刑事訴訟法 第342条の5
クイックジャンプ
- 裁判所は、第三百四十二条の二の許可をする場合には、帰国等保証金額を定めなければならない。ただし、保釈を許す決定を受けた被告人について、同条の許可をするときは、この限りでない。
- 2.帰国等保証金額は、宣告された判決に係る刑名及び刑期、当該判決の宣告を受けた者の性格、生活の本拠及び資産、その者が外国人である場合にあつてはその在留資格(入管法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。)の内容その他の事情を考慮して、その者が前条第一項の規定により指定される期間内に本邦に帰国し又は上陸することを保証するに足りる相当な金額でなければならない。
- 3.裁判所は、第三百四十二条の二の許可をする場合には、その許可を受ける者の渡航先を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第342条の5は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第342条の5の条文原文は「裁判所は、第三百四十二条の二の許可をする場合には、帰国等保証金額を定めなければならない。ただし、保釈を許す決定を受けた被告人について、同条の許可をするときは、こ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第342条の5は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第342条の5の前の条は刑事訴訟法第342条の4です。
- 刑事訴訟法第342条の5の次の条は刑事訴訟法第342条の6です。
- 刑事訴訟法第342条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第342条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第342条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/342_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法342条の5は、実刑判決後に海外渡航を許可する際、裁判所が帰国等保証金額を定めると規定する。指定期間内に帰国しなければ保証金は没取される。
Q · 実刑判決を受けた後でも、海外には行けるんですか?
戻ってくる保証金を積めば許可される場合があります
刑事訴訟法342条の5により、実刑判決後の在宅・保釈中の被告人が海外渡航許可(342条の2)を受けるには、裁判所が定める帰国等保証金を積む必要があります。金額は宣告刑、性格、生活の本拠、資産、外国人なら在留資格の内容を考慮して決まります。指定期間内に帰国・上陸しなければ保証金は全額没取されます。なお保釈中の被告人は、すでに納めた保釈保証金が担保となるため、別途の帰国等保証金は不要です(1項ただし書)。お金を積めば必ず許可されるわけではなく、まず逃亡のおそれが判断されます。
解説
2019年末、日産の元会長カルロス・ゴーンが保釈中に大型の音響機材ケースに隠れて日本を脱出し、プライベートジェットでレバノンへ逃げた。この事件は、日本の刑事司法に大きな穴があることを世界に晒した。実刑判決を受けても、確定前で身柄を拘束されていない被告人は、その気になれば国外へ逃げられる。その穴を塞ぐため令和5年の改正で新設されたのが、この一連の条文だ。342条の5は、海外渡航の許可(342条の2)に付ける「帰国等保証金」の金額を、裁判所が定めると規定する。この保証金は、あなたが指定された期間内に日本へ帰国または上陸しなければ没取される。金額は、宣告された刑名・刑期、あなたの性格、生活の本拠、資産、外国人なら在留資格の内容まで考慮して決まる。さらに裁判所は渡航先の国を制限したり、適当な条件を付けたりできる。海外出張や家族の事情で一時的に出国したい被告人にとって、この条文が「いくら積めば、どこまで出られるか」を決める。
法的な位置づけ
刑事訴訟法342条の5は帰国等保証金制度を定める規定であり、海外渡航許可(342条の2)に際し裁判所が定める保証金額の基準を規律する。金額は宣告刑・性格・生活の本拠・資産・外国人の在留資格を考慮し、指定期間内の帰国・上陸を保証するに足りる相当額とされる。保釈中の被告人については別途の保証金を要しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.渡航の必要性を疎明する資料を揃える 海外渡航の必要性(仕事の契約、家族の急変、医療など)を客観的に示す資料を準備する。目的が具体的で正当なほど、許可と渡航先制限の交渉が有利になる
- 2.弁護人を通じて342条の2の渡航許可を申請 弁護人を通じて海外渡航許可を申請し、帰国予定日と渡航先を明示する。保釈中であれば帰国等保証金は別途不要(342条の5第1項ただし書)と主張する
- 3.帰国等保証金額に不服があれば考慮要素を争う 裁判所が定める保証金額が過大なら、生活の本拠が日本にある・家族や事業基盤があるなど逃亡リスクの低さを具体的資料で疎明し、考慮要素(資産・刑期・在留資格)の評価を争う
- 4.渡航先制限・条件が過大なら限定を求める 342条の5第3項の渡航先制限や付加条件が広すぎる場合、渡航目的に応じた必要最小限の国・期間への限定を求める。一度の許可で複数回まかなえるか、毎回再申請が要るかが条件の組み方で変わる
- 5.帰国期限を逆算し原資を先に手当て 342条の4で指定される帰国・上陸期限を許可決定書で確認し、渡航日から逆算して期限内帰国を確実にする。やむを得ず遅れる事由が生じたら期限到来前に裁判所へ届け、記録と証拠を残す
よくある質問 AI による整理
Q1帰国等保証金とは何ですか?
実刑判決後の被告人に海外渡航を許可する際、裁判所が定める保証金です。指定期間内に帰国・上陸しなければ全額没取されます。刑事訴訟法342条の5が根拠です。
Q2帰国等保証金が没取されるのはどんな場合ですか?
342条の4で指定された帰国・上陸の期限までに本邦へ戻らなかった場合に没取されます。ゴーンの保釈保証金15億円没取と同じ構造で、数千万円が一瞬で消えます。
Q3実刑判決を受けても海外出張はできますか?
342条の2で渡航許可を申請し、342条の5の保証金を積めば可能です。ただし渡航先を取引先の国だけに制限する条件が付くことがあります。
Q4帰国等保証金が用意できない場合はどうなりますか?
保証金を納められなければ渡航許可は実効性を持たず、出国できません。資産が少ない場合でも逃亡防止に足りる相当額が求められるため、原資の手当てが前提となります。
Q5ゴーン事件で刑事訴訟法は何が変わりましたか?
2019年の国外逃亡を受け、令和5年改正で在宅・保釈中の被告人の海外渡航許可と帰国等保証金制度(342条の2〜5)が新設されました。
Q6渡航先の制限は後から変更できますか?
渡航先制限は342条の5第3項の条件で、渡航目的を疎明して必要最小限に絞る交渉の余地があります。最初の制限が広すぎる場合は限定を求められます。
Q7342条の2の渡航許可とはどう違いますか?
342条の2が渡航許可そのもの、342条の5はその許可に付く保証金額を定める規定です。許可が先、金額は許可に付く条件という関係です。
Q8外国人の在留資格は保証金額に影響しますか?
影響します。342条の5第2項は在留資格の内容を考慮要素に挙げており、就労ビザか永住かで裁判所の逃亡リスク評価が変わり、金額も左右されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保釈保証金を払って保釈されているのに、海外に行くのにまた別のお金が要るんですか?
いいえ、保釈中であれば帰国等保証金を別途積む必要はありません(342条の5第1項ただし書)。すでに納めた保釈保証金が逃亡防止の担保として機能するからです。ただし保釈中でも、国外への渡航には342条の2の許可自体は必要です。実務のポイント:保釈と渡航許可を別々のタイミングで申請すると、資金拘束が重なったり手続が複雑化することがある。海外渡航の見込みがあるなら、保釈申請の段階で弁護人にその可能性を伝え、一体で設計してもらうのが得策
Q2保証金の金額って、どうやって決まるんですか? 裁判所の言い値で取られるんですか?
言い値ではありません。342条の5第2項が考慮要素を明記しています。宣告された刑名・刑期、本人の性格、生活の本拠、資産、外国人なら在留資格の内容です。逃亡を防ぐに足りる相当額が基準で、資産が多く刑期が長いほど高くなる傾向があります。実務のポイント:算定で見落とされやすいのが「生活の本拠が日本にある」という主張。日本に持ち家・家族・事業基盤があるほど逃亡リスクは低く評価される。これを具体的資料で疎明できるかで、保証金額は大きく変わりうる
間違えやすい点 AI による整理
- 「保釈保証金を払って保釈されていれば、海外には自由に行ける」と思っている人がいる。実際は、保釈中であっても国外渡航には342条の2の許可自体が別途必要だ。ただし保釈中なら帰国等保証金を二重に積む必要はない(342条の5第1項ただし書)。すでに積んだ保釈保証金が担保として機能するからだ
- この制度の存在は知っていても、帰ってこなければ保証金が全額没取される深刻さを実感していない人が多い。ゴーンの15億円没取は例外的な見せしめではなく、制度が標準的に想定する帰結そのものだ。「少し遅れただけ」が数千万円の喪失につながる
- 「お金さえ積めば必ず出国できる」という前提そのものが誤っている。裁判所は金額を定める前に、まず渡航を許可するか否かを判断する(342条の2)。逃亡のおそれが高いと見れば、いくら積んでも許可は下りない。保証金は許可を買う対価ではなく、許可に付く条件だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 342条の5:海外渡航許可に付く帰国等保証金額の基準 | 342条の2:海外渡航許可そのものの本体規定 93条:保釈保証金額(帰国等保証金の母型) |
| 発動の前提 | 342条の2の渡航許可をする場合(保釈中は別途不要) | 実刑判決後の在宅・保釈中被告人の渡航申請 保釈を許す決定をする場合 |
| 考慮要素 | 宣告刑・性格・生活の本拠・資産・在留資格 | 逃亡のおそれ・渡航の必要性 犯罪の性質・情状・証拠の証明力・資産 |
| 没取の引き金 | 342条の4の指定期間内に帰国・上陸しないこと | —(許可の有無を定める規定) 96条:保釈取消事由(逃亡・召喚不応など) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保証金型ではなく出境・出海そのものを制限する処分を中心とする。被告人の逃亡防止という目的は共通
韓国は出国禁止処分と保釈条件で逃亡を防止。金銭担保より行政的出国禁止に重きを置く点が日本と異なる
ドイツは勾留回避のための保証金提供を定め、パスポート預りと併用する。海外渡航局面に特化した日本の制度より一般的
米国は保釈条件として渡航制限・パスポート提出・保証金を組み合わせる。連邦と州で運用が分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが実刑判決を受けた外国人経営者で、本国の親が危篤だという報せを受けたとしたら? 342条の2で渡航許可を申請できるが、裁判所は帰国等保証金を要求する。資産が多く刑期が長いほど金額は跳ね上がり、在留資格の内容次第では許可そのものが下りないこともある
- 実刑判決後、控訴中のあなたに海外取引先との重要な契約締結の出張が入った。342条の2で許可を申請し、342条の5の保証金を積めば出国できる。ただし渡航先を契約相手の国だけに制限する条件(3項)が付くことがあり、ついでに別の国へ立ち寄ることは許されない
- 戻ってこなければ、積んだ保証金は全額没取。数千万円が一瞬で消える。ゴーンの保釈保証金15億円が没取されたのと、同じ構造だ
取るべき行動
被害を受けた側:(海外渡航を申請する被告人の立場)1. 渡航の必要性(仕事の契約、家族の急変、医療など)を疎明する資料を揃える2. 弁護人を通じて342条の2の渡航許可を申請し、帰国予定日と渡航先を明示3. 裁判所が定める帰国等保証金額に不服があれば、考慮要素(資産・刑期・生活の本拠・在留資格)の評価を具体的資料で争う4. 渡航先制限や条件(3項)が過大なら目的に応じた限定を求める。保釈中なら別途保証金は不要(1項ただし書)と主張
訴えられた側:(指定期間内に帰国できなくなりそうな立場)1. 期限到来前に、弁護人を通じて事情を裁判所へ届け、期間や条件の取扱いを確認2. やむを得ない事由(災害、現地での入院、相手国の出国制限)があれば記録と証拠を残す3. 帰国しなければ保証金は没取され、さらに逃亡と評価されれば在宅・保釈の前提が崩れ、収監リスクが跳ね上がる4. 「数日延ばすだけ」と安易に考えない。一日の遅れが全額没取の引き金になりうる
時効(請求できる期限):帰国等保証金や渡航条件そのものに固有の消滅時効はない。決定的なのは342条の4第1項により指定される帰国・上陸の期限であり、この期限を過ぎると保証金没取の対象となる。期限の起算点・延長の余地・条件の詳細は、許可決定書で必ず確認すること(最新の運用状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)新設 カルロス・ゴーン被告人の国外逃亡事件を受けた逃亡防止のための刑事訴訟法等改正(令和5年法律第28号)で新設。実刑判決を受けた在宅・保釈中の被告人の海外渡航許可に、帰国等保証金制度を導入した。施行日を含む最新の運用状況は確認を要する
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:カルロス・ゴーン被告人の国外逃亡事件を受けた逃亡防止のための刑事訴訟法等の一部改正(令和5年法律第28号)で新設。実刑判決を受けた在宅・保釈中の被告人の海外渡航許可に、帰国等保証金制度を導入。施行日を含む最新の運用状況は要確認
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める