刑事訴訟法 第299条の3
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検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証人の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書類若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、被害者特定事項が明らかにされることにより、被害者等の名誉若しくは社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくはこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは、弁護人に対し、その旨を告げ、被害者特定事項が、被告人の防御に関し必要がある場合を除き、被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができる。ただし、第二百七十一条の二第二項の規定により起訴状抄本等を提出した場合を除き、被告人に知られないようにすることを求めることについては、被害者特定事項のうち起訴状に記載された事項以外のものに限る。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第299条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第299条の3の条文原文は「検察官は、第二百九十九条第一項の規定により証人の氏名及び住居を知る機会を与え又は証拠書類若しくは証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、被害者特定事項が明らかにさ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第299条の3は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第299条の3の前の条は刑事訴訟法第299条の2です。
- 刑事訴訟法第299条の3の次の条は刑事訴訟法第299条の4です。
- 刑事訴訟法第299条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第299条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第299条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/299_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法299条の3は、証拠開示で被害者特定事項が知られると名誉や平穏が著しく害されるおそれ等があるとき、検察官が弁護人に秘匿を求められる規定。ただし保護は申出がなければ起動しない。
Q · 刑事裁判で、加害者に自分の住所や名前を知られないようにできますか?
できます。検察官に被害者特定事項の秘匿を申し出られます。
刑事訴訟法299条の3により、検察官は、被害者特定事項が知られると名誉や平穏な生活が著しく害されるおそれ、または身体財産への加害や畏怖のおそれがあると認めれば、弁護人に対し、被告人の防御に必要な場合を除き、被害者特定事項を被告人その他の者に知られないよう求められます。ただし起訴状に記載済みの事項は原則被告人本人に届き、本人にまで伏せるには起訴前に起訴状抄本等(271条の2第2項)を求める必要があります。保護は被害者が声を上げて初めて起動します。
解説
ストーカーに刺された。元交際相手から殴られ続けた。勇気を出して被害届を出し、加害者が起訴された。そこで多くの被害者が初めて知る恐怖がある。刑事裁判では検察官の手持ち証拠を被告人側へ開示する仕組みがあり、その証拠の束の中に、あなたの氏名や住所が紛れ込んでいる。つまり、あなたを傷つけた相手に、あなたの居場所が制度の手で手渡されかねない。刑訴法299条の3は、その穴を塞ぐための非常口だ。検察官は、被害者特定事項が知られることで名誉や平穏な生活が著しく害されるおそれ、あるいはあなたや家族の身体財産への加害や畏怖困惑させる行為のおそれがあると認めたとき、弁護人に対し『被害者特定事項を被告人その他の者に知られないようにしてくれ』と求められる。さらに2023年の改正で、一定の場合には起訴状そのものからも氏名住所を伏せられる道が開かれた。ただし、この保護はあなたが声を上げなければ自動では働かない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法299条の3は、証拠開示に伴う被害者特定事項の秘匿請求を定める規定である。検察官は、被害者の名誉・社会生活の平穏が著しく害されるおそれ等を認めるとき、弁護人に対し、被告人の防御に必要な場合を除き、当該事項を被告人その他の者に知られないよう求めることができる。被告人本人への秘匿は、起訴状記載事項を除き、起訴状抄本等の提出を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被害届・告訴の段階で危害のおそれを資料化して伝える 警察官・検察官に『加害者に身元を知られると危害や畏怖のおそれがある』と具体的事情つきで伝える。過去の付きまとい・脅迫文・転居の経緯などを文書化して渡し、おそれの存在を記録に残す
- 2.証拠開示の前に299条の3の秘匿請求を明示的に申し出る 証拠開示(299条1項)が始まる前に、検察官へ被害者特定事項を被告人その他の者に知られないよう求めると明確に伝える。開示後では情報が既に流れている可能性があるため、タイミングが実効性を決める
- 3.本人にも隠したい場合は起訴前に起訴状抄本等を求める ストーカー・DV 等で被告人本人にも伏せたいなら、起訴前に検察官へ起訴状抄本等(271条の2第2項)の活用を求める。通常起訴後は起訴状記載事項が本人に確実に届くため、起訴という一点を越える前に動く
- 4.役所で DV 等支援措置を申請し三方向で穴を塞ぐ 刑事手続と並行して、市区町村で DV 等支援措置(住民票・戸籍附票の閲覧制限)を申請する。刑事・行政の両輪で初めて住所の流出経路が塞がる。民事提訴を予定するなら送達場所の工夫も弁護士と詰める
よくある質問 AI による整理
Q1被害者特定事項とは何ですか?
被害者の氏名・住所など、被害者を特定できる情報です。刑訴法299条の3は、これが加害者に知られて名誉や平穏が害される事態を防ぐための秘匿措置を定めます。
Q2被害者特定事項の秘匿はいつまでに申し出るべきですか?
証拠開示(299条1項)が行われる前が勝負です。開示後では弁護人を通じて情報が流れている可能性が高く、回収はできません。被害届の段階での早期申出が最も実効的です。
Q3刑事手続で秘匿しても住民票から住所が漏れませんか?
漏れる余地があります。299条の3は刑事手続内の措置にすぎず、役所で DV 等支援措置(住民票・戸籍附票の閲覧制限)を別途申請しないと、加害者が住民票請求で新住所に到達し得ます。
Q4被害者の親族の情報も守られますか?
条文は親族の身体・財産への加害や畏怖のおそれも秘匿の理由として明示しています。親族が脅迫対象になる事案では、その事情も検察官に資料化して伝えるべきです。
Q5秘匿を申し出るのに弁護士は必要ですか?
必須ではありませんが、被害者支援に強い弁護士の関与で、危害のおそれの疎明資料の整え方や起訴前の271条の2活用のタイミングが格段に的確になります。早期相談が有利です。
Q6秘匿の申出が認められないことはありますか?
あります。条文は「被告人の防御に関し必要がある場合」を例外とし、防御に身元が不可欠と判断されれば開示される余地が残ります。検察官・裁判所の判断材料を被害者側が尽くすことが重要です。
Q7性犯罪の被害者には特別な保護がありますか?
299条の3の秘匿に加え、公開法廷での秘匿決定(290条の2)、証人尋問の遮へい・ビデオリンク(157条の6)など複数の保護が重なります。事案に応じて組み合わせます。
Q8証拠開示とは何ですか?
検察官が手持ち証拠を被告人側に示す刑事手続です(299条1項)。被告人の防御権の根幹ですが、その過程で被害者の氏名・住所が相手に渡るリスクを299条の3が調整します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害者なんですけど、加害者に私の住所を絶対に教えないでほしい。これって頼めるんですか?
頼めます。検察官が、身元が知られることで名誉や平穏な生活が著しく害される、または身体財産への加害や畏怖のおそれがあると認めれば、弁護人に被害者特定事項を被告人その他の者に知られないよう求められます(299条の3)。実務のポイント:この制度は検察官が職権で気づいてくれるとは限りません。被害者支援の現場では、被害届の最初の段階で『危害のおそれ』を裏づける具体的事情(脅迫の履歴、転居の経緯)を文書で渡しておくのが定石。何も言わなければおそれの存在が記録に残らず、保護が起動しないまま手続が進みます
Q2弁護人には伝えるけど依頼者には言うな、って意味がよく分からないんですが。本人には結局バレるんですか?
原則として、起訴状にすでに書かれた事項は被告人本人に届きます。本人にまで伏せられるのは、2023年改正で新設された起訴状抄本等(271条の2第2項)を使った限られた場合だけです。それ以外は『弁護人は知るが依頼者には伝えない』という秘匿にとどまります。実務のポイント:ストーカーDV事案では、起訴前に検察官へ起訴状抄本等の活用を求めるかどうかが分水嶺。これを逃すと起訴状記載分は本人に確実に届くため、加害者本人から身を隠したいなら起訴前の動きが決定的です(最新の改正状況をご確認ください)
Q3私は訴えられた側です。被害者の名前すら教えてもらえないと、まともに防御できないのでは?
条文は『被告人の防御に関し必要がある場合を除き』と例外を置いています。防御に本当に必要であれば、その必要性を具体的に主張して開示を求める余地が残されています(299条の3)。実務のポイント:『何となく知りたい』では通りません。被害者供述の信用性を弾劾する具体的事情や、アリバイ立証に身元が不可欠といった筋道を立てて初めて必要性が認められやすくなります。漠然と全部知りたいと要求するより、ピンポイントで必要性を疎明する方が結果的に多くを引き出せます
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判になれば、被害者の個人情報は当然に守られる」と思い込んでいる人が多い。実際は逆で、証拠開示の原則は被告人の防御権のために情報を渡す方向に働く。秘匿は『検察官が認めて、弁護人に求めて』はじめて動く例外措置だ。黙っていれば守られるという前提そのものが誤っている
- 秘匿を頼めば被告人本人にも一切バレないと考えがちだが、これは深刻さの読み違いだ。原則として、起訴状にすでに記載された事項は被告人本人に届く。本人にまで完全に伏せられるのは、2023年改正で新設された起訴状抄本等(271条の2第2項)を使った限られた場合だけ。『弁護人には伝えるが依頼者には伝えない』という秘匿と、『被告人本人にも伝えない』という秘匿は、効力の射程がまるで違う
- 「これは検察官の権限の話で、被害者の自分が動く余地はない」と受け身になる人がいる。確かに条文の主語は検察官だ。だが検察官が『おそれあり』と認める判断材料を提供するのは被害者側であり、何も言わなければ検察官はおそれの存在に気づかない。あなたから見れば検察官の裁量、法律から見ればあなたの申出が引き金。この落差を埋めないと保護は起動しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護の局面 | 299条の3:証拠開示(捜査・公判前)で被告人側へ伝わるのを遮断 | 290条の2:公開法廷での被害者特定事項の秘匿決定 157条の6:証人尋問時の遮へい措置・ビデオリンク |
| 守る対象 | 被害者特定事項(氏名・住所等の情報) | 法廷での氏名等の朗読・公開 証人(被害者)の出廷時の姿・対面状況 |
| 起動の主体 | 検察官が認めて弁護人に求める(被害者の申出が引き金) | 裁判所の決定(申出を踏まえる) 裁判所の決定(申出を踏まえる) |
| 本人への効力 | 起訴状記載事項は原則本人に届く。本人秘匿は271条の2が前提 | 傍聴人・公衆に対する秘匿が中心 対面・所在の心理的圧迫を緩和 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も2020年改正で被害人の身元・隠私保護を明文化。被害者の特定事項の遮断という発想は日本と共通する。
韓国は申告者・被害者の身元情報を秘匿する特別法を持ち、住所・氏名の非公開を制度化している。
ドイツは証人が住所・身元の開示を留保できる仕組みを持ち、生命・身体の危険がある場合の保護を認める。
米国は被害者の尊厳・プライバシー保護を法定し、保護命令や封印措置を併用して身元を守る。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 別れた交際相手からの暴力で全治二週間、被害届を出して相手が傷害罪で起訴された。だが相手はあなたの今の住所を知らない。引っ越して逃げたからだ。ここで証拠開示が普通に進むと、診断書や供述調書に書かれた新住所が弁護人経由で相手に渡りうる。担当検事に299条の3の秘匿を申し出るかどうかで、あなたが今夜も安心して眠れるかが変わる
- もし、あなたが性犯罪の被害者で、加害者が『被害者の名前と連絡先を確認したい』と防御の名目で要求してきたら、どうなる? この条文は『被告人の防御に関し必要がある場合を除き』と例外を置いている。つまり防御に本当に必要かどうかが争点になる。何が『必要』かの線引きは検察官と裁判所が判断するため、あなた自身も理由を尽くして秘匿を求める材料を出しておくべきだ
- あなたが被告人側、つまり訴えられた立場のケース。検察官から弁護人に『被害者の身元を依頼者に伝えないでほしい』と求められた。弁護人はあなたに被害者の名前を教えられない。だが防御に本当に必要なら、その必要性を主張して開示を求める余地は残されている。情報が全く来ないからと諦める前に、防御上の必要性を具体的に詰めることだ
- ストーカー被害で加害者が起訴される直前。あと数日で起訴状が作成される。通常どおり起訴されれば、起訴状に書かれた事項は被告人本人に必ず届く。2023年改正の起訴状抄本制度(271条の2)を起訴前に検察官へ求めておかないと、起訴状記載分の身元は本人に伝わってしまう。動くなら起訴前の数日が勝負
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害届や告訴の段階で、担当の警察官検察官に『加害者に身元を知られると危害や畏怖のおそれがある』と具体的事情つきで伝える(過去の付きまとい、脅迫文、転居の経緯などを資料化) 2. 証拠開示が始まる前に、299条の3の秘匿請求を検察官にしてほしいと明示的に申し出る3. ストーカーDV等で本人にも伏せたいなら起訴前に起訴状抄本等(271条の2)の活用を求める4. 並行して役所でDV等支援措置(住民票閲覧制限)を申請し、刑事民事行政の三方向で穴を塞ぐ。被害者支援に強い弁護士へ早期相談を
訴えられた側:1. 検察官から弁護人に被害者特定事項の秘匿が求められても、それ自体は適法な保護措置であり争点化を急がない2. 防御に被害者の身元情報が本当に必要な場合は、その必要性を具体的に主張する(被害者の供述の信用性を弾劾する具体的事情など)。条文も『被告人の防御に関し必要がある場合を除き』と例外を認めている3. 起訴状抄本等が出されている場合は、防御上の不利益を理由に開示や補充を求める手続を弁護人と検討4. 秘匿を逆手に取った不当な情報遮断と感じるなら、必要性の疎明を尽くして裁判所の判断を仰ぐ
時効(請求できる期限):特定の出訴期限や時効はない。ただし保護はタイミングが命。証拠開示(299条1項)が行われる前に検察官へ申し出ないと実効性が大きく下がり、起訴状からの秘匿(271条の2)を求めるなら起訴前が勝負。手続の進行に遅れず、できる限り早い段階で動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:299条の3は被害者の安全・プライバシーと被告人の防御権の調整規定であり、『被告人の防御に関し必要がある場合』という例外と、起訴状記載事項は原則本人に届くという限定によって、防御の核心に穴を開けない形で被害者保護を厚くしたものと解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)新設 犯罪被害者保護関連の改正で299条の3を新設。検察官が弁護人に対し被害者特定事項を被告人その他の者に知られないよう求める制度を創設した
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)施行 起訴状抄本等の制度(271条の2)創設に伴いただし書を追加。一定の場合に被告人本人にも被害者特定事項を知られないようにできるよう保護を拡充した(最新の施行状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.平成19年(2007年) 新設:犯罪被害者保護関連の改正で299条の3を新設。検察官が弁護人に対し被害者特定事項を被告人その他の者に知られないよう求める制度を創設した。
- 2.令和5年(2023年) 改正:起訴状抄本等の制度(271条の2)創設に伴いただし書を追加。一定の場合に被告人本人にも被害者特定事項を知られないようにできるよう保護を拡充(令和6年施行、最新の施行状況をご確認ください)。
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