建築基準法 第39条(災害危険区域)
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- 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。
- 2.災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。
この条文の基本情報
災害危険区域とは何ですか?
定義災害危険区域とは、建築基準法第39条に定められた規定で、「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第39条(災害危険区域)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第39条の条文原文は「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。」で始まります。
- 建築基準法第39条は第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第39条の前の条は建築基準法第38条です。
- 建築基準法第39条の次の条は建築基準法第40条です。
- 建築基準法第39条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第39条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第39条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/39
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法39条は、地方公共団体が条例で津波・高潮・出水等の危険が著しい区域を災害危険区域に指定し、区域内の住居用建築物の建築を禁止できると定める。損失補償の規定はない。
Q · ハザードマップが真っ赤な土地でも家は建てられるんですか?
ハザードマップなら建つ。条例で災害危険区域に指定されると建てられない
建築基準法39条1項により、地方公共団体は条例で津波・高潮・出水等の危険が著しい区域を災害危険区域として指定できます。同条2項により、区域内の住居用建築物の建築禁止その他災害防止上必要な制限は、その条例で定められます。したがって建築を法的に止めるのは条例による区域指定であり、水防法に基づく浸水想定区域(ハザードマップ)は情報提供にとどまります。指定前から適法に建っていた建物は既存不適格として存続できますが(同法3条2項)、建て替え時には制限が及び、損失補償は原則として発生しません。
解説
津波、高潮、出水。この三語が並ぶ条文は、日本の法律の中でも異例の強さを持つ。地方公共団体は条例で災害危険区域を指定でき、その区域内では住居用建築物の建築そのものを禁止できる。国会が作る法律ではなく、市区町村の条例で、あなたの土地に家を建てる自由が丸ごと止まるということだ。しかもこの制限に対して、原則として損失補償は行われない。危険な場所に建てる自由はもともと財産権に内在する制約の範囲(最初からその権利の中に入っていない、という考え方)と整理されているからである。もう一つ効くのが既存不適格(指定前から建っている建物はそのまま使えるが、建て替えるときは新しい制限がかかる)の壁で、住み続けられるのに二度と建て直せない土地が生まれる。売るとき、この一行が価格のすべてを決める。
法的な位置づけ
建築基準法39条は災害危険区域制度を定める規定であり、地方公共団体が条例で、津波・高潮・出水等による危険が著しい区域を指定する権限と、その区域内における住居用建築物の建築禁止その他災害防止上必要な建築制限を条例で定める根拠を規定する。制限の内容と範囲は各自治体の条例に委ねられ、損失補償は同条に定めがない。
手順
- 1.買付証明を出す前に地番単位で照会する 市区町村の建築指導課または都市計画課に地番を伝え、「建築基準法39条の災害危険区域か」「禁止されるのは住居用のみか、構造・高さの基準適合型か」を確認する。可能なら書面で回答をもらう
- 2.条例本文を自分で読み、どの型かを特定する 自治体の例規集で災害危険区域条例の本文を読む。全面禁止型、床面の高さ・構造の基準適合型、首長の許可による但書型のどれかで土地の価値は桁違いに変わるため、担当者の口頭説明だけで結論を出さない
- 3.既存建物があれば既存不適格の範囲を確認する 指定前から適法に建っている建物は存続できる(建築基準法3条2項)。増改築・大規模修繕でどこまで制限が及ぶか、建て替えが事実上不可能かを確認し、再建不可なら売却価格と相続税評価のずれも試算する
- 4.条例案の段階ならパブリックコメントで意見を出す 区域指定の条例案がパブリックコメントにかかっている段階だけが、線引きを動かせる実質的な入口。施行後は条例の制定行為に原則として処分性がなく、争う土俵に上がらない。締切と提出方法を先に押さえる
- 5.購入後に判明したら重要事項説明書を突き合わせる 重要事項説明書(宅地建物取引業法35条)に区域指定の記載があるかを確認する。記載漏れなら仲介業者の説明義務違反として契約解除・損害賠償を検討し、売主が知りながら黙っていたなら告知義務違反も併せて主張する
よくある質問 AI による整理
Q1災害危険区域とは何ですか?
建築基準法39条に基づき、地方公共団体が条例で指定する、津波・高潮・出水等の危険が著しい区域です。区域内では住居用建築物の建築禁止など、災害防止上必要な制限が条例で定められます。
Q2災害危険区域は誰が指定するのですか?
国ではなく地方公共団体です。条例で指定するため、区域の線引きも制限の強さも市区町村の議会が決めます。同じ危険度の土地でも隣の自治体と結論が違うのは制度上の想定内です。
Q3災害危険区域かどうかはどこで調べられますか?
市区町村の建築指導課または都市計画課で、地番を伝えて確認します。条例本文は自治体の例規集で読めます。登記簿には記載されないため、書面回答をもらうのが確実です。
Q4災害危険区域の指定は登記簿に載りますか?
載りません。条例による区域指定は登記事項ではないため、登記簿や現地を見ても分かりません。相場より安い理由が役所に聞くまで見えない典型例です。
Q5災害危険区域では建築確認は下りますか?
条例の制限に適合しなければ下りません。条例の建築制限は建築確認の審査対象であり(建築基準法6条)、違反すれば是正命令の対象になります(同法9条)。
Q6災害危険区域で店舗や倉庫は建てられますか?
39条2項が禁止できるのは住居用建築物ですが、条例が他の用途に制限を付すこともあります。さらに都市計画法33条1項8号により、自己居住用以外の開発行為は原則許可されません。
Q7災害危険区域の指定は解除されることがありますか?
あります。堤防や護岸の整備で危険が解消されれば、自治体が条例を改正して区域を縮小・解除する運用があります。指定も解除も条例改正の手続で行われます。
Q8災害危険区域に指定されたら固定資産税は下がりますか?
39条には税の定めがありません。建築制限は固定資産評価上の減価要因になり得ますが、自動的な減免制度ではありません。実勢価格の下落幅と税評価の下落幅がずれる点が実務の痛みです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1災害危険区域に指定されたら、土地を買い取ってもらえないんですか?
39条には買取も補償も書かれていません。危険な場所に建てる自由はもともと財産権の内在的制約の範囲という整理で、憲法29条3項の損失補償は原則発生しません。金銭が動くのは防災集団移転促進事業など別制度に乗ったときだけです。実務のポイント:その事業に乗せるかどうかは自治体の判断で、住民側から移転促進区域にするよう要望を出せる。指定だけされて移転事業がつかない区域が最も損をする
Q2ハザードマップの浸水想定区域と何が違うんですか?
効力が決定的に違います。水防法の浸水想定区域は情報提供で建築を止めません。災害危険区域は条例で住居の建築を禁止でき、違反すれば建築確認が下りず、是正命令(建築基準法9条)の対象になります。実務のポイント:宅地建物取引業法35条の重要事項説明では2020年8月から水害ハザードマップ上の所在地の説明も義務化されたが、説明された=建てられる、ではない。両者を混同したまま契約する買主は今も多い
Q3条例で建築禁止って、法律より強すぎませんか。違憲じゃないんですか?
憲法94条が条例制定権を認め、建築基準法39条が法律の側から授権しているので、法律に基づく規制として整理されます。財産権の制約も公共の福祉による合理的制限(憲法29条2項)として扱われるのが実務です。実務のポイント:条例そのものは処分性の壁で争いにくいが、最高裁が条例の制定行為に処分性を認めた例外判例がある(最判平成21.11.26、横浜市保育所廃止条例)。特定の土地を狙い撃ちに近い線引きなら検討価値がある
Q4区域内の家を買ってしまいました。もう住めないんですか?
指定前から適法に建っていた建物は既存不適格として住み続けられます(建築基準法3条2項)。効いてくるのは建て替えや大規模な増改築のときで、実質的に再建できない土地になることがあります。実務のポイント:条例には全面禁止型のほか、床面の高さや構造の基準を満たせば可とする型、首長の許可を受ければ可とする但書型がある。どの型かで土地の価値は桁違いに変わるので、自治体の例規集で条例本文を直接読むまで結論を出さない
間違えやすい点 AI による整理
- ハザードマップで浸水想定区域に入っている=建築制限がかかっている、と思い込んでいる人が非常に多い。水防法に基づく浸水想定区域は情報提供であって、建築を一ミリも止めない。建築を禁止できるのは、自治体が条例で災害危険区域に指定した場合だけである。逆もまた真で、ハザードマップが白い土地でも、条例の区域に入っていれば建てられない
- 災害危険区域に指定されると建てられない、ここまでは知っている人もいる。深刻なのはその先だ。今建っている家は既存不適格として使い続けられるため、日常では何一つ起こらない。問題が表に出るのは、火災で焼けた、地震で全壊した、老朽化でどうしても建て替えたい、という最も追い詰められた瞬間である。そのとき初めて、再建できないと知る
- 「指定されたら国や市が補償してくれるのか」という問いの立て方自体がずれている。行政の側から見れば、これは財産を取り上げる収用ではなく、もともと危険な場所に建てる自由の外縁を確認する規制にすぎない。だから憲法29条3項の損失補償は原則として発生しない。金銭が動くのは防災集団移転促進事業など別制度に乗った場合であって、39条そのものからは一円も出てこない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条例の役割 | 39条:条例で災害危険区域を指定し、住居の建築禁止まで定められる | 40条:条例で建築物の敷地・構造等の制限を付加できる一般根拠 3条2項:既存の適法建築物には新しい制限を遡及適用しない |
| 効果の強さ | 住居用建築物の建築そのものを禁止でき、再建不能な土地が生じる | 建築を禁止するのではなく、基準を上乗せする 現状の使用継続を認めるが、建て替え時には新制限が及ぶ |
| 手続上の現れ方 | 建築確認で条例不適合として不許可(6条)、違反すれば是正命令(9条) | 建築確認審査で上乗せ基準の適合性が問われる 増改築の規模で不遡及の範囲が切り替わる |
| 損失補償 | 39条自体に補償規定なし。財産権の内在的制約として原則補償なし | 同様に補償規定なし 補償の問題ではなく適用範囲の問題 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は法律本体(建築法47条)が直接に危険地の建築禁止・制限を定める。日本のように条例へ線引きを丸ごと委ねる構造ではないため、自治体ごとに結論が分かれる現象は日本より起きにくい
韓国は自治体長が自然災害危険改善地区を指定し、整備計画とセットで運用する。指定と改善事業が制度的に連動している点が、指定だけされて移転事業がつかない日本の状況と対照的
ドイツは連邦法である水管理法が確定洪水域での建築を原則禁止し、例外許可の要件も連邦レベルで定める。日本の39条のような包括的な条例授権型ではなく、規制内容が全国で均質になりやすい
米国は洪水保険制度への参加条件として地方政府に floodplain 規制の制定を事実上強制する。規制を課さなければ保険が使えないという経済的誘導で、日本の無補償規制とは痛みの配分設計が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、親から相続した海沿いの実家を建て替えようとしたら? 市の条例で災害危険区域に指定されていて、住居の用に供する建築物は建築禁止。住み続けることはできるが、解体したら二度と建てられない。土地の実勢価格は半値以下に沈む一方、相続税の評価はそこまで下がらず、税だけを払い損なうことすらある
- 中古住宅を売る側に立ったあなた。仲介業者が重要事項説明で災害危険区域の指定に触れないまま契約が成立した。買主が後で気付けば、宅地建物取引業法35条の説明義務違反として業者の責任が問われ、契約の解除や損害賠償に発展する。売主であるあなたも、指定を知りながら黙っていたなら告知義務違反を問われる側に回る
- 隣町は指定ゼロ、自分の町だけ指定あり。同じ川沿い、同じ標高なのに、地価だけが違う。39条が「指定することができる」と書いているから、こうなる
- 自治体が災害危険区域の条例案をパブリックコメントにかけた。意見提出の締切はあと2週間。指定されれば建て替え不可、補償は原則なし。この段階の意見書だけが区域の線引きを動かせる実質的な入口で、施行後に「聞いていない」と言っても、条例の制定行為には原則として処分性がなく、訴訟の土俵にすら上がらない
- 不動産サイトで相場より3割安い土地を見つけた。現地は普通の住宅地に見え、登記簿にも何も書いていない。だが市の条例で災害危険区域に入っており、住宅には床面の高さや構造の制限、場合によっては全面禁止がかかる。安い理由は、役所の建築指導課で地番を伝えるまで一切見えない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 地番単位で確認する。市区町村の建築指導課または都市計画課で「建築基準法39条の災害危険区域か」「禁止されるのは住居用だけか、構造・高さの基準適合型か」を、できれば書面で回答してもらう2. 既存建物があるなら既存不適格の範囲(建築基準法3条2項)と、増改築時にどこまで制限が及ぶかを確認3. 購入後に判明したなら重要事項説明書(宅地建物取引業法35条)の記載を突き合わせ、記載漏れなら仲介業者の責任を追及4. 防災集団移転促進事業の対象区域なら、買取・移転補助の窓口を同時に当たる
訴えられた側:1. 条例違反として工事停止や除却命令(建築基準法9条)を受けたら、命令書の根拠条例の条項と、区域図への自分の敷地の当てはめを測量レベルで照合する。境界の当てはめ誤りは実務上まれではない2. 命令は行政処分なので審査請求・取消訴訟の対象。期限を先に押さえる(審査請求は処分を知った日の翌日から3か月) 3. 売主・仲介として告知漏れを問われた側なら、調査時点で自治体が指定をどう公表していたかの記録を集める
時効(請求できる期限):39条自体に時効はない。区域指定の条例は施行日から効力を持ち、それ以前に適法に建っていた建物は既存不適格として存続できる(建築基準法3条2項)。期限が走るのは行政処分を受けた場面で、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)、取消訴訟は6か月(行政事件訴訟法14条)。説明義務違反等の損害賠償は一般の消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年)
学説
内在的制約説(実務・通説):危険地における建築は財産権として保障された範囲にもともと含まれないため、条例による建築禁止は規制であって収用ではなく、損失補償を要しないと整理する。39条の運用を支える標準的な立場
特別犠牲説からの批判的検討:同じ危険度でも線の内側の所有者だけが地価下落という形で地域全体の安全コストを単独負担する構造に着目し、制限の強度と範囲が収用に接近する場合には補償を要する余地を認めるべきとする議論
改正沿革 AI による整理
- 周辺法制の変化(要検証) 39条本文の改正履歴は要人的検証。ただし東日本大震災後の防災集団移転促進事業での大量指定、2020年(令和2年)都市計画法改正による災害レッドゾーンの開発規制強化、2020年8月の水害ハザードマップに関する重要事項説明の義務化により、条文は変わらないまま本条の実務上の重みが大きく増した
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築基準法の制定に伴い、災害危険区域制度が39条として新設された。地方公共団体への条例授権という形式で、危険地の建築制限を法律レベルで根拠づけた
- 2.令和2年(2020年)以降(周辺法制の変化・要検証) 改正:39条本文の改正履歴は要人的検証。ただし都市計画法33条1項8号による災害レッドゾーンの開発規制強化、水害ハザードマップに関する重要事項説明の義務化により、条文は変わらないまま本条の実務上の重みが増した
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