建築基準法 第8条(維持保全)
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- 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
- 2.次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。ただし、国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物については、この限りでない。
- 一特殊建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの
- 二前号の特殊建築物以外の特殊建築物その他政令で定める建築物で、特定行政庁が指定するもの
- 3.国土交通大臣は、前項各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者による同項の準則又は計画の適確な作成に資するため、必要な指針を定めることができる。
この条文の基本情報
維持保全とは何ですか?
定義維持保全とは、建築基準法第8条に定められた規定で、「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第8条(維持保全)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第8条の条文原文は「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」で始まります。
- 建築基準法第8条は第一章 総則に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第8条の前の条は建築基準法第7条の6です。
- 建築基準法第8条の次の条は建築基準法第9条です。
- 建築基準法第8条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第8条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第8条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法8条は、建物の所有者・管理者・占有者に敷地、構造、建築設備を常時適法な状態に保つ努力義務を課し、政令で定める特殊建築物等には維持保全計画の作成を義務づける。
Q · 賃貸で借りている建物でも、借主に維持保全の義務があるんですか?
はい、占有者も条文に明記された義務主体です
建築基準法8条1項は「建築物の所有者、管理者又は占有者」を並列で義務主体としており、賃借人である占有者も敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持する努力義務を負います。防火設備の前に物品を置く、無断で間仕切りを設けるといった行為は占有者自身の義務違反になりえます。他方、2項の維持保全計画の作成義務は「所有者又は管理者」に限られ、対象も政令で定める重要な特殊建築物等に絞られます。1項と2項で義務主体と義務の強さが異なる点が本条の要です。
解説
建物を持っているだけで、あなたは法律上「維持保全義務」を負う人になっている。建築基準法8条1項は、所有者・管理者だけでなく「占有者」にも、敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に保つ努力義務を課す。つまり賃貸マンションを借りているあなたも、実は名指しされている当事者だ。ここで多くの人が見落とすのは、1項が努力義務なのに対し、2項が特定の建築物には「維持保全計画の作成」という具体的な作為義務を課している点である。マンション、ホテル、病院、劇場、物販店。政令が定めるこれらの特殊建築物の所有者・管理者は、計画を作って適切な措置を講じなければならない。そしてこの8条の義務は、単独では罰則がない代わりに、12条の定期報告、10条の是正命令、さらに事故が起きたときの民事責任(民法717条の工作物責任)へ直結する。建物が人を傷つけたとき、裁判官が最初に見るのは「維持保全をどうやっていたか」の記録だ。
法的な位置づけ
建築基準法8条は、建築物の維持保全義務を定める規定である。第1項は所有者、管理者又は占有者に、敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持する努力義務を課す。第2項は政令で定める重要な特殊建築物等の所有者又は管理者に、維持保全の準則又は計画の作成その他適切な措置を義務づける。第3項は国土交通大臣による指針策定の根拠規定である。
手順
- 1.自分の立場と建築物の区分を確定する まず自分が所有者・管理者・占有者のいずれかを確定し、次にその建築物が8条2項各号(政令で定める重要な特殊建築物、特定行政庁が指定する建築物)に該当するかを確認する。該当すれば計画作成は作為義務、非該当でも1項の努力義務は残る
- 2.特定行政庁に該当区分と報告周期を照会する 所在地の市区町村または都道府県の建築指導課に連絡し、当該建築物が定期報告(12条)の対象か、対象なら調査・検査の周期と提出期限を確認する。自治体告示で周期が異なるため、他物件の前例をそのまま当てはめない
- 3.維持保全計画を作成する 敷地、構造、建築設備ごとに点検対象部位、点検時期、点検方法、実施者、記録保存方法、劣化発見時の措置手順を書面化する。8条3項に基づく国土交通大臣の指針に沿った様式とし、管理組合なら総会で承認して議事録に残す
- 4.点検と是正を記録として残す 計画に沿って点検を実施し、日付入り写真、点検者名、指摘事項、対処日、発注書・請求書をセットで保存する。評価されるのは計画の存在ではなく、計画どおり点検し発見した劣化に対処した記録である
- 5.定期報告を期限内に提出し、管理委託契約に組み込む 12条の対象なら有資格者(一級建築士・建築物調査員等)に調査を発注し、期限内に特定行政庁へ報告する。あわせて管理委託契約の業務範囲に「法定点検の手配」を明記し、誰も発注しない空白期間が生じない体制にする
よくある質問 AI による整理
Q1建築物の維持保全義務とは?
建築基準法8条1項が定める、敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に保つ義務です。所有者だけでなく管理者・占有者も義務主体で、竣工後の全期間にわたって作動し続けます。
Q2維持保全計画は誰が作らないといけない?
8条2項により、安全上・防火上・衛生上特に重要な特殊建築物として政令で定めるもの、および特定行政庁が指定する建築物の所有者又は管理者です。占有者は対象外です。
Q3建築基準法8条に罰則はある?
8条違反そのものに直接の罰則はありません。ただし維持保全を怠って生じた違反状態は10条の是正命令につながり、命令違反には刑事罰が用意されています。
Q4既存不適格建築物でも維持保全義務はある?
あります。3条により現行基準の遡及適用は免れても、8条の「常時適法な状態」は当該建築物に適用される基準を前提に判断され、維持保全義務自体は消えません。
Q5維持保全計画には何を書く?
点検対象部位、点検の時期と方法、実施体制、劣化発見時の措置、記録の保存方法などです。3項に基づき国土交通大臣が作成指針を定めることができます。
Q6国や自治体の建物も維持保全計画が必要?
8条2項但書により、国・都道府県・建築主事を置く市町村が所有し又は管理する建築物は対象外です。ただし国家賠償法2条の営造物責任など別系統の規律が及びます。
Q7外壁が剥落して通行人がケガしたら誰の責任?
民法717条の工作物責任で、まず占有者、免責されれば所有者が責任を負います。8条の点検記録の有無が「必要な注意をした」の立証を左右します。
Q8建築物の維持保全の指針はどこで確認できる?
8条3項に基づき国土交通大臣が定める指針が根拠で、条文本体は e-Gov 法令検索で、運用の詳細は所在地の特定行政庁(建築指導課)で確認できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちは普通のアパートなんですが、維持保全計画って作らないとダメですか?
2項の作成義務は政令で定める特殊建築物等が対象で、小規模な共同住宅は該当しないことがあります。ただし1項の努力義務は全建築物に及びます。実務のポイント:義務の有無より、事故時に点検記録が存在するかが実務では決定的です。義務対象外でも、年1回の目視点検を日付入り写真で残しておくだけで、民法717条の責任論での立ち位置が変わる
Q2管理会社に全部任せているので、自分の責任はないですよね?
委託しても8条の義務主体は所有者・管理者のままです。委託は履行の手段であって、義務の移転ではありません(管理委託契約の内容次第で求償関係が生じるにとどまる)。実務のポイント:管理委託契約書の業務範囲に「法定点検の手配」が入っているかを確認する。入っていない契約は多く、その場合は誰も点検を発注しないまま数年が経過する。事故後にこの空白が発覚するのが典型パターン
Q3借りている店舗の防火扉の前に棚を置いたら、大家と自分のどっちが悪いんですか?
占有者であるあなた自身が8条1項の義務主体であり、かつ消防法上の避難障害の問題にもなります。所有者は所有者で是正を求められる立場です。実務のポイント:この手の指摘は、原状回復の範囲をめぐる退去時の争いに直結する。指摘を受けたら是正の写真を必ず残す。撤去した証拠がないと、退去時に「違反状態のまま明け渡した」として敷金から引かれる
間違えやすい点 AI による整理
- 維持保全義務は所有者だけの話だと読まれがちだが、1項は「所有者、管理者又は占有者」と三者を並列で挙げている。賃借人であるあなたも義務主体だ。防火設備の前に物を置く、勝手に間仕切りを立てる、これらは占有者自身の8条違反になりうる
- 「8条には罰則がないから守らなくても大丈夫」という認識は、条文の読み方としては正しいが深刻度の理解が足りない。8条違反そのものは処罰されなくても、維持保全を怠った結果の違反状態は10条の是正命令につながり、命令違反には懲役刑を含む罰則がある(改正により拘禁刑。最新の改正状況をご確認ください)。罰則がないのではなく、罰則までの距離が一段長いだけだ
- 多くの人が「何をすれば義務を果たしたことになるのか」を問うが、その問い自体が本条の構造を取り違えている。8条は結果として適法状態が保たれているかを問う条文であり、チェックリストを埋める条文ではない。裁判や行政指導で効くのは「計画があったか」ではなく「計画に沿って実際に点検し、発見した劣化に対処した記録があるか」である
- 2項の但書で「国、都道府県又は建築主事を置く市町村が所有・管理する建築物」は除外されているのを見て、公共建築物は緩いと誤解されることがある。実際は、これらの主体には別途、公共施設の管理者としての規律や国家賠償法2条の営造物責任があり、むしろ責任は重い。除外は緩和ではなく、規律の系統が違うという意味だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の性質 | 建築基準法8条:維持保全の実体義務(1項は努力義務、2項は作為義務) | 建築基準法12条:定期調査・検査報告という手続義務 建築基準法10条:特定行政庁による是正命令という行政処分 |
| 義務主体 | 1項=所有者・管理者・占有者/2項=所有者・管理者(国等は除外) | 報告対象建築物の所有者・管理者 命令の名宛人となる所有者・管理者・占有者等 |
| 違反の効果 | 直接の罰則なし。違反状態は10条・12条・民法717条へ波及 | 未報告・虚偽報告は過料等の対象 命令違反には刑事罰が用意されている |
| 作動する時点 | 竣工後、建物を保有・占有する全期間で常時作動 | 自治体が定める周期(おおむね建築物1〜3年、設備1年)ごと 保安上危険等の状態が現実化した時点 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は所有権者・使用人の維護管理義務と、一定用途・規模の建築物についての定期検査申報義務を同一条文内に規定する。日本が8条(実体義務)と12条(報告手続)に分けている構造を一条にまとめた形
韓国は2019年に建築物の維持管理を건축법から切り出し、建築物管理法として独立させた。日本が建築基準法内に維持保全を置き続けるのと対照的で、管理計画の提出義務もより形式化されている
ドイツは建築規制が州の権限であり、MBO をひな型に各州法が施設の建設から Instandhaltung までを一貫して規律する。維持義務違反は建築監督庁の命令(Bauordnungsverfügung)に直結する
米国は連邦法ではなくモデルコードを州・自治体が採択する方式。維持管理違反は条例違反として罰金・是正命令の対象となり、民事では premises liability が並行して働く
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが分譲マンションの管理組合理事長になった。前任者から引き継いだ書類に維持保全計画がない。特定行政庁から12条報告の督促が来て初めて、8条2項の義務を10年間果たしていなかったと知る。過去の理事長全員に責任が及ぶのかと夜中に管理規約を読み返すことになる
- 賃貸アパートの外階段が腐食して住人が転落した。大家は「業者に任せていた」と主張するが、8条の維持保全義務と民法717条の工作物責任は連動する。点検記録がなければ、占有者・所有者のどちらが責任を負うかの土俵にすら立てない
- 飲食店を借りて開業したあなた。防火シャッターの下に在庫を積み上げていた。消防の立入で指摘され、貸主から「8条の占有者義務違反だ」と原状回復と損害賠償を請求される。テナント側にも維持保全の当事者性があることを、契約書は教えてくれなかった
- もし、あなたの所有する築40年のビルの外壁タイルが剥落して通行人に当たったら? 特定行政庁は10条に基づく是正命令を出せる。命令違反には罰則があり、8条の努力義務が一気に刑事罰の射程に入る
- 特定行政庁から定期報告の期限通知が届いた。あと30日。調査資格者(一級建築士または建築物調査員)の手配だけで2週間かかる。今日動かないと未報告扱いになり、12条7項違反として過料の対象になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 建物の不具合で被害を受けたら、その場で劣化箇所の写真、日時、目撃者を確保する。補修されると証拠が消える2. 所有者・管理者に対し、維持保全計画と点検記録の開示を書面で求める。開示を拒まれた事実自体が後の立証材料になる3. 危険な違反状態が継続しているなら、特定行政庁(市区町村の建築指導課)に8条・10条を明示して申告する。行政の記録が残ると相手の対応が変わる4. 損害賠償は民法717条の工作物責任で構成し、占有者と所有者の双方を視野に入れる
訴えられた側:1. まず自分が所有者・管理者・占有者のどの立場かを確定する。責任の重さと抗弁の筋が変わる2. 過去の点検記録、補修履歴、業者への発注書を時系列で洗い出す。断片でも「必要な注意をした」立証の核になる3. 指摘を受けた劣化には、争う前に応急措置を講じて記録する。是正命令の前に自主是正した事実は行政・司法の双方で効く4. 是正命令が出た場合、命令書末尾の教示欄を読み、審査請求または取消訴訟の期限を確認する
時効(請求できる期限):8条自体に特定の期限はない。ただし12条の定期報告は特定行政庁が定める周期(おおむね建築物1から3年、建築設備・防火設備1年)で、期限は自治体告示による。是正命令に対する審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、取消訴訟は6か月(行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条)。建物事故の損害賠償は民法724条、724条の2の時効に服する
学説
通説:8条1項は努力義務規定であり、それ自体に罰則はないが、10条の是正命令や12条の定期報告制度と一体で建築物の事後規制体系を構成すると解される。実務上は民法717条の工作物責任における注意義務の内容を画する基準としても機能する。
実務的理解:本条が問うのは計画書という書面の存在ではなく、計画に沿って点検が実施され、発見された劣化に対処した記録が残っているかという履行の実質である。行政指導・訴訟いずれの局面でも記録の有無が結論を左右する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築基準法の制定に伴い、建築物の所有者等に対し敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持する義務を定める規定として置かれた
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