労働組合法 第27条の3(公益委員の忌避)
クイックジャンプ
- 公益委員について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、これを忌避することができる。
- 2.当事者は、事件について労働委員会に対し書面又は口頭をもつて陳述した後は、公益委員を忌避することができない。ただし、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
この条文の基本情報
公益委員の忌避とは何ですか?
定義公益委員の忌避とは、労働組合法第27条の3に定められた規定で、「公益委員について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、これを忌避することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働組合法第27条の3(公益委員の忌避)は、日本の労働組合法に含まれる条文です。
- 労働組合法第27条の3の条文原文は「公益委員について審査の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者は、これを忌避することができる。」で始まります。
- 労働組合法第27条の3は第二節 不当労働行為事件の審査の手続に置かれています。
- 労働組合法の公布日は昭和24年6月1日です。
- 労働組合法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 労働組合法第27条の3の前の条は労働組合法第27条の2です。
- 労働組合法第27条の3の次の条は労働組合法第27条の4です。
- 労働組合法第27条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第27条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000174 - 本サイト収録
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第27条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC0000000174/27_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働組合法27条の3は、審査の公正を妨げる事情のある公益委員を当事者が忌避できると定める。ただし事件について陳述した後は原則として忌避できない。
Q · 労働委員会の公益委員が相手方と関係が深そう。担当から外せますか?
陳述前なら忌避できるが、陳述後は原則失権します
労働組合法27条の3により、公益委員に審査の公正を妨げるべき事情があるときは、当事者はその委員を忌避できます。ただし第2項により、事件について労働委員会に書面または口頭で陳述した後は原則として忌避できません。例外は、忌避の原因を陳述時に知らなかった場合と、原因が陳述後に生じた場合のみです。委員の経歴に違和感を覚えたら、事件の中身を述べる前に申し立てる必要があります。
解説
不当労働行為で会社を労働委員会に訴えた。あるいは逆に、組合から救済申立てを受けた使用者の立場にある。あなたの事件を裁くのは公益委員という、いわば労働委員会の裁判官だ。その公益委員が、相手方企業の元顧問弁護士だったとしたら。事件に利害を持つ人物だったとしたら。労働組合法27条の3は、その委員を「忌避」する、つまり審理から外すよう求める権利をあなたに与える。だが多くの当事者がこの権利を知らないまま、知っていても使うべき瞬間を逃す。第2項が落とし穴だ。事件について書面または口頭で陳述した後は、もう忌避できない。意見を一度述べた瞬間、切り札は手の中で溶ける。例外は、忌避の原因を知らなかった場合と、原因が後から生じた場合のみ。委員の経歴に違和感を覚えたら、何か喋る前に動かなければならない。
法的な位置づけ
労働組合法27条の3は、労働委員会の不当労働行為審査手続における公益委員の忌避を定める規定である。審査の公正を妨げるべき事情がある場合に当事者が当該委員の排除を求めることを認め、第2項で陳述後の失権を定めて、忌避権の濫用による手続遅延を防止する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.担当公益委員の氏名と経歴を確認する 審査開始前または第一回調査の前に、事件を担当する公益委員の氏名と経歴を労働委員会に確認する。委員は弁護士・大学教授が務めるため、相手方との接点を調べやすい
- 2.相手方との利害関係を洗い出す 委員が相手方企業の元顧問、共同研究者、社外役員、研究費提供元でないかを調べ、審査の公正を妨げるべき事情の有無を整理する
- 3.陳述する前に忌避を書面で申し立てる 最重要ステップ。事件の中身について書面または口頭で陳述する前に、忌避の原因を明記した書面を提出する。順序を逆にすると第2項で失権する
- 4.陳述済みなら例外要件を主張する すでに陳述している場合は、忌避の原因を当時知らなかった旨、または原因が後から生じた旨と、知った時点の時系列を整理して速やかに申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1公益委員の忌避とは何ですか?
不当労働行為審査で、審査の公正を妨げる事情のある公益委員を審理から外すよう当事者が求める権利です。労働組合法27条の3が根拠です。
Q2忌避はいつまでに申し立てればよいですか?
事件について労働委員会に書面または口頭で陳述する前です。陳述後は原則として失権します(27条の3第2項)。
Q3使用者側も公益委員を忌避できますか?
できます。忌避は労働者側だけの権利ではなく、救済申立てを受けた使用者も等しく行使できる双方の権利です。
Q4どんな事情があれば公益委員を忌避できますか?
相手方の元顧問弁護士、共同研究者、社外役員など、審査の公正を妨げるべき具体的な利害関係や親密な関係が典型です。
Q5陳述した後でも忌避できる例外はありますか?
あります。忌避の原因を陳述時に知らなかった場合と、原因が陳述後に生じた場合は、知った時点から速やかに申し立てられます。
Q6口頭だけで忌避を申し立ててもよいですか?
申立て自体は可能ですが、原因や時系列を明確に残すため書面で行うのが実務的に安全です。原因の疎明が認否の鍵になります。
Q7忌避が認められると審理はどうなりますか?
当該委員は事件の審理から外れ、別の公益委員のもとで手続が進みます。すでに行われた審理の扱いは事案により調整されます。
Q8公益委員の忌避は裁判官の忌避と同じですか?
考え方は民事訴訟法の裁判官忌避(24条)を範としますが、準司法手続である労働委員会用に第2項の失権規定が組み込まれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公益委員を忌避したら、その人に逆恨みされて不利な扱いを受けませんか?
忌避を申し立てられた委員は、忌避が認められればそもそも事件の審理から外れます(労働組合法27条の3)。残る委員が逆恨みで不利益を与えれば、それ自体が新たな問題や命令取消訴訟の理由になりえます。実務のポイント:実務で忌避が正面から認容される例は多くありません。だが申立てを受けた事実は記録に残り、委員側に「公正らしさ」を意識させる無言の圧力になります。認められなくても申立てに意味がある、というのが手続を知る側の発想です。
Q2もう答弁書を出してしまいました。偏った委員を外す手はもうないんですか?
原則として、事件について書面または口頭で陳述した後は忌避できません(27条の3第2項)。ただし例外が二つあります。忌避の原因をその時点で知らなかった場合と、原因が陳述の後に生じた場合です。委員と相手方の関係を後から知ったのなら、知った時点から速やかに申し立てる余地が残ります。実務のポイント:「知らなかった」ことの立証が鍵になる。委員の経歴がいつ公表され、あなたがいつ知りうる状態だったか、その時系列を記録しておくと、後出しの忌避が認められる可能性が上がる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判官が中立なように委員も中立に決まっている、疑うのは失礼だ」と思いがちだが、法律はむしろ逆を想定している。27条の3が忌避権を明文で用意しているのは、委員にも偏りがありうることを制度自身が前提にしているからだ。疑うことは失礼ではなく、当事者に保障された正当な権利の行使である。
- 忌避できることは知っていても、その期限の深刻さを知らない人が多い。「いつでも申し立てられる」のではない。事件について一度でも実質的な陳述をすれば、原則として権利は失われる。手続の最初の数分が、忌避という手段を使えるか否かの分水嶺になっている。
- 「どの委員が自分の事件を裁くのか事前には分からないのだから、忌避なんて非現実的だ」という問いの立て方自体がずれている。委員の構成や担当は確認でき、相手方との利害関係も調べられる。忌避は運任せの権利ではなく、事前の下調べで使えるか否かが決まる準備型の権利だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 27条の3:公益委員の忌避(中立性の確保) | 7条:不当労働行為の禁止(審査の対象たる実体規定) 19条:労働委員会の組織・公益委員の地位 |
| 発動の主体 | 当事者(労働者側・使用者側の双方) | 労働者・労働組合(救済申立人) 国・地方(委員会の設置・任命) |
| 時間的制限 | 事件について陳述する前(陳述後は原則失権) | 不当労働行為の日から原則1年以内に申立て(27条2項) 制限なし(組織規定) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不当労働行為に相当する裁決手続で裁決委員の迴避を定め、一般的な公務員の迴避は行政程序法が規律する。事由を知った後の申立て制限の考え方は日本と類似する。
韓国の労働委員会法は委員の除斥・忌避・回避を明文で定める。中立性確保の構造は日本と近い。
ドイツは労働紛争を労働裁判所が扱い、裁判官・名誉職裁判官の忌避は民事訴訟法(ZPO)の規定を準用する。委員会型ではなく裁判所型である点が日本と異なる。
米国は全国労働関係委員会(NLRB)が不当労働行為を扱い、委員・行政法判事の回避は行政手続法の公正要件に基づく。手続の公正担保という目的は共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし第一回の審問で、公益委員の一人が相手方代理人と長年の共同研究者だと知ったら、あなたに残された猶予はその場限りだ。事件について意見を述べる前に忌避を申し立てなければ、その委員のもとで審理が進んでいく。
- あなたが救済申立てを受けた使用者側の立場にある。労働者側委員と親密すぎる公益委員が担当に入ったと感じる。使用者でも27条の3は等しく使える。忌避は労働者だけの武器ではなく、双方に開かれた中立性の保険だ。
- 審問の場で違和感を覚えた。だが既に答弁書で事件の主張を展開済みだった。第2項により、忌避権はその時点で原則として消えている。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 審査開始前または第一回調査の前に、担当する公益委員の氏名と経歴を労働委員会に確認する。2. 相手方企業との関係(元顧問、共同研究、社外役員等)を調べ、審査の公正を妨げる事情があれば書面で忌避を申し立てる。3. 重要なのは順序で、事件の中身について陳述する前に申し立てること(27条の3第2項)。4. 既に陳述済みなら、忌避原因を知らなかった旨とその時系列を整理し、知った時点から速やかに申し立てる。
訴えられた側:1. 忌避は労働者側だけの権利ではない。使用者として、労働者側委員と過度に親密な公益委員が担当に入った場合も忌避できる。2. 相手方が忌避を申し立ててきたら、その原因が第2項の失権事由に当たらないか(既に陳述済みでないか)を確認し、失権を主張する。3. 忌避が認められた場合の審理のやり直し範囲と命令への影響を弁護士と詰める。4. 濫用的な忌避には、迅速な手続進行を求めて対抗する。
時効(請求できる期限):忌避は、事件について労働委員会に書面または口頭で陳述する前に申し立てなければならない(労働組合法27条の3第2項)。陳述後は原則として失権する。例外は、忌避の原因を陳述時に知らなかった場合と、原因が陳述後に生じた場合で、この場合は原因を知った時点から速やかに申し立てる必要がある。
学説
通説:27条の3の忌避は、準司法手続である不当労働行為審査の公正を担保する制度であり、民事訴訟法の裁判官忌避に準じて理解される。第2項の失権規定は、当事者が委員構成を見極めて戦術的に手続を遅延させる濫用を防ぐ趣旨と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)改正、平成17年(2005年)施行 不当労働行為審査制度の整備を目的とした改正で新設された。準司法手続としての公正性を高めるため、公益委員の忌避制度を条文化し、第2項で陳述後の失権による濫用防止を組み込んだ
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不当労働行為審査制度の整備を目的とした労働組合法改正により新設(平成17年施行)。準司法手続としての公正性を高めるため公益委員の忌避制度を条文化し、第2項で陳述後の失権による濫用防止を組み込んだ。
- 労働組合法 第7条不当労働行為の禁止、忌避が問題となる審査の対象たる実体規定
- 労働組合法 第27条不当労働行為事件の審査手続の開始
- 労働組合法 第24条公益委員による不当労働行為事件の処理権限
- 労働組合法 第19条労働委員会の組織と公益委員の地位
- 民事訴訟法 第24条裁判官の忌避、公益委員忌避制度が範をとる手続原型
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める