厚生年金保険法 第78条の20(標準報酬改定請求を行う場合の特例)
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- 特定被保険者又は被扶養配偶者が、離婚等(第七十八条の二第一項に規定する離婚等をいう。)をした場合において、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定が行われていない特定期間の全部又は一部を対象期間として第七十八条の二第一項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求をしたときは、当該請求をしたときに、第七十八条の十四第一項の請求があつたものとみなす。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金の受給権者であるときは、この限りでない。
- 2.前項の場合において、第七十八条の三第一項の対象期間標準報酬総額の基礎となる当該特定期間に係る被保険者期間の標準報酬(標準報酬月額について、第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)並びに第七十八条の六第一項及び第二項の当該特定期間に係る被保険者期間の改定前の標準報酬(標準報酬月額について、第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)については、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による改定及び決定後の標準報酬とする。
- 3.第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定が行われていない特定期間の全部又は一部を対象期間として第七十八条の四第一項の請求があつた場合において、同項の請求があつた日に特定被保険者が障害厚生年金の受給権を有しないときは、同条第二項に規定する情報は、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により当該対象期間中の特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定が行われたとみなして算定したものとする。
- 4.前項の規定は、第七十八条の五の求めがあつた場合に準用する。
- 5.第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月の標準報酬月額について第七十八条の十四第二項の規定により改定された場合における第七十八条の三第一項及び第七十八条の六第一項の規定の適用については、第七十八条の三第一項中「標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)」とあるのは「標準報酬月額」と、第七十八条の六第一項第一号中「標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額。次号において同じ。)」とあるのは「標準報酬月額」とする。
この条文の基本情報
標準報酬改定請求を行う場合の特例とは何ですか?
定義標準報酬改定請求を行う場合の特例とは、厚生年金保険法第78条の20に定められた規定で、「特定被保険者又は被扶養配偶者が、離婚等(第七十八条の二第一項に規定する離婚等をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の20(標準報酬改定請求を行う場合の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の20の条文原文は「特定被保険者又は被扶養配偶者が、離婚等(第七十八条の二第一項に規定する離婚等をいう。」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の20は第三章の三に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の20の前の条は厚生年金保険法第78条の19です。
- 厚生年金保険法第78条の20の次の条は厚生年金保険法第78条の21です。
- 厚生年金保険法第78条の20には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の20 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の20(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の20は、合意分割を請求すると未処理の特定期間について3号分割の請求もあったものとみなす規定。相手が障害厚生年金の受給権者の場合は除かれる。
Q · 離婚するとき、合意分割と3号分割は両方申し込まないといけないんですか?
合意分割を出せば3号分割も自動で付く。ただし相手が障害年金なら別
厚生年金保険法78条の20第1項により、3号分割(78条の14)の改定が未了の特定期間を対象期間に含めて合意分割(78条の2)を請求すると、その時点で3号分割の請求もあったものとみなされます。窓口で2枚書く必要はありません。ただし請求日に相手方(特定被保険者)が障害厚生年金の受給権者であるときは、このみなしは働かず、3号分割は別途請求が必要です。また第2項により、按分割合の下限は3号分割後の標準報酬を基礎に計算されます。
解説
離婚の年金分割には二本のレールが並んで走っている。相手の合意か裁判所の決定が要る合意分割(78条の2)と、平成20年(2008年)4月以降に配偶者が第3号被保険者だった期間を問答無用で2分の1にする3号分割(78条の14)である。この条文が決めているのは、その二本の連結方法だ。あなたが合意分割を請求すれば、まだ処理されていない特定期間について3号分割の請求も同時にあったものとみなされる。窓口で二枚書く必要はない。だが同時に計算の順序も固定される。3号分割を済ませた後の標準報酬を土台にして、合意分割の按分割合の下限が決まる(第2項)。離婚協議書に書いた割合がその下限を下回っていれば、請求は受理されない。そして例外が一つ。請求日に相手が障害厚生年金の受給権者だと、この自動連結はただし書で外れる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の20は、離婚時の年金分割における合意分割と3号分割の接続を定める規定である。3号分割による改定が未了の特定期間を対象期間に含む合意分割の請求があったときは、3号分割の請求もあったものとみなし、按分割合の基礎となる標準報酬は3号分割後の数値によるものとする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.離婚前に情報提供請求で数字を確保する 年金事務所に年金分割のための情報提供請求(78条の4)を出す。離婚前でも一人で請求できる。返ってくる情報通知書には対象期間標準報酬総額と按分割合の範囲が書かれており、78条の20第3項によりその下限は3号分割済みを前提に算定されている
- 2.相手が障害厚生年金の受給権者かを確認する 相手方(特定被保険者)が障害厚生年金の受給権者だと、78条の20第1項ただし書により3号分割のみなし請求が発生しない。該当するなら3号分割の請求書を別途用意する。不明なら年金事務所に文書での確認を求める
- 3.下限を上回る按分割合で合意し、書面化する 按分割合は78条の3により下限を超え2分の1以下でしか定められない。情報通知書の下限を上回る数値を協議書に書き、公正証書または調停調書・審判書として書面化する。合意が整わなければ按分割合を定める審判を申し立てる
- 4.離婚成立後、標準報酬改定請求を年金事務所に出す 離婚等をした日の翌日から2年以内に、標準報酬改定請求書を年金事務所へ提出する。この一枚で、未処理の特定期間については3号分割の請求もあったものとみなされる(78条の20第1項)
- 5.標準報酬改定通知書で反映結果を検算する 後日届く標準報酬改定通知書で、特定期間が2分の1に改定されているか、合意分割の按分割合が反映されているかを確認する。想定と異なる場合は速やかに年金事務所へ照会する
よくある質問 AI による整理
Q1年金分割の請求期限はいつまでですか?
原則として離婚等をした日の翌日から2年です。2年内に按分割合を定める審判等を申し立てていれば確定日の翌日から1か月以内など例外があります。起算点は離婚届の受理日の翌日で、別居開始日ではありません。
Q23号分割とは何ですか?
平成20年(2008年)4月以後に配偶者の扶養に入り第3号被保険者だった期間について、相手方の合意なく標準報酬を2分の1ずつに改定する制度です(78条の14)。合意分割と違い按分割合の交渉は不要です。
Q3相手が障害厚生年金をもらっていると年金分割はどうなりますか?
78条の20第1項ただし書により、3号分割のみなし請求が発生しません。合意分割の請求書を出しても3号期間は動かないため、3号分割を別途請求する必要があります。窓口で相手の受給状況を必ず確認してください。
Q4年金分割は離婚前に手続きできますか?
標準報酬の改定請求自体は離婚成立後ですが、年金分割のための情報提供請求(78条の4)は離婚前に一人でもできます。78条の20第3項により、その通知書の数字は3号分割済みを前提に算定されます。
Q5年金分割の按分割合はどうやって決めるのですか?
当事者の合意、それが整わなければ家庭裁判所の審判で定めます。範囲は78条の3により下限を超え2分の1以下です。下限は情報通知書に記載され、3号分割を反映した数値になっています。
Q6年金分割をすると年金はいくら増えますか?
動くのは受給額そのものではなく婚姻期間中の標準報酬の記録です。増減額は対象期間の報酬額と期間の長さで決まるため、情報通知書の対象期間標準報酬総額を見ないと試算できません。
Q7扶養に入っていた期間が数か月でも年金分割できますか?
できます。転職の谷間などで数か月だけ第3号被保険者だった期間も特定期間に当たり、3号分割の対象です。78条の20第1項のみなし請求により、合意分割の請求と同時に処理されます。
Q8年金分割の手続きに必要な書類は何ですか?
標準報酬改定請求書、婚姻期間を確認できる戸籍謄本、双方の基礎年金番号が分かる書類、按分割合を定めた公正証書または審判書の謄本などです。詳細は年金事務所で事前確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1合意分割と3号分割、両方申し込まないとダメなんですか?
合意分割(78条の2)を請求すれば、まだ処理されていない特定期間について3号分割(78条の14)の請求もあったものとみなされます(78条の20第1項)。ただし請求日に相手が障害厚生年金の受給権者だと、このみなしは働きません。実務のポイント:窓口では請求書一枚で足りると案内されがちですが、相手の障害年金の有無はその場で確認してもらえないことがある。不明なら3号分割の請求も別途出しておく方が安全です。
Q2情報通知書に書いてある按分割合の下限って、何の数字なんですか?
あなた(第2号改定者)の対象期間標準報酬総額を二人の合計で割った割合で、按分割合はこれを超え2分の1以下でしか定められません(78条の3第1項)。78条の20第3項により、この数字は3号分割を済ませた前提で計算されています。実務のポイント:だから下限が想像より高く出る。調停で相手が「下限ぎりぎりで手を打とう」と言ってきたら、その下限には既にあなたの3号分割の取り分が入っており、上乗せは実質ほぼゼロです。
間違えやすい点 AI による整理
- 3号分割が自動で付いてくることは知っていても、その自動が計算の順序まで固定することを知る人は少ない。3号分割後の数字で按分割合の下限が上がるため、当事者が話し合いで決めた割合が下限割れし、請求そのものが受理されないという事態が現実に起きる。
- 「年金の半分をもらえますか」という問いの立て方そのものがずれている。動くのは受給額ではなく婚姻期間中の標準報酬の記録であり、しかも合意分割の対象期間と3号分割の特定期間は範囲が違う。どちらの期間の話をしているかを切り分けないと、答えは永久に出ない。
- みなし請求があるから何もしなくてよいと思われがちだが、みなされるのは合意分割を請求したときだけである。相手が障害厚生年金の受給権者ならただし書で外れ、3号分割は別途請求しなければ動かない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 78条の20:合意分割と3号分割の連結・計算順序を定める | 78条の2:合意分割そのものの請求根拠 78条の14:3号分割そのものの請求根拠 |
| 相手の同意 | みなし請求のため追加の同意は不要 | 合意または家庭裁判所の審判が必要 不要(単独請求で2分の1) |
| 対象となる期間 | 3号分割未処理の特定期間を含む対象期間 | 婚姻期間全体(対象期間) 平成20年4月以後の第3号被保険者期間(特定期間) |
| 障害厚生年金受給権者がいる場合 | 第1項ただし書でみなし請求が外れる | 合意分割の請求自体は可能 78条の14第1項ただし書により別途の制約がある |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本のような公的年金記録の分割制度は一般化しておらず、原則は財産分与(剰余財産分配)の枠内で退職給付を評価する。公教人員については個別法で離婚配偶者の分配請求が制度化されている
韓国は婚姻期間5年以上などの要件を満たす離婚配偶者に分割年金の受給権を認める。日本のように標準報酬記録を改定するのではなく、受給権レベルで分割する構成をとる
ドイツは離婚時に家庭裁判所が職権で年金調整(Versorgungsausgleich)を行うのが原則で、当事者の請求を待たない。日本の請求主義・2年の期限とは出発点が異なる
米国は企業年金をQDROという裁判所命令で分割し、公的な社会保障は婚姻10年以上の元配偶者給付として別枠で処理する。制度が二層に分かれる点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚届を出してから1年10か月、公正証書に按分割合0.4と書いたまま年金事務所に足を運んでいなかったとしたら? 3号分割を先に反映した下限が0.42まで上がっていれば、その公正証書は使えない紙になる。按分割合を定める審判を申し立て直す時間は、もうほとんど残っていない。
- あなたが分割される側の特定被保険者だとする。合意分割の話だけ付いたつもりでいたら、3号分割の請求も同時にあったものとみなされる。2008年4月以降の3号期間は、その一枚の請求書で自動的に半分動く。
- 元配偶者がうつ病で障害厚生年金を受けている。合意分割を請求しても第1項ただし書が働き、3号分割のみなし請求は発生しない。窓口が説明しなければ気付かないまま2年が過ぎ、3号期間の分割だけが取り残される。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚前でも単独でできる情報提供請求(78条の4)を先に出し、対象期間標準報酬総額と按分割合の範囲を紙で確保する。2. その下限は3号分割を反映済みだと理解したうえで協議に入り、協議書には下限を上回る割合を書く。3. 相手が障害厚生年金の受給権者かを確認し、該当するなら3号分割の請求書を別途用意する。4. 離婚成立後は合意分割の請求を最優先で処理し、2年の期限から逆算して行動する。
訴えられた側:1. 合意分割の請求書に応じた時点で、3号分割の請求もあったものとみなされることを前提に手取りを再計算する。2. 障害厚生年金の受給権があるなら、第1項ただし書と78条の14第1項ただし書の適用関係を年金事務所に文書で確認する。3. 按分割合は下限を超え2分の1以下でしか定められない(78条の3)ため、下限に近い水準での合意を交渉の軸に据える。4. 3歳未満の子の養育特例(26条)の適用月がある場合、第5項の読替えで計算基礎が変わる点を試算に織り込む。
時効(請求できる期限):離婚等をした日の翌日から起算して2年(厚生年金保険法78条の2第1項ただし書、78条の14第1項ただし書および厚生年金保険法施行令)。2年内に按分割合を定める審判等を申し立てていれば審判確定日の翌日から1か月以内、当事者の一方が死亡した場合は死亡日から1か月以内に請求できる例外がある(最新の改正状況をご確認ください)。起算点は離婚届の受理日の翌日であり、別居を始めた日ではない。
学説
実務運用上の理解:78条の20は制度不知による3号分割の取りこぼしを防ぐみなし規定であり、当事者の請求意思を擬制する。他方で障害厚生年金受給権者を除外するただし書は、既に給付を受けている者の計算基礎を本人の関与なく削らないための調整と理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正 被扶養配偶者である期間についての特例(3号分割)を定める章とともに新設され、平成20年(2008年)4月1日施行。合意分割と3号分割の請求および計算の接続ルールを置いた。その後の被用者年金一元化等に伴う修正の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:被扶養配偶者である期間についての特例(3号分割)を定める章とともに新設。合意分割と3号分割の請求および計算の接続ルールを置いた
- 2.平成20年(2008年) 改正:3号分割制度とともに4月1日施行。特定期間の起算が2008年4月以後に限られる根拠となった。その後の被用者年金一元化等に伴う修正の有無は要検証
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