航空法 第152条
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機長が第七十五条の規定に違反して、旅客の救助又は人若しくは物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなかつたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第152条は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第152条の条文原文は「機長が第七十五条の規定に違反して、旅客の救助又は人若しくは物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなかつたときは、五年以下の拘禁刑に処する。」で始まります。
- 航空法第152条は第十三章に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第152条の前の条は航空法第151条です。
- 航空法第152条の次の条は航空法第153条です。
- 航空法第152条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第152条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第152条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/152
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法152条は、機長が75条に違反し、危難の際に旅客の救助や人・物件への危難防止に必要な手段を尽くさなかったとき、5年以下の拘禁刑に処すると定める。
Q · 機長が乗客より先に飛行機から逃げたら、犯罪になるの?
なりうる。航空法152条で5年以下の拘禁刑
航空法75条は、航行中に急迫した危難が生じたとき、機長に旅客の救助と地上・水上の人や物件への危難防止に必要な手段を尽くす義務、そして旅客より先に機を去らない義務を課しています。152条はこの義務違反に5年以下の拘禁刑を科します。死傷者が出たかどうかは要件ではありません。ただし過失処罰規定がないため、原則として故意が必要です(刑法38条1項)。
解説
「機長は最後に機を降りる」。映画の美談だと思われがちだが、日本ではこれが法律上の義務である。航空法75条は、航行中に急迫した危難が生じたとき、機長に二つの義務を課している。旅客の救助と、地上や水上の人・物件への危難の防止に必要な手段を尽くすこと。そして、旅客など機内の人より先に機を去らないこと。本条はその違反に、最長5年の拘禁刑という刑事罰を用意している。ただし、ここを読み違えてはいけない。罰せられるのは「事故を起こした機長」ではなく、「危難を前にして手段を尽くさなかった機長」である。結果ではなく、危機のさなかの行動が問われる。また過失を罰する規定がないため、原則として故意が必要になる(刑法38条1項)。墜落の原因をつくった操縦ミスは、本条ではなく刑法211条の業務上過失致死傷という別の線で裁かれる。航空事故のニュースで「機長の責任」と聞いたとき、どの線の話なのかを切り分けられる人は少ない
法的な位置づけ
航空法152条は、機長が同法75条に定める危難時の措置義務に違反し、旅客の救助または人もしくは物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなかった場合に、5年以下の拘禁刑を科す刑事罰則である。結果の発生を要件としない行動責任型の規定であり、過失犯処罰規定を欠くため故意犯として構成される。
よくある質問 AI による整理
Q1航空法152条とは何ですか?
機長が75条の危難時の義務に違反し、旅客の救助などに必要な手段を尽くさなかった場合に、5年以下の拘禁刑を科す罰則規定です。
Q2機長 最後に降りる 法律で決まってる?
決まっています。航空法75条が旅客より先に機を去らない義務を定め、違反には152条で5年以下の拘禁刑が科されます。
Q3航空法75条の機長の義務とは?
航行中に急迫した危難が生じたとき、旅客の救助と地上・水上の人や物件への危難防止に必要な手段を尽くし、旅客より先に機を去らない義務です。
Q4航空法152条の時効はいつまで?
法定刑が5年以下の拘禁刑なので、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項5号)。犯罪行為が終わった時から進行します。
Q5自家用機のパイロットも航空法152条の対象?
対象になりえます。条文の主語は「機長」であり、エアラインに限定されていません。同乗者を乗せた小型機の操縦者も機長にあたります。
Q6拘禁刑とは何ですか?
令和7年(2025年)6月1日施行の刑法改正で、懲役と禁錮を一本化した刑罰です。本条の法定刑もこれに合わせて改められました。
Q7航空事故で機長が逮捕されるのはどんなとき?
事故原因の過失は刑法211条の業務上過失致死傷、危難時の対応放棄は航空法152条と、別々の罪として捜査されうるのが基本構造です。
Q8海外を飛ぶ日本の飛行機にも航空法152条は適用される?
適用されえます。刑法1条2項と8条により、国外にある日本の航空機内の犯罪にも日本の刑罰法規が及びます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1機長が乗客を見捨てて逃げたのに、誰も死ななかったら罪にならないんですか?
なりえます。本条は航空法75条の義務違反そのものを処罰する規定で、死傷の結果は要件になっていません。危難の中で旅客の救助に必要な手段を尽くさず、旅客より先に機を去れば成立しうるということです。実務のポイント:死傷者が出れば刑法211条の業務上過失致死傷も別に検討され、二つの罪が並ぶ可能性がある。報道で「機長の刑事責任」と出たら、どちらの罪の話かを確かめるべきである
Q2副操縦士や CA が先に逃げても、この条文で罰せられるんですか?
本条の主語は「機長」に限られています。副操縦士や客室乗務員の脱出時の役割は、航空会社の運航規程や社内規程で細かく決められていますが、本条の直接の対象ではありません。実務のポイント:だからこそ機長の権限は強く、74条で旅客に避難の命令を出せ、73条の4で安全を妨げる人に措置を取れる。重い義務は強い権限と一組で設計されている
Q3パニックで判断を間違えた機長も、刑務所行きなんですか?
本条には過失を処罰する規定がないため、原則として故意が必要です(刑法38条1項)。急迫した危難の中で全力を尽くしたが結果的に判断を誤った、という場面は本条の典型ではありません。実務のポイント:本当の争点はそこではなく、事故原因について業務上過失致死傷が問われるかどうかである。日本では運輸安全委員会の事故調査と警察の捜査が並行して進み、調査結果が刑事手続で使われることへの懸念は航空業界で長く議論されている
間違えやすい点 AI による整理
- 「事故を起こした機長は本条で処罰される」と思われがちだが、本条が問うのは事故の原因ではない。危難が生じた後に旅客の救助や危難の防止の手段を尽くしたかどうかである。事故の原因をつくった操縦上のミスは、刑法211条の業務上過失致死傷という別の罪の問題になる
- 「機長は最後に降りる」という職業倫理の存在は知っていても、それが最長5年の拘禁刑で裏打ちされた刑事上の義務だと知る人は少ない。海の世界では船長の最後退船義務が昭和45年(1970年)の船員法改正で廃止されたとされる一方、空の側には明文の義務が残っている
- 旅客の目には「機長が何をすべきか」が見えているように思える。だが法律の目には、急迫した危難の有無、航行中かどうか、故意があったかという要件の段階が見えている。過失の処罰規定がないため、パニックで判断を誤っただけの機長を本条で罰するのは難しい。感情による非難と法的な責任のあいだには、それだけの落差がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 航空法152条:75条違反に対する刑事罰則 | 航空法75条:機長の危難時の措置義務そのもの 刑法211条:業務上過失致死傷 |
| 問われる行為 | 危難発生後に救助・危難防止の手段を尽くさなかったこと | 救助・危難防止の手段を尽くし、旅客より先に機を去らないこと(作為義務) 業務上必要な注意を怠り人を死傷させたこと(事故原因側) |
| 死傷の結果 | 不要(行動責任) | 義務規定のため結果は問題にならない 必要(結果責任) |
| 主観要件・法定刑 | 故意犯(過失処罰規定なし)/5年以下の拘禁刑 | 罰則は152条に委ねられる 過失犯/5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も航空器の機長に運航中の指揮権と安全責任を負わせる。危難時の旅客救助義務を刑事罰で直接裏打ちする日本型の規定との対応関係は要確認
遇険時に機長が旅客を先に脱出させ、自らは最後に離機することを明文で定める。日本の75条と構造が近い
機長(PIC)の最終責任と緊急時の逸脱権限を定めるが、最後退機を刑事罰で強制する規定ではなく、行政上の責任体系が中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 2024年1月の羽田空港での衝突炎上事故では、乗客乗員379人全員が脱出し、機長は機内に人が残っていないか確かめてから最後に機を降りたと報じられた。あの数分間に機長が果たしていたのは美徳ではなく、航空法75条の法的義務である
- もし、エンジン火災で緊急着陸した機長が、乗客が残っているのに真っ先に脱出したらどうなる? その場で死傷者が出たかどうかに関係なく、75条違反として本条の刑事責任を問われうる
- 自家用セスナで友人二人を乗せて遊覧飛行に出たあなたは、法律上の「機長」である。エンジン不調で不時着を迫られたとき、住宅地を避ける判断も、同乗者の救助も、あなたの義務になる。趣味のフライトでも、義務の重さはエアラインと変わらない
- 不時着水まで残り数分。機長は「市街地に落ちるか、河川に降ろすか」を決めなければならない。75条が地上・水上の人と物件まで保護対象にしているのは、この瞬間のためである
- 脱出の際、通路で頭上の荷物を取り出そうとする乗客が避難の流れを止めた。乗客には74条に基づく機長の命令に従う義務があり、従わなければ安全阻害行為として処罰されうる。被害者になりうる立場から、加害者の側へ回ってしまう瞬間である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 脱出時の状況(機長や乗務員の指示、アナウンスの有無、脱出の順序)を、記憶が新しいうちにメモか録音で残す2. 他の乗客の連絡先や SNS 上の投稿・動画を確保する。機内映像は重要な証拠になる3. 刑事責任は警察・検察の判断になるが、告訴・告発や被害申告で情報を提供できる4. 損害賠償は機長個人より航空会社への請求が現実的。国際線ならモントリオール条約の責任ルールも確認する
訴えられた側:1. 事故直後に、危難の認知から脱出完了までに取った措置を時系列で記録する。本条で決め手になるのは「手段を尽くしたか」である2. 捜査機関の取調べの前に、必ず弁護人に相談する3. 本条は故意犯であり、急迫した危難の中での判断ミスは本条の対象外と主張する余地がある4. 運輸安全委員会への説明と刑事手続での供述の関係について、弁護人と事前に方針を決める
時効(請求できる期限):本条(5年以下の拘禁刑)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項5号)、起算点は犯罪行為が終わった時。死亡者が出て業務上過失致死罪(刑法211条)が別に成立する場合、その公訴時効は10年(同法250条1項3号)。民事の損害賠償は損害と加害者を知った時から5年(人の生命・身体の侵害、民法724条の2)
学説
通説的理解:本条は航空法75条の作為義務違反を処罰する真正不作為犯的な罰則であり、死傷結果を要件としない。過失処罰規定を欠くため、危難の認識と手段を尽くさないことの認識を要する故意犯として理解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正に伴う整理で、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(制定以来の改正の全履歴は要人的検証)
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(令和7年(2025年)6月1日施行)。
- 航空法 第75条本条が処罰する機長の危難時の義務
- 航空法 第74条危難時に旅客へ避難命令を出す機長の権限
- 航空法 第73条機長の指揮監督権、責任の出発点
- 航空法 第73条の4安全阻害行為に対する機長の措置権限
- 航空法 第76条事故発生時の機長の報告義務
- 刑法 第211条事故原因への業務上過失致死傷との区別
- 刑法 第1条国外の日本航空機内への刑法適用(2項)
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