地方税法 第703条(水利地益税)
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- 道府県又は市町村は、水利に関する事業、都市計画法に基いて行う事業、林道に関する事業その他土地又は山林の利益となるべき事業の実施に要する費用に充てるため、当該事業に因り特に利益を受ける土地又は家屋に対し、その価格又は面積を課税標準として、水利地益税を課することができる。
- 2.水利地益税の課税額(数年にわたつて課する場合においては、各年の課税額の総額)は、当該土地又は家屋が前項の事業に因り特に受ける利益の限度をこえることができない。
- 3.市町村は、第七百二条第一項の規定によつて都市計画税を課する場合においては、第一項の都市計画法に基いて行う事業の実施に要する費用に充てるための水利地益税を課することができない。
この条文の基本情報
水利地益税とは何ですか?
定義水利地益税とは、地方税法第703条に定められた規定で、「道府県又は市町村は、水利に関する事業、都市計画法に基いて行う事業、林道に関する事業その他土地又は山林の利益となるべき事業の実施に要する費用に充てるため、当該事業…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第703条(水利地益税)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第703条の条文原文は「道府県又は市町村は、水利に関する事業、都市計画法に基いて行う事業、林道に関する事業その他土地又は山林の利益となるべき事業の実施に要する費用に充てるため、当該事業…」で始まります。
- 地方税法第703条は第七節に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第703条の前の条は地方税法第702条の8です。
- 地方税法第703条の次の条は地方税法第703条の2です。
- 地方税法第703条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第703条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第703条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/703
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法703条は、道府県や市町村が水利・都市計画・林道等の事業費に充てるため、特に利益を受ける土地・家屋に水利地益税を課せると定める。課税総額は受益の限度内に限られる。
Q · 近所で用水路や林道の工事があると、税金が増えることはあるの?
条例があれば、水利地益税が課される場合がある
地方税法703条1項により、道府県や市町村は、水利・都市計画法に基づく事業・林道などの費用に充てるため、特に利益を受ける土地・家屋に水利地益税を課すことができます。ただし課税は条例を定めた場合に限られ、2項により数年にわたる課税でも総額は受益の限度内に制限されます。さらに3項により、都市計画税を課す市町村は都市計画事業の費用のために水利地益税を課せません。
解説
固定資産税の通知書に「都市計画税」が同封されていることは知っていても、その隣に同じ発想の地方税がもう一つあることはほとんど知られていない。水利地益税である。用水路の整備、都市計画法に基づく事業、林道の開設など、土地や山林の価値を押し上げる公共事業の費用を、特に利益を受ける土地や家屋だけに負担させる仕組みだ。課税できるのは道府県と市町村で、課税標準(税額を計算する基準)は土地・家屋の価格か面積になる。ただし課税するかどうかは自治体の自由で、条例を定めなければ一円も課税されない。実際に課税している団体はごく少数にとどまる。押さえておくべきなのは2項の上限である。何年かに分けて課税しても、その合計額は事業で受けた利益の範囲内に収めなければならない。さらに3項により、都市計画税を課している市町村は、都市計画事業の費用を水利地益税で重ねて取ることはできない。地域限定の公共事業で「受益者だから払え」と言われたとき、あなたが最初に確かめるべきなのは、自分の受けた利益がどこまでか、そして同じ事業に二重の負担がかかっていないか、の二点である。
法的な位置づけ
水利地益税とは、地方税法703条に基づき、道府県または市町村が、水利・都市計画法に基づく事業・林道など土地や山林の利益となる事業の費用に充てるため、当該事業により特に利益を受ける土地または家屋に対し、その価格または面積を課税標準として課する目的税である。課税は条例による任意であり、課税総額は受益の限度内に制限される。
よくある質問 AI による整理
Q1水利地益税とは何ですか?
公共事業で特に利益を受ける土地・家屋に限って課される地方の目的税です。根拠は地方税法703条で、用水路・都市計画事業・林道などの費用に充てられます。
Q2水利地益税の課税標準は何ですか?
土地または家屋の「価格」か「面積」です。どちらを使うかや税率は法律では定まっておらず、課税する自治体が条例で決めます。
Q3水利地益税は誰が払うのですか?
事業によって特に利益を受ける土地・家屋が課税対象です。具体的な納税義務者は条例で定められ、一般的には当該土地・家屋の所有者等が想定されます。
Q4水利地益税の税率はいくらですか?
地方税法703条には税率の定めがありません。税率は課税する道府県・市町村が条例で定めますが、課税総額は受益の限度を超えられません(同条2項)。
Q5水利地益税は固定資産税とは別に払う必要がありますか?
別の税目です。固定資産税はすべての土地・家屋にかかる普通税、水利地益税は特定事業の受益地だけにかかる目的税で、条例があれば両方が課されえます。
Q6水利地益税は何年にもわたって課税されることがありますか?
あります。ただし地方税法703条2項により、数年にわたって課税する場合は各年の課税額の総額が、事業で特に受ける利益の限度を超えてはなりません。
Q7林道工事で山林に税金がかかることはありますか?
ありえます。林道に関する事業は703条1項に明記されており、自治体が条例を定めれば、利益を受ける山林の土地に水利地益税が課される可能性があります。
Q8水利地益税を払わないとどうなりますか?
他の地方税と同様に、督促・延滞金の発生を経て、滞納処分(財産の差押え等)に進む可能性があります。不服がある場合は、放置せず期限内に審査請求をすることが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1水利地益税って、うちの市でも取られてるんですか?
条例次第です。本条1項は「課することができる」と定めているだけで、課税するかどうか、税率をいくらにするかは道府県や市町村が条例で決めます。実際に課税している団体は全国でもごく少数です。実務のポイント:自治体の例規集を「水利地益税」で検索すれば数分で確認できます。不動産の購入前にこれを調べる人はほぼいませんが、地方の農地や山林を買うときほど調べる価値があります
Q2工事で得したのは確かだけど、税額が高すぎる気がします。下げてもらえますか?
2項により、課税額は受けた利益の限度を超えられません。数年に分けて課税される場合も、その合計額が基準になります。上限を超えていれば違法な課税として審査請求で争えます。実務のポイント:争点は「高い」という感覚ではなく受益額の算定です。事業前後の固定資産評価額や近隣の取引価格を自分で並べた資料を出すと、役所側は算定根拠を説明せざるを得なくなります
Q3都市計画税を毎年払ってるのに、また水利地益税まで取られることはありますか?
都市計画法に基づく事業の費用に限っていえば、ありません。3項は、都市計画税を課している市町村がその事業費のために水利地益税を課すことを禁じています。ただし用水路や林道など、都市計画事業以外の事業であれば併存しえます。実務のポイント:通知書や条例に書かれた「事業の名称」を必ず確認してください。都市計画事業かどうかの一点で、二重負担かどうかの結論がひっくり返ります
間違えやすい点 AI による整理
- 「地方税の種類は法律で決まっていて、どこでも同じように課税される」と考えがちだが、水利地益税は自治体が条例を定めて初めて動き出す任意の税である。同じ県内でも、隣の市には存在しない税があなたの市にだけ存在する可能性がある。全国一律という前提そのものを捨てる必要がある
- 受益に応じた負担があることは知っていても、その上限が法律に書かれていることまで知る人は少ない。2項は数年にわたる課税の合計額まで受益の範囲内に縛っている。役所が示した金額を「決まったもの」として受け入れた時点で、所有者は自分の最も強い反論を手放している
- 所有者から見れば「工事のせいで勝手に税金が増えた」となるが、法律から見れば「事業で上がった価値の一部を事業費に戻してもらう」という受益者負担の発想である。この視点の差を理解しないまま感情的に「不当だ」と訴えても、審査請求では通らない。争点は不当感ではなく、受益の有無と額である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 課税主体 | 地方税法703条:道府県または市町村 | 地方税法702条(都市計画税):市町村 地方税法703条の3(宅地開発税):市町村 |
| 課税対象 | 事業により特に利益を受ける土地・家屋 | 原則として市街化区域内の土地・家屋 一定区域で宅地開発を行う者 |
| 使途となる事業 | 水利・都市計画法に基づく事業・林道など土地や山林の利益となる事業 | 都市計画事業または土地区画整理事業 宅地開発に伴い必要となる公共施設の整備 |
| 主な制限 | 課税総額は受益の限度内(2項)、都市計画税との重複不可(3項) | 制限税率の定めあり 課税区域・課税標準が法定されている |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では、道路・水利などの公共工程で受益する土地等に対し、工事費の一部を「工程受益費」として徴収する制度があり、受益者負担という発想が日本の水利地益税と共通する。
韓国では開発事業による地価上昇分の一部を「開発負担金」として還元させる。税ではなく負担金の形式だが、開発利益の還元という目的が近い。
ドイツでは、道路などの基盤整備費の一部を受益する土地所有者に「Erschließungsbeitrag」として負担させる。税ではなく公法上の負担金として構成されている。
米国では、道路・下水道などの改良事業で受益する不動産に特別課税を行う制度が広く使われ、受益額を上限とする考え方が判例上も重視される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親から相続した山林のすぐそばで、県の林道工事が始まった。数年後、役所から「受益に応じた負担」の説明会の案内が届く。林道は本条1項に明記された事業の一つで、条例が制定されれば山林の所有者に課税されうる。売るか持ち続けるかを決める前に、自治体の条例の動きを確認しておく価値がある
- もし市から水利地益税の納税通知書が届き、その総額が土地の値上がり分を明らかに超えていたらどうなる? 本条2項は、課税額の合計が受けた利益の限度を超えてはならないと定めている。上限超過は、賦課処分の違法を主張する正面からの論点になる
- あなたが市の財政課の職員で、区画整理に近い事業の財源確保を任された。都市計画税をすでに課している市なのに、同じ都市計画事業のために水利地益税を新設しようとする案が出た。3項に正面から反する。条例案の段階で止めなければ、議会と住民の双方から突き上げられる
- 賦課決定の通知が届いてから、審査請求ができる期間は原則3か月。封筒を開けずに放っておいた間にも、その期限は進んでいる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 納税通知書の根拠を確認する。地方税法703条に基づく水利地益税か、都市計画法75条に基づく受益者負担金かで手続が異なる2. 自治体の税条例で課税区域、課税標準、税率を入手する3. 事業の前後で土地の価格がどれだけ上がったかを示す資料(固定資産評価額の推移、近隣の取引事例)を集め、2項の上限を超えていないか検証する4. 都市計画税の課税の有無を確認し、3項違反がないか点検する5. 違法の疑いがあれば審査請求を行う
訴えられた側:自治体側の担当者として課税する場合:1. 条例で事業との対応関係、課税区域、受益の算定根拠を明確にする2. 数年にわたって課税する場合は総額を管理し、受益限度を超えない設計にする3. 都市計画税を課しているなら、都市計画事業の費用を水利地益税の対象から外す4. 住民説明会の議事録と算定資料を残し、審査請求に耐えられる記録を作っておく
時効(請求できる期限):賦課決定に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は審査請求を経たうえで、裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条、地方税法19条の12)。地方団体の賦課権は原則として法定納期限の翌日から5年(地方税法17条の5)、徴収権の時効も5年(同18条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:水利地益税は受益者負担の考え方に立つ法定目的税であり、課税するかどうかは地方団体の任意。課税総額の受益限度(2項)と都市計画税との重複禁止(3項)が、特定の所有者への過重負担を防ぐ歯止めとして機能すると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:地方税法の制定時に、受益者負担型の目的税として水利地益税が規定された。
- 地方税法 第702条都市計画税、3項の重複課税禁止の対象
- 地方税法 第703条の3宅地開発税、同じ節の受益者負担型目的税
- 地方税法 第7条受益に因る不均一課税及び一部課税
- 地方税法 第3条税目・税率等を条例で定める原則
- 都市計画法 第75条受益者負担金、税ではない負担金の根拠
- 土地改良法 第36条土地改良区の賦課金、水利事業費の別ルート
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