要点厚生年金保険法 43 条の 2 は、過去の標準報酬を現在価値に換算する再評価率を、毎年度、名目手取り賃金変動率を基準として改定し、当該年度の四月以降の保険給付に適用すると定める。
Q · 年金の額って、結局どうやって決まっているんですか?
納めた保険料の総額ではなく、毎年改定される再評価率で決まります
厚生年金保険法 43 条の 2 により、老齢厚生年金の計算に使う再評価率は毎年度改定されます。基準は物価ではなく名目手取り賃金変動率で、物価変動率に実質賃金変動率の三乗根と可処分所得割合変化率を乗じて算出されます。可処分所得割合変化率は社会保険料負担が重くなれば下がるため、現役世代の手取りが削られた年は過去の標準報酬の評価も一緒に下がります。具体的な率は政令で定められ、当該年度の四月以降の保険給付に適用されます。
ねんきん定期便に並ぶ見込額は、あなたが納めた保険料の合計ではない。昭和や平成の給料を「今のお金」に換算し直した数字である。その換算レートが再評価率であり、本条はそのレートを毎年書き換える手続を定めている。ここで多くの人が取り違える。基準は物価ではなく名目手取り賃金変動率、つまり現役世代の手取り賃金の動きだ。物価変動率に、実質賃金変動率の三年分(条文が言う「三乗根」)と可処分所得割合変化率を掛け合わせる。可処分所得割合変化率とは、社会保険料の負担が重くなれば下がる率のこと。現役の手取りが保険料で削られた年は、あなたの昭和の給料の評価も一緒に削られる。しかも具体的な数値は政令に委ねられ(4項)、毎年1月下旬に公表され、4月分から適用される。年金額が動く理由は、あなたの人生ではなくこの算式の中にある。
厚生年金保険法 43 条の 2 は再評価率の改定を定める規定であり、老齢厚生年金の額の算定において過去の標準報酬を現在価値に換算する率を、毎年度、名目手取り賃金変動率を基準として改定する旨を規定する。名目手取り賃金変動率は、物価変動率に実質賃金変動率の三乗根と可処分所得割合変化率を乗じて得られ、改定は当該年度の四月以降の保険給付に適用される。
過去に受け取った給与(標準報酬)を現在の価値に換算するための率です。昭和の給料には高い率、直近の記録にはほぼ 1.0 前後が掛かり、年金額の算定基礎そのものを動かします。
物価変動率に、実質賃金変動率の三乗根と可処分所得割合変化率を乗じた率です(43 条の 2 第 1 項)。現役世代の税・社会保険料を差し引いた後の手取りの動きを表します。
賃金のうち手元に残る割合の変化を示す率です。社会保険料率が引き上げられて現役世代の手取り割合が下がると、この率も下がり、再評価率を押し下げる方向に働きます。
翌年度の改定率は例年 1 月下旬に厚生労働省から公表され、条文どおり当該年度の四月分(実際の振込は 6 月支給分)から適用されます。
調べられます。具体的な率は本条 4 項の委任を受けた政令で全国一律に定められ、e-Gov 法令検索と厚生労働省の年金額改定に関する公表資料で年度別に確認できます。
おおむね 68 歳到達年度が境目です。新規裁定者は名目手取り賃金変動率、68 歳到達年度以後の既裁定者は物価変動率が基準となり、根拠条文も 43 条の 3 に移ります。
ねんきんネットで全加入期間の標準報酬月額を月単位で確認できます。空白月や不自然に低い月があれば、年金事務所で計算の内訳の開示を求めるのが最初の一手です。
関係します。分割で移転するのは金額ではなく標準報酬の記録であり、その記録に毎年この条文の再評価率が掛かります。合意分割の請求期限は原則として離婚成立の翌日から 2 年です。
そのままとは限らない。定期便は作成時点の再評価率で試算した数字にすぎず、本条により毎年度レートが書き換わる(43条の2)。50歳以上の欄も「今の条件が60歳まで続く前提」の仮定計算である。業界裏話ヒント:50歳未満の定期便はこれまでの加入実績分だけで将来分をまったく含まない。この違いを知らずに老後資金を計算し直し、必要以上に落ち込む人が毎年大量に出る
基準が物価ではなく名目手取り賃金変動率だからだ(本条1項)。そこに社会保険料負担を反映する可処分所得割合変化率が掛かり、さらにマクロ経済スライドの調整率が差し引かれる(43条の4)。業界裏話ヒント:前年に引ききれなかった調整分は翌年度以降に繰り越される。物価が大きく上がった年ほど繰越分がまとめて回収され、増額幅が体感より薄くなる
社会保険審査官への審査請求で、処分を知った日の翌日から3か月以内が期限(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条)。ただし再評価率そのものは政令で全国一律に決まるため、率の高低を争っても通らない。業界裏話ヒント:勝ち筋は標準報酬の記録誤りの方にある。しかも年金記録の訂正請求は審査請求とは別ルートで期限がないので、3か月を過ぎても記録の是正だけは請求できる
給付水準を調整する期間(調整期間)は政府が定め、おおむね5年ごとの財政検証で見直される(厚生年金保険法2条の4、34条)。終期は法律に固定されておらず、検証結果次第で伸びる。業界裏話ヒント:財政検証の資料には所得代替率の将来見通しが複数シナリオで示されている。繰下げ受給を何歳まで待つかを決めるなら、雑誌の特集より、この公表資料の悲観シナリオを読む方が判断材料として正確だ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 改定の基準指標 | 43 条の 2:名目手取り賃金変動率(物価変動率 × 実質賃金変動率の三乗根 × 可処分所得割合変化率) | — |
| 対象となる受給者 | 新規裁定者(受給開始直後の層)の再評価率 | — |
| 動く方向のクセ | 現役世代の手取りが社会保険料負担で減れば下がる | — |
| 率の決まり方 | 本条 4 項の委任により政令で全国一律に決定 | — |
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