刑事訴訟法 第188条の4
クイックジャンプ
検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該事件の被告人又は被告人であつた者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。ただし、被告人又は被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第188条の4は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第188条の4の条文原文は「検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定したときは、これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該…」で始まります。
- 刑事訴訟法第188条の4は第十六章 費用の補償に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第188条の4の前の条は刑事訴訟法第188条の3です。
- 刑事訴訟法第188条の4の次の条は刑事訴訟法第188条の5です。
- 刑事訴訟法第188条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第188条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第188条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/188_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法188条の4は、検察官のみが上訴して棄却・取下げで確定した場合、無罪確定の場合を除き、国がその審級の費用を被告人に補償すると定める。請求は期間内に必要。
Q · 検察官だけが控訴して負けたら、有罪のままの私でも裁判費用を取り戻せるの?
取り戻せます。検察官が敗訴した審級の費用は国が補償します
刑事訴訟法188条の4により、検察官のみが上訴し、その上訴が棄却・取下げで原裁判が確定したときは、無罪確定の場合を除き、国がその審級で生じた費用(弁護士費用・旅費・日当等)を補償します。有罪のままでも対象です。ただし、被告人の責めに帰すべき事由で生じた費用は補償されないことがあります(但書)。請求は被告人側が期間内に申し立てる必要があり、自動では支払われません。
解説
一審であなたに納得できる判決が出て、あなたは控訴しなかった。ところが検察官だけが「刑が軽すぎる」と高裁へ控訴してきた。日本では、被告人が勝っても、あるいは軽い判決で済んでも、検察官は上訴できる。あなたは望まぬ二回戦に引きずり込まれ、また弁護士を雇い、また法廷に通う。そして検察官の控訴が棄却され、または取り下げられて一審判決が確定したとき、刑訴法188条の4が動く。国は、その上訴審であなたが負担した費用、旅費も日当も弁護士費用も補償する。注目すべきは、あなたが有罪のままでも補償される点だ。無罪が確定したなら188条の2という別ルートになるが、有罪でも、検察官が仕掛けて負けた一戦の費用は国が払う。無駄に争った代償を、争いを始めた国が引き受ける仕組みだ。ただし、あなた自身の落ち度で生じた費用は除かれることがある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法188条の4は、検察官のみが上訴し、その上訴が棄却または取下げにより原裁判が確定した場合に、無罪確定の場合を除き、国がその審級で被告人に生じた費用を補償する旨を定める規定である。無罪確定時の補償(188条の2)と対をなし、有罪が維持された審級でも国の費用負担を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.検察官のみの上訴・敗訴・確定を確認 検察官だけが上訴し、それが棄却または取下げで原裁判が確定したことを確認する。無罪が確定した場合は188条の2ルートになるため、有罪維持か無罪確定かを切り分ける
- 2.上訴審で生じた費用の領収書を揃える 弁護士費用・旅費・日当・宿泊料の領収書をすべて収集する。検察官の上訴開始時点から保存していれば手続が速い。後から集め直すと補償の可否にも影響する
- 3.原裁判所に費用補償を請求 原裁判をした裁判所に、188条の5の手続に従って費用補償の請求を申し立てる。確定通知が届いた日を起点に請求期間を逆算し、最優先で動く
- 4.補償額の算定基準を事前確認 補償額は188条の6と刑事訴訟費用等に関する法律の基準で算定され、実費との差が出る。申立て前に基準額を把握し、必要に応じて弁護人に代行・助言を依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1費用補償とは何ですか?
上訴審などで生じた弁護士費用・旅費・日当を国が補償する制度です。刑事訴訟法188条の2以下が定め、188条の4は検察官のみが上訴して敗れた審級の費用を対象とします。
Q2188条の2と188条の4の違いは何ですか?
188条の2は無罪が確定した場合の費用補償、188条の4は検察官のみの上訴が棄却・取下げで原裁判が確定した場合(無罪確定を除く)の補償です。有罪のままでも188条の4で補償されます。
Q3検察官上訴の費用は誰が払うのですか?
検察官のみが上訴して敗れた場合、その審級で被告人に生じた費用は国が補償します(188条の4)。被告人が有罪のままでも対象になる点が特徴です。
Q4費用補償の請求はいつまでにすればいいですか?
原裁判が確定した後の限られた期間内に申し立てる必要があります(188条の5が188条の3を準用)。期間を過ぎると請求権が消滅するため確定通知後すぐ動く必要があります。
Q5補償される弁護士費用に上限はありますか?
実際に支払った全額ではなく、188条の6と刑事訴訟費用等に関する法律が定める算定基準による上限があります。領収書とは別に基準額の確認が必要です。
Q6費用補償はどこに請求するのですか?
原裁判をした裁判所に請求を申し立てます(188条の5の手続)。裁判所が職権で補償することはなく、被告人側からの申立てが必要です。
Q7旅費や日当も補償されますか?
補償されます。弁護士費用に加え、出廷のための旅費・日当・宿泊料が対象で、額は刑事訴訟費用等に関する法律の基準に従って算定されます。
Q8無罪になった場合も188条の4で請求するのですか?
いいえ。無罪が確定した場合は188条の2が適用され、188条の4は明文でこれを除外します。問うべきは「誰が上訴して負けたか」と「無罪確定か否か」です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1検察が控訴して負けたら、本当に国がお金を返してくれるんですか?
返します。188条の4により、国は上訴審で生じた費用を補償します。対象は弁護士費用・旅費・日当・宿泊料で、有罪のままでも補償されます(無罪確定の場合だけは188条の2の別ルート)。実務のポイント:補償される弁護士費用は実際に払った全額ではなく、188条の6が定める算定基準による上限があります。領収書とは別に基準額を確認しておかないと、思ったより戻らないと感じることになる
Q2有罪になったのに費用を補償してもらえるって、おかしくないですか?
おかしくありません。188条の4の主眼は「誰が無駄に争ったか」です。検察官だけが上訴して負けた以上、追加の審級を仕掛けた国がその費用を引き受ける、というのが条文の論理です。あなたの一審での有罪とは別問題として扱われます。実務のポイント:ただし但書があり、あなたの責めに帰すべき事由で生じた費用は補償されないことがある。不必要な引き延ばしをしていないか、裁判所は補償の場面で見ている
Q3請求しないと自動でもらえないんですか?
もらえません。裁判所が職権で補償してくれるわけではなく、あなた自身が請求期間内に申し立てる必要があります(188条の5)。実務のポイント:弁護人が手続の最後に「費用補償の請求を忘れずに」と教えてくれるとは限りません。請求できることを知らないまま期間を徒過する人が実際にいる、確定通知が来たら自分から動く
間違えやすい点 AI による整理
- 多くの人は「無罪になった人だけが費用を取り戻せる」という問いの立て方をする。だがその問い自体がずれている。188条の4は有罪が確定した人のための条文だ。無罪なら188条の2、有罪でも検察官が負けた審級なら188条の4。問うべきは「誰が上訴して負けたか」であって「あなたが有罪か無罪か」ではない
- 「裁判で負けた側が費用を払うのが当然」と思われているが、検察官が控訴して負けた場合、被告人が有罪でも国が費用を補償する。勝敗と費用負担が一致しない、刑事手続独特の設計だ
- 検察官上訴があること自体は知っていても、その経済的破壊力を知らない人が多い。一審で勝っても、控訴審・上告審と二段三段の弁護士費用がのしかかる。188条の4はその一部を取り戻す装置だが、放置すれば請求期間が過ぎて権利が消える。深刻なのは制度があることより、使わないと消えることだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 補償の発動場面 | 188条の4:検察官のみの上訴が棄却・取下げで確定(無罪確定を除く) | 188条の2:無罪が確定した場合の費用補償 181条:有罪時の訴訟費用を被告人に負担させる規定 |
| 被告人の有罪・無罪 | 有罪のままでも補償される | 無罪確定が前提 有罪が前提(被告人負担) |
| 手続・算定の根拠 | 請求手続は188条の5、費用範囲・算定は188条の6 | 請求手続は188条の3、算定は188条の6 裁判所が訴訟費用の負担を裁判で言い渡す |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は羈押・執行に対する刑事補償が中心で、検察官上訴が失敗した審級の防御費用を被告人に補償する専条は乏しい
韓国は無罪判決等に対する費用補償を定め、防御費用の国による補償という点で日本と機能的に近い
ドイツは上訴が奏功しなかった側に費用を負担させる原則をとり、検察側の上訴が失敗すれば国庫が費用を負担する
米国は無罪への検察官上訴を二重の危険条項で原則禁止し、本条のような『検察官上訴敗訴時の補償』場面自体が生じにくい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で執行猶予がついた。あなたはそれで手を打つつもりだった。なのに検察官が「実刑にすべきだ」と控訴してきたら、あなたはどうなる。また弁護士費用がのしかかる。だが控訴が棄却されれば、その審級の費用は国から取り戻せる。多くの人がこの制度を知らずに自腹のまま終わらせている
- 裁判員裁判で市民6人があなたを無罪と判断した。それでも検察官は高裁へ控訴できる。プロの裁判官にもう一度判断させるためだ。控訴が棄却され無罪が固まれば188条の2、原判決が有罪のままなら188条の4で、あなたが負担した防御費用は国が見る
- 検察官の控訴が棄却された。判決確定の通知が届く。請求できる期間は限られている。今動かなければ、払い戻しの権利そのものが消える
- あなたは詐欺で一審有罪、罰金刑。控訴せず受け入れた。検察官だけが懲役を求めて控訴し、敗れた。「有罪の自分に補償なんてあるわけない」と諦めかけるが、188条の4はまさにこの場面のためにある。有罪でも、検察官が負けた審級の費用は返ってくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 検察官のみが上訴し、それが棄却または取下げで原裁判が確定したことを確認(無罪確定なら188条の2ルートへ) 2. その上訴審で生じた費用、弁護士費用・旅費・日当・宿泊料の領収書をすべて揃える3. 原裁判をした裁判所に費用補償の請求を申し立てる(188条の5の手続) 4. 補償額は188条の6の基準で算定されるため実費との差を事前に把握。請求期間を過ぎると権利が消えるので、確定通知が来たら最優先で動く
訴えられた側:1. 一審であなたに有利または納得できる判決が出て検察官だけが上訴してきたら、その時点から防御費用の記録を開始2. 弁護人と「控訴が棄却されたら188条の4で費用補償を請求する」方針を共有3. 自分の責めに帰すべき事由(不必要な引き延ばし等)で費用を膨らませない、但書で不補償になりうる4. 控訴棄却・確定後、速やかに請求。弁護人が請求の代行・助言をしてくれるか事前に確認
時効(請求できる期限):原裁判が確定した後の請求期間内(刑訴法188条の5が188条の3を準用し、原則6箇月以内とされる)。起算点は当該上訴に係る原裁判の確定日。期間経過で請求権は消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:刑事訴訟法改正により被告人に対する費用補償制度(188条の2〜188条の7)が新設され、検察官のみの上訴が奏功しなかった場合の補償を定める188条の4が設けられた(施行は平成17年)。最新の改正状況は e-Gov でご確認ください
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める