地方公務員法 第45条(公務災害補償)
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- 職員が公務に因り死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは公務に因る負傷若しくは疾病により死亡し、若しくは障害の状態となり、又は船員である職員が公務に因り行方不明となつた場合においてその者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害は、補償されなければならない。
- 2.前項の規定による補償の迅速かつ公正な実施を確保するため必要な補償に関する制度が実施されなければならない。
- 3.前項の補償に関する制度には、次に掲げる事項が定められなければならない。
- 一職員の公務上の負傷又は疾病に対する必要な療養又は療養の費用の負担に関する事項
- 二職員の公務上の負傷又は疾病に起因する療養の期間又は船員である職員の公務による行方不明の期間におけるその職員の所得の喪失に対する補償に関する事項
- 三職員の公務上の負傷又は疾病に起因して、永久に、又は長期に所得能力を害された場合におけるその職員の受ける損害に対する補償に関する事項
- 四職員の公務上の負傷又は疾病に起因する死亡の場合におけるその遺族又は職員の死亡の当時その収入によつて生計を維持した者の受ける損害に対する補償に関する事項
- 4.第二項の補償に関する制度は、法律によつて定めるものとし、当該制度については、国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
この条文の基本情報
公務災害補償とは何ですか?
定義公務災害補償とは、地方公務員法第45条に定められた規定で、「職員が公務に因り死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは公務に因る負傷若しくは疾病により死亡し、若しくは障害の状態となり、又は船員である職員が公務に因り行…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方公務員法第45条(公務災害補償)は、日本の地方公務員法に含まれる条文です。
- 地方公務員法第45条の条文原文は「職員が公務に因り死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは公務に因る負傷若しくは疾病により死亡し、若しくは障害の状態となり、又は船員である職員が公務に因り行…」で始まります。
- 地方公務員法第45条は第二款 公務災害補償に置かれています。
- 地方公務員法の公布日は昭和25年12月13日です。
- 地方公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 地方公務員法第45条の前の条は地方公務員法第44条です。
- 地方公務員法第45条の次の条は地方公務員法第46条です。
- 地方公務員法第45条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第45条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261 - 本サイト収録
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第45条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000261/45
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方公務員法45条は、公務による職員の死亡・負傷・疾病等の損害は補償されなければならないと定め、その制度を国と権衡のとれた法律で定めるよう求める。
Q · 地方公務員が仕事で倒れたら、労災保険は使えるの?
常勤なら労災保険ではなく公務災害補償で補償される
常勤の地方公務員には原則として労働者災害補償保険法が適用されません(同法3条2項)。代わりに地方公務員法45条が公務による死亡・負傷・疾病等の損害の補償を義務づけ、地方公務員災害補償法がこれを具体化しています。請求するのは被災職員本人または遺族で、任命権者を経由して地方公務員災害補償基金に請求します。会計年度任用職員などの非常勤職員は、条例や労災保険法の対象となる場合があります。
解説
公務員には労災保険がない。正確に言うと、常勤の地方公務員は原則として民間の労働者災害補償保険法の外に置かれ、その代わりに本条が「公務に因る」死亡・負傷・疾病の損害は補償されなければならないと約束している。この約束を具体化したのが地方公務員災害補償法であり、窓口は勤務先の役所ではなく「地方公務員災害補償基金」(全国の地方公務員の補償を一括で扱う専門の法人)である。ここを知らない人は、上司に「公務災害として申請してほしい」と頼み、上司の判断で申請が止まっても、それが当たり前だと思ってしまう。実際には、請求するのは被災した職員本人か遺族であり、任命権者(採用や人事を決める首長や教育委員会)は基金への書類の経由役にすぎない。さらに第3項は、療養・所得の喪失・長期の所得能力の喪失・遺族の損害という四つの柱を、制度に必ず含めるよう命じている。つまり「治療費だけ出して終わり」は本条の想定とは違う。教員の過労死、保健師のうつ病、消防士の負傷。どれも同じ入口から請求できる
法的な位置づけ
地方公務員法45条は地方公務員の公務災害補償の根拠規定であり、公務に起因する死亡・負傷・疾病・障害等により職員本人またはその遺族・被扶養者が受ける損害の補償を義務づける。補償制度には療養、休業中の所得喪失、長期の所得能力喪失、遺族の損害の四事項を含め、国の制度と権衡のとれた法律で定めることを求める。
手順
- 1.自分が対象となる補償制度を確認する 常勤職員なら地方公務員災害補償法(基金)、会計年度任用職員などの非常勤職員なら条例または労災保険法の対象となりうる。任用形態を人事担当に確認する
- 2.勤務実態の客観記録を早期に保全する PCのログオン・ログオフ記録、入退館記録、メール送信時刻、業務日誌、住民対応記録などを、上書き・廃棄される前に保存を依頼する。家族とのLINEの時刻も補強材料になる
- 3.公務災害認定請求書を任命権者経由で提出する 被災職員本人または遺族が認定請求書を作成し、任命権者を経由して地方公務員災害補償基金に提出する。経由を依頼した日付を記録しておく
- 4.認定後、各補償の請求を時効内に行う 公務上と認定されたら療養補償・休業補償・遺族補償などを個別に請求する。療養・休業等は2年、障害・遺族補償は5年で時効となる
- 5.公務外認定なら審査請求を行う 公務外と決定された場合、決定を知った日の翌日から原則3か月以内に基金の支部審査会へ審査請求する。取消訴訟の前提となるため期限を逃さない
よくある質問 AI による整理
Q1公務災害とは何ですか?
公務に起因して職員が負傷・疾病・障害・死亡に至った災害をいいます。地方公務員法45条と地方公務員災害補償法に基づき、基金が認定して補償します。
Q2地方公務員災害補償基金とはどんな組織ですか?
全国の常勤地方公務員の公務災害を認定し補償を行う法人です。地方公務員災害補償法に基づいて設けられ、各都道府県・政令市に支部があります。
Q3公務災害の補償にはどんな種類がありますか?
療養補償、休業補償、傷病補償年金、障害補償、介護補償、遺族補償、葬祭補償などです。地方公務員法45条3項の四事項を具体化したものです。
Q4公務災害の請求はいつまでにすればいいですか?
療養・休業・介護・葬祭補償は2年、障害補償・遺族補償は5年で時効消滅します(地方公務員災害補償法63条)。早めの請求が安全です。
Q5通勤中の事故も公務災害になりますか?
通勤中の災害は「通勤災害」として地方公務員災害補償法の補償対象になりえます。本条の公務災害とは区別されますが、請求先は同じ基金です。
Q6公務災害が認定されるまでどのくらいかかりますか?
事案により大きく異なります。負傷事故は比較的早い一方、過労死や精神疾患は調査に時間がかかり、長期化することがあります。
Q7公務外認定に不服がある場合はどうすればいいですか?
基金の支部審査会に審査請求し、さらに審査会に再審査請求できます。取消訴訟は原則として審査請求を経てから提起します。
Q8公務災害中は給料が出ますか?
療養のため勤務できない期間は、休業補償として平均給与額の一定割合が支給される仕組みです。給与が支払われる期間との調整があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1職場が公務災害の申請をしてくれないんですけど、諦めるしかないですか?
諦める必要はない。請求者は被災職員本人または遺族であり、任命権者は基金への経由機関にすぎない(地方公務員災害補償法の請求手続、本条2項の制度)。実務のポイント:職場が消極的なのは、認定されると管理責任が問われるという組織的な事情であることが多い。書面で請求の意思を伝え、経由を依頼した日付を記録しておくと、後の遅延の問題を指摘しやすくなる
Q2公務災害で補償をもらったら、市を訴えることはできなくなりますか?
できなくなるわけではない。補償は損害の一部を定型的に填補する制度であり、自治体に安全配慮義務違反があれば民事で損害賠償を請求できる(民法415条、国家賠償法1条など)。ただし二重取りにならないよう調整される。実務のポイント:補償では慰謝料が出ない。過労死事案で遺族が別に賠償請求を組むのはこのためで、補償の認定結果が民事の立証でも強い材料になる
Q3うつ病でも公務災害になるんですか?
なりうる。本条は「疾病」を対象としており、精神疾患も公務との因果関係が認められれば補償の対象になる。基金は精神疾患について認定基準を設け、業務上の出来事の強度を評価している。実務のポイント:住民や保護者からのカスタマーハラスメントも評価対象の出来事になりうる。いつ、誰から、何を言われたかをメモ程度でも残しているかどうかで、認定の見通しが大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「公務員だから労災保険で守られている」と思われがちだが、常勤の地方公務員には原則として労働者災害補償保険法は適用されない(同法3条2項)。補償の根拠は本条と地方公務員災害補償法であり、請求先も手続も別物である
- 公務災害の申請は職場がするもの、という感覚が強い。だが法律から見れば請求者は被災職員本人または遺族であり、任命権者は経由機関である。職場の「申請しない方がいい」という空気と、法律上の請求権の間には大きな落差があり、この落差を知らないまま時効を迎える遺族がいる
- 補償の中身は治療費程度だと軽く見られやすい。実際には第3項が療養、休業中の所得、障害による長期の所得能力喪失、遺族の生活維持の四本を必須項目としており、遺族補償年金まで含む。認定されるか否かは、家族のその後数十年の家計に直結する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定内容 | 45条:公務災害による損害の補償義務と制度の必須事項 | 42条:保健・元気回復等の厚生制度の計画・実施義務 43条:病気・退職・死亡等に給付する相互救済の共済制度 |
| 給付の対象事由 | 公務に起因する死亡・負傷・疾病・障害・行方不明 | 職員の保健・元気回復その他厚生全般 公務外も含む病気・負傷・出産・休業・災害・退職・障害・死亡 |
| 実施主体 | 地方公務員災害補償基金 | 地方公共団体(任命権者) 地方公務員共済組合 |
| 具体化する法律等 | 地方公務員災害補償法 | 条例・規則等 地方公務員等共済組合法 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は慰問金・撫卹・保険給付の複数制度で公務上の災害に対応し、日本のような単一の基金による補償とは構造が異なる
韓国は公務員年金法から災害補償を分離して独立の法律を設けており、日本の地方公務員災害補償法と同じく民間労災とは別系統である
ドイツは官吏の公務災害を官吏扶助法上のUnfallfürsorgeとして扱い、民間の法定災害保険とは別の体系を持つ
米国は地方公務員も多くが州の労災補償法の対象となり、日本のように公務員専用の全国一律制度を置く形とは異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公立中学の教員だった夫が、部活動と校務で月100時間を超える時間外勤務を続けた末、くも膜下出血で亡くなった。校長は「公務災害は難しいだろう」と言う。だが請求権者は遺族であり、校長の見立ては決定ではない。出退勤記録、校内システムのログ、家族との LINE の送信時刻が、公務起因性の立証材料になる
- 市役所の窓口担当が、繰り返し来庁するクレーマーの対応でうつ病を発症し休職した。これは「公務上の疾病」になるのか? 精神疾患についても基金の認定基準があり、住民からの暴言や威圧的言動の頻度と程度が評価される。対応記録を残しているかどうかで結果が変わる
- 会計年度任用職員として週3日働く図書館職員が、書架の整理中に転落して骨折した。この人は基金の対象ではない可能性が高い。非常勤職員の補償は条例や労災保険法で手当てされるため、まず自分がどちらの制度に乗っているかを確認する必要がある
- あなたは課長で、部下が長時間勤務の末に倒れた。遺族から公務災害認定請求書への証明を求められている。記載を渋れば、後に安全配慮義務違反で自治体が損害賠償を請求される場面で、あなたの対応そのものが証拠として問われる
- 災害派遣から戻った消防職員が、数か月後に PTSD の症状を訴え始めた。補償を受ける権利には時効がある。療養補償なら2年、残された時間は思っているより短い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分が常勤職員で基金の対象か、非常勤で条例や労災保険の対象かをまず確認する2. 勤務時間の客観記録(PC ログ、入退館記録、メール送信時刻、業務日誌)を早期に確保する3. 公務災害認定請求書を任命権者経由で基金に提出する。職場が記載を渋っても請求自体は本人・遺族の権利である4. 公務外認定なら、基金の支部審査会への審査請求を期限内に行う5. 自治体の安全配慮義務違反による損害賠償請求も別に検討する
訴えられた側:任命権者や管理職の立場なら、1. 請求書の経由・証明を遅らせない。遅延はそれ自体が後の紛争で不利な事情になる2. 勤務時間記録を改変・廃棄せず保全する3. 事実関係は記録に基づいて記載し、推測で「公務外」と書かない4. 同種事案の再発防止策を記録化する。自治体が損害賠償を問われる場面で、事後対応の誠実さが評価される
時効(請求できる期限):補償を受ける権利は、療養補償・休業補償・介護補償・葬祭補償が2年、障害補償・遺族補償が5年で時効消滅する(地方公務員災害補償法63条、各補償の請求権が発生した時から起算)。公務外認定への審査請求は、原則として決定があったことを知った日の翌日から3か月以内(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は公務災害補償を地方公共団体の義務として明記したもので、補償は使用者の無過失責任に基づく定型的な損害填補と解される。慰謝料は含まれないため、安全配慮義務違反による損害賠償とは併存しうる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:地方公務員法の制定とともに設置。公務災害による損害の補償義務と、補償制度に定めるべき事項、法律による制度化と国の制度との権衡を規定した
- 地方公務員法 第24条勤務条件の条例主義と均衡原則
- 地方公務員法 第42条厚生制度の実施義務
- 地方公務員法 第43条共済制度による給付との並立
- 地方公務員法 第58条労働基準法等の適用除外(現行効力を要確認)
- 地方公務員災害補償法 第1条本条の制度を具体化する実施法
- 地方公務員災害補償法 第69条非常勤職員の補償を条例に委ねる規定
- 労働者災害補償保険法 第3条官公署の事業への適用除外
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