宅地建物取引業法 第38条(損害賠償額の予定等の制限)
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- 宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
- 2.前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
この条文の基本情報
損害賠償額の予定等の制限とは何ですか?
定義損害賠償額の予定等の制限とは、宅地建物取引業法第38条に定められた規定で、「宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるとき…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法第38条(損害賠償額の予定等の制限)は、日本の宅地建物取引業法に含まれる条文です。
- 宅地建物取引業法第38条の条文原文は「宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるとき…」で始まります。
- 宅地建物取引業法第38条は第一節 通則に置かれています。
- 宅地建物取引業法の公布日は昭和27年6月10日です。
- 宅地建物取引業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 宅地建物取引業法第38条の前の条は宅地建物取引業法第37条の2です。
- 宅地建物取引業法第38条の次の条は宅地建物取引業法第39条です。
- 宅地建物取引業法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 - 本サイト収録
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC1000000176/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点宅地建物取引業法38条は、業者が自ら売主となる売買で、損害賠償額の予定と違約金の合算を代金の20パーセントまでに制限し、超過部分のみを無効とする。
Q · 契約書に「違約金は代金の30パーセント」と書いてあったら、本当にその額を払うんですか?
売主が宅建業者なら20パーセントが上限、超過部分は無効
宅地建物取引業法38条1項は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定と違約金の合算額が代金の10分の2を超える定めをしてはならないと規定します。同条2項により、これに反する特約は契約全体が無効になるのではなく、20パーセントを超える部分だけが無効です。したがって3,000万円の物件で30パーセントと定められていても、支払義務が生じるのは600万円まで。ただしこの上限が立つのは売主が業者で買主が業者でない場合に限られ、個人が売主の中古住宅や業者間取引(78条2項)には及びません。
解説
新築マンションの売買契約書を開くと、違約金条項はほぼ例外なく「売買代金の20パーセント」で止まっている。この数字は業界の慣習ではなく、宅地建物取引業法38条が引いた天井だ。売主が宅地建物取引業者である場合に限り、債務不履行を理由とする解除に伴う損害賠償の予定額と違約金は、合算して代金の20パーセントを超える定めができない。3,000万円の物件なら600万円が上限。さらに効いてくるのが2項で、契約書に30パーセントと書かれていても契約全体が無効になるのではなく、20パーセントを超える部分だけが無効になる。つまりサインした後でも、超過分を払う義務は最初から存在しない。ただしこの天井が立つのは、売主が宅地建物取引業者で、あなたが宅地建物取引業者でないときだけである。売主が個人の中古住宅なら、同じ30パーセント条項がそのまま生きる。
法的な位置づけ
宅地建物取引業法38条は、宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約において、当事者の債務不履行による解除に伴う損害賠償額の予定および違約金の合算額を代金の10分の2に制限する規定である。民法420条の賠償額予定の一般則に対する業法上の強行規定であり、違反した特約は超過部分のみが無効となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.売主欄の免許番号を確認して上限が立つか判定 契約書と重要事項説明書の売主欄に宅地建物取引業の免許番号があるかを確認する。免許番号があり、かつ買主であるあなたが業者でなければ、38条の20パーセント上限が立つ。売主が個人なら上限は立たない
- 2.没収額と請求額を合算して20パーセントと比較 没収される手付金(違約罰・賠償予定を兼ねる場合)と請求された違約金を合算し、代金の20パーセント(代金 × 0.2)と比較する。3,000万円なら600万円が天井。超過額を円単位で算出しておく
- 3.支払う前に超過部分の無効を書面で通知 超過が判明したら、振り込む前に内容証明郵便で「宅地建物取引業法38条2項により代金の20パーセントを超える部分は無効と理解している」旨を通知する。支払後の取り戻しは不当利得返還請求となり負担が跳ね上がる
- 4.業者が応じなければ免許権者へ申出 業者が減額に応じない場合、免許を出した都道府県の宅地建物取引業担当課(大臣免許なら地方整備局)へ申し出る。監督処分(65条)の可能性は業者にとって金額より重く、交渉が動く契機になる
- 5.支払済みなら不当利得返還請求へ切り替え 既に超過分を支払っている場合は、無効な特約に基づく給付として不当利得返還請求(民法703条・704条)を行う。請求権は民法166条1項の一般消滅時効に服するため、放置せず早期に請求書面を出す
よくある質問 AI による整理
Q1宅建業法38条とは何ですか?
宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約で、債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定と違約金の合算を代金の20パーセントまでに制限する規定です。超過部分は無効になります。
Q2違約金の上限は手付金と合算して判断されますか?
手付金が単なる解約手付なら別枠ですが、違約罰や損害賠償額の予定を兼ねる設計であれば、実務上は違約金と合算して20パーセント以内かを判断します。契約書の手付条項の文言が分かれ目です。
Q3宅建業法38条は賃貸借契約にも適用されますか?
適用されません。条文は「自ら売主となる宅地又は建物の売買契約」を対象としており、賃貸借の違約金は民法420条や消費者契約法9条で争うことになります。
Q4買主が不動産会社の場合も20パーセント上限ですか?
上限は立ちません。宅地建物取引業法78条2項により、買主も宅地建物取引業者である業者間取引では自ら売主制限が丸ごと適用除外となり、20パーセントを超える定めも有効です。
Q5仲介(媒介)で買った場合も20パーセント上限になりますか?
なりません。38条は業者が「自ら売主」となる場合の規定です。業者が仲介に入るだけで売主が個人なら、この上限は働かず、契約書の違約金条項がそのまま効力を持ちます。
Q620パーセントを超える契約書を作った業者はどうなりますか?
超過部分が無効になるだけでなく、免許権者による指示処分や業務停止処分(宅地建物取引業法65条)の対象になり得ます。買主からの免許権者への申出が端緒になることもあります。
Q7宅建業法38条と消費者契約法9条はどちらが適用されますか?
重畳的に適用されます。まず38条で20パーセントの天井を確認し、その範囲内でも平均的損害を超える部分があれば消費者契約法9条で無効を主張できます。厳しい方が実際の上限になります。
Q838条に違反すると契約全体が無効になりますか?
なりません。38条2項は「代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする」と定める一部無効の規定です。売買契約そのものと20パーセントまでの違約金条項は生き残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1もう契約書にサインしちゃったんですけど、違約金30%って書いてあります。手遅れですか?
手遅れではありません。宅地建物取引業法38条2項は、超えた部分についてのみ無効とすると定めているので、売主が業者なら20パーセント分だけ払えば足ります。実務のポイント:業者側は「合意したはずです」と押してきますが、38条は当事者の合意で外せない強行規定です。それでも引かない場合、免許権者である都道府県の宅地建物取引業担当課への申出が交渉を一気に動かす。監督処分は業者にとって金額よりはるかに重い
Q2契約書に違約金の条項が何も書いてなければ、業者は20%以上請求できないってことですよね?
逆です。38条が制限しているのは「定め」であって「請求」ではありません。予定額の定めがなければ民法の原則に戻り、業者は実損害を立証したうえで20パーセントを超える額を請求することも理論上可能です。実務のポイント:買主にとっては、20パーセントの違約金条項が「ある」契約書の方が上限が読めて安全な場合がある。条項がないことを有利だと思い込んで契約するのが、実は一番怖い
Q3手付金を放棄して解除したのに、その後さらに違約金まで請求されました。払う必要ありますか?
手付解除は債務不履行を理由とする解除ではないため、38条の枠組みとは別物です。相手方が履行に着手する前に手付を放棄して解除したのであれば、それで完結し、追加の違約金請求はできません(民法557条1項、宅地建物取引業法39条2項)。実務のポイント:争点は必ず「業者がいつ履行に着手したか」に移る。業者は着工写真や発注書を持ち出してくるので、解除の意思表示を出した日時をメールや内容証明で固定しておくかどうかで勝敗が決まる
Q4売主が個人の中古住宅で違約金30%と書かれていました。これも無効になりますか?
なりません。38条は売主が宅地建物取引業者である場合の制限で、個人間売買には及びません。消費者契約法9条も事業者と消費者の契約が前提なので、個人同士では使えず、民法90条の公序良俗違反などで争うしかなくなります。実務のポイント:売主が個人名義でも、短期間に何戸も売っているなら実質的に「業として」の取引と評価され、業法の適用が問題になる余地がある。登記簿で売主の他の取得・売却履歴を追うと、その糸口が出てくることがある
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば38条は買主を守る盾だが、条文は「当事者の債務の不履行」と書いており、売主側の債務不履行にも同じ天井をかける。業者が引き渡しを飛ばしたときにあなたが請求できる違約金も20パーセントで頭打ちになり、しかも損害賠償額の予定がある以上、実損害がそれを上回っても原則として増額請求はできない(民法420条1項)。守りの規定が、攻めに回った瞬間に上限へ反転する
- 「違約金条項のない契約書は業者に有利ではない」という前提そのものが誤っている。38条が制限するのは「定め」であって「請求」ではない。予定額を置かなければ業者は民法の原則に戻り、実損害を立証したうえで20パーセントを超える額を請求することが理論上可能になる。条項の不在は買主にとって安全側ではない
- 20パーセント上限を知っている人は多いが、それが「売主が宅地建物取引業者」かつ「買主が宅地建物取引業者でない」ときにしか立たないことまで押さえている人は少ない。買主側が業者なら78条2項で丸ごと適用除外、個人が売主の中古住宅も対象外。知識としての20パーセントは、当事者確認とセットでなければ使えない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の対象 | 38条:債務不履行解除に伴う損害賠償額の予定・違約金の「定め」 | 39条:手付の額と手付解除の可否 40条:契約不適合責任(担保責任)の特約 |
| 上限・基準 | 予定額と違約金の合算が代金の10分の2以内 | 手付は代金の10分の2以内、手付はすべて解約手付とみなす 通知期間を引渡しから2年以上とする特約以外は民法より不利にできない |
| 違反の効果 | 超過部分のみ無効(一部無効) | 上限超過部分は無効、手付解除を制限する特約は無効 特約全体が無効となり民法の原則に戻る |
| 適用の前提 | 業者が自ら売主 + 買主が業者でない(78条2項で業者間は除外) | 同左 同左 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は分譲住宅(預售屋)の定型化契約について買主の違約金を房地総価の15% 以内に制限し、日本の20パーセントより厳しい定率上限を採る。加えて民法252条で裁判所が過高な違約金を酌減できる
韓国は業法上の定率上限ではなく、民法による裁判所の減額権と約款規制法による過重な賠償予定条項の無効で処理する。事前の一律キャップを置く日本とは規制手法が異なる
ドイツは約款規制(AGB 規制)で損害賠償額の包括見積りと違約罰条項を厳しく制限し、個別合意でも § 343により違約罰の減額が可能。定率キャップではなく相当性審査による
米国は予定額が締結時の予想損害と合理的に関連しているかで有効性を判断し、罰則的なら執行不能。実務上、不動産売買では手付(earnest money)の没収が争点になり、州によって扱いが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 決済日まであと10日、住宅ローンの本審査が通らなかったらどうなる? ローン特約の期限を過ぎていれば白紙解除は使えず、そこから先は債務不履行解除の領域に入る。売主が業者なら請求される違約金の天井は代金の20パーセント。3,500万円の物件で700万円。期限が切れる前に特約の延長を書面でもらえるかどうかが、その700万円を分ける
- 解約の電話をしたら、担当者に「違約金は3割いただきます」と言われた。契約書を確認すると、確かに30パーセントと印字されている。だが売主欄には免許番号が並んでいる
- あなたが不動産会社の営業担当で、社内に代々あるテンプレ契約書をそのまま使ったとする。違約金は代金の25パーセント。契約は無事に取れたが、買主が解除時に争えば超過5パーセント分は回収できず、免許権者への申出があれば指示処分や業務停止処分(宅地建物取引業法65条)の対象にもなる。テンプレを疑わなかったことが処分理由になる
- 業者が引き渡し予定日を半年過ぎ、あなたが解除して違約金を請求する側に回る。ところが契約書の違約金条項は双方向に働くため、あなたが受け取れる額も同じ20パーセントが天井になる。予定額を定めた以上、仮住まいの家賃が積み上がっても原則として上乗せ請求はできない
- 友人が新築マンションの契約解除で届いた請求書を見せてきた。あなたが最初に見るべきは金額の大きさではなく、売主欄に免許番号があるかと、その金額が代金の何パーセントか、この二点だけだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書の売主欄に免許番号があるか確認、業者なら38条の天井が立つ2. 没収される手付と請求された違約金の合計が代金の20パーセントを超えていないか計算3. 超過していれば支払前に、38条2項により超過部分は無効である旨を内容証明郵便で通知4. すでに支払済みなら不当利得返還請求(民法703条、704条)へ5. 業者が応じなければ免許を出した都道府県の宅地建物取引業担当課へ申出、監督処分の可能性が交渉を動かす
訴えられた側:1. 自社の契約書テンプレの違約金条項を点検、手付が違約手付を兼ねる設計なら合算して20パーセント以内に収まるか再計算2. 超過部分は争っても回収不能なので、早期に20パーセントまで減額して和解する方が総コストは低い3. 買主が宅地建物取引業者であれば78条2項で適用除外、免許証の写しで相手方の属性を確定させる4. 監督処分(65条)は行政指導の段階で是正報告を出せば回避できる余地がある
時効(請求できる期限):38条自体に固有の期間制限はない。超過分を支払ってしまった場合の返還請求は不当利得返還請求権として一般消滅時効(民法166条1項、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)に服する。なお手付解除は相手方が履行に着手するまでという別の時間制限がある(民法557条1項、宅地建物取引業法39条2項)
学説
通説:38条は民法420条の賠償額の予定に対する業法上の特則であり、業者と一般消費者の交渉力格差を根拠とする強行規定と解される。当事者の個別合意によって20パーセントの上限を引き上げることはできない。
実務上の理解:手付金が単なる解約手付にとどまらず違約罰や損害賠償額の予定を兼ねる設計の場合、没収される手付金額と違約金額を合算して代金の20パーセント以内かを判断する。契約書の手付条項の文言設計が合算の可否を決める。
重畳適用説:38条の20パーセント以内であっても、事業者と消費者の契約であれば消費者契約法9条により平均的損害を超える部分が無効となる余地がある。両者は排他関係ではなく、より厳しい方が実際の上限を画する。
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