航空法 第153条
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- 機長が次の各号の一に該当するときは、五十万円以下の罰金に処する。
- 一第七十三条の二の規定に違反して、航空機を出発させたとき。
- 二第七十六条第一項から第三項までの規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
- 三第七十七条の規定に違反して、航空機を出発させ、又は飛行計画を変更したとき。
- 四第八十四条第二項の規定に違反して、航空機を編隊で運航したとき。
- 五第九十八条の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第153条は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第153条の条文原文は「機長が次の各号の一に該当するときは、五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 航空法第153条は第十三章に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第153条の前の条は航空法第152条です。
- 航空法第153条の次の条は航空法第154条です。
- 航空法第153条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第153条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第153条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/153
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法153条は、機長が出発前確認・事故報告・運航管理者の承認・編隊運航・到着通知の各義務に違反したとき、五十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 到着の通知や事故の報告を怠った機長は、どんな罰を受けるの?
機長個人に五十万円以下の罰金、免許への影響もあり得る
航空法153条により、出発前の確認をせずに出発した、事故の報告をしなかった・虚偽の報告をした、運航管理者の承認なしに出発した、定められた方法によらず編隊で運航した、到着の通知をしなかった・虚偽の通知をした機長は、五十万円以下の罰金に処されます。罰金も刑罰であり前科になります。また同じ違反を理由に、国土交通大臣が航空法30条に基づいて技能証明の取消しや航空業務の停止を命じることがあります。
解説
航空法153条は、空の上の判断を地上の刑事罰につなぐ条文である。対象は「機長」だけだ。副操縦士でも会社でもない。処罰の対象となる違反は五つある。出発前の確認(73条の2)を済ませずに離陸すること。事故の報告(76条1項から3項)をしないこと、または嘘を報告すること。運航管理者の承認(77条)なしに出発すること、または飛行計画を変更すること。定められた方法によらずに編隊で運航すること(84条2項)。そして、到着の通知(98条)を怠ること、または偽ること。法定刑は五十万円以下の罰金で、軽く見えるかもしれない。だが罰金も刑罰であり、確定すれば前科になる。さらに同じ違反を理由に、国土交通大臣が30条に基づいて技能証明を取り消したり、航空業務を停止させたりできる。パイロットにとっては、罰金の額よりも免許への影響のほうがはるかに重い。逆にいえば、ここに挙がっている五つの行為は、どれも「書類や連絡を一つ省いた」レベルの手抜きでもアウトになる。うっかりして済む話ではないのである
法的な位置づけ
航空法153条は、機長の運航上の手続義務違反に対する罰則規定である。出発前確認義務、事故報告義務、運航管理者の承認義務、編隊運航の方法に関する規律、到着通知義務の五類型について、違反した機長を五十万円以下の罰金に処すると定め、行政上の手続義務の実効性を刑事罰によって担保する。
よくある質問 AI による整理
Q1航空法153条とは?
機長が出発前確認、事故報告、運航管理者の承認、編隊運航の方法、到着通知の義務に違反したとき、五十万円以下の罰金に処すると定める罰則規定です。
Q2航空法違反の罰金は前科になる?
なります。罰金は刑法上の刑罰であり、略式命令で処理されても有罪の確定判決として前科になります。採用審査や社内処分に影響することがあります。
Q3自家用機のパイロットにも航空法153条は適用される?
適用されます。本条の対象は「機長」であり、エアラインか自家用かを問いません。趣味で小型機を飛ばす個人も、運航を指揮していれば機長です。
Q4ドローンの操縦者は航空法153条の対象?
対象外です。ドローンは航空法上「無人航空機」として別の規定で規律され、違反した場合の罰則も別の条文で定められています。
Q5運航管理者の承認なしで出発するとどうなる?
77条違反として、本条3号により機長が五十万円以下の罰金の対象になります。承認を受けずに飛行計画を変更した場合も同じです。
Q6航空法153条違反の公訴時効は何年?
罰金刑にあたる罪のため、公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。3年を過ぎると起訴できません。
Q7航空法153条の罰金で技能証明は取り消される?
罰金によって自動的に取り消されるわけではありません。ただし同じ違反を理由に、国土交通大臣が30条に基づき取消しや業務停止を命じることがあります。
Q8編隊飛行は航空法違反?
編隊飛行そのものが一律に禁止されているわけではありません。84条2項が定める方法によらずに編隊で運航した場合に、本条4号の処罰対象となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1到着の通知を30分忘れただけでも、本当に罰金になるんですか?
98条の通知をしなかったことは、本条5号の構成要件にあたる。実際に起訴されるかどうかは、遅れの程度、捜索救難が実際に動いたかどうか、繰り返しているかどうかで判断される。実務のポイント:実務で本当に怖いのは罰金よりも、捜索救難が発動された記録が残り、30条の行政処分や社内評価の材料になることだ。気付いたらすぐに通知し、遅れた理由をメモに残しておく
Q2事故を報告したら、その内容で自分が起訴されませんか?
76条の報告義務は、本条の罰則によって強制されている。報告そのものを拒む自由はない。報告義務と黙秘権の関係について、最高裁は交通事故の報告義務を事故の客観的事実に限られると解釈し、憲法38条に違反しないと判断した(最大判昭和37.5.2)。実務のポイント:報告するのは事実だけでよく、原因の推測や自分の責任についての評価を書く必要はない。書き方一つで、のちの手続での立場が変わる
Q3会社の指示で確認を省いて出発した場合も、私が罰せられるんですか?
本条が処罰の対象としているのは機長個人であり、指示されたことは原則として免責の理由にならない。ただし、情状として考慮される余地はある。実務のポイント:指示が記録として残っていれば、会社側の責任を問う材料にもなる。口頭で指示されたときは、すぐにメールやログなどの形で残しておく。これが自分の身を守る盾になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「罰金五十万円以下なら大したことはない」と思われがちだ。だが本当に重いのは罰金ではない。同じ違反を理由に、30条で技能証明を取り消されたり、航空業務を停止させられたりする可能性があることだ。そのうえ罰金でも前科が付くため、エアラインでの採用審査や社内の処分にも響く
- 「事故報告をすると自分が処罰される。だから黙っているほうが得だ」という考えは、計算の前提を間違えている。報告しないことは、それ自体が本条で処罰される独立の違反になる。隠せば、元の事態の責任と報告義務違反の両方を背負うことになる。報告して事実を記録に残すほうが、結果として身を守る
- パイロットの目には、到着の通知は事務連絡に映る。しかし法律から見れば、捜索救難の仕組みを動かすか止めるかを決める安全装置の一部である。この見方の違いを知らないパイロットほど、通知を軽く扱ってしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の性質 | 航空法153条:刑事罰(五十万円以下の罰金) | 航空法30条:行政処分(技能証明の取消し・航空業務の停止) |
| 判断する主体 | 検察官が起訴し、裁判所が判断(多くは略式命令) | 国土交通大臣 |
| 対象者 | 機長個人に限定 | 航空従事者全般(機長に限らない) |
| 本人への実質的な影響 | 罰金の支払い+前科 | 操縦資格そのものの喪失・停止(職業上の影響が大きい) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では航空人員の義務違反に対し、主に行政罰としての罰鍰と、航空人員の資格に関する処分で対応する。日本のように手続違反を刑事罰とする設計との違いが比較のポイントになる
韓国は2017年に航空法を分割して航空安全法を制定し、機長の義務違反について罰則と過怠料(과태료)を併用している
ドイツでは同種の手続違反の多くを秩序違反(Ordnungswidrigkeit)として過料で処理し、刑事罰とは区別する
米国ではFAAによる民事制裁金(civil penalty)と、証明(certificate)の停止・取消しという行政上の措置が中心となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自家用の小型機で地方空港まで飛んだ。着陸して給油し、そのまま食事に出かけた。飛行計画を通報していたのに、到着の通知を忘れていた。その一時間後、管制側では捜索救難の手順が動き始めているかもしれない。98条違反は、自分の罰金だけでなく、誰かのヘリを無駄に飛ばすことにもつながる
- 着陸の際に尾部をこすった。乗客は無事で、見た目の損傷も小さい。だから黙っていようと考えたとしたら、どうなるか? 76条の事故報告をしないことは、それ自体が本条の処罰対象になる。損傷が小さいことは言い訳にならない。どの事態を報告すべきかは、国土交通省令の基準で決まる
- 定刻から20分遅れ。機長として、運航管理者の承認を待つ時間が惜しかった。出発前の確認を一部省略して押し出しを指示すれば、73条の2と77条に同時に違反しうる。遅延のプレッシャーをかけたのは会社でも、罰金を受けるのは機長本人だ
- 航空ショーの練習中に、仲間の機体と「軽く並んで飛ぼう」と無線で決めた。84条2項が定める方法によらない編隊運航は、本条の罰則に直結する。ほんの数分の思いつきが、技能証明への影響を招く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 本条は機長を処罰する規定であり、乗客などの被害者を直接救済するものではない。事故で損害を受けた場合の賠償請求は、民法709条や運送契約に基づいて別途行う2. 機長の報告義務違反が疑われる場合は、運輸安全委員会の調査報告書や国土交通省の公表資料を確認し、事実関係の証拠とする3. 航空会社の安全上の問題を社内で知った立場であれば、航空安全情報自発報告制度(VOICES)を通じて報告する道もある
訴えられた側:1. 違反の可能性に気付いた時点で、遅れてでも直ちに報告や通知を済ませ、時刻を記録に残す。放置すると事後の評価が悪くなる2. 出発前確認のチェックリスト、運航管理者とのやり取りの記録、ATC の交信記録を確保する3. 会社からの指示やプレッシャーがあった場合は、その証拠を保全する4. 刑事手続(多くは略式命令による罰金)と、30条の技能証明に関する行政処分は別々に進む。行政処分の前に行われる聴聞の場で、事情を主張する準備をしておく
時効(請求できる期限):罰金刑にあたる罪のため、公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項6号)。50万円以下の罰金なので、略式手続(100万円以下の罰金・科料が対象、刑事訴訟法461条)で処理される可能性がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
行政刑法の一般的理解:本条は、出発前確認や到着通知などの行政上の義務を刑事罰で担保する行政刑罰規定である。罰金額は低く抑え、資格に関する重い制裁は30条の行政処分に委ねる二段構えになっていると整理される。
- 航空法 第73条の2出発前確認義務、1号の前提
- 航空法 第76条事故報告義務、2号の前提
- 航空法 第77条運航管理者の承認、3号の前提
- 航空法 第98条到着の通知義務、5号の前提
- 航空法 第30条違反時の技能証明取消・業務停止
- 刑事訴訟法 第250条罰金刑の罪の公訴時効3年
- 刑事訴訟法 第461条略式命令による罰金処理
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