要点厚生年金保険法26条は、3歳未満の子を養育する被保険者が申出をすれば、時短で下がった標準報酬月額を下がる前の額とみなして年金額を計算する特例である。
Q · 時短勤務で給料が下がったら、将来の厚生年金も減ってしまうのですか?
申出をすれば年金額は下がる前の標準報酬月額で計算されます
厚生年金保険法26条により、3歳に満たない子を養育する被保険者が実施機関に申出をすると、標準報酬月額が基準月(子を養育することとなった日の属する月の前月)を下回る月について、従前標準報酬月額を年金額計算の基礎とみなします。保険料は下がった実額のままで、年金だけ下がる前の水準で計算されます。ただし自動適用ではなく本人の申出が起点であり、遡及できるのは申出月の前月までの2年間に限られます。
育休から復帰した直後、あなたは保育園のお迎えのために時短勤務を選ぶ。給料は月 8 万円下がる。仕方ない、今は子育て優先だと納得する。だがその瞬間、あなたは知らないうちにもう一つの損失を抱え込んでいる。厚生年金の受給額は「標準報酬月額」の平均で決まるため、時短で下がった給料は、40 年後の年金を一生削り続ける。厚生年金保険法 26 条は、その損失をゼロにする条文である。3 歳未満の子を養育している間、標準報酬月額が「子を養育することとなった日の前月」の水準を下回っても、年金額の計算上は下がる前の高い額とみなす。保険料は下がった実額で払い、年金は下がる前の額で計算される。ここで決定的なのは、この特例は自動では適用されないという一点だ。申出をしなければ、何も起きない。会社の総務が知らなければ、誰もあなたに教えない。しかも遡れるのは申出月の前月から 2 年間だけである。
厚生年金保険法26条は、養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置を定める規定である。3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者等が実施機関に申出をしたときは、標準報酬月額が基準月の標準報酬月額を下回る月について、従前標準報酬月額を同法43条1項の平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。保険料の算定基礎は実際の標準報酬月額のままである。
3歳未満の子を養育する被保険者の標準報酬月額が下がった場合、年金額の計算だけは下がる前の従前標準報酬月額とみなす厚生年金保険法26条の制度です。保険料は下がった実額のままです。
被保険者は勤務先の事業所の事業主を経由して実施機関(日本年金機構)に提出します。すでに退職している場合は「被保険者であつた者」として本人が年金事務所に直接提出できます。
申出が行われた日の属する月の前月までの2年間に限られます。それ以前の月は対象外となり、書類を出さなかった期間の年金計算上の不利益は回復できません。
子が3歳に達した日の翌日の属する月の前月までが対象期間です。ほかに被保険者資格の喪失、子の死亡、育児休業等の開始、産前産後休業の開始でも終了します。
子と申出者の身分関係を証明する戸籍謄本または戸籍抄本と、同居を証明する住民票の写しが必要です。いずれも市区町村で取得し、申出書に添えて提出します。
ありません。26条は厚生年金保険法の規定であり、健康保険の傷病手当金や出産手当金は下がった標準報酬月額で計算されます。守られるのは厚生年金の給付額だけです。
違います。保険料免除(81条の2)は休業している期間の保険料を免除する制度、26条は復帰後に報酬が下がった実働期間の年金額を守る制度です。守備範囲が重なりません。
みなしの対象は43条1項の平均標準報酬額の計算基礎であるため、同じ計算式を用いる障害厚生年金・遺族厚生年金の額にも作用します。老齢年金だけの制度ではありません。
26 条 1 項はまさにそう設計されている。従前標準報酬月額を 43 条 1 項の平均標準報酬額の計算基礎と「みなす」だけなので、保険料は実際の低い標準報酬月額のままである。差額は制度全体で吸収する政策的な措置だ。業界裏話ヒント:この「みなし」は老齢厚生年金だけでなく障害厚生年金・遺族厚生年金の額にも効く。在職中の不慮の事故で障害を負ったとき、時短中の低い報酬で計算されるか否かが遺族の生活水準を左右する
できる。条文は「三歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者」としか書いておらず、一世帯一人という制限はない。それぞれが自分の勤務先を経由して申出をする。業界裏話ヒント:住民票で同居が確認できることが実務上の要件になるため、単身赴任中の親が申出をする場合は追加の確認を求められることがある。別居のまま養育している実態を書面でどう示すか、事前に年金事務所へ相談しておくと差し戻しを避けられる
第一子に係る特例は、育児休業等を開始した月をもって終了する(1 項 5 号)。ただし 3 項は、この 5 号や 6 号で終了した場合に、次の子について基準月を判定する際、終了がなかったものとして扱う調整規定を置いている。業界裏話ヒント:この 3 項があるおかげで、連続出産で標準報酬月額が階段状に下がり続けても、第一子の時点の高い水準を保てる場合がある。人事担当者でも見落とす条項なので、第二子復帰時には自分から確認を求めたほうがよい
法律上の制度なので会社ごとの有無はない。事業主は経由するだけであり、拒否する権限もない。それでも動かない場合は、管轄の年金事務所に直接相談すれば経緯を含めて対応してくれる。業界裏話ヒント:第二号・第三号厚生年金被保険者(公務員・私学教職員)については 4 項により事業主経由の文言が外れ、本人が直接申出をする建て付けになっている。制度の窓口は加入する実施機関ごとに違う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 守る対象 | 26条:復帰後に報酬が下がった実働期間の年金額(給付側) | — |
| 発動要件 | 本人の申出(事業主経由)が必須。自動適用されない | — |
| 対象期間 | 子が3歳に達するまで。遡及は申出月の前月から2年 | — |
| 報酬低下との関係 | 23条の随時改定で標準報酬月額が下がったことが前提 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。