宅地建物取引業法 第76条(免許の取消し等に伴う取引の結了)
クイックジャンプ
第三条第二項の有効期間が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第十一条第一項第一号若しくは第二号に該当したとき、若しくは第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項の規定により免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であつた者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。
この条文の基本情報
免許の取消し等に伴う取引の結了とは何ですか?
定義免許の取消し等に伴う取引の結了とは、宅地建物取引業法第76条に定められた規定で、「第三条第二項の有効期間が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第十一条第一項第一号若しくは第二号に該当したとき、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 宅地建物取引業法第76条(免許の取消し等に伴う取引の結了)は、日本の宅地建物取引業法に含まれる条文です。
- 宅地建物取引業法第76条の条文原文は「第三条第二項の有効期間が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、又は宅地建物取引業者が第十一条第一項第一号若しくは第二号に該当したとき、…」で始まります。
- 宅地建物取引業法第76条は第七章 雑則に置かれています。
- 宅地建物取引業法の公布日は昭和27年6月10日です。
- 宅地建物取引業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 宅地建物取引業法第76条の前の条は宅地建物取引業法第75条の4です。
- 宅地建物取引業法第76条の次の条は宅地建物取引業法第77条です。
- 宅地建物取引業法第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第76条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 - 本サイト収録
宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC1000000176/76
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点宅地建物取引業法76条は、免許が失効・取消しとなった者とその一般承継人を、締結済み契約の取引を結了する目的の範囲内でなお宅建業者とみなす。範囲外の新規契約は無免許営業となる。
Q · 不動産会社の免許が失効したら、決済前の契約はどうなるの?
消えません。結了目的の範囲で決済まで進められます
宅地建物取引業法76条により、免許が失効・取消しとなった者とその一般承継人は、既に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で、なお宅地建物取引業者とみなされます。引渡し・登記・残代金の受領といった後始末は続けられ、契約が免許失効で無効になることもありません。ただしみなされる以上、35条の重要事項説明義務や監督処分・罰則も同時に及びます。範囲外の新規の媒介・代理・売買を1本でも結べば、12条違反の無免許営業となります。
解説
不動産会社が免許を失った瞬間、決済前の売買契約はどうなるのか。答えは、消えない。宅地建物取引業法76条は、免許の有効期間が満了したとき、廃業や死亡で免許が失効したとき、あるいは66条・67条で取り消されたときでも、その者と一般承継人(相続人や合併後の存続会社)を「取引を結了する目的の範囲内」でなお宅建業者とみなすと定める。分かれ目はここだ。みなされる範囲は、すでに締結した契約の後始末だけ。引渡し、登記、残代金の受領、これらは続けられる。だが新しい媒介契約を1本でも結べば、12条違反の無免許営業になる。そして見落とされがちなのは、みなされる以上、35条の重要事項説明義務も、営業保証金からの弁済も、監督処分も、罰則も、全部そのまま付いてくるという点である。免許証を返納しても、義務だけは残る。
法的な位置づけ
宅地建物取引業法76条は、免許の失効または取消しがあった場合における業法上の地位の存続を定める規定である。免許を失った者およびその一般承継人は、既に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内に限り、なお宅地建物取引業者とみなされ、当該範囲では業法上の義務および監督規定の適用を受ける。
手順
- 1.免許の失効日・取消日を確定する 都道府県または国土交通省の宅地建物取引業者名簿で、免許の有効期間満了日、廃業等の届出日、取消処分日を確認する。死亡・合併の場合は届出を待たず該当時点で当然に失効している点を押さえる
- 2.締結済み契約を全件リスト化し、結了範囲の線を引く 失効日を基準に契約締結日が前か後かで仕分けし、締結済み案件について引渡し・登記・残代金授受など結了に必要な行為だけを「内側」に置く。新規の媒介・代理・売買はすべて「外側」として紙に固定する
- 3.重要事項説明が未了の案件に宅建士を手当てする みなし宅建業者にも35条の重要事項説明義務が及ぶため、宅建士がいない相続人等は宅建士を確保するか、他の宅建業者への委託を検討する。37条書面の交付義務と報酬額の制限も同様に残る
- 4.届出と保証金手続の期限を押さえる 廃業等の届出は事由発生(死亡は知った日)から30日以内に免許権者へ提出する。営業保証金の取戻しは6か月を下らない公告期間の経過後となるため、結了に必要な資金繰りを別途確保しておく
- 5.取引相手側は履行請求と還付ルートを同時に確保する 契約締結が失効より先なら相手は結了義務を負うため、決済期日と履行を書面で求める。履行されず損害が出た場合に備え、営業保証金の還付(27条)または弁済業務保証金の還付(64条の8)を並行して検討する
よくある質問 AI による整理
Q1みなし宅建業者とは何ですか?
免許を失った者やその一般承継人が、既に締結した契約の取引を結了する目的の範囲内に限り、なお宅地建物取引業者として扱われる地位です。宅地建物取引業法76条が根拠で、権限だけでなく義務も残ります。
Q276条の一般承継人とは誰のことですか?
個人業者が死亡した場合の相続人、法人が合併で消滅した場合の存続会社・新設会社を指します。宅建士の資格や免許を自分が持っているかどうかは関係なく、地位だけが自動的に及びます。
Q3取引を結了する目的の範囲とはどこまでですか?
既に締結した契約を履行し終えるために必要な行為、具体的には引渡し、登記手続、残代金の受領・精算などです。新規の媒介契約・代理・売買の締結は範囲外で、行えば無免許営業になります。
Q4免許が失効した後に新規契約を結ぶと違法ですか?
違法です。結了目的の範囲を超えるため12条違反の無免許営業となり、79条2号により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科の対象になります。
Q5みなし宅建業者にも重要事項説明の義務はありますか?
あります。76条でみなされる以上、35条の重要事項説明義務、37条書面の交付義務、報酬額の制限、監督処分や罰則も同じように及びます。宅建士がいなければ確保するか他業者への委託が必要です。
Q6営業保証金の還付はいつまでに申し出ればよいですか?
免許失効等の後、業者が営業保証金を取り戻すには6か月を下らない期間の公告が必要です(30条2項)。取引相手はこの公告期間内に申し出ないと、供託金が業者へ返還され回収源が消えます。
Q7廃業等の届出は何日以内ですか?
11条1項により事由発生から30日以内、死亡の場合は相続人がその事実を知った日から30日以内です。届出前でも死亡・合併では免許は当然に失効しています。
Q8取引相手の免許が有効かどうか確認する方法は?
免許権者である都道府県または国土交通省の地方整備局が備える宅地建物取引業者名簿で確認できます。名簿は誰でも閲覧でき、免許年月日・有効期間・処分歴が記載されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1父が不動産屋をやっていて亡くなりました。決済前の契約が残っていますが、私は宅建士じゃありません。どうすればいいですか?
76条で、あなたは一般承継人として結了目的の範囲内でなお宅建業者とみなされ、決済を進められる。死亡の場合、免許は11条1項1号に該当した時点で当然失効しており、届出(知った日から30日以内)を待たない。重要事項説明が未了なら宅建士が必要になる。実務のポイント:相続放棄を検討中なら、決済への関与が法定単純承認(民法921条)と評価されるおそれがある。放棄の判断を先に済ませること
Q2免許の更新を出し忘れて期限が切れました。営業は全部止まりますか?
止まるのは新規だけ。締結済み契約の結了は76条で続けられる。ただし新規の媒介・代理・売買は12条違反、79条2号で3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)。更新申請は満了の90日前から30日前まで(施行規則3条)。実務のポイント:期限切れ後は新規免許申請になり、免許証番号の括弧内の更新回数が (1) に戻る。この数字は取引先や金融機関に営業年数の目安として見られることがある
Q3取引中の不動産会社が免許取消になったと聞きました。契約は白紙になりますか?
なりません。76条が扱うのは業法上の地位で、契約の私法上の効力は別問題。相手は結了目的の範囲でなお宅建業者とみなされ、履行義務を負う。損害が出れば営業保証金(27条、相手方が宅建業者である場合を除く)または弁済業務保証金(64条の8)から弁済を受けられる。実務のポイント:取戻し公告(30条2項、6か月以上)の期間内に申し出ないと供託金は業者に返還される。官報を見逃すと回収源が消える
Q4会社を合併したら、相手の宅建業免許も一緒についてきますか?
きません。宅建業免許は承継されず、消滅会社の免許は11条1項2号に該当した時点で失効する。存続会社が得るのは76条のみなし地位、つまり既存契約の結了範囲だけで、新規契約は自社の免許で行う。実務のポイント:合併期日を決めるとき、存続会社側の免許と専任の宅地建物取引士の配置(31条の3)を先に固めないと、統合初日から新規契約が打てない空白ができる
間違えやすい点 AI による整理
- 「免許が切れたら契約はどうなるのか」という問いの立て方自体がずれている。76条が決めているのは契約の私法上の効力ではなく、その者の業法上の地位だ。契約は免許失効で無効になったりしない。ここを混同して「相手の免許が消えたから契約も無効、白紙解除だ」と主張すると、逆に自分が債務不履行の側に回る
- みなし宅建業者になること自体は知られているが、その重さが理解されていない。みなされる以上、35条の重要事項説明義務、37条書面の交付義務、報酬額の制限、違反時の監督処分と罰則、これらが全部そのまま乗る。宅建士を1人も抱えていない相続人が、重要事項説明の義務主体になっている状態が現実に発生する
- 免許は「届出をして初めて失効する」と思われがちだが、条文は非対称に作られている。破産・解散・廃業(11条1項3号から5号)は届出によって失効するのに対し、死亡と合併消滅(同1号・2号)は該当した時点で当然に失効する。つまり相続人は、届出書を書く前からすでに「みなし宅建業者」として動いている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 76条:免許失効後も残る業法上の地位(みなし宅建業者) | 12条:免許を受けない者の宅建業の禁止 11条:廃業等の届出と免許失効の要件 |
| 適用の起点 | 有効期間満了、11条1項1号・2号該当、届出による失効、免許取消し | 免許を持たない状態での業としての取引 死亡・合併・破産・解散・廃業の事由発生 |
| 効果 | 締結済み契約の結了範囲内で権限も義務も存続 | 行為自体が禁止され、締結は無免許営業 1号・2号は当然失効、3号〜5号は届出により失効 |
| 違反・不履行時 | みなし業者として監督処分・罰則・重要事項説明義務が及ぶ | 79条2号(3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、併科あり) 30日以内の届出を怠れば監督処分・過料の対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は宅建業に相当する経紀業を許可制とするが、免許失効後の結了擬制を業法で正面から置くのではなく、解散会社を清算範囲内でなお存続とみなす会社法の一般法理で処理する構造に近い
韓国も開業公認仲介士を登録制とし、登録失効・取消後の係属業務の処理が問題となる。日本の76条のように一般承継人まで明示的にみなす条文構造かどうかは条文単位の確認が必要
ドイツは不動産仲介を営業法上の許可制とする。許可失効後の継続は営業法の一般規律と民事上の契約義務で処理され、業法内に結了擬制を置く日本型とは条文設計が異なる
米国は州ごとに免許制度が分かれ、免許失効時の係属取引について州の免許委員会規則が個別に扱う。相続人の地位についても州法により差が大きい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が個人で不動産仲介をやっていて急死した。机の上には決済まで2週間の売買契約書が3件。あなたは宅建士でも業者でもない。それでも76条により、あなたは一般承継人として結了目的の範囲でなお宅建業者とみなされる。投げ出せば買主から債務不履行を問われ、勝手に新規の媒介を受ければ無免許営業。死亡を知った日から30日以内に11条1項1号の届出も要る
- 更新申請を出し忘れて免許の有効期間が満了してしまったら、来週の決済はどうなる? 結了目的の範囲だから、その決済は進められる。止まるのは新規の媒介・代理・売買だけ。ただし更新の道は閉じ、次は新規免許申請になる
- 決済3日前、仲介業者が免許取消処分を受けたと知らされた。契約は白紙にならない。相手は結了義務を負い続け、損害が出れば供託された営業保証金が回収源になる
- 免許取消処分を受けた業者の側に立ってみる。取引先からは「前と同じように新しい物件も頼みたい」と連絡が来る。ここで受ければ79条2号の無免許営業罪。結了の内と外の線引きを紙に固定していないと、善意の一件で前科がつく
- 宅建業者 A 社を吸収合併して消滅させた。存続会社 B 社が免許を持っていても、A 社の免許は承継されない。B 社が76条で得るのは A 社の既存契約を結了させる地位だけで、新規契約は B 社自身の免許と専任宅建士の配置で回すことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の免許失効・取消の日付を、都道府県または国土交通省の宅地建物取引業者名簿(誰でも閲覧可)で確認し、契約締結日との前後を確定する2. 締結が先なら76条で相手は結了義務を負う。決済期日と履行を書面で求める3. 履行されず損害が出たら、営業保証金の還付(27条)または保証協会の弁済業務保証金の還付(64条の8、協会の認証が必要)を検討する4. 官報の取戻し公告(30条2項)を見つけたら、その期間内に必ず申し出る
訴えられた側:1. 失効・取消の日を基準に締結済み契約を全件リスト化し、引渡し・登記・残代金授受など結了に必要な行為だけを内側に置く2. 新規の媒介・代理・売買は一切結ばない。1本で12条違反の無免許営業(79条2号、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、併科あり) 3. 重要事項説明が未了の案件は宅建士を確保するか、他業者への委託を検討4. 廃業等の届出は30日以内(11条1項)、営業保証金の取戻しは公告期間の経過後
時効(請求できる期限):76条自体に期間の定めはなく、契約の結了に必要な限度で地位が続く。関連期限は、廃業等の届出が事由発生(死亡は知った日)から30日以内(11条1項)、免許の更新申請が有効期間満了の日の90日前から30日前まで(宅地建物取引業法施行規則3条)、営業保証金の取戻しが6か月を下らない公告期間の経過後(30条2項)
学説
通説:76条のみなしは既に締結した契約の履行に必要な行為に限定して解され、新規の媒介・代理・売買の締結は結了目的の範囲外となる。権限のみならず業法上の義務・監督規定も同時に存続すると理解されている
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める