第二十二条の二第六項若しくは第七項、第三十五条第四項又は第七十五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
要点宅地建物取引業法 86 条は、宅地建物取引士証の返納・提出・提示義務に違反した者に十万円以下の過料を科す。過料は刑罰ではなく秩序罰で、前科はつかない。
Q · 宅建士証を返し忘れただけで、本当に十万円取られるんですか?
前科はつきません。過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰です。
宅地建物取引業法 86 条は、宅地建物取引士証の返納義務(22 条の 2 第 6 項)、事務禁止処分に伴う提出義務(同第 7 項)、重要事項説明時の提示義務(35 条 4 項)等の違反に対し、十万円以下の過料を定めています。「以下」であるため必ず十万円ではなく、裁判所が事情に応じて決定します。過料は刑罰ではないため前科はつきませんが、義務を怠った事実は監督官庁の記録に残り、68 条の事務の禁止処分や登録の消除を判断する際の材料になります。金額よりも記録のほうが重い、というのが実務感覚です。
十万円以下の過料。金額だけを見れば軽い。だが86条が拾い上げているのは金額ではなく、「資格の外形を管理できない人物である」という記録のほうだ。条文が並べる違反類型のうち三つは、宅地建物取引士証にまつわる手続である。登録が消除されたり証が失効したのに返納しない(22条の2第6項)、事務禁止処分を受けたのに提出しない(同第7項)、重要事項説明の際に提示しない(35条4項)。ここで決定的なのは、過料が刑罰ではないという一点だ。罰金でも科料でもないため前科はつかず、検察官が起訴するのでもない。非訟事件手続法に従い、裁判所が決定で科す。つまり、あなたが頭に描いている刑事弁護の作法は、この場面ではほとんど使えない。争い方も、履行のタイミングの意味も、まるで別の世界にある。
宅地建物取引業法 86 条は、宅地建物取引士証の返納義務・提出義務・提示義務および同法 75 条の規定に違反した者に対し、十万円以下の過料を科す規定である。過料は刑法 9 条の刑の種類に含まれない行政上の秩序罰であり、前科を生じさせず、非訟事件手続法に基づき裁判所が決定で科す。
十万円以下です。「以下」なので必ず十万円ではなく、違反の内容や遅れた期間などの事情に応じて裁判所が決定で金額を定めます。刑罰ではないため罰金・科料とは別枠の制裁です。
条文上は「速やかに」であり、日数の定めはありません。登録の消除や取引士証の失効という原因が生じた時点で義務が発生し、遅れた期間の長さがそのまま監督処分での評価対象になります。
取引士証の交付を受けた都道府県知事に、速やかに提出します(22 条の 2 第 7 項)。返納と違い、処分期間が満了すれば返還される性質のものです。
登録している都道府県知事に再交付を申請します。紛失したままでは重要事項説明時の提示義務(35 条 4 項)を履行できず、説明を行えば 86 条の過料の対象になり得ます。
確定した過料の裁判は検察官の命令によって執行され、財産に対する強制執行が可能です。刑事手続ではないため労役場留置はありませんが、支払わずに済むものではありません。
事実上立て替えることはできても、義務の名宛人は宅地建物取引士個人です。返納・提出・提示はいずれも個人に課された行為であり、勤務先が履行を肩代わりすることはできません。
登録移転により従前の取引士証は効力を失うため、返納の対象になります。新しい証を受け取った安心感で返し忘れが起きやすく、数年後の監督処分の場面で指摘されることがあります。
過料が直ちに登録消除を招くわけではありません。ただし義務違反の事実は都道府県知事の手元に残り、68 条の事務の禁止処分や登録の消除を検討する際の資料として参照されます。
なりません。過料は行政上の秩序罰で、刑法9条が定める刑の種類に含まれない。罰金や科料と違って検察官が起訴するのでもなく、非訟事件手続法に基づいて裁判所が決定で科す。前科調書にも載らない。業界裏話ヒント:実務で怖いのは過料そのものではなく、68条の事務禁止処分や登録消除を検討するときに「手続を守らない人」の記録が参照されることだ。同じ違反でも、返納が一週間遅れた人と一年放置した人では次の扱いが変わる
返納は22条の2第6項、登録が消除されたり取引士証が効力を失った場合で、証は戻ってこない。提出は同第7項、事務禁止処分を受けた場合で、処分期間が満了すれば返還される。どちらも怠れば86条の過料の対象になる。業界裏話ヒント:事務禁止期間中に証を手元へ残しておくと、うっかり提示した一回が処分違反の証拠として残る。手元に置かないこと自体が身を守る手段になる
説明が当然に無効になるわけではない。35条4項の提示義務違反は86条の過料と、宅地建物取引業者・宅地建物取引士に対する監督処分の対象になり、契約の効力とは別の軌道で処理される。業界裏話ヒント:提示を求めた事実を日付入りで記録しておくと、後に説明内容を争うとき「手続すら守らなかった相手」という文脈が効く。争点は説明内容だが、心証は手続の履行状況でつくられる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制裁の種類 | 86 条:過料(行政上の秩序罰) | — |
| 前科の有無 | 刑法 9 条の刑に含まれないため前科はつかない | — |
| 科す手続 | 非訟事件手続法により裁判所が決定で科す | — |
| 典型的な違反行為 | 取引士証の返納・提出・提示義務の懈怠 | — |
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