建築基準法 第53条(建蔽率)
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- 建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
- 一第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域又は工業専用地域内の建築物十分の三、十分の四、十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
- 二第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内の建築物十分の五、十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
- 三近隣商業地域内の建築物十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
- 四商業地域内の建築物十分の八
- 五工業地域内の建築物十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの
- 六用途地域の指定のない区域内の建築物十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの
- 2.建築物の敷地が前項の規定による建築物の建蔽率に関する制限を受ける地域又は区域の二以上にわたる場合においては、当該建築物の建蔽率は、同項の規定による当該各地域又は区域内の建築物の建蔽率の限度にその敷地の当該地域又は区域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計以下でなければならない。
- 3.前二項の規定の適用については、第一号又は第二号のいずれかに該当する建築物にあつては第一項各号に定める数値に十分の一を加えたものをもつて当該各号に定める数値とし、第一号及び第二号に該当する建築物にあつては同項各号に定める数値に十分の二を加えたものをもつて当該各号に定める数値とする。
- 一防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域を除く。)内にあるイに該当する建築物又は準防火地域内にあるイ若しくはロのいずれかに該当する建築物
- 一耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能(通常の火災による周囲への延焼を防止するために壁、柱、床その他の建築物の部分及び防火戸その他の政令で定める防火設備に必要とされる性能をいう。ロにおいて同じ。)を有するものとして政令で定める建築物(以下この条及び第六十七条第一項において「耐火建築物等」という。)
- 二準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(耐火建築物等を除く。第八項及び第六十七条第一項において「準耐火建築物等」という。)
- 二街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物
- 4.隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合又は第六十八条の二第一項の規定に基づく条例で定める壁面の位置の制限(隣地境界線に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び隣地境界線に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。)がある場合において、当該壁面線又は壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物(ひさしその他の建築物の部分で政令で定めるものを除く。次項において同じ。)で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、前三項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、前三項の規定による限度を超えるものとすることができる。
- 5.次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、第一項から第三項までの規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
- 一特定行政庁が街区における避難上及び消火上必要な機能の確保を図るため必要と認めて前面道路の境界線から後退して壁面線を指定した場合における、当該壁面線を越えない建築物
- 二特定防災街区整備地区に関する都市計画において特定防災機能(密集市街地整備法第二条第三号に規定する特定防災機能をいう。次号において同じ。)の確保を図るため必要な壁面の位置の制限(道路に面する建築物の壁又はこれに代わる柱の位置及び道路に面する高さ二メートルを超える門又は塀の位置を制限するものに限る。同号において同じ。)が定められた場合における、当該壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物
- 三第六十八条の二第一項の規定に基づく条例において防災街区整備地区計画の区域(特定建築物地区整備計画又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。)における特定防災機能の確保を図るため必要な壁面の位置の制限が定められた場合における、当該壁面の位置の制限として定められた限度の線を越えない建築物
- 四建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるもの
- 6.前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
- 一防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等
- 二巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの
- 三公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの
- 7.建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であるときは、その敷地は、全て防火地域内にあるものとみなして、第三項第一号又は前項第一号の規定を適用する。
- 8.建築物の敷地が準防火地域と防火地域及び準防火地域以外の区域とにわたる場合において、その敷地内の建築物の全部が耐火建築物等又は準耐火建築物等であるときは、その敷地は、全て準防火地域内にあるものとみなして、第三項第一号の規定を適用する。
- 9.第四十四条第二項の規定は、第四項、第五項又は第六項第三号の規定による許可をする場合に準用する。
この条文の基本情報
建蔽率とは何ですか?
定義建蔽率とは、建築基準法第53条に定められた規定で、「建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第53条(建蔽率)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第53条の条文原文は「建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。」で始まります。
- 建築基準法第53条は第四節 建築物の敷地及び構造に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第53条の前の条は建築基準法第52条です。
- 建築基準法第53条の次の条は建築基準法第53条の2です。
- 建築基準法第53条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第53条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第53条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/53
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法53条は、建蔽率(建築面積÷敷地面積)の上限を用途地域ごとに十分の三から十分の八で定める。防火地域の耐火建築物や指定角地では十分の一が加算される。
Q · 土地を買ったら、敷地の何割まで建物を建てられるんですか?
用途地域で決まるが、角地や防火地域で最大20%上乗せされる
建築基準法53条は、建蔽率(建築面積の敷地面積に対する割合)の上限を用途地域ごとに十分の三から十分の八の範囲で定めます。実際の数値は都市計画で決まるため、同じ用途地域名でも自治体により異なります。さらに3項により、防火地域内の耐火建築物等なら十分の一、特定行政庁が指定する角地なら十分の一、両方に該当すれば十分の二が加算されます。建蔽率の限度が十分の八とされる地域内の防火地域にある耐火建築物等は、6項1号により制限そのものが適用されません。
解説
土地を100平方メートル買った。だが、その土地に建てられる建物の一階の床面積は50平方メートルかもしれないし、30平方メートルかもしれない。決めるのはあなたではなく、その土地がどの用途地域にあるかだ。建築基準法53条の建蔽率(けんぺいりつ、敷地面積に対する建築面積の割合)は、不動産広告に小さく「建蔽率60%」と書かれているあの数字である。ここであなたが握るべきは、この数字が固定値ではないという事実だ。角地に指定されれば10分の1が加算され、防火地域内の耐火建築物ならもう10分の1、両方揃えば20%上乗せされる。さらに商業地域の80%指定エリアで防火地域内の耐火建築物なら、6項1号で建蔽率の制限そのものが消える。つまり敷地いっぱいに建てられる。不動産業者が「建蔽率60%だから無理ですね」と言ったとき、その敷地が角地指定を受けているか、防火地域にかかっているかを確認しないまま諦めた人は、建てられたはずの20平方メートルを永久に失っている。
法的な位置づけ
建築基準法53条は建蔽率の制限を定める規定であり、建築面積の敷地面積に対する割合の上限を、用途地域ごとに都市計画で定められた数値に従って画する。敷地が二以上の地域にわたる場合は面積按分による加重平均で限度を算出し、防火性能や角地指定に応じた加算緩和、および一定の建築物に対する適用除外が置かれている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約前に都市計画情報を自分で取得する 自治体の都市計画課または Web の都市計画マップで、対象敷地の用途地域・指定建蔽率・容積率・防火/準防火地域の指定・用途地域の境界線を確認する。業者の口頭説明ではなく、印刷できる公的資料の形で手元に残す
- 2.建築指導課で角地緩和の該当可否を確認する 敷地図を持参して建築指導課の窓口へ行き、当該自治体の建築基準法施行細則における角地等の指定基準(内角の角度、前面道路の幅員合計、隅切りの有無)と、この敷地が53条3項2号の指定対象かを確認する。緩和は自動適用ではないため、この確認をしない限り10%の上乗せは計画に織り込めない
- 3.敷地が地域境界にまたがるかを判定し加重平均を計算する 都市計画図上で敷地が二以上の地域にまたがっていないか確認する。またがる場合は53条2項に従い、各地域の建蔽率限度にその部分の面積割合を乗じた値を合計する。厳しい方の数値を全体に適用する必要はなく、建物の配置を緩い地域側に寄せることで有効な建築面積が変わる
- 4.重要事項説明書に建蔽率と緩和の可否を記載させる 売買契約前の重要事項説明の段階で、指定建蔽率・防火地域指定・角地緩和の該当可否を宅地建物取引業法35条の説明事項として書面に記載させる。記載があれば、後に事実と異なった場合の責任追及の根拠になる。契約後に判明しても価格は動かない
- 5.設計段階で建築面積の算入部分を詰める 建築士に建蔽率の残余面積を明示させたうえで、庇・バルコニー・車庫・屋外階段の算入可否を確認する。外壁または柱の中心線から1メートルを超えて突き出た部分は、先端から1メートル後退した線までが建築面積に算入される。建築確認申請後の設計変更は再申請と工期延長のコストを伴う
- 6.限度を超える必要があるなら許可ルートを検討する 壁面線の指定がある場合は4項、避難上・消火上必要な壁面線指定、特定防災街区整備地区、防災街区整備地区計画、省エネのための外壁工事に該当する場合は5項各号により、特定行政庁の許可で限度を超えられる余地がある。いずれも安全上・防火上・衛生上支障がないと認められることが条件
よくある質問 AI による整理
Q1建蔽率とは何ですか?
敷地面積に対する建築面積の割合のことです。建築基準法53条1項が定義しており、同一敷地内に複数の建物がある場合は建築面積を合計して計算します。
Q2建蔽率の計算方法は?
建築面積÷敷地面積で求めます。建蔽率60%、敷地100平方メートルなら建築面積の上限は60平方メートル。建築面積は外壁または柱の中心線で囲まれた水平投影面積です。
Q3建蔽率と容積率の違いは?
建蔽率(53条)は敷地に対する建築面積=一階の広がりの規制、容積率(52条)は敷地に対する延べ面積=総量の規制です。両方を同時に満たす必要があります。
Q4建蔽率は用途地域ごとにどう決まりますか?
53条1項は選択肢を示すだけで、実数は都市計画が決めます。第一種低層住居専用地域なら30・40・50・60%のいずれか、商業地域のみ80%固定です。
Q5敷地が二つの用途地域にまたがるときの建蔽率は?
2項により加重平均で計算します。低い方を全体に適用するのではなく、各地域の限度にその部分の面積割合を掛けて合計した値が限度になります。
Q6防火地域だと建蔽率は緩和されますか?
3項1号により、防火地域内の耐火建築物等は十分の一が加算されます。ただし限度が十分の八とされている地域は対象外で、そちらは6項1号で制限自体が外れます。
Q7建蔽率は自分で調べられますか?
調べられます。多くの自治体が Web の都市計画マップで用途地域・指定建蔽率・防火地域を無料公開しています。角地緩和の該当可否だけは建築指導課での確認が必要です。
Q8建蔽率に違反するとどうなりますか?
9条の是正命令の対象になりますが、実務で先に来るのは検査済証が取れないことによる住宅ローン否決と、売却時の買い手の消失という資産価値の毀損です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ベランダやバルコニーって建築面積に入るんですか?
外壁または柱の中心線から水平距離1メートルを超えて突き出た部分は、先端から1メートル後退した線までが建築面積に算入されます(建築基準法施行令2条1項2号)。庇・軒も同じ扱いです。実務のポイント:設計段階で庇を1メートル以内に抑えるか、あえて超えて意匠を取るかは設計者の裁量ですが、建蔽率がぎりぎりの敷地では「あと10センチ」で確認申請が通るかどうかが決まります。設計打合せの初回に「建蔽率の残り余裕は何平方メートルですか」と聞いておくと、後の手戻りが激減する
Q2商業地域だと本当に敷地いっぱいに建てられるんですか?
1項4号で商業地域の建蔽率は10分の8ですが、6項1号により、建蔽率の限度が10分の8とされている地域内の防火地域にある耐火建築物等には、53条の制限が適用されません。つまり建蔽率の上限が事実上なくなります。実務のポイント:都心のビルが隣地と壁を接して建っているのはこのためです。ただし民法234条(境界線から50センチ以上離す)との関係が問題になりますが、最高裁は防火地域の耐火建築物について建築基準法65条(現63条)が民法234条の特則であると判断しています(最判平成元.9.19)
Q3建蔽率オーバーの中古物件、安いけど買っても大丈夫ですか?
住宅ローンがほぼ通りません。金融機関は検査済証のない、または現行法規に適合しない建物への融資を渋るため、現金購入が前提になります。再建築時は現行の建蔽率に従うので、今より小さい建物しか建ちません。実務のポイント:「既存不適格」(建築時は適法、後の法改正で不適合)と「違反建築」(建築時から違法)は全く別物で、価格への影響も出口戦略も違います。物件資料に「再建築不可」「既存不適格」の文字を見たら、どちらなのかを売主に文書で確認する。答えられない業者は、その時点で信用度が分かる
Q4角地緩和って誰が判断するんですか。不動産屋さんの言う通りでいいんですか?
判断するのは特定行政庁(多くは市区町村長、建築主事を置く自治体の長)です(53条3項2号)。指定基準は各自治体の建築基準法施行細則に定められ、内角の角度、道路幅員の合計、隅切りの有無など条件が自治体ごとに異なります。実務のポイント:仲介業者は「角地だから10%増し」と口頭で言いがちですが、これは確認義務のある事項です。建築指導課の窓口で敷地図を見せて確認すれば、その場で回答が得られるケースが大半。無料で30分、これを省いた結果の設計やり直しは数十万円
間違えやすい点 AI による整理
- 「建蔽率は用途地域ごとに一律で決まっている」と思われているが、53条1項をよく読むと、多くの号が「十分の三、十分の四、十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの」という選択肢の提示になっている。実際の数値を決めるのは都市計画であり、同じ第一種低層住居専用地域でも、自治体によって30%の区域と60%の区域がある。用途地域名だけで判断すると二倍間違える
- 建蔽率の緩和条件を「知っている」人は多いが、その適用が自動ではないことを知らない人が大半である。3項2号の角地緩和は「特定行政庁が指定するもの」という条件付きで、指定基準は自治体の施行細則に委ねられている。東京都と大阪市と地方都市で基準が違い、同じ形状の角地でも一方は緩和され一方はされない。緩和の存在を知ったうえで、役所で確認しないと意味がない
- 「建蔽率を守れば家は建つ」という前提そのものがずれている。建蔽率(53条)は敷地に対する建築面積の上限にすぎず、実際の建物規模は容積率(52条)、道路斜線・北側斜線(56条)、日影規制(56条の2)、絶対高さ制限(55条)、さらに防火規制と同時に満たす必要がある。建蔽率がクリアでも斜線制限で屋根が削られる。建てられる家の形を決めるのは、53条を含む複数の制限の交差点である
- 「違反しても是正命令が来るだけ」と思われがちだが、実際の打撃は融資と売却で来る。建蔽率超過の建物は建築確認済証・検査済証が取れず、金融機関の住宅ローン審査でほぼ確実に落ちる。売却時も買主がローンを組めないため、相場より大幅に安い現金買いの投資家しか相手にできなくなる。行政の是正命令(9条)より先に、資産価値の毀損が来る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制する対象 | 53条:敷地に対する建築面積(水平投影=一階の広がり)の上限 | 52条:敷地に対する延べ面積(各階の合計=総量)の上限 56条:道路斜線・隣地斜線・北側斜線による高さと形状の上限 |
| 制限の目的 | 市街地の空地率確保(延焼防止・消防活動・通風採光) | 都市基盤(道路・上下水道)の容量に対する人口密度の制御 隣地と道路への日照・通風・開放感の確保 |
| 数値の決まり方 | 1項の選択肢の中から当該地域の都市計画が指定(商業地域のみ8/10固定) | 用途地域ごとの指定容積率と前面道路幅員による低減のうち厳しい方 前面道路幅員・用途地域から算出、敷地ごとに数値が異なる |
| 緩和・適用除外 | 3項の防火+角地で最大2/10加算、4項・5項の許可、6項の適用除外 | 特定道路による緩和、住宅の地下室・車庫等の延べ面積不算入 天空率による適合判定(56条7項)、セットバック緩和 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も用途分区ごとに建蔽率を定め、法定空地の確保を義務づける点で日本と同型。数値は施行細則および都市計画書で指定され、日本の「都市計画で定める」構造と対応する。角地に相当する緩和は建築技術規則・自治体の規定に散在する
韓国は建築法で建蔽率の定義と原則を置き、国土計画法で用途地域ごとの上限範囲を定め、条例で実数を決める三層構造。上限の幅は日本より広く、一般商業地域で80%台から90%近くまで条例で設定される地域がある
中国は法律に用途地域別の建蔽率数値を置かず、控制性詳細規劃が地塊ごとに建築密度・容積率・緑地率をセットで指定し、建設用地規劃許可証・建設工程規劃許可証で個別に拘束する。法律の数値表ではなく計画図の指標が直接の規範となる点が日本と根本的に異なる
ドイツは GRZ を0.2〜1.0の係数で表し、Bebauungsplan が地区ごとに指定する。特徴は § 19 Abs. 4で、車庫・地下施設・付属施設の分を原則50%まで上乗せできると明文化している点で、日本の庇・バルコニーの算入論争に相当する問題を係数レベルで処理している
フランスは2014年の loi ALUR で COS(係数方式の床面積上限)を廃止し、現在は PLU が emprise au sol(建築物の地表占有)と高さ・後退距離の組合せで密度を制御する。全国一律の数値表を法律に持たず、自治体の PLU に全面委任する点が日本と対照的
米国は連邦法・州法に建蔽率の数値を置かず、各自治体の zoning ordinance が lot coverage・setback・FAR を定める。1926年の Euclid 判決が用途地域制そのものの合憲性を認め、以後の全米の zoning の基礎となった。過度の規制は Takings Clause の問題になりうる点が大陸法系との構造的差異
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中古住宅を買って建て替えを検討したら、今建っている家が現行の建蔽率を超えていた。いわゆる既存不適格。建て替えると今より小さい家しか建たない。購入前に登記面積ではなく「建築確認上の敷地面積」と現行建蔽率を照合していれば、価格交渉の材料にできた
- 角地の土地を検討している。仲介業者は「角地緩和で10%上乗せできます」と言うが、これは自動ではない。3項2号は「特定行政庁が指定するもの」と定めており、指定条件(角度、道路幅員、隅切りの有無)は自治体ごとの建築基準法施行細則で全く違う。役所の建築指導課に敷地図を持って行き、「この敷地は角地緩和の対象ですか」と聞くまで確定しない
- もし、あなたの敷地が二つの用途地域にまたがっていたとしたら? 厳しい方の数値が全体に適用されるわけではない。2項は加重平均方式を定める。第一種低層(50%)が60平方メートル、近隣商業(80%)が40平方メートルなら、限度は50%×0.6 + 80%×0.4 = 62%。この計算を知らないまま「低い方で計算しておこう」と諦めると、敷地の価値を自分で削ることになる
- 工務店から「この設計なら建蔽率ぎりぎり収まります」と図面が来た。だが車庫の庇(ひさし)やバルコニーの扱いで数値が動く。建築面積は「水平投影面積」で、外壁または柱の中心線で囲まれた部分。1メートル以下の庇は原則不算入だが、それを超える部分は算入される。あと10日で建築確認申請、この段階での設計変更は工務店との交渉になる
- 隣人が敷地いっぱいに建てているのを見て「あれ違法じゃないのか」と思った。だが6項1号を見れば、建蔽率80%指定の防火地域内で耐火建築物なら制限が適用されない。都心の商業地で壁が隣家とほぼ接している建物が並ぶのは、違法建築ではなく、この条文が予定した結果である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 購入・建築を検討中なら、契約前に自治体の都市計画課で「都市計画情報」を取得し、用途地域・指定建蔽率・防火/準防火地域・用途地域の境界線を確認する(多くの自治体は Web の都市計画マップで無料公開) 2. 建築指導課で角地緩和(3項2号)の指定基準と、当該敷地が該当するかを敷地図を持って確認3. 既存建物がある場合は建築確認済証・検査済証の有無を売主に求める、なければ既存不適格か違反建築の疑い4. 業者の口頭説明は重要事項説明書への記載を求める、記載があれば宅地建物取引業法上の責任追及の根拠になる
訴えられた側:1. 建蔽率超過を指摘された場合、まず指摘の根拠となる建築面積の算定方法を確認する。庇・バルコニー・車庫・屋外階段の算入可否は争点になりやすい2. 建築時点で適法だった建物が法改正・都市計画変更で超過状態になった場合は「既存不適格」であり違反建築ではない、3条2項で現行規定の適用が除外される3. 3項(角地・防火)、4項・5項(壁面線指定、特定行政庁の許可)、6項(適用除外)の該当可能性を建築士と精査4. 是正命令(9条)が出る前の行政指導段階であれば、特定行政庁との協議で是正方法の選択余地が残る、命令後は選択肢が狭まる
時効(請求できる期限):53条自体に特定の時効はない。違反建築物に対する是正命令(9条)に不服がある場合は、審査請求を処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は6か月以内(行政事件訴訟法14条)。建築確認処分に対する取消訴訟は工事完了で訴えの利益が消滅するとされるため、実務上は着工前が勝負。売主・仲介業者の説明義務違反を理由とする損害賠償は、損害および加害者を知った時から5年(民法166条1項1号、債務不履行構成の場合)
学説
通説(建蔽率の機能論):建蔽率規制は、敷地内に一定割合の空地を強制的に確保させることで延焼の遮断、消防活動空間、隣地の日照・通風を担保する平面的規制であり、延べ面積という総量を制御する容積率規制とは目的も作用面も異なる。両者は代替関係ではなく重畳適用される。
通説(緩和規定の性格):3項および6項1号の防火性能による緩和・適用除外は、空地確保の主目的が延焼防止にあることを前提に、建築物自体の耐火性能でその目的が代替されるときは制限を後退させる趣旨と解されている。角地緩和は二方向の道路空間が空地機能を代替することに根拠を求める。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築基準法の制定により、市街地建築物法(大正8年)の密度規制を引き継ぐ形で建蔽率制限が法律上の規定として整備された
- 2.平成30年(2018年) 改正:都市農地の保全を目的とする田園住居地域の創設に伴い、1項1号の適用対象地域に田園住居地域が追加された
- 3.令和4年(2022年) 改正:脱炭素社会の実現に向けた建築物のエネルギー消費性能向上に伴い、5項4号が設けられ、外壁の断熱改修等により構造上やむを得ず建蔽率の限度を超える場合に特定行政庁の許可で超過を認める道が開かれた
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