航空法 第103条の2(安全管理規程等)
クイックジャンプ
- 本邦航空運送事業者(その事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるものを除く。以下この条において同じ。)は、安全管理規程を定め、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
- 2.安全管理規程は、輸送の安全を確保するために本邦航空運送事業者が遵守すべき次に掲げる事項に関し、国土交通省令で定めるところにより、必要な内容を定めたものでなければならない。
- 一輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項
- 二輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項
- 三輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の方法に関する事項
- 四安全統括管理者(本邦航空運送事業者が、前三号に掲げる事項に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、航空運送事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう。以下同じ。)の選任に関する事項
- 3.国土交通大臣は、安全管理規程が前項の規定に適合しないと認めるときは、当該本邦航空運送事業者に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
- 4.本邦航空運送事業者は、安全統括管理者を選任しなければならない。
- 5.本邦航空運送事業者は、安全統括管理者を選任し、又は解任したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
- 6.本邦航空運送事業者は、輸送の安全の確保に関し、安全統括管理者のその職務を行う上での意見を尊重しなければならない。
- 7.国土交通大臣は、安全統括管理者がその職務を怠つた場合であつて、当該安全統括管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、本邦航空運送事業者に対し、当該安全統括管理者を解任すべきことを命ずることができる。
この条文の基本情報
安全管理規程等とは何ですか?
定義安全管理規程等とは、航空法第103条の2に定められた規定で、「本邦航空運送事業者(その事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第103条の2(安全管理規程等)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第103条の2の条文原文は「本邦航空運送事業者(その事業の規模が国土交通省令で定める規模未満であるものを除く。」で始まります。
- 航空法第103条の2は第七章 航空運送事業等に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第103条の2の前の条は航空法第103条です。
- 航空法第103条の2の次の条は航空法第104条です。
- 航空法第103条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第103条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第103条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/103_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法103条の2は、一定規模以上の本邦航空運送事業者に安全管理規程の届出と安全統括管理者の選任を義務づけ、事業者はその意見を尊重しなければならないと定める。
Q · 航空会社の安全って、結局だれが責任を負っているの?
経営自身。法律が安全統括管理者の選任を義務づけている
航空法103条の2により、一定規模以上の航空会社は、安全管理規程を定めて国土交通大臣に届け出なければなりません。あわせて、経営の重要な決定に参画する立場の安全統括管理者を選任し、その選任・解任も遅滞なく届け出ます。会社はその意見を尊重する義務を負います。規程が基準に合わなければ大臣は変更を命じ、管理者が職務を怠って安全に著しい支障のおそれがあれば解任を命じることができます。
解説
飛行機の安全を守っているのは、整備士の腕とパイロットの技量だけではない。社内に「安全については社長にも異を唱えられる役員」が法律上置かれている。航空法103条の2は、一定規模以上の航空会社に、安全管理規程(安全をどう回すかを書いた社内の憲法)を定めて国土交通大臣に届け出ることと、安全統括管理者(経営の重要な決定に加わる立場から安全業務を統括する責任者)を選ぶことを義務づけている。経営側はその人の意見を「尊重しなければならない」。職務を怠ってそのまま続けさせると安全に著しい支障が出るおそれがあるときは、大臣が会社に解任を命じることもできる。2005年、航空会社のトラブル続発と JR 福知山線事故をきっかけに、翌2006年の運輸安全一括法で生まれたのがこの仕組み、いわゆる運輸安全マネジメント制度である。現場のミスを一人のせいで終わらせず、経営が安全の責任を負っているかを問う。事故やトラブルの報道を読むとき、この視点があるかどうかで見え方がまるで変わる
法的な位置づけ
安全統括管理者とは、航空法103条の2に基づき本邦航空運送事業者が選任する者であり、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあって国土交通省令で定める実務経験等の要件を備え、輸送の安全確保に関する事業運営の方針、実施・管理の体制および方法に係る業務を統括管理する者をいう。
手順
- 1.対象事業者かどうかを確認する 自社の事業規模が国土交通省令で定める規模未満の除外に当たるかを確認する。対象外でも運航規程・整備規程の認可(航空法104条)は別途必要になる点に注意する
- 2.安全管理規程を起草する 運営方針・実施及び管理の体制・実施及び管理の方法・安全統括管理者の選任の4項目について、国土交通省令に沿った内容を定める。経営会議の位置づけも明記する
- 3.安全統括管理者を選任し、規程とあわせて届け出る 経営の重要な決定に参画する立場にあり、実務経験等の要件を満たす者を選任する。規程は国土交通大臣へ届け出て、選任も遅滞なく届け出る
- 4.運用・記録・変更届を回し続ける 安全統括管理者の意見を経営会議の議事録に残し、尊重の経緯を示せるようにする。規程を変える場合は変更前に届け出る。管理者を交代したときは選任・解任を遅滞なく届け出る
よくある質問 AI による整理
Q1安全管理規程とは何ですか?
輸送の安全を確保するため、航空会社が守るべき運営方針・管理体制・管理方法・安全統括管理者の選任を定めた社内規程です。航空法103条の2が根拠です。
Q2安全統括管理者とは?
経営の重要な決定に参画する管理的地位にあり、一定の実務経験などの要件を満たす者から選ばれる、航空会社の安全業務を統括する責任者です。
Q3安全管理規程の届出はいつ必要?
規程を定めたときと、変更しようとするときに国土交通大臣へ届け出ます(1項)。変更は事後報告ではなく、変更前の届出が前提です。
Q4安全統括管理者になれる要件は?
事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあること、そして航空運送事業の実務経験など国土交通省令で定める要件を備えることが必要です。
Q5安全管理規程に国の認可は必要?
不要です。本条の仕組みは届出制です。ただし内容が法定事項に適合しないと大臣が認めれば、変更を命じられます(3項)。
Q6安全管理規程の届出を怠るとどうなる?
届出義務違反は罰則や事業改善命令の対象になりえます。具体的な罰則の条項や金額は、最新の航空法で確認してください。
Q7運輸安全マネジメント制度とは?
2006年に航空・鉄道・自動車・海運で同時に導入された制度です。経営トップ主導の安全管理体制を事業者に構築させ、国がそれを確認します。
Q8航空会社の安全報告書はどこで見られる?
各航空会社の公式サイトで公表されていることが多いです。安全統括管理者の氏名や安全上のトラブル件数などが載っています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1小さい航空会社も安全管理規程って作らないといけないんですか?
本条1項は、事業規模が国土交通省令で定める規模未満の事業者を除外している。すべての事業者が対象というわけではない。実務のポイント:届出義務の対象外でも、運航規程や整備規程の認可(航空法104条)は別に必要になる。安全のハードルがまるごと消えるわけではないので、小規模だから安全管理は緩くていいと考えるのは誤りである
Q2安全統括管理者が「この運航は危ない」と言ったら、社長は従わないといけないんですか?
法律上は「尊重しなければならない」(6項)であり、拘束される命令ではない。ただし尊重義務に反して事故が起きれば、事業改善命令などの行政上の責任、さらには民事上の責任の評価に直結する。実務のポイント:事故調査で最初に見られるのは、その意見が記録に残っていたか、経営がどう応答したかである。意見を記録に残す文化がない会社ほど、後で言い逃れができなくなる
Q3国が安全統括管理者をクビにできるって本当ですか?
本当である。職務を怠り、そのまま続けさせると輸送の安全に著しい支障を及ぼすおそれがあると大臣が認めたときは、会社に解任を命じることができる(7項)。国が直接クビにするのではなく、会社に解任させる形を取る。実務のポイント:要件は「職務を怠った」かつ「著しい支障のおそれ」の二重で厳しく、伝家の宝刀に近い。実務では命令の前に、行政指導や改善の求めで是正を促すのが通常の流れである
間違えやすい点 AI による整理
- 安全管理規程は国の審査を通った「お墨付き」だと思われがちだが、本条の仕組みは認可ではなく届出である。国が内容をゼロから保証するのではなく、事業者が自分で作り、不適合なら大臣が変更を命じる(3項)。安全の第一責任者は、最初から最後まで会社自身にある
- 飛行機事故の原因はパイロットか整備のミスだと考える人は多い。それは現場から見た景色にすぎない。法律から見ると、そのミスを生んだ人員配置、訓練予算、報告しにくい空気まで含めた経営の体制が問われる。その落差に気づかない経営者ほど、事故後の調査で追い詰められる
- 「安全統括管理者は安全担当の部長クラス」と思われていることがあるが、それほど軽いものではない。法律上の要件は、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあることだ。経営会議に席がない人を名目だけ任命すれば、制度の趣旨そのものに反する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 航空法103条の2:安全管理の体制(規程と安全統括管理者) | 航空法104条:運航規程・整備規程(運航・整備の具体的手順) 航空法103条:輸送の安全性向上の一般的努力義務 |
| 国の関与 | 届出制。不適合なら変更命令、管理者は解任命令 | 認可制。国の審査を経なければ使えない 努力義務のため、直接の命令規定はない |
| 適用範囲 | 省令で定める規模未満を除く本邦航空運送事業者 | 本邦航空運送事業者(規模による除外なし) 航空運送事業者全般 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も ICAO 基準に沿い、民用航空運輸業者に安全管理系統(SMS)の構築を求める。日本のように「経営参画者を法律で選任させる」形の条文構造かどうかは個別確認が必要
韓国は航空安全プログラムと事業者の安全管理システムを法律で定め、国土交通部の承認を要する点で日本の届出制より国の関与が強い
米国は SMS を連邦規則で義務化し、安全の最終責任を負う accountable executive の指名を求める。日本の安全統括管理者と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- LCC に転職した整備管理職のあなたは、コスト削減で点検間隔を延ばす社内案に違和感を覚えた。上司は「規程の範囲内だ」と言う。だが安全管理規程は変更すれば大臣への届出が要る。その案は規程の変更にあたるのか、安全統括管理者の意見を聞いたのか。問うべき相手と順番が分かっていれば、ただの愚痴で終わらない
- もし、遅延続きの航空会社のニュースで「国交省が事業改善命令」と見出しが出たら、何が起きているのか? 多くの場合、焦点は個々の機長や整備士ではなく、安全管理の体制、つまり本条が求める仕組みが機能していたかどうかにある
- 地方のコミューター航空に投資を検討している。デューデリジェンスで財務諸表しか見ていなかった。安全統括管理者が誰か、その人が役員会でどんな権限を持っているかは確認していない
- あなたは新任の安全統括管理者に選ばれた。会社が国交大臣に選任を届け出る期限は「遅滞なく」で、数か月寝かせる余地はない。就任初週に、自分の意見が経営会議の議事録に残る仕組みがあるかを確かめておかないと、6項の「尊重義務」は絵に描いた餅になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 安全上の懸念を見つけた従業員は、まず事実と日時を書面やメールで記録する2. 直属の上司で止まった場合は、安全統括管理者や安全推進部門に正式ルートで報告する3. 社内で握りつぶされた場合は、国土交通省航空局へ情報提供することを検討する。内容によっては公益通報者保護法の保護対象になりうる4. 乗客として被害を受けた場合は、運輸安全委員会の報告書と航空会社の安全報告書を集め、民事上の責任追及の材料にする
訴えられた側:1. 安全管理規程の内容と実際の運用が食い違っていないかを社内で点検し、乖離があれば変更の届出を先に済ませる2. 安全統括管理者の意見を経営会議でどう扱ったかを議事録で示せるようにしておく3. 大臣から変更命令や解任命令の兆しがあれば、改善計画を自主的に示して命令に至る前に是正する4. 命令違反や届出義務違反は罰則や事業改善命令の対象になりうる(罰金額など具体的な内容は最新の改正状況をご確認ください)
時効(請求できる期限):安全統括管理者の選任・解任の届出は「遅滞なく」(5項)。安全管理規程は変更しようとするときに届け出る(1項後段)。本条自体に特定の時効はないが、事故などによる損害賠償請求には一般の時効が適用される(民法166条、債権5年または10年。不法行為なら民法724条、724条の2)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)運輸安全一括法 2005年の航空会社のトラブル続発と JR 福知山線事故を受け、運輸安全マネジメント制度の一環として安全管理規程と安全統括管理者の制度を新設した。その後の改正の有無と内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:航空会社のトラブル続発と JR 福知山線事故を受けた運輸安全一括法により、運輸安全マネジメント制度の一環として安全管理規程と安全統括管理者の制度を新設。その後の改正内容は要確認
- 航空法 第103条輸送の安全性向上の一般的努力義務
- 航空法 第104条運航規程・整備規程の認可
- 航空法 第112条事業改善命令による是正措置
- 航空法 第111条の6安全報告書の公表義務(現行効力を要確認)
- 航空法 第100条航空運送事業の許可
- 鉄道事業法 第18条の3同時創設の鉄道版安全管理規程
- 道路運送法 第22条の2自動車運送版の安全管理規程
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める