえます。利用申出で示した範囲を超える利用は特に注意が必要です。
Q4拘禁刑とは何ですか?懲役とは違うの?
2025年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮を一本化した刑罰です。本条の法定刑も拘禁刑と表記されており、古い解説書の「懲役」表記とは異なります。
Q5児童福祉法60条の3の公訴時効は何年?
長期5年未満の拘禁刑に当たる罪のため3年です(刑事訴訟法250条2項)。命令違反で不履行が続く場合、起算点が後ろにずれる可能性があります。
Q6学会発表で統計を出すだけでも違反になる?
症例数が極めて少ない区分では、地域や年齢の組み合わせで個人が推測されうるため「みだりに他人に知らせ」の議論に入りえます。公表前の集計粒度の確認が重要です。
Q7委託先が勝手にデータを使ったら誰の責任?
本条は「当該違反行為をした者」を処罰するため、まず実際に行為した者が対象です。ただし委託を指示した側も、関与の程度によって責任を問われる余地があります。
Q8個人情報保護法の匿名加工情報と何が違う?
個人情報保護法は匿名加工情報の一般ルールを定めますが、本条は児童福祉法上の国のデータベースから提供された情報に特化し、直接の刑事罰を置いている点が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1匿名のデータなんだから、扱いが多少ずさんでも実害はないですよね?
本条が処罰するのは実害の発生ではなく行為そのものです。21条の4の6と33条の23の7が「みだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用」することを禁じ、60条の3が1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科します。誰も特定されなくても成立しえます。実務のポイント:実務で最初に問題化するのは派手な漏えいではなく、申出書に書いていない解析を走らせた範囲外利用です。監査で真っ先に突き合わされるのは解析ログと申出書の二枚。
Q2厚労省から命令が来たんですが、弁護士を探してから動く時間ってありますか?
命令書には履行期限が明記されており、その期限を過ぎた不履行が60条の3第2号(21条の4の8、33条の23の9の命令違反)の構成要件になります。期限内に一部でも履行し、その記録を残すことが弁護士探しより先です。実務のポイント:命令の前段階には通常、報告徴収や立入検査があります。そこでの回答内容が後に「命令違反の故意」を基礎づける資料になるため、勝負は命令書が届く前に始まっています。
Q3罰せられるのは研究者個人ですか、それとも所属する大学や会社ですか?
条文は「当該違反行為をした者」と定めており、まず実際に行為した自然人が対象です。組織に責任が及ぶかは、両罰規定の有無と社内の役割分担の認定次第になります。実務のポイント:データ提供を受ける名義は組織でも、解析を実行するのは個人です。利用申出書の責任者欄に名前を書いた人が、刑事の入口で最初に呼ばれる。あの欄に誰の名前を入れるかは事務手続ではなく、リスク配分の意思決定です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「匿名化されているのだから、万一漏れても誰も特定されないし大丈夫では」という問いの立て方そのものが誤っている。本条が処罰するのは再識別が成功したかどうかではなく、みだりに知らせる行為と不当な目的での利用そのもの。結果として誰一人特定されなくても、行為が終わった時点で犯罪は完成しうる
- 命令違反にも罰則があることは知っている人でも、その刑が漏えいとまったく同じ重さ(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、併科あり)だと知る人は少ない。是正命令を行政指導の延長線にある「お願い」だと受け取っていると、履行期限の翌日から刑事事件の領域に入っていることに気付けない
- あなたから見れば「もらったデータを研究のために少し広く使っただけ」だが、条文から見れば利用申出の範囲外の利用は「不当な目的」に接近する。この落差が、悪意ゼロの研究者や自治体職員を被疑者にする。善意は構成要件を消してくれない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 児童福祉法60条の3:違反に対する刑罰を定める罰則規定 | 児童福祉法21条の4の6:匿名小慢情報の漏示・不当利用を禁じる行為規範 刑法134条:医師・弁護士等の秘密漏示を処罰する一般規定 |
| 対象となる者 | 匿名化データの提供を受け利用する者、命令の名宛人 | 匿名小児慢性特定疾病関連情報の利用者 医師・薬剤師・弁護士など法定の職業者 |
| 処罰の入口 | 漏示・不当目的利用に加え、命令違反という不作為でも成立 | それ自体に刑罰はなく、60条の3第1号を通じて処罰 業務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らす行為 |
| 告訴の要否 | 親告罪の定めなし | 行為規範のため該当なし 親告罪(刑法135条) |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は医療データ二次利用に特化した罰則ではなく、個人資料の一般法で不法目的の利用を刑事処罰する。日本のように特定データベースの受け手を狙い撃ちにする設計とは異なる
韓国は仮名情報の再識別禁止を一般法で定め、違反に罰則を置く。保健医療データの研究利用も仮名情報制度の枠内で規律される
ドイツは GDPR を補完する連邦データ保護法で、権限のない個人データの提供等を刑事処罰する
フランスは刑法典に個人データ処理に関する犯罪類型をまとめて置く
米国は識別可能な健康情報の不正開示を連邦法で刑事処罰する。匿名化データそのものの受け手規制ではない点で日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 大学の研究室でデータ提供を受けた後、安全管理措置の不備を指摘され、厚生労働省名義の是正命令が届いた。履行期限は書面に明記されている。教授は「学内の稟議が回ってから」と後回しにする。期限を過ぎた不履行が続けば、条文上の被告人席に立つのは大学ではなく、実際に対応を握っていた個人でありうる
- 学会発表のスライドに、提供データから作った「稀少疾患の地域別症例数」を載せたらどうなるか? 母集団が数人しかいない地域では、年齢と自治体名の組み合わせだけで近隣住民には誰のことか分かってしまう。「みだりに他人に知らせた」の線は、悪意の有無ではなくこの粒度のところで引かれる
- 共同研究先のベンダーに、利用申出書に書いていない追加解析を口頭で頼んだ。契約上はグレーでも、条文上は「不当な目的に利用した」の議論に入る。委託先の逸脱は、申出をした側の責任として跳ね返る
- ヘルステック企業の担当者が、提供を受けた匿名障害児福祉等関連情報を自社の顧客データと突合し、営業リストの精度を上げようとした。社内では「データ活用の工夫」と呼ばれる。条文から見れば、これが最も典型的な「不当な目的に利用」であり、決裁した担当者個人に刑事責任が向かう
取るべき行動
被害を受けた側:自分や子のデータが目的外に使われていると疑う場合、まず厚生労働省の担当部局への情報提供が最短経路になる。本条には親告罪の定めが置かれていないため、あなたの告訴がなくても捜査は動きうる。並行して個人情報保護委員会への申出を検討し、精神的損害があれば民法709条に基づく損害賠償を別軌道で組む。どの研究機関・事業者に提供されたかは、国が公表する利用実績資料から追跡できる。
訴えられた側:争点を二つに分けて防御を組む。漏えい・目的外利用型なら、利用申出書の記載範囲、社内の決裁記録、解析ログを時系列で並べ「申出の範囲内」であることを示す。命令違反型なら、命令書の到達日、履行期限、その間に取った措置の記録がすべてを決める。取調べ前に最終決裁者が誰かを確定させること。処罰対象は行為をした自然人でありうるため、組織防衛と個人防衛の利益は一致しない。代理人を分ける判断も早い段階で必要になる。
時効(請求できる期限):公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項、長期5年未満の拘禁刑に当たる罪)。命令違反型は不履行が続く限り起算点が後ろへ動きうる。是正命令自体の履行期限は命令書に個別記載されるため、実務上の最初の時計は封筒の中の日付である(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)改正(施行年・法律番号の確認要) 小児慢性特定疾病児童等および障害児福祉に関する国のデータベースの法定化と第三者提供の仕組み導入に伴い、提供を受けた者の遵守義務違反および監督命令違反に対する罰則として整備された。新設か既存条文の拡充かを含め、人的検証が必要
- 令和4年(2022年)刑法等一部改正、令和7年(2025年)6月1日施行 「懲役」「禁錮」の「拘禁刑」への統合に伴い、本条の法定刑表記も拘禁刑に改められた。2025年6月1日より前に書かれた解説書の刑名表記は現行法と一致しない
改正の年表
- 1.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部を改正する法律の施行(2025年6月1日)に伴い、懲役・禁錮が拘禁刑に一本化され、本条の法定刑表記も拘禁刑となった
- 児童福祉法 第21条の4の6第1号の禁止行為を定める本体規定
- 児童福祉法 第21条の4の8第2号の命令の根拠規定
- 児童福祉法 第33条の23の7第3号の禁止行為を定める本体規定
- 児童福祉法 第33条の23の9第2号後段の命令の根拠規定
- 児童福祉法 第61条保育士の秘密保持義務違反の罰則、同水準の法定刑
- 個人情報の保護に関する法律 第43条匿名加工情報の一般規律との適用上の対比
- 刑法 第134条秘密漏示の一般犯罪類型、法定刑の重さの比較基準
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