宅地建物取引業法 第35条(重要事項の説明等)
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- 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
- 一当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
- 二都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で契約内容の別(当該契約の目的物が宅地であるか又は建物であるかの別及び当該契約が売買若しくは交換の契約であるか又は貸借の契約であるかの別をいう。以下この条において同じ。)に応じて政令で定めるものに関する事項の概要
- 三当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
- 四飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
- 五当該宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
- 六当該建物が建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの
- 2.6_2 当該建物が既存の建物であるときは、次に掲げる事項
- 一建物状況調査(実施後国土交通省令で定める期間を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要
- 二設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況
- 七代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的
- 八契約の解除に関する事項
- 九損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
- 十第四十一条第一項に規定する手付金等を受領しようとする場合における同条又は第四十一条の二の規定による措置の概要
- 十一支払金又は預り金(宅地建物取引業者の相手方等からその取引の対象となる宅地又は建物に関し受領する代金、交換差金、借賃その他の金銭(第四十一条第一項又は第四十一条の二第一項の規定により保全の措置が講ぜられている手付金等を除く。)であつて国土交通省令・内閣府令で定めるものをいう。第六十四条の三第二項第一号において同じ。)を受領しようとする場合において、同号の規定による保証の措置その他国土交通省令・内閣府令で定める保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
- 十二代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあつせんの内容及び当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
- 十三当該宅地又は建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要
- 十四その他宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護の必要性及び契約内容の別を勘案して、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める命令で定める事項
- 一事業を営む場合以外の場合において宅地又は建物を買い、又は借りようとする個人である宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合国土交通省令・内閣府令
- 二イに規定する事項以外の事項を定める場合国土交通省令
- 3.宅地建物取引業者は、宅地又は建物の割賦販売(代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。以下同じ。)の相手方に対して、その者が取得しようとする宅地又は建物に関し、その割賦販売の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
- 一現金販売価格(宅地又は建物の引渡しまでにその代金の全額を受領する場合の価格をいう。)
- 二割賦販売価格(割賦販売の方法により販売する場合の価格をいう。)
- 三宅地又は建物の引渡しまでに支払う金銭の額及び賦払金(割賦販売の契約に基づく各回ごとの代金の支払分で目的物の引渡し後のものをいう。第四十二条第一項において同じ。)の額並びにその支払の時期及び方法
- 4.宅地建物取引業者は、宅地又は建物に係る信託(当該宅地建物取引業者を委託者とするものに限る。)の受益権の売主となる場合における売買の相手方に対して、その者が取得しようとしている信託の受益権に係る信託財産である宅地又は建物に関し、その売買の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。ただし、その売買の相手方の利益の保護のため支障を生ずることがない場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
- 一当該信託財産である宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
- 二当該信託財産である宅地又は建物に係る都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要
- 三当該信託財産である宅地又は建物に係る私道に関する負担に関する事項
- 四当該信託財産である宅地又は建物に係る飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項)
- 五当該信託財産である宅地又は建物が宅地の造成又は建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造その他国土交通省令で定める事項
- 六当該信託財産である建物が建物の区分所有等に関する法律第二条第一項に規定する区分所有権の目的であるものであるときは、当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容、同条第四項に規定する共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地(一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又はこれに関する権利がそれらの建物の所有者の共有に属する場合には、その土地を含む。)に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で国土交通省令で定めるもの
- 七その他当該信託の受益権の売買の相手方の利益の保護の必要性を勘案して国土交通省令で定める事項
- 5.宅地建物取引士は、前三項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
- 6.第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。
- 7.次の表の第一欄に掲げる者が宅地建物取引業者である場合においては、同表の第二欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とし、前二項の規定は、適用しない。
- 8.宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。
- 9.宅地建物取引業者は、第一項から第三項までの規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等、第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方又は第三項に規定する売買の相手方の承諾を得て、宅地建物取引士に、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第五項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該宅地建物取引士に当該書面を交付させたものとみなし、同項の規定は、適用しない。
- 10.宅地建物取引業者は、第六項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第六項の規定により読み替えて適用する第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等である宅地建物取引業者又は第六項の規定により読み替えて適用する第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方である宅地建物取引業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第七項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を交付したものとみなし、同項の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
重要事項の説明等とは何ですか?
定義重要事項の説明等とは、宅地建物取引業法第35条に定められた規定で、「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明等)は、日本の宅地建物取引業法に含まれる条文です。
- 宅地建物取引業法第35条の条文原文は「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者…」で始まります。
- 宅地建物取引業法第35条は第一節 通則に置かれています。
- 宅地建物取引業法の公布日は昭和27年6月10日です。
- 宅地建物取引業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 宅地建物取引業法第35条の前の条は宅地建物取引業法第34条の3です。
- 宅地建物取引業法第35条の次の条は宅地建物取引業法第35条の2です。
- 宅地建物取引業法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 - 本サイト収録
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC1000000176/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点宅地建物取引業法35条は、契約成立前に宅地建物取引士が書面を交付して重要事項を説明する義務を定める。売買だけでなく賃貸にも適用され、違反は指示処分や業務停止の対象となる。
Q · 契約前に長々と読み上げられるあの書類、法律上どんな意味があるの?
契約前に宅建士が書面で説明する法定義務。賃貸にも適用される
宅地建物取引業法35条により、宅地建物取引業者は売買・交換・貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして法定事項を記載した書面を交付し説明させなければなりません。説明の際は宅建士証の提示(4項)、書面には宅建士の記名(5項)が必要で、相手方の承諾があれば電磁的方法による提供も可能です(8項)。違反は指示処分・業務停止(65条)の対象となり、重要な事実を故意に告げなかった場合は47条1号の刑事罰の射程に入ります。
解説
部屋を借りる契約の直前、机の向こうに座った担当者がプラスチックのカードを見せて、分厚い書類を読み上げ始める。あの十五分を、多くの人は「早く終わってほしい儀式」として耐えている。だがあれは儀式ではない。宅地建物取引業法35条が、宅地建物取引士という国家資格者に対して、契約が成立するまでの間に、書面を交付して説明せよと命じている法定手続だ。ポイントは三つ。第一に、この義務は売買だけでなく賃貸にもかかる。第二に、説明するのは会社ではなく宅建士個人であり、その書面には宅建士の記名が入る。誰が説明したかが特定される署名欄だ。第三に、35条が並べる項目は最低限の下限であって上限ではない。列挙されていない事項でも、取引の判断に重大な影響を及ぼすことを業者が知りながら黙っていたら、47条1号の不告知として刑事罰の射程に入る。あの十五分は、後日あなたが戦うときの証拠そのものである。
法的な位置づけ
宅地建物取引業法35条は重要事項説明の義務を定める規定であり、宅地建物取引業者は契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして法定の説明事項を記載した書面を交付し説明させなければならない。説明時の宅建士証の提示と書面への記名が要件であり、相手方の承諾があれば電磁的方法による提供も認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約日の前に重説書面の案を取り寄せる 申込み後・契約日前に「重要事項説明書の案を PDF で先に送ってください」と依頼する。35条は契約成立前の交付を要件としており、当日その場の読み上げでは検討時間が残らない
- 2.法定項目の空欄を洗い出す 登記された権利、法令上の制限、私道負担、飲用水・電気・ガス・排水の整備状況、区分所有の規約、既存建物の状況調査、水害ハザードマップ、解除、損害賠償額の予定、手付金等の保全措置、ローンあっせん不成立時の措置を一項目ずつ確認し、空欄と不明瞭な記載に印を付ける
- 3.説明当日に宅建士証と記名を確認する 説明者が宅建士証を提示したか(4項)、書面に宅建士の記名があるか(5項)をその場で確認する。IT 重説なら画面上で宅建士証の記載が読めるかを確かめ、読めなければ言い直させる
- 4.疑問点を書面で照会し回答を残す 口頭で受けた補足説明は、後日争いになったときに証拠になりにくい。質問と回答をメールで往復させ、契約前に書面化しておく
- 5.違反があれば免許権者へ申し出る 説明の欠落や宅建士証の不提示があった場合、都道府県知事または国土交通大臣へ35条違反として申し出る。監督処分(65条・66条)の申出と民事の損害賠償請求は並行して進められる
よくある質問 AI による整理
Q1重要事項説明とは何ですか?
宅地建物取引業法35条に基づき、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士が書面を交付して行う法定の説明です。登記された権利、法令上の制限、私道負担、解除、損害賠償額の予定などが対象になります。
Q2重要事項説明書はいつもらえますか?
35条は「契約が成立するまでの間」と定めており、契約締結前の交付が要件です。契約と同時や事後の交付は法が想定した機能を果たしません。実務上は契約日の数日前に案の送付を依頼できます。
Q3重要事項説明書をもらってない場合はどうすればいい?
まず業者へ書面で交付を求め、回答も書面で残します。是正がなければ免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)へ35条違反として申し出ます。実損があれば民事賠償を並行して検討します。
Q4水害ハザードマップの説明は必須ですか?
必須です。宅地建物取引業法施行規則16条の4の3の改正により、2020年8月から水防法に基づく水害ハザードマップ上の物件所在地の説明が義務化されました。空欄のままなら現行基準を満たしていません。
Q5宅建士証を提示されなかったらどうなりますか?
35条4項違反となり、宅建士本人は10万円以下の過料の対象です(86条)。提示は誰が説明したかを確定させる手続であり、欠けた説明は後日の「言った言わない」で不利に働きます。
Q6重要事項説明は誰が行うのですか?
宅地建物取引士でなければなりません。会社や営業担当者が代読することはできず、宅建士以外の者による説明は35条違反として指示処分や業務停止の対象になります。
Q7業者間の取引でも重要事項説明は必要ですか?
相手方が宅地建物取引業者の場合、6項により書面の交付のみで足り、口頭の説明と宅建士証の提示は不要です。ただし7項により書面への宅建士の記名は依然として必要です。
Q8中古住宅の建物状況調査は説明されますか?
既存の建物が対象であれば、建物状況調査(インスペクション)の実施状況等が説明事項に含まれます。2016年改正で追加され、2018年4月1日から施行されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1重要事項説明って、正直あの場で聞いても分からないんですけど、意味あるんですか?
意味は「その場で理解すること」ではなく「記録が残ること」にあります。35条は宅建士に書面交付と説明を義務付け、5項で書面への記名を求めます。誰が何を説明したかが特定される仕組みです。実務のポイント:重説書面の案は契約日前に送ってもらえます。事前に赤を入れて質問を持ち込む客は「分かっている側」として扱われ、特約の書きぶりまで変わることがある
Q2重説をちゃんとやらなかった業者って、罰せられるんですか?
刑事罰ではなく行政処分が中心です。35条違反は指示処分・業務停止処分(宅地建物取引業法65条)、情状が特に重ければ免許取消(66条)。宅建士証の提示を怠れば10万円以下の過料(86条)。ただし重要な事実を故意に告げなかった場合は47条1号の問題となり、こちらには刑事罰があります。実務のポイント:業者が最も嫌がるのは賠償請求より、免許権者への35条違反の申出です
Q3賃貸の更新のときも重要事項説明ってあるんですか?
普通借家の更新では通常不要です。35条の義務は「契約が成立するまでの間」のもので、更新は新規の契約成立とは扱われないためです。一方、定期借家の再契約は新規契約なので必要で、さらに借地借家法38条の事前説明書面が別途要ります。実務のポイント:38条の説明を欠いた定期借家はその定めが無効となり、普通借家として扱われます。退去を迫られたら、契約時にその書面を受け取ったか確認する
Q4オンラインの重説でも法的に有効なんですか?
有効です。宅建士証を画面上で提示し、書面(または8項の電磁的方法による提供)が相手方の手元にある状態で、双方向のやり取りができる環境なら35条の説明として認められます。電磁的方法での提供には相手方の承諾が必要です(8項)。実務のポイント:画面が粗く宅建士証の記載が読めないまま進む例があります。読めなければその場で言い直させる。提示要件を欠いた記録は、後日の交渉材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「重説は買うときの話」という前提で問いを立てているなら、その問いそのものがずれている。35条1項は貸借の相手方も名指しで保護対象にしている。実務では賃貸の重説こそ流れ作業になりやすく、原状回復の特約や更新料の根拠が実質的に説明されないまま署名させられる事故が多い
- 重説(35条書面)と契約書(37条書面)が別物であることは知っていても、交付のタイミングが要件そのものである点まで意識している人は少ない。35条は「契約が成立するまでの間」と書いており、契約と同時や事後に渡された重説は、法が想定した機能をまったく果たしていない。同日同席で重説と契約を連続処理する慣行は、この要件を形式的にしか満たしていない
- あなたから見れば、宅建士証の提示は本人確認の形式に見える。法から見れば、あれは説明責任の帰属先を確定させる瞬間だ。提示を怠れば10万円以下の過料(宅地建物取引業法86条)。誰が説明したか特定できない重説は、後日の「言った言わない」であなたが必ず負ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 交付のタイミング | 35条:契約が成立するまでの間 | 37条:契約成立後、遅滞なく 47条1号:時期を問わず、故意の不告知そのものを禁止 |
| 書面の目的 | 35条:契約するか否かの判断材料の開示 | 37条:成立した契約内容の証拠化 47条1号:重要事実の隠蔽の禁止 |
| 宅建士の関与 | 35条:宅建士による説明+宅建士証の提示+記名 | 37条:宅建士の記名のみ(説明義務なし) 47条1号:宅建業者・従業者全体が名宛人 |
| 違反時の帰結 | 35条:指示処分・業務停止(65条)、宅建士証不提示は過料(86条) | 37条:指示処分・業務停止(65条) 47条1号:刑事罰の射程に入る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不動產說明書の交付と、經紀人員による相手方への解説を義務付ける。説明主体を有資格者に限る構造は日本の宅建士と近いが、説明事項の法定列挙は日本より簡素
韓国は開業公認仲介士に確認・説明義務を課し、確認説明書に署名捺印させる。権利関係・法令上の制限・公課などを説明する点で日本35条と構造が最も近い
ドイツは条文単位の一括開示義務ではなく、営業法上の許可規制と契約締結上の説明義務(判例法理)の組み合わせで処理する。売買契約自体は公証人の関与が情報開示機能を担う
米国は連邦の決済費用開示(RESPA)と、州ごとの売主開示義務の二層構造。説明主体を国家資格者に限定する日本型ではなく、書式による自己申告が中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ワンルームの契約日。担当者が三十分かけて読み上げた重説の中に、原状回復のハウスクリーニング代5万円が借主負担と書かれていた。退去時に請求されて初めて気付いても、重説と契約書に明記され説明もされている以上、争いは一気に不利になる。その場で聞き返せる知識があるかどうかで、二年後の5万円が決まる
- 重説のときに水害ハザードマップの話が一度も出なかったとしたら、どうなる? 説明事項の欠落は監督処分の対象であり、実際に浸水被害が出たときは説明義務違反として損害賠償の主張材料になる。まず手元の重説書面を引っ張り出し、水害の欄が空白のままかを確認するところから始まる
- あなたが小さな不動産会社を始めた側だとする。専任の宅建士が急に辞め、社長のあなたが重説を代読した。宅建士でない者による説明は35条違反で、指示処分や業務停止の対象になる。売上を取りに行った一件が、免許そのものを危うくする
- 中古マンションの重説。修繕積立金の滞納が200万円あると書面の隅に書いてあった。その負担は、買った瞬間からあなたに移る
- 引渡しまであと5日。ローンあっせんが成立しなかったときの措置が重説に書かれていないことに気付いた。融資が下りなければ手付金が戻らない構造のまま契約が進んでいる。今日中に業者へ書面で確認を求めなければ、条件を詰め直す余地は消える
- 友人が「IT 重説でオンラインだったから適当に流した」と言ってきた。画面越しでも宅建士証の提示と書面が相手方の手元にあることは要件で、それを欠いた IT 重説は説明したことにならない。友人の書面を見せてもらえば、三分で判定できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の重要事項説明書を出し、宅建士の記名と、説明日が契約日より前かを確認する2. 説明を受けた記憶のない項目(水害ハザードマップ、私道負担、修繕積立金の滞納、契約不適合責任の措置)に印を付ける3. 業者へ書面で照会し、回答も書面で得る4. 是正がなければ免許権者(都道府県知事または国土交通大臣)へ35条違反として申し出る5. 実損があれば民法709条または415条で賠償を組み立てる。監督処分の申出と民事請求は並行して動かせる
訴えられた側:1. 当該取引の重説書面と説明時の記録(IT 重説なら録画、対面なら受領書)を直ちに保全する2. 説明事項の欠落が形式的なものか、取引判断に影響する実質的なものかを切り分ける3. 実質的な欠落なら早期に是正措置と補償を提示し、免許権者への申出が入る前に決着させる4. 故意の不告知を疑われている場合は47条1号の刑事罰が射程に入るため、行政対応と刑事対応を分けて弁護士に相談する5. 事務所の専任宅建士の配置(31条の3)も同時に点検する
時効(請求できる期限):35条自体に権利行使の期限規定はない。免許権者への申出にも法定の期限はないが、証拠と記憶が残る早期ほど有効。民事の損害賠償は、説明義務違反を不法行為として構成すれば損害および加害者を知った時から3年・行為時から20年(民法724条)、契約上の責任として構成すれば権利を行使できることを知った時から5年・行使できる時から10年(民法166条)。重説書面の日付が起算点の基準になるため、書面を保管しておくこと自体が期間管理そのものである
学説
通説:35条は行政取締規定であり、違反しても契約の私法上の効力が当然に無効となるわけではないが、説明義務違反が取引判断に影響した場合は不法行為または契約上の責任として損害賠償が成立しうる。列挙事項は最低限の下限であり、信義則上の説明義務が別途及ぶ
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正、平成27年(2015年)4月1日施行 資格名称が「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に変更され、本条の説明主体の表記も改められた。義務の実質的内容は変わっていない
- 平成28年(2016年)改正、平成30年(2018年)4月1日施行 既存建物(中古住宅)について、建物状況調査(インスペクション)の実施状況等を説明事項に追加。あわせて、相手方が宅地建物取引業者である場合は書面交付のみで説明を要しないこととされた
- 令和2年(2020年)8月28日施行の省令改正 宅地建物取引業法施行規則16条の4の3が改正され、水防法に基づく水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が義務化された。本条本体ではなく委任先省令での追加
- 令和3年(2021年)デジタル社会形成整備法、令和4年(2022年)5月18日施行 書面への「記名押印」から押印を廃止して「記名」のみとし、相手方の承諾を条件に電磁的方法による提供を可能とする規定(8項・9項)が設けられた。IT 重説の法的基盤が整った
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:宅地建物取引業法の制定にあわせ、取引の相手方に対する説明義務の枠組みが置かれた
- 2.平成26年(2014年)改正・平成27年(2015年)4月1日施行 改正:資格名称が「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に変更され、本条の説明主体の表記も改められた。義務の実質的内容は変わっていない
- 3.平成28年(2016年)改正・平成30年(2018年)4月1日施行 改正:既存建物について建物状況調査の実施状況等を説明事項に追加。あわせて相手方が宅地建物取引業者である場合は書面交付のみで足り説明を要しないこととされた
- 4.令和2年(2020年)8月28日施行の省令改正 改正:施行規則16条の4の3の改正により、水防法に基づく水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が義務化された。本条本体ではなく委任先省令での追加
- 5.令和3年(2021年)デジタル社会形成整備法・令和4年(2022年)5月18日施行 改正:書面への「記名押印」から押印を廃止して「記名」のみとし、相手方の承諾を条件に電磁的方法による提供を可能とする規定(8項・9項)が設けられた
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