刑事訴訟法 第307条の3
クイックジャンプ
第二百九十一条の二の決定があつた事件については、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二条まで及び第三百四条から前条までの規定は、これを適用せず、証拠調べは、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第307条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第307条の3の条文原文は「第二百九十一条の二の決定があつた事件については、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二条まで及び第三百四条から前条までの規定は、これを適用せず、証…」で始まります。
- 刑事訴訟法第307条の3は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第307条の3の前の条は刑事訴訟法第307条の2です。
- 刑事訴訟法第307条の3の次の条は刑事訴訟法第308条です。
- 刑事訴訟法第307条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第307条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第307条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/307_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法307条の3は、簡易公判手続の決定があった事件で正式な証拠調べ手続の規定を適用せず、証拠調べを適当と認める方法で行えると定める。
Q · 罪を認めて簡易公判手続になると、証拠調べはどう変わるの?
正式な証拠調べ手続が外れ、適当と認める方法で簡略に行われます
刑事訴訟法307条の3により、簡易公判手続の決定(291条の2)があった事件では、検察官の冒頭陳述(296条)や証拠調べの順序・方式を定める規定(297条、300条から302条、304条以下)が適用されず、証拠調べは公判期日において裁判所が適当と認める方法で行えます。審理は大幅に速くなりますが、320条2項により伝聞法則も原則停止するため、本来争えた伝聞証拠が異議なく入る点に注意が必要です。
解説
法廷で起訴状の内容を認めた瞬間、あなたの裁判は別のレールに乗り換わる。刑事訴訟法291条の2で被告人が公訴事実を認めると、裁判所は簡易公判手続によると決定できる。そこで起動するのが307条の3だ。検察官の冒頭陳述(296条)、証拠調べの順序や方法を定める手続(297条、300条から302条、304条以下)、これらの正式な証拠調べルールが一括して適用されなくなり、証拠調べは「適当と認める方法」で行われる。つまり、あなたを守っていた手続の足場が外れ、裁判は一気に速くなる。さらに見落としがちなのは、320条2項で伝聞法則まで原則として適用されなくなる点だ。本来なら証拠にできない伝聞証拠が、あなたが異議を述べない限りそのまま流れ込む。「罪を認める」とは、有罪か無罪かの話だけではない。証拠がどう取り調べられるか、その仕組みごと手放す選択なのである。
法的な位置づけ
刑事訴訟法307条の3は、簡易公判手続の決定があった事件における証拠調べの特則を定める規定である。検察官の冒頭陳述や証拠調べの順序・方式に関する正式な手続規定の適用を除外し、証拠調べを公判期日において裁判所が適当と認める方法で行うことを認める。これにより争いのない事件の審理が大幅に簡略化される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.初公判前に弁護人と認否方針を確定 認めると簡易公判手続になり証拠調べと伝聞法則が停止する意味を理解した上で、認めるか争うかを弁護人と固める。法廷で口を開く前が唯一てこの効く一点
- 2.認める場合は証拠の中身を弁護人に確認させる 簡易手続では伝聞証拠が無検証で流れ込むため、検察官請求証拠に量刑上不利なものや本来争えた伝聞が混じっていないかを認める前に点検する
- 3.争いたい伝聞証拠は320条2項但書で個別に異議 簡易手続を全部拒否しなくても、特定の伝聞証拠だけ個別に異議を述べれば通常の証拠能力判断に戻せる。その証拠が取り調べられる前に述べる必要がある
- 4.有利な情状を準備して量刑弁護を行う 公訴事実を認めても量刑弁護の余地は残る。示談・弁済・反省・初犯などの有利な情状を主張し、実刑と執行猶予の分岐に備える
- 5.手続が不当なら291条の3の取消しを促す 簡易公判手続によることが相当でないと感じる場合、裁判所の職権による決定取消し(291条の3)を促す余地がある旨を弁護人と検討する
よくある質問 AI による整理
Q1簡易公判手続とは何ですか?
被告人が公訴事実を認めた事件で、裁判所が決定(291条の2)して審理を簡略化する手続です。307条の3により正式な証拠調べ規定が外れ、証拠調べが速くなります。
Q2簡易公判手続になると何が省略されますか?
検察官の冒頭陳述(296条)や証拠調べの順序・方式を定める規定(297条、300〜302条、304条以下)の適用が外れ、証拠調べは適当と認める方法で行われます。
Q3簡易公判手続で伝聞証拠はどう扱われますか?
320条2項により伝聞法則が原則停止し、本来証拠にできない伝聞証拠も異議を述べない限り入ります。争いたい証拠は同項但書で個別に異議を出せます。
Q4簡易公判手続は被告人が拒否できますか?
公訴事実を一部でも否認すれば291条の2の決定は出ず、通常手続が維持されます。認めるか争うかが手続全体を分ける分岐点になります。
Q5簡易公判手続でも執行猶予はつきますか?
つきます。手続は簡略化されますが量刑判断は通常どおり行われ、示談・弁済・反省などの情状で実刑か執行猶予かが分かれます。
Q6簡易公判手続の決定は取り消せますか?
簡易公判手続によることが相当でないと認められるとき、裁判所は職権で決定を取り消せます(291条の3)。手続が不当に進む場合の安全弁です。
Q7簡易公判手続でも自白だけで有罪になりますか?
なりません。自白の補強法則(憲法38条3項、刑訴319条2項)は簡易手続でも生きており、自白だけでは有罪にできません。
Q8裁判員裁判でも簡易公判手続は使えますか?
裁判員裁判の対象となる重大事件では簡易公判手続を利用できません。対象事件は重い手続が維持され、307条の3の簡略化は及びません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1罪を認めたら、もう弁護士は意味ないですよね?
むしろ逆です。公訴事実を認めても、量刑をめぐる弁護(示談、弁済、情状証人)が残り、ここが実刑か執行猶予かを分けます。さらに簡易公判手続では伝聞法則が停止する(320条2項)ため、不利な伝聞証拠への個別の異議は弁護人の重要な仕事です。実務のポイント:簡易手続に同意するかは弁護人の方針次第。「認めるなら争う点はない」と早合点する被告人ほど、量刑に響く証拠を無検証で通してしまう。認める前に必ず弁護人に証拠の中身を確認させること
Q2簡易公判手続と即決裁判手続って、何が違うんですか?
簡易公判手続(291条の2、307条の3)は公判廷で被告人が公訴事実を認めて初めて起動し、証拠調べを簡略化します。即決裁判手続(350条の16以下)は起訴前から検察官が申し立て、原則として懲役・禁錮に執行猶予が付く軽微事件向けのルートです。実務のポイント:即決裁判は執行猶予がほぼ確実という被告人側のメリットが大きい一方、事実誤認を理由とする控訴が制限される。どちらのレートに乗るかは、認める前に弁護人と確認すべき分岐点です
間違えやすい点 AI による整理
- 簡易公判手続は「早く終わる便利な制度」と理解している人は多い。だがその速さの正体が証拠調べルールと伝聞法則の停止であることまで踏み込めていない。速さは無料ではなく、本来あなたを守る手続の省略と引き換えに買っている
- 「認めたら何も争えない」と思って黙ってしまう人がいるが、問いの立て方が違う。認めたのは公訴事実であって、量刑に関わる事情ではない。簡易手続でも、有利な情状の主張も、特定の伝聞証拠への異議(320条2項但書)も残されている。争えないのではなく、争う対象が変わる
- 「簡易手続になったら自白だけで有罪が確定する」と恐れる人がいるが、実は違う。簡易公判手続でも自白の補強法則(憲法38条3項、刑訴319条2項)は生きており、自白だけでは有罪にできない。手続は簡略化されても、この一線は外れない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 307条の3:簡易公判手続での証拠調べの特則(正式手続を適用除外) | 291条の2:簡易公判手続による旨の決定(本条適用の起点) 320条:伝聞法則(2項で簡易手続の特則) |
| 起動の要件 | 291条の2の決定があったこと | 被告人が公訴事実を認めたこと 簡易公判手続の決定があり、異議がないこと |
| 被告人への影響 | 正式な証拠調べ手続が外れ審理が速くなる | 認否の一言で手続全体のレールが切り替わる 争えたはずの伝聞証拠が無検証で入る |
| 残される防御 | 有利な情状の主張、320条2項但書の個別異議 | 291条の3による決定の取消し 自白の補強法則(319条2項)は維持 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も被告が認罪すると裁判所が簡式審判程序の裁定を行い、証拠調査が簡化され伝聞法則の適用が排除される。日本の簡易公判手続と問題意識が近い。
韓国も被告人が自白すると간이공판절차を決定でき、전문법칙の適用が排除される特則を置く。構造が日本と類似する。
ドイツは軽微事件で公判を経ずに略式命令で処理する略式手続を持つ。証拠調べを省く点で機能的に近いが、被告人の認否を起点とする構造ではない。
米国は有罪答弁により正式な証拠調べ(trial)自体を回避する。答弁の任意性・事実的基礎を裁判官が確認する点で、簡易化の前提に手続保障を置く。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 万引きで起訴され、初公判で「間違いありません」と答えたら、裁判官が簡易公判手続によると告げた。証拠調べは数分で終わり、その日のうちに結審。早く終わって安心したが、検察官が出した供述調書には、本来なら争えたはずの伝聞証拠が混じっていた。あなたはそれに異議を述べる機会を、認めた瞬間に自ら手放していた
- もし、あなたが「どうせ認めるなら早く終わらせたい」と国選弁護人に伝えたら、何が起きる? 弁護人は簡易公判手続への同意を検討するが、量刑にとって不利な証拠まで簡略に通ってしまうリスクがある。スピードと防御の天秤を、認める前に一度傾けて確かめる必要がある
- 公訴事実を一部だけ争いたい。だが簡易公判手続は公訴事実を認めた場合のみ起動する。一部でも否認すれば291条の2の決定は出ず、通常の手続が維持される。認めるか争うかの線引きが、手続全体を分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが被害者で加害者が公訴事実を認めた場合、簡易公判手続で審理が短くなる可能性がある。被害者参加制度(刑訴316条の33以下)の申し出は早めに2. 簡易手続でも被害者の意見陳述(292条の2)は可能、量刑への影響を残す手段として活用する3. 損害賠償は刑事手続中の損害賠償命令申立、または別途民事(民法709条)で。簡略化されるのは証拠調べであって、あなたの権利行使の道ではない
訴えられた側:1. 認否を述べる前に弁護人と方針確定。認める=簡易手続=証拠調べと伝聞法則の停止、の意味を理解した上で同意するか決める2. 認めても、有利な情状(弁済、示談、反省、初犯)の主張は積極的に。簡易手続でも量刑弁護の余地は残る3. 争いたい伝聞証拠があれば320条2項但書で個別に異議4. 手続が不当に進むと感じたら、291条の3による簡易公判手続の取消しを裁判所に促す余地もある
時効(請求できる期限):簡易公判手続によるかどうかは初公判の冒頭手続(被告人の認否)で決まる。特定の証拠への異議(320条2項但書)は、その証拠が取り調べられる前に述べる必要がある。認めた後の取消し(291条の3)は、簡易手続によることが相当でないと認められたときに裁判所の職権で行われる
学説
通説:307条の3は争いのない事件の迅速処理を目的とする特則であり、証拠調べ方式の規定を適用除外する一方、320条2項を通じて伝聞法則も原則停止する。もっとも自白の補強法則(319条2項)と個別異議権(320条2項但書)は維持され、被告人保護の最低限の安全弁は残ると解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)制定。戦後の当事者主義を基調とする公判手続の枠組みが整備される。
- 2.昭和28年(1953年) 改正:簡易公判手続が導入され、291条の2・307条の3等が整備。争いのない事件の証拠調べを簡略化する仕組みが設けられた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める