宅地建物取引業法 第85条の2
クイックジャンプ
第十七条の十一第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法第85条の2は、日本の宅地建物取引業法に含まれる条文です。
- 宅地建物取引業法第85条の2の条文原文は「第十七条の十一第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各…」で始まります。
- 宅地建物取引業法第85条の2は第八章 罰則に置かれています。
- 宅地建物取引業法の公布日は昭和27年6月10日です。
- 宅地建物取引業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 宅地建物取引業法第85条の2の前の条は宅地建物取引業法第85条です。
- 宅地建物取引業法第85条の2の次の条は宅地建物取引業法第86条です。
- 宅地建物取引業法第85条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第85条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 - 本サイト収録
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第85条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC1000000176/85_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点宅地建物取引業法85条の2は、登録講習機関が財務諸表等を備え置かず、虚偽記載をし、又は正当な理由なく閲覧請求を拒んだ場合に20万円以下の過料を科す。過料は前科のつかない秩序罰である。
Q · 宅建の5問免除講習をやっている会社の決算書、見せてくれなかったらどうなるの?
正当な理由なく拒めば20万円以下の過料の対象になる
宅地建物取引業法17条の11は、登録講習機関に財務諸表等を毎事業年度経過後3月以内に作成して5年間事務所に備え置き、受講しようとする者その他の利害関係人の閲覧・謄写等の請求に応じる義務を課しています。同法85条の2は、備置きを怠った場合、記載すべき事項を記載しない・虚偽記載をした場合、そして正当な理由なく請求を拒んだ場合に、20万円以下の過料を科します。過料は前科のつかない秩序罰ですが、同じ違反は17条の14第2号・第3号により登録取消しや講習業務停止の事由にもなります。
解説
宅建試験の問四十六から五十、いわゆる五問免除。この登録講習に一万数千円から二万円台を払うとき、あなたは相手の経営状態を一切見ないまま申し込んでいる。だが宅地建物取引業法十七条の十一は、登録講習機関に対し、毎事業年度経過後三月以内に財産目録、貸借対照表、損益計算書または収支計算書、事業報告書を作成し、五年間その事務所に備え置くことを義務づけ、さらに「登録講習を受けようとする者その他の利害関係人」に対し、業務時間内であればいつでも閲覧または謄写を請求する権利を与えている。受講生ではなく「受けようとする者」、つまりまだ一円も払っていない申込前のあなたにも請求権がある。八十五条の二は、この備置きを怠り、記載すべき事項を書かず、虚偽を書き、あるいは正当な理由なく請求を拒んだ者に、二十万円以下の過料を科す。過料は刑罰ではないので前科はつかない。しかし同じ違反は十七条の十四第二号、第三号により登録取消しまたは講習業務停止の事由にもなる。二十万円で終わる話ではない。
法的な位置づけ
宅地建物取引業法85条の2は、登録講習機関の財務諸表等に関する備付け義務および閲覧等請求への応諾義務(同法17条の11)の違反に対し、20万円以下の過料を科す規定である。過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法に基づき地方裁判所が科す。同一の違反行為は登録取消し等の行政処分事由にもなる。
よくある質問 AI による整理
Q1過料とは何ですか?
行政上の秩序罰で刑罰ではありません。前科はつかず、刑事裁判ではなく非訟事件手続法により地方裁判所が科します。宅建業法85条の2の20万円以下の過料もこれに当たります。
Q2登録講習機関の財務諸表等はどこで見られますか?
各機関の事務所です。宅建業法17条の11第1項は事務所への備置きを義務づけ、第2項が業務時間内の閲覧・謄写請求権を定めます。ウェブ公開は義務ではありません。
Q3財務諸表等の閲覧請求は誰でもできますか?
「登録講習を受けようとする者その他の利害関係人」です。受講予定者・受講生・修了者・取引先などが典型で、申込前の検討段階でも請求できます。無関係の第三者までは条文上明確ではありません。
Q4財務諸表等の備置きはいつまでですか?
毎事業年度経過後3月以内に作成し、5年間事務所に備え置きます(宅建業法17条の11第1項)。3月決算なら6月末が作成・備置きの期限です。
Q5閲覧を拒まれたらどうすればいい?
拒否理由を書面で求め、記録を残したうえで国土交通省の担当部局へ情報提供します。実際に動くのは過料より17条の14の登録取消し・業務停止です。
Q6過料は前科になりますか?
なりません。過料は秩序罰であり刑罰ではないため、前科として記録されません。ただし同機関の帳簿違反は83条の2の罰金刑で、こちらは前科がつきます。
Q7謄本の交付に費用を請求されるのは違法?
違法ではありません。17条の11第2項ただし書は、同項第2号・第4号の請求について機関が定めた費用の支払いを求めることを認めています。
Q8宅建の5問免除は誰でも受けられますか?
宅地建物取引業に従事し従業者証明書を持つ人が対象です。登録講習を修了すると試験の一部(問46〜50)が免除されます(宅建業法16条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1過料って、罰金と何が違うんですか?
過料は行政上の秩序罰で刑罰ではありません。前科にならず、刑事裁判ではなく非訟事件手続法に基づき地方裁判所が科します。同じ登録講習機関でも、帳簿を備えない場合は八十三条の二で五十万円以下の罰金、つまり前科のつく刑罰です。実務のポイント:八十四条の両罰規定は七十九条から八十三条までが対象で、過料である八十五条の二は入っていません。法人に別途罰金が科される構造ではない代わりに、十七条の十四の登録取消しという行政処分(役所が事業の登録を直接消す決定)が実質的な本丸になります
Q2利害関係人って、どこまでが入るんですか?
十七条の十一第二項は「登録講習を受けようとする者その他の利害関係人」と定めています。受講予定者、受講生、修了者、取引先、講師などが典型で、「受けようとする者」が明文にある以上、申込前の検討段階でも請求できます。無関係の第三者まで含むかは条文上明確でなく、実務上の線引きは分かれています。実務のポイント:請求は法律上口頭でも可能ですが、拒絶されたときに残るのは書面かメールだけです。最初からメールで請求しておけば、断られた事実そのものが証拠になります
Q3実際に過料を科された例なんて、あるんですか?
公表事例は乏しく、現場で先に動くのは十七条の十二の適合命令、十七条の十三の改善命令、そして十七条の十四の登録取消しや業務停止です。過料は監督官庁が独自に取り立てるものではなく、裁判所の非訟手続を経ます。実務のポイント:だから抑止力の実体は二十万円という金額ではなく、十七条の十八第四号により登録取消しや業務停止が官報に公示される点にあります。受講者募集をしている機関にとって、この公示は金額より遥かに重い
間違えやすい点 AI による整理
- 決算書は取引先や出資者が見るものだと思われているが、十七条の十一第二項は「登録講習を受けようとする者」を名指しで請求権者に挙げている。まだ受講申込をしていない検討段階の個人が、閲覧、謄写、書面の謄本や抄本の交付まで請求できる。この構造を知らないまま、料金表だけを比べて申し込んでいる人が大半である
- 「二十万円以下の過料なら安い」と感じた人は、制裁の全体像を半分しか見ていない。同じ違反行為は十七条の十四第二号、第三号により登録の取消しまたは講習業務の停止事由となり、取消しや停止命令は十七条の十八第四号で官報に公示される。飛ぶのは金額ではなく、事業と信用そのものだ
- 「顧問の会計事務所に頼んでいるから大丈夫」という発想は、問いの立て方から外れている。八十五条の二が拾うのは決算書を作ったかどうかではなく、事務所に備え置いていたか、そして請求を正当な理由なく拒まなかったかである。作成済みでも、請求を受けた事務所の担当者が出せない体制であれば、備置義務と開示義務の両面で危うい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる書類・行為 | 85条の2:財務諸表等の備置き・記載・閲覧請求への応諾(17条の11) | 83条の2:帳簿の備付け等の違反 17条の14:登録講習機関の義務違反全般 |
| 制裁の性質 | 20万円以下の過料(行政上の秩序罰、前科なし) | 50万円以下の罰金(刑罰、前科あり) 登録取消し・講習業務の全部または一部停止(行政処分) |
| 手続の主体 | 地方裁判所の非訟手続(非訟事件手続法119条・122条) | 検察官の起訴による刑事手続 国土交通大臣の処分(行政手続法13条の聴聞を経る) |
| 両罰規定の適用 | 適用なし(84条の対象は79条〜83条) | 84条の両罰規定の対象に含まれる 行政処分のため両罰の概念なし |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も行政秩序罰(罰鍰)と刑罰を峻別する体系を持ち、不動産仲介業の監督は主管機関の行政処分が中心。ただし講習機関の財務諸表を受講希望者が閲覧請求できる明文の権利構成は日本ほど明確ではない
韓国は2008年施行の同法で過怠料(과태료)の要件・手続を統一的に定める。日本のように非訟事件手続法へ委ねる方式と異なり、秩序罰の総則法を持つ点が特徴
ドイツは秩序違反(Ordnungswidrigkeit)に対する Bußgeld を行政庁が課し、異議があれば区裁判所が審理する。刑罰と行政制裁の分離を総則法で徹底している点で日本の過料と機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは登録講習機関の管理部門にいる。三月決算なので六月三十日が備置きの期限だが、監査対応が長引いて事業報告書がまだ整っていない。残り九日。ここで「後から差し替えればいい」と判断すると、二十万円以下の過料だけでなく、十七条の十四第二号による登録取消しの審査入口に自分から立つことになる
- もし窓口で「財務諸表ですか、そういうものは公開していません」と言われたら、どうなる? その一言が正当な理由のない拒絶であれば、八十五条の二の過料と十七条の十四第三号の登録取消し事由の両方に触れる。あなたはそこで客ではなく、法律上の請求権者として立っている
- 申込前に一社だけ財務諸表等を見せてもらった。直近期が赤字で、事業報告書に講習の縮小方針が書かれていた。申込先を変えた。
- 同僚が五問免除の講習を、料金と日程だけ並べて選んでいる。あなたは「その機関の直近の決算書、申し込む前に閲覧請求できるよ」と言える。価格が横並びなら、財務が安定している方を選ぶ理由がその場で一つ増える
- 利害関係人として謄本の交付を求めたら、費用を請求された。これは拒絶ではない。十七条の十一第二項ただし書は、第二号と第四号の請求について機関が定めた費用の支払いを求めることを認めている。閲覧そのもの(第一号、第三号)に費用を条件にできるかは別問題で、ここを混同すると引き下がる必要のない場面で引き下がる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 請求はメールなど記録の残る形で、十七条の十一第二項の第何号の請求か(閲覧か、謄本の交付か、電磁的記録の表示か)を特定して出す2. 拒まれたら、拒否の理由を書面で示すよう求める。正当な理由の中身が返ってこなければ、拒絶の事実がそのまま固まる3. その記録を添えて国土交通省の担当部局に情報提供する。現実に動く可能性が高いのは過料ではなく十七条の十四の登録取消しや業務停止である4. 過料は裁判所が非訟手続で科すもので、あなたが直接申し立てる制度ではない点を最初から織り込んでおく
訴えられた側:1. 事業年度経過後三月以内という作成期限と五年間の備置きから逆算して社内締切を置く。監査の遅れは期限を動かさない2. 窓口担当者に「請求されたら出す」手順を明文化して渡す。担当者が制度を知らなかったことは正当な理由にならない3. 電磁的記録で作成しているなら、国土交通省令で定める方法による表示までを準備しておく(十七条の十一第二項第三号、第四号) 4. すでに欠落があるなら先に是正し、その経緯を記録に残す。効くのは二十万円ではなく、十七条の十四の登録取消しと十七条の十八の官報公示である
時効(請求できる期限):作成期限は毎事業年度経過後三月以内、備置期間は五年間(宅地建物取引業法十七条の十一第一項)。過料は刑罰ではないため公訴時効はない。裁判所が略式で過料の裁判をした場合、告知を受けた日から一週間の不変期間内に異議を申し立てなければ確定する(非訟事件手続法百二十二条第二項。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政法):過料は行政上の秩序罰であり刑罰ではない。したがって前科は生じず、両罰規定や公訴時効の適用もない。開示義務違反のような軽微な行政上の秩序違反には、刑罰よりも過料と行政処分の組合せで対応する方が制度運用に適合するとされる
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める