刑事訴訟法 第316条の29
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公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件を審理する場合には、第二百八十九条第一項に規定する事件に該当しないときであつても、弁護人がなければ開廷することはできない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の29は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の29の条文原文は「公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件を審理する場合には、第二百八十九条第一項に規定する事件に該当しないときであつても、弁護人がなければ開廷することはで…」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の29は第三款 公判手続の特例に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の29の前の条は刑事訴訟法第316条の28です。
- 刑事訴訟法第316条の29の次の条は刑事訴訟法第316条の30です。
- 刑事訴訟法第316条の29には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の29 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の29(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の29は、公判前整理手続または期日間整理手続に付された事件は、289条1項の重罪に当たらなくても弁護人がなければ開廷できないと定める規定である。
Q · 罪が軽くても弁護人がいないと裁判が開けないことってあるんですか?
あります。整理手続に付されれば軽い罪でも弁護人なしで開廷できません
刑事訴訟法316条の29により、公判前整理手続または期日間整理手続に付された事件を審理する場合は、法定刑が同法289条1項の基準(死刑・無期・長期3年を超える拘禁刑)に達しなくても、弁護人がなければ開廷できません。弁護人が不在であれば期日は開けず、裁判所は職権で国選弁護人を選任することになります(316条の4)。逆に言えば、事件を整理手続の回路に乗せられるかどうかが、弁護人の要否を左右します。
解説
刑事裁判で弁護人がつくのは「重い罪のときだけ」だと思っているなら、この条文がその常識を書き換える。刑事訴訟法289条1項は、死刑・無期・長期3年を超える拘禁刑に当たる事件を「必要的弁護事件」とし、弁護人がいなければ法廷を開けないと定める。裏返せば、罰金で終わりそうな軽い事件なら弁護人なしで審理が進む。ところが316条の29は、この線引きに別の入口を開けた。公判前整理手続または期日間整理手続に付された事件は、たとえ289条1項の重罪に当たらなくても、弁護人がいなければ開廷できない。つまり、あなたの事件が争点整理の手続に乗った瞬間、罪の軽重とは無関係に、国はあなたに弁護人を用意しなければならなくなる。裁判所が職権で公判前整理手続に付す道もある。事件の重さではなく、手続の複雑さが弁護人の要否を決める場面が、日本の刑事訴訟には確かに存在する。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の29は、争点および証拠の整理手続に付された事件についての必要的弁護を定める規定である。公判前整理手続または期日間整理手続に付された事件を審理する場合、同法289条1項所定の重罪に当たらないときであっても、弁護人の在廷なくして公判期日を開くことはできない。法定刑を基準とする必要的弁護を、手続の性質という別の基準で補完する構造をとる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴状を受け取ったら法定刑と手続の二本立てで確認 罪名の法定刑が刑事訴訟法289条1項の基準(死刑・無期・長期3年を超える拘禁刑)に届くかを確認し、届かない場合でも「この事件は整理手続に乗るか」を弁護人と検討する。判断材料は否認の有無、証拠量、争点数
- 2.公判前整理手続への付託を請求する 被告人または弁護人から、316条の2に基づき公判前整理手続に付するよう請求する。証拠が大量であること、争点が複雑で事前整理が不可欠であることを具体的に示す。第一回公判期日前でなければ公判前整理手続にはならない
- 3.付託後は弁護人不在で開廷できないことを前提に体制を組む 整理手続に付された時点で316条の29が働き、弁護人なしでは開廷できない。私選弁護人の費用が続かない場合でも、裁判所は職権で国選弁護人を選任する(316条の4)。無弁護のまま審理が進む事態は制度上塞がれている
- 4.証拠開示を段階的に請求し、主張は手続内で出し切る 検察官請求証拠の開示を受けたうえで、類型証拠開示・主張関連証拠開示を順に請求する。予定主張記載書面で争点を明示する。手続終了後は新たな証拠調べ請求が制限される(316条の32)ため、この段階で出し切る
- 5.審理途中で弁護人が欠けたら期日の取消しと再選任を確認 弁護人が辞任・解任された場合、316条の29により弁護人不在では開廷できないため期日は取り消される。裁判所に対し職権による国選弁護人の選任を求め、新弁護人の記録把握の時間を確保する
よくある質問 AI による整理
Q1公判前整理手続とは何ですか?
第一回公判期日の前に、争点と取り調べる証拠を裁判所・検察官・弁護人で整理する手続です(刑事訴訟法316条の2以下)。証拠開示が広がる一方、手続終了後は新たな証拠請求が制限されます。
Q2期日間整理手続はいつ使うのですか?
第一回公判期日が開かれた後に、争点や証拠の整理が必要になった場合に用いる手続です(316条の28)。公判前整理手続と同じく、付された事件は316条の29により必要的弁護となります。
Q3公判前整理手続は誰が請求できますか?
検察官、被告人または弁護人が請求できるほか、裁判所が職権で付すこともできます(316条の2)。争点が複雑、証拠が大量、否認事件といった事情が付託の判断材料になります。
Q4必要的弁護事件とはどういう意味ですか?
弁護人がいなければ公判を開けない事件のことです。刑事訴訟法289条1項が死刑・無期・長期3年を超える拘禁刑の事件を挙げ、316条の29が整理手続に付された事件を追加しています。
Q5弁護人がいないまま開かれた公判は違法ですか?
違法です。316条の29に反して弁護人不在で行われた公判手続は訴訟手続の法令違反にあたり、控訴理由として判決の破棄を求める根拠になります。手続の一部の瑕疵にとどまりません。
Q6公判前整理手続に付されるデメリットはありますか?
手続終了後は、やむを得ない事由がある場合を除き新たな証拠調べ請求ができなくなります(316条の32)。主張と証拠は手続内で出し切る必要があり、後出しの自由を失います。
Q7公判前整理手続に付されると裁判は長くなりますか?
公判期日そのものは争点が絞られるため集中的に進みますが、起訴から第一回公判期日までの準備期間は長くなる傾向があります。全体の期間は証拠量と争点数に左右されます。
Q8裁判員裁判は必ず公判前整理手続に付されますか?
付されます。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律49条により、裁判員裁判の対象事件は必ず公判前整理手続に付され、結果として316条の29の必要的弁護も常に働きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1罰金で済みそうな軽い事件なのに、国選弁護人って付くんですか?
被疑者国選・被告人国選には法定刑による制限があり(刑事訴訟法36条、37条の2)、軽微事件では付かないことがある。ただし事件が公判前整理手続に付されれば本条により弁護人なしで開廷できず、裁判所は職権で国選弁護人を選任する(316条の4)。実務のポイント:弁護士は「この事件は整理手続に乗せる価値があるか」を証拠量と否認の有無で瞬時に判断している。否認かつ証拠が多いなら、その一言を自分から言ってみる価値がある
Q2審理の途中で弁護人が辞めたら、裁判はそのまま進むんですか?
進まない。本条により弁護人不在では開廷できないため、期日は取り消され、裁判所が新たに国選弁護人を選任する。弁護人不在のまま行われた公判手続は違法で、控訴理由になる。実務のポイント:この構造を悪用した審理引き延ばしを封じるため、被告人が弁護人を不当に辞任させた場合の職権選任規定が置かれている。引き延ばしの手として使えば、裁判所の心証を確実に損なう
間違えやすい点 AI による整理
- 「必要的弁護事件かどうかは罪名と法定刑で決まる」と理解している人は多い。その理解は289条1項の範囲では正しいが、範囲そのものが狭い。本条により、法定刑が軽くても整理手続に付されれば必要的弁護になる。問いを「私の罪は重いか」から「私の事件は整理手続に乗るか」へ組み替えた瞬間、選択肢が増える
- 弁護人が法廷にいなければ裁判が開けないという事実は知られているが、その効果の深刻さは軽視されている。弁護人不在で開かれた公判手続は違法であり、判決が控訴審で破棄される理由になる。手続の一場面の瑕疵ではなく、判決そのものを覆す力を持つ
- 被告人から見れば「弁護人が付くのは自分に有利なだけ」に見える。だが法律から見れば、本条の弁護人強制は被告人の利益保護であると同時に、争点整理の実効性を担保するための制度でもある。整理手続で決めた争点と証拠は後から原則覆せない(316条の32)。弁護人が保障される裏で、主張の後出しという自由が削られている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 必要的弁護になる引き金 | 316条の29:公判前整理手続または期日間整理手続に付されたこと | 289条1項:法定刑が死刑・無期・長期3年を超える拘禁刑にあたること 316条の4:整理手続そのものに弁護人の関与が必要とされること |
| 判断の基準軸 | 手続の複雑さ(事件がどの回路に乗ったか) | 罪の重さ(罪名と法定刑) 手続段階(整理手続の期日か公判期日か) |
| 弁護人がいない場合の効果 | 公判期日を開廷できない。強行すれば訴訟手続の法令違反となる | 同じく開廷できない。裁判長が職権で弁護人を付する(289条2項) 整理手続を進められず、裁判所が職権で国選弁護人を選任する |
| 被告人が負う代償 | 整理手続終了後の新主張・新証拠請求が制限される(316条の32) | 特になし(法定刑により自動的に保障される) 整理手続への出頭・準備の負担が前倒しで発生する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も最軽本刑3年以上の罪などを強制弁護事件とし、準備手続で争点と証拠を整理する。ただし「準備手続に付されたこと」自体を強制弁護の独立した引き金とする条文構造はとっていない
韓国も必要的弁護事件を法定刑等で画し、公判準備手続を置く。日本と同じく国選弁護人の職権選任で弁護人不在を回避する仕組みをとる
ドイツは事件の重大性に加え「事実または法律状態が複雑で自己防御が期待できない場合」を必要的弁護の事由として明文化しており、複雑さを基準とする点で本条と発想が近い
米国は憲法上の弁護人依頼権として構成し、拘禁刑が現実に科されうる事件で国選弁護人を保障する。手続段階ではなく刑罰の帰結を基準とする点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 略式命令を拒んで正式裁判を選んだ。罪名は軽く、法定刑は拘禁刑2年以下。弁護人を雇う金がなく、国選も付かないと言われた。だが証拠が膨大で争点が複雑なら、公判前整理手続に付すよう請求する道がある。付されれば、この条文が働いて弁護人なしでは開廷できなくなる
- 友人が痴漢を否認して争っている。法定刑からすると必要的弁護事件ではないが、防犯カメラ映像・目撃者・DNA と証拠が入り組んでいる。あなたが助言できるのは「公判前整理手続の請求を弁護人と検討しろ」の一言。手続に乗れば、弁護人は途中で降りられなくなる
- もし審理の途中で弁護人が辞任したら、裁判はどうなる? 公判前整理手続に付された事件では、弁護人不在のまま開廷できない。裁判所は職権で国選弁護人を選任する義務を負い、期日は空転する。被告人側が意図的に弁護人を辞めさせて審理を止める、そういう濫用を封じる規定も別途置かれている
- 検察官請求証拠の開示を受けたが、量が段ボール3箱。第一回公判まであと3週間。この分量を被告人一人で読み解くのは不可能だ。整理手続への移行を求める判断は、開示直後の数日で決まる
- 起訴された被告人の立場から見ると、公判前整理手続は諸刃である。証拠開示は広がるが、手続終了後は原則として新たな主張・証拠請求が制限される(316条の32)。弁護人が保障される代わりに、後出しの自由を失う
取るべき行動
被害を受けた側:被害者側の立場では、被告人に弁護人が必ず付く前提で準備する。1. 被害者参加(刑事訴訟法316条の33以下)を申し出るか早期に判断2. 整理手続に付された事件は争点と証拠が事前に固まるため、参加代理人の選任は手続開始前に済ませる3. 意見陳述・情状に関する主張は整理手続の段階で代理人経由で裁判所に伝える。手続終了後の追加は制限される
訴えられた側:1. 起訴状受領後ただちに弁護人(当番弁護士・国選・私選)と接触し、事件が289条1項の必要的弁護事件に当たるかを確認2. 当たらない場合、証拠量・争点の複雑さを理由に公判前整理手続への付託を請求できるか検討(316条の2) 3. 付されれば弁護人なしでは開廷できず、費用が尽きても国選が選任される4. ただし手続終了後は新主張・新証拠の請求が制限される(316条の32)ため、言うべきことは手続内で出し切る
時効(請求できる期限):公判前整理手続への付託は第一回公判期日前でなければならない(期日後は期日間整理手続となる)。この規定自体に固有の時効はないが、手続の請求機会は起訴から第一回公判期日までの数週間に限られるため、実務上はその期間が事実上の期限となる
学説
通説:本条の弁護人強制は、被告人の防御権保障と争点整理の実効性確保という二つの機能を併せ持つ。整理手続で確定した争点・証拠を後に覆せない仕組み(316条の32)を正当化するには、専門家である弁護人の関与が不可欠であると解される。
実務運用:本条に反して弁護人不在で開廷された公判手続は訴訟手続の法令違反にあたり、判決に影響を及ぼすことが明らかな場合には原判決破棄の理由となる。被告人側による意図的な弁護人辞任を用いた審理引き延ばしについては、職権選任の規定により対応される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:裁判員制度の導入に伴う刑事訴訟法改正により、公判前整理手続および期日間整理手続が新設され、これに付された事件について289条1項の要件を満たさない場合でも必要的弁護とする本条が置かれた
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