公認会計士法 第34条の21(虚偽又は不当の証明等についての処分等)
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- 内閣総理大臣は、監査法人がこの法律(第三十四条の十の五及び次章を除く。以下この項及び次項第三号において同じ。)若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき、又は監査法人の行う第二条第一項の業務の運営が著しく不当と認められる場合において、同項の業務の適正な運営を確保するために必要であると認めるときは、当該監査法人に対し、必要な指示をすること(同号に該当した場合において、次項の規定により業務管理体制の改善を命ずること及び第三項の規定により社員が監査法人の業務又は意思決定の全部又は一部に関与することを禁止することを除く。)ができる。
- 2.内閣総理大臣は、監査法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その監査法人に対し、戒告し、第三十四条の十三第一項に規定する業務管理体制の改善を命じ、二年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができる。
- 一社員の故意により、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
- 二社員が相当の注意を怠つたことにより、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
- 三この法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるとき。
- 四前項の規定による指示に従わないとき。
- 3.内閣総理大臣は、監査法人が前項各号のいずれかに該当するときは、その監査法人に対し、二年以内の期間を定めて、当該各号に該当することとなつたことに重大な責任を有すると認められる社員が当該監査法人の業務又は意思決定の全部又は一部に関与することを禁止することができる。
- 4.第三十二条から第三十四条までの規定は、前二項の処分について準用する。
- 5.第二項及び第三項の規定による処分の手続に付された監査法人は、清算が結了した後においても、この条の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。
- 6.第二項及び第三項の規定は、これらの規定により監査法人を処分する場合において、当該監査法人の社員である公認会計士につき第三十条又は第三十一条に該当する事実があるときは、その社員である公認会計士に対し、懲戒の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。
- 7.第二項及び第三項の規定は、これらの規定により監査法人を処分する場合において、当該監査法人の特定社員につき第三十四条の十の十七第二項に該当する事実があるときは、当該特定社員に対し、同項の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。
この条文の基本情報
虚偽又は不当の証明等についての処分等とは何ですか?
定義虚偽又は不当の証明等についての処分等とは、公認会計士法第34条の21に定められた規定で、「内閣総理大臣は、監査法人がこの法律(第三十四条の十の五及び次章を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 公認会計士法第34条の21(虚偽又は不当の証明等についての処分等)は、日本の公認会計士法に含まれる条文です。
- 公認会計士法第34条の21の条文原文は「内閣総理大臣は、監査法人がこの法律(第三十四条の十の五及び次章を除く。」で始まります。
- 公認会計士法第34条の21は第七節に置かれています。
- 公認会計士法の公布日は昭和23年7月6日です。
- 公認会計士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 公認会計士法第34条の21の前の条は公認会計士法第34条の20の2です。
- 公認会計士法第34条の21の次の条は公認会計士法第34条の21の2です。
- 公認会計士法第34条の21には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第34条の21 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000103 - 本サイト収録
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第34条の21(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000103/34_21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点公認会計士法第34条の21は、虚偽証明や法令違反をした監査法人に、内閣総理大臣が戒告、改善命令、2年以内の業務停止、解散命令を行えると定める。過失は重大な虚偽に限る。
Q · 監査法人が監査を失敗したら、必ず処分されるの?
故意は全て、過失は重大な虚偽の見逃しのみが対象
公認会計士法34条の21第2項によれば、社員の故意により虚偽等のある財務書類を証明した場合は虚偽の大小を問わず処分対象となります。一方、相当の注意を怠った過失の場合は「重大な」虚偽、錯誤又は脱漏を見逃したときに限られます。処分は戒告、業務管理体制の改善命令、2年以内の業務の全部又は一部の停止、解散命令の中から選ばれ、責任ある社員の関与禁止(第3項)も併せて行われ得ます。
解説
監査法人への行政処分は、指示、戒告、業務管理体制の改善命令、最長2年の業務停止、解散命令の順に重くなる。さらに、問題に重大な責任がある社員だけを最長2年、業務や意思決定から外す処分(第3項)もある。カネボウの粉飾決算では中央青山監査法人が2か月の業務停止を受け、その後みすずに改称したが消滅した。処分は監査を受けている側にも影響する。上場企業のCFOや経理担当者、IPO(新規上場)準備中の起業家、監査法人で働く会計士にとって、本条は取引先が倒れるかどうかを決めるスイッチである。押さえておくべき点が二つある。一つ目に、過失による証明で処分対象になるのは「重大な」虚偽、錯誤又は脱漏に限られる(第2項第2号)。故意の場合はこの限定がない(第1号)。二つ目に、監査法人を清算しても、処分の手続が終わるまでは存続しているものとみなされる(第5項)。解散して処分を逃げることはできない。
法的な位置づけ
公認会計士法34条の21は、監査法人に対する行政処分を定める規定である。法令違反や運営の著しい不当に対する指示(第1項)、虚偽証明等を理由とする戒告・業務管理体制の改善命令・2年以内の業務停止・解散命令(第2項)、重大な責任を有する社員の業務関与禁止(第3項)を内閣総理大臣の権限として規定し、清算後の存続擬制(第5項)も置く。
よくある質問 AI による整理
Q1監査法人の業務停止とは何ですか?
公認会計士法34条の21第2項に基づき、2年以内の期間を定めて監査法人の業務の全部又は一部を停止させる行政処分です。新規契約のみの停止もあります。
Q2監査法人に解散命令は出せますか?
出せます。第2項は処分の最も重いものとして解散命令を規定しています。故意の虚偽証明や指示違反などが理由となり得ます。
Q3監査法人の処分は誰が決めますか?
条文上は内閣総理大臣ですが、第49条の4により権限は金融庁長官に委任されています。公認会計士・監査審査会の勧告を経るのが典型的です。
Q4監査法人 処分 公表 どこで見られる?
金融庁のウェブサイトの報道発表で、処分対象の監査法人名、処分理由、業務停止の範囲と期間が公表されます。
Q5監査法人が処分されたら監査契約は解除できる?
可能ですが、決算日程との兼ね合いが重要です。業務停止の範囲を確認し、必要なら会社法346条4項の一時会計監査人の選任を準備します。
Q6監査法人の社員だけを処分できる?
できます。第3項により、重大な責任を有する社員が2年以内の期間、法人の業務又は意思決定に関与することを禁止できます。
Q7監査法人を解散すれば処分を免れる?
免れません。第5項により、処分手続に付された監査法人は清算結了後も手続が終わるまで存続するものとみなされます。
Q8監査法人の処分に不服がある場合はどうする?
審査請求(行政不服審査法)又は取消訴訟(行政事件訴訟法)を検討します。出訴・申立期間に制限があるため早期に弁護士へ相談します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1監査法人が業務停止になったら、うちの会社の決算はどうなるんですか?
停止の範囲によって違う。全部の停止なら監査を続けられなくなるので、後任の監査法人か一時会計監査人(会社法346条4項)が必要になる。新規契約だけの一部停止なら、既存の契約はそのまま続くことが多い。実務のポイント:処分の内容は公表される前から報道で漏れ伝わることが多い。報道が出た日のうちに、監査法人に契約継続の可否を書面で確認しておく会社ほど、後任探しで有利に立てる
Q2監査法人のパートナーが処分を受けたら、会計士資格もなくなるんですか?
本条第3項の関与禁止は、法人の業務に関わることを禁じる処分であって、資格を取り消すものではない。ただし第6項により、第30条の懲戒(戒告、2年以内の業務停止、登録抹消)を併せて受けることがある。実務のポイント:法人の処分の公表文には個人名が出ないことが多いが、個人の懲戒は別に公表される。処分を受けたパートナーが他の監査法人に移れるかどうかは、個人の懲戒の内容次第である
Q3処分って、金融庁がいきなり出してくるんですか?
実務では、公認会計士・監査審査会の検査を経て勧告が出され、それを受けて金融庁長官が処分するという流れが典型的である(内閣総理大臣の権限は第49条の4で委任されている)。実務のポイント:審査会の勧告が出た時点で、処分はほぼ避けられない段階に入っている。勝負どころは、その前の検査で指摘を受けた段階で、どこまで改善を見せられるかである
間違えやすい点 AI による整理
- 「監査の失敗はすべて処分対象になる」と考えるのは不正確である。相当の注意を怠った(過失)場合に処分されるのは、「重大な」虚偽、錯誤又は脱漏を見逃して証明したときに限られる。軽微な誤りまで処分の対象になるわけではない。一方、故意の場合はこの「重大な」という限定がなく、どんな虚偽でも処分の対象になる
- 「監査法人が処分されたら、パートナー個人は法人の陰に隠れられる」というのは逆である。第6項と第7項は、法人の処分と個人の懲戒(第30条・第31条)や特定社員への処分を併せて行えることを明記している。法人の処分と個人の責任追及は別々の軌道で同時に進む
- 問題は「処分が下るかどうか」より「どの段階の処分か」である。新日本有限責任監査法人の東芝案件(平成27年(2015年))では、全業務の停止ではなく、新規契約の締結に関する業務の停止3か月に業務改善命令と課徴金が組み合わされた。業務の「一部」停止という段階があることを知らないと、報道を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処分の対象 | 公認会計士法34条の21:監査法人(及び重大な責任ある社員の関与禁止) | 公認会計士法30条:虚偽証明をした公認会計士個人 公認会計士法34条の21の2:監査法人(課徴金) |
| 処分の種類 | 指示、戒告、業務管理体制の改善命令、2年以内の業務の全部又は一部の停止、解散命令 | 戒告、2年以内の業務停止、登録の抹消 課徴金の納付命令 |
| 過失の場合の要件 | 重大な虚偽、錯誤又は脱漏を見逃して証明したとき | 重大な虚偽、錯誤又は脱漏を見逃して証明したとき 重大な虚偽等の証明(金額は監査報酬相当額が基準) |
| 併科の可否 | 第6項・第7項により個人の懲戒や特定社員の処分と併科可 | 法人処分と並行して進行 業務停止等の処分と併せて命じられ得る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では簽證会計師への処分は金融監督管理委員会が行い、警告や一定期間の簽證停止が中心。法人会計師事務所への処分も会計師法で規律される
韓国では金融委員会・証券先物委員会が会計法人への業務停止や課徴金を科す。法人と個人会計士の二重の制裁構造は日本と類似
ドイツではAPASやWirtschaftsprüferkammerが職業監督措置を行う。戒告から職業禁止まで段階的な制裁が用意されている
米国ではPCAOBが監査事務所の登録取消・業務制限・制裁金などを科す。エンロン事件後のアーサー・アンダーセン消滅が制度設計の背景にある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 来年3月の上場を目指して準備しているところに、主幹の監査法人が業務停止になったと報じられた。上場審査に必要な監査証明が途切れれば、上場スケジュールは振り出しに戻る。後任を探すのに残された時間は、数週間しかないかもしれない
- もしあなたが担当パートナーで、顧客の売上の前倒し計上に気付きながら「重要性は低い」と判断して適正意見に署名していたら、どうなるのか。監査法人が処分されるのと同じタイミングで、あなた個人も第30条の懲戒を受ける可能性がある(第6項)。法人が盾になってくれるわけではない
- 監査法人の若手スタッフとして働く友人から、「うちの法人に金融庁の検査が入った。自分も処分されるのか」と相談された。業務停止や関与禁止の対象になるのは法人と、重大な責任がある社員(パートナー)である。ただし、法人が業務停止になれば担当先がなくなるので、キャリアへの影響は避けられない
- 保有している銘柄の監査法人が処分を受けた。監査報告書の信頼性が揺らぎ、株価が急落する。投資家としてまず確認すべきなのは、処分の理由が第2項第1号(故意)なのか第2号(相当の注意を怠った)なのかである。粉飾にどこまで関与していたかの見立てが、まったく変わってくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 処分の公表文で、根拠の号、業務停止の範囲(全部か一部か、新規契約だけか)、期間を確認する2. 自社の監査契約が続けられるかを監査法人に書面で問い合わせ、空白が出そうなら一時会計監査人の選任(会社法346条4項)を準備する3. 粉飾を見逃されたことで投資家として損害を受けた場合は、監査証明をした者の責任(金融商品取引法の関連規定、民法709条)を検討する。証拠となる開示資料はすぐに保存しておく
訴えられた側:1. 処分に先立つ聴聞などの手続(第4項で準用する第32条以下)で、相当の注意を尽くしたことと、虚偽が「重大」ではないことを監査調書に基づいて立証する2. 第1項の指示を受けた時点で改善計画を作って実行し、第2項第4号を理由とする処分を避ける3. 法人の処分と個人の懲戒は並行して進むため、法人と社員個人とで別々に代理人を立てることを検討する4. 処分に不服がある場合は、審査請求または取消訴訟を検討する
時効(請求できる期限):本条そのものに特定の時効はない。処分に不服があるときは、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)が期限になる(最新の改正状況をご確認ください)。投資家の損害賠償請求は、民法724条により損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)改正 カネボウ事件などを受けた改正で、業務改善命令、課徴金制度(第34条の21の2)、特定社員制度などが整備され、本条の処分メニューが拡充された(詳細な文言変更は要確認)
- 社員の関与禁止処分(第3項)の追加時期 責任のある社員を業務・意思決定から外す処分の導入時期と改正経緯は要人的検証
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:公認会計士法制定。監査法人制度は後の改正で導入され、本条は監査法人制度の整備に伴い置かれた
- 2.平成19年(2007年) 改正:カネボウ事件等を受けた改正で、業務管理体制の改善命令、課徴金制度(34条の21の2)、特定社員制度などが整備され、処分メニューが拡充された(詳細な文言変更は要確認)
- 公認会計士法 第30条虚偽証明をした公認会計士個人の懲戒
- 公認会計士法 第31条公認会計士の一般の懲戒、第6項で併科
- 公認会計士法 第34条の13業務管理体制の整備、改善命令の基準
- 公認会計士法 第34条の21の2監査法人に対する課徴金納付命令
- 公認会計士法 第49条の4内閣総理大臣権限の金融庁長官等への委任
- 金融商品取引法 第193条の2上場会社等の財務書類への監査証明義務
- 会社法 第346条会計監査人欠員時の一時会計監査人選任
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