航空法 第75条
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機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第75条は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第75条の条文原文は「機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない。」で始まります。
- 航空法第75条は第一節 航空機の運航に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第75条の前の条は航空法第74条です。
- 航空法第75条の次の条は航空法第76条です。
- 航空法第75条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第75条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第75条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/75
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法75条は、航行中の航空機に急迫した危難が生じたとき、機長に旅客の救助と地上・水上の人や物件への危難防止に必要な手段を尽くす義務を課す。結果ではなく過程が問われる。
Q · 飛行機が緊急事態になったとき、機長は法律上なにをしなければならないの?
旅客と地上の人の両方を守る手段を尽くす義務がある
航空法75条により、航行中の航空機に急迫した危難が生じた場合、機長は旅客の救助と、地上または水上の人や物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければなりません。問われるのは「全員を救えたか」という結果ではなく、その時点で取り得た手段を尽くしたかという過程です。避難の命令権は74条、事故の報告義務は76条に別途定められています。
解説
航空法75条が機長に課すのは「うまく操縦せよ」という技術の要求ではない。危難が迫ったとき「必要な手段を尽くせ」という結果に向けた全力義務である。しかも守る相手は二つある。機内の旅客と、地上または水上の人や物件だ。エンジンが止まりかけたとき、機長の頭にあるのは自分の命や機体の保全だけではない。どこに降ろせば住宅街を巻き込まないか、という計算も法律上の義務として課されている。義務違反には罰則規定も置かれている。ただし、ここで見落とされがちな点がある。条文が求めるのは「必要な手段を尽くすこと」で、「全員を救うこと」ではない。結果責任ではなく、尽くしたかどうかが問われる。事故報道で「機長の責任は」という言葉が飛び交ったとき、あなたは結果と過程を分けて考えられるようになる。
法的な位置づけ
航空法75条は機長の危難時救助義務を定める規定であり、航空機の航行中に急迫した危難が生じた場合、機長に対し、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くすべき義務を課す。義務の内容は結果の回避そのものではなく、状況に応じて必要な手段を尽くすという行為義務である。
よくある質問 AI による整理
Q1航空法75条とは?
航空機に急迫した危難が生じたとき、機長に旅客の救助と地上・水上の人や物件への危難防止に必要な手段を尽くす義務を課す条文です。
Q2機長の救助義務は誰を守るためのもの?
機内の旅客だけでなく、地上または水上の人や物件も対象です。不時着先の住宅地や船舶の安全確保も、条文上の義務に含まれます。
Q3自家用機のパイロットにも航空法75条は適用される?
適用されます。条文は「機長」と定めており、エアラインか自家用機かを区別していません。同乗者がいれば救助義務を負います。
Q4機長の救助義務はいつから発生する?
条文上は「航空機の航行中」に「急迫した危難」が生じた場合です。平常時の安全運航義務とは別に、危難の発生を契機として発動します。
Q5事故で死傷者が出たら機長は必ず違反になる?
なりません。問われるのは必要な手段を尽くしたかという過程です。結果として被害が出ても、手段を尽くしていれば本条違反にはなりません。
Q6機長と船長の義務の違いは?
船長は船員法12条で最後退船義務が明文化されていますが、航空法75条は退機の順番を定めていません。根拠となる法令の層が異なります。
Q7航空機事故で機長が問われる刑事責任は?
本条の罰則のほか、実務上は業務上過失致死傷罪(刑法211条)の成否が主な争点になります。両者は別個に検討されます。
Q8機長の救助義務違反の時効は何年?
罰則の法定刑の長期が5年以下の場合、公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条2項)。最新の改正状況は必ず確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1機長がこの義務に違反したら、どんな罰があるんですか?
航空法の罰則規定は、75条に違反して必要な手段を尽くさなかった機長を処罰対象としている。2025年6月施行の刑法改正で懲役は拘禁刑に置き換わっている(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:実際の事故で問われやすいのはこの罰則より、業務上過失致死傷罪(刑法211条)のほうである。1997年の日航706便事故では機長が起訴され、無罪が確定した
Q2脱出のとき荷物を持ち出したら、法律違反になるんですか?
荷物の持ち出しそのものを直接罰する一般規定はない。ただし機長は74条により避難方法を命令でき、それに反して通路を塞ぎ他人を死傷させれば、過失責任を問われる余地がある。実務のポイント:2024年1月の羽田衝突事故では乗客乗員379人全員が脱出した。航空業界はこれを、乗客が指示に従った好例として今も訓練で語り継いでいる
Q3事故で怪我したら、機長本人を訴えられますか?
法的には民法709条で可能だが、現実の請求先は使用者である航空会社(民法715条、商法の旅客運送規定)になる。実務のポイント:会社が賠償した後に機長個人へ求償できる範囲は、信義則上相当な限度に制限されるというのが最高裁判例(最判昭和51.7.8)である。資力の面でも、航空会社とその保険を相手にするのが合理的だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「船長と同じく、機長も最後に機体を離れる義務が法律に書いてある」と思われがちだが、船長の最後退船義務を明文で定めるのは船員法12条である。航空法75条の文言は「必要な手段を尽くす」義務であり、退機の順番は書かれていない。実務では運航規程や訓練で最後の確認が定められているが、根拠となる法令の層が違う
- 「機長の義務違反=事故が起きたこと」ではない。条文が問うのは手段を尽くしたかという過程であって、死傷者が出たかという結果ではない。全員が助からなかった事故でも義務違反にならないことはありうるし、逆に死傷者ゼロでも、地上への危険を軽視した判断は問題になりうる
- 旅客から見れば、機長は「安全に運んでくれる人」にすぎない。だが法律から見れば、機長は危難時の命令権(74条)と救助義務(75条)を一身に負う人である。旅客の立場は守られる側であり、同時に命令に従う側でもある。この二面性を知らない乗客が、脱出時に荷物を取り出して機長の尽くした手段を無にする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 航空法75条:危難時に必要な手段を尽くす義務 | 航空法74条:危難時の避難等に関する命令権 航空法76条:事故発生時の国土交通大臣への報告義務 |
| 発動の時点 | 航行中に急迫した危難が生じたとき | 危難が生じ、旅客への避難指示等が必要なとき 事故が発生した後 |
| 保護・規律の対象 | 旅客と、地上または水上の人・物件 | 機内の旅客・乗組員への命令 行政当局への情報提供 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも航空器の運航責任は駕駛員(機長)に集中させる構造をとる。具体的な条番号は現行法で要確認
韓国は機長の権限規定の中で、危難時に乗客の救助等の措置を講じる義務を定める
中国は遭難時の必要措置に加え、旅客を先に退避させ機長が最後に離機する義務を明文化している点で、日本の75条より踏み込んでいる
米国は機長を運航の最終責任者とし、緊急時には規則からの逸脱を認める形で判断権を与える。義務と裁量を一体で規定する構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離陸直後にエンジン火災の警告が鳴った。引き返すか、海上に不時着水するか。眼下には住宅密集地が広がっている。機長に与えられた判断時間は数十秒しかない。75条は、この数十秒の判断に旅客と地上の人の両方を背負わせている
- もし、あなたが趣味で操縦する小型機に友人を一人乗せて飛び、エンジンに不調が出たらどうなる? 自家用機でも機長は機長である。友人の救助と地上の安全確保という義務は、エアラインの機長と同じ条文からあなたに降りかかる
- 緊急着陸後、客室乗務員が「荷物を持たずに脱出してください」と叫んでいる。あなたは頭上の棚に手を伸ばしかけた。その数秒で通路が詰まり、後ろの乗客の脱出が遅れたら、機長の尽くした手段はあなたの手で崩される
- 機長として着陸後、会社から「事故調査に協力しつつ、警察の事情聴取にも応じるように」と連絡が入った。聴取は明日の朝。運輸安全委員会への説明と刑事手続での供述が同じ口から出ることになる。今夜のうちに弁護士と話す必要がある
- 乗っていた便が緊急着陸し、軽傷を負った。あなたは機長個人を訴えたいと考えたが、現実の請求先はまず航空会社になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 負傷したら機内・空港で受けた処置と医療記録を必ず保存する2. 搭乗券、座席番号、乗務員の指示内容、脱出時の状況をその日のうちにメモする3. 請求先は機長個人ではなく航空会社が基本。国内線は運送約款と商法の旅客運送規定、国際線はモントリオール条約を確認する4. 地上で被害を受けた場合は民法709条、715条で航空会社に請求を組む
訴えられた側:1. 機長として事故後に事情聴取を受ける前に、組合や会社法務を通じて弁護士を確保する2. 運輸安全委員会への説明と刑事手続での供述は性質が違う。同じ内容でも場の区別を意識する3. 防御の中心は「その時点で取り得た手段を尽くしたか」。フライトレコーダー、管制交信、運航規程の手順との整合を軸に過程を立証する4. 罰則とは別に、業務上過失致死傷罪(刑法211条)の成否が実質的な争点になることが多い
時効(請求できる期限):罰則(長期5年以下)の公訴時効は5年(刑事訴訟法250条2項)。乗客の損害賠償は、国内線では一般消滅時効(民法166条、生命身体侵害は民法167条により権利を行使できることを知った時から5年)、国際線ではモントリオール条約35条により到着日等から2年の出訴期間(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:航空法(昭和27年法律第231号)の制定に伴い、機長の危難時における救助・危難防止義務として新設
- 航空法 第73条機長の乗組員に対する指揮監督権
- 航空法 第74条危難時の避難等に関する命令権
- 航空法 第76条事故発生時の国土交通大臣への報告義務
- 航空法 第73条の4安全阻害行為者への機長の措置権
- 航空法 第152条本条違反の機長に対する罰則(現行効力を要確認)
- 刑法 第211条業務上過失致死傷、事故時の主たる刑事責任
- 船員法 第12条船長の最後退船義務、海の類似規定
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