厚生年金保険法 第78条の35(離婚等をした場合の特例)
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- 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の二第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬についての同項の規定による請求は、他の期間に係る標準報酬についての当該請求と同時に行わなければならない。
- 2.前項の場合においては、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有する者とみなして第七十八条の二及び第七十八条の三の規定を適用し、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに第七十八条の六及び附則第十七条の十の規定を適用する。この場合において、必要な読替えその他必要な事項は、政令で定める。
この条文の基本情報
離婚等をした場合の特例とは何ですか?
定義離婚等をした場合の特例とは、厚生年金保険法第78条の35に定められた規定で、「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の二第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の35(離婚等をした場合の特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の35の条文原文は「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の二第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の35は第三章の四に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の35の前の条は厚生年金保険法第78条の34です。
- 厚生年金保険法第78条の35の次の条は厚生年金保険法第78条の36です。
- 厚生年金保険法第78条の35には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の35 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の35(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の34は、二以上の種別の期間を持つ者の離婚時年金分割で、一の期間の請求を他の期間の請求と同時に行うことを義務づける。按分割合は合算ベースで決まる。
Q · 元配偶者の共済期間だけを年金分割してもらうことはできますか?
できません。全期間をまとめて同時に請求する必要があります
厚生年金保険法78条の34第1項により、二以上の種別の厚生年金被保険者期間を持つ者については、一の期間に係る標準報酬改定請求は他の期間に係る請求と同時に行う必要があります。共済期間だけを選ぶつまみ食いはできません。同条第2項により全期間を合算して一の期間とみなして按分割合を決めるため、上限2分の1は合算総額に対する2分の1です。ただし実際の標準報酬の改定は各号の期間ごとに行われるため、請求は一本でも結果は実施機関ごとに分かれて届きます。請求期限は離婚等をしたときから2年(78条の2第1項ただし書)です。
解説
役所勤めが10年、その後に民間企業で15年。この経歴の配偶者と離婚するとき、多くの人はまず「共済の方が手厚いらしいから、そちらだけ分けてもらおう」と考える。制度はそれを許していない。第78条の34第1項は、第1号から第4号の厚生年金被保険者期間(順に民間、国家公務員、地方公務員、私学教職員)を複数持つ者について、一の期間に係る請求は他の期間に係る請求と同時に行わなければならないと定める。つまみ食いは不可、全部か無かである。第2項はさらに効く。全期間を合算して一つの期間とみなしたうえで按分割合を決めるため、上限2分の1は合算総額に対する2分の1になる。ところが実際の標準報酬(保険料と年金額の計算のもとになる、給与を段階で区切った値)の改定は、種別ごとに別々に行われる。請求は一本、結果は分かれて届く。この非対称を知らずに協議書へ数字を書き込むと、想定していた受給額とずれる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の34は、二以上の種別の厚生年金被保険者期間を有する者の離婚時年金分割について、請求の同時性と期間の合算を定める適用調整規定である。第1項は一の期間に係る標準報酬改定請求を他の期間に係る請求と同時に行うことを義務づけ、第2項は全期間を合算して一の期間とみなして78条の2および78条の3を適用しつつ、改定自体は各号の期間ごとに行うものとする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の職歴に共済期間があるか確認する 公務員、地方公務員、私学教職員としての在籍歴があれば、第2号から第4号の厚生年金被保険者期間が存在し、78条の34の同時請求ルールが働く。勤務先の名称ではなく、加入していたのが厚年か共済かを確認する
- 2.年金分割のための情報提供請求を行う 年金事務所または共済組合に情報提供請求書を提出し、年金分割のための情報通知書を取得する。合算後の対象期間標準報酬総額と婚姻期間が確定して初めて、按分割合が月額いくらの差になるか計算できる
- 3.全期間まとめて按分割合を合意する 共済分と厚年分を切り分けた合意は請求として成立しない。下限は改定前の持分割合、上限は2分の1の範囲で、全期間を一体として割合を決め、公正証書または公証人の認証を受けた私署証書に記載する
- 4.合意できなければ2年内に調停・審判を申し立てる 協議がまとまらない見込みなら、離婚等から2年が経過する前に家庭裁判所へ按分割合を定める調停または審判を申し立てる。期限内の申立てがあれば、確定が2年経過後でも確定日の翌日から6か月以内に請求できる特例の対象になり得る
- 5.離婚等から2年内に標準報酬改定請求を提出する 全期間分をまとめて標準報酬改定請求書として提出する。一部だけを期限内に出しても同時請求要件を欠き成立しない。改定後は種別ごとに実施機関から通知が届くため、通知の枚数と記録を照合する
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険法78条の34とは何を定めた条文ですか?
共済と厚年など二以上の種別の厚生年金被保険者期間を持つ人の離婚時年金分割について、全期間の同時請求を義務づけ、按分割合を合算ベースで決めることを定めた適用調整の条文です。
Q2年金分割のための情報通知書はどこで取れますか?
年金事務所または共済組合に「年金分割のための情報提供請求」を行うと交付されます。婚姻期間と対象期間標準報酬総額が記載され、按分割合を協議する前提資料になります。
Q3按分割合の上限はいくらですか?
上限は2分の1です(78条の3)。78条の34第2項により全期間を合算して一の期間とみなすため、種別ごとに2分の1ずつではなく、合算総額に対する2分の1が上限になります。
Q4私学共済の期間も年金分割の対象になりますか?
対象になります。被用者年金一元化により私学教職員は第4号厚生年金被保険者となり、他の種別の期間と同時に請求する必要があります。改定は種別ごとに行われます。
Q5年金分割をすると受け取れる金額はいつから増えますか?
分割は標準報酬の記録の改定なので、実際に金額が変わるのは自分が年金を受給する年齢になってからです。すでに受給中なら請求の翌月分から改定されるのが原則です。
Q6国民年金(基礎年金)も分割できますか?
できません。分割の対象は厚生年金の標準報酬記録だけです。基礎年金、企業型・個人型の確定拠出年金、退職金などは対象外で、民法の財産分与で別に扱います。
Q7元配偶者が亡くなったら分割された年金はどうなりますか?
改定後の標準報酬は自分自身の記録になるため、元配偶者の死亡や再婚によって失われることはありません。逆に相手の記録が回復することもありません。
Q8年金分割の手続に元配偶者の同意は必要ですか?
合意分割では按分割合について当事者の合意が必要で、合意できなければ家庭裁判所の調停・審判で定めます。第3号被保険者期間の3号分割(78条の14)は相手の同意が不要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共済の方が金額が大きいらしいので、そっちだけ分けてもらうことってできますか?
できない。第78条の34第1項が、一の期間に係る請求は他の期間に係る請求と同時に行うことを義務づけている。全期間を合算して一つの期間とみなし(同条第2項)、按分割合も合算ベースで決まる。実務のポイント:合算されると、高い共済記録が低い民間記録で薄まる場合がある。請求する側は情報通知書の合算総額を見てから割合を詰める。順番を逆にすると、交渉で使える数字を持たないまま座ることになる
Q2請求って、年金事務所と共済組合の両方に行かないといけないんですか?
請求自体は全期間一体だが、実際の標準報酬の改定は各号の厚生年金被保険者期間ごとに行われる(第78条の34第2項、第78条の6)。そのため受給段階では、実施機関(日本年金機構や各共済組合など、記録を管理し年金を支払う主体)から別々に支払われる。実務のポイント:一元化後は手続の窓口がまとめられている(最新の取扱いをご確認ください)。通知が複数届くのが正常なので、枚数が足りないと感じたら記録の照合を頼む
Q3離婚してから2年過ぎちゃったんですが、もう無理ですか?
原則として請求できない(第78条の2第1項ただし書)。ただし2年内に按分割合を定める調停・審判を申し立てていて、確定が2年経過後になった場合は、確定日の翌日から6か月以内に請求できる特例がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:この特例は期限内に申し立てていたことが前提。協議が長引きそうなら、まとまる前に調停を申し立てて時計を止めておく。弁護士が早めに調停を勧める理由の一つがこれである
間違えやすい点 AI による整理
- 共済の方が有利だから共済分だけ分割してもらう、という選択肢があると思われているが、第78条の34第1項がそれを正面から封じている。一の期間についての請求は、他の期間についての請求と同時でなければ成立しない
- 同時請求が必要だと知っている人でも、按分割合が合算ベースで決まることまでは意識していない。全期間を一つの期間とみなして上限2分の1を計算するため、制度ごとに2分の1ずつという発想は成り立たない。高い共済記録が低い民間記録で薄まる方向に働くこともあり、認識のずれが月額の差になって表れる
- どの実施機関に請求すべきか、という問いの立て方自体がずれている。請求の対象は全期間で一体であり、選べるのは窓口であって対象ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 78条の34:二以上の種別の期間がある場合の適用調整(同時請求+期間合算) | 78条の2:合意分割の請求権と2年の期限そのもの 78条の14:3号分割(第3号被保険者期間の当然分割) |
| 相手方の同意 | 78条の2を前提とするため合意または裁判所の決定が必要 | 合意または家庭裁判所の調停・審判が必要 不要(請求のみで2分の1に分割) |
| 対象となる期間 | 第1号から第4号の厚生年金被保険者期間の全部(合算して一の期間とみなす) | 婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録 平成20年4月1日以後の第3号被保険者期間 |
| つまみ食いの可否 | 不可。一の期間の請求は他の期間の請求と同時でなければ成立しない | 分割対象は一の制度内で一体 対象期間が法定されており選択の余地なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本型の離婚時年金分割制度が存在せず、労工保険・公務人員退撫給付の期待権を財産分与の枠内で評価するにとどまる。制度をまたぐ同時請求という論点自体が生じない
韓国は分割年金を受給権として構成し、婚姻期間5年以上などの要件を課す。国民年金と公務員年金は統合されていないため、制度ごとに別個の分割年金請求となる点が日本の一元化後と異なる
ドイツは離婚判決と同時に裁判所が職権で年金調整を行い、公的年金・企業年金・公務員扶助まで含めた全ての Anrechte を原則として制度内部で半分に分ける。当事者の請求と2年の期限に依存する日本と設計が根本的に異なる
米国は裁判所の適格国内関係命令により私的年金プランを分割する。公務員退職制度は ERISA の対象外で別命令が必要となるため、制度をまたぐ場合に複数の命令を取得する点は本条の問題状況と類似する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚届を出してから1年11か月、共済期間の分だけ先に頼めないかと窓口で聞いたらどうなる? 答えは、その請求は受け付けられない。第78条の2第1項ただし書の2年の壁は動かないまま、同時請求要件を欠いた請求だけが宙に浮く。残り1か月で全期間分の按分割合を合意し直すことになる
- あなたが分割される側、つまり公務員から民間へ転じた高収入側だとする。相手が共済期間だけを狙い撃ちすることはできないが、あなたが民間期間だけを差し出して共済期間を守ることもできない。全期間が一つのまな板に載る
- 元配偶者は転職を繰り返し、私学共済と厚生年金の両方に期間がある。年金事務所と私学事業団のどちらへ行けばいいのか分からず、書類を封筒に戻したまま半年が過ぎた。窓口の側は一元化後にまとめて扱う運用になっているが、動かなければ2年の時計は止まらない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の職歴に公務員・私学教職員の在籍があるか確認、あれば本条の同時請求ルールが働く2. 年金分割のための情報提供請求を行い、情報通知書で合算後の対象期間標準報酬総額を確認する3. 按分割合は全期間まとめて合意、共済分と厚年分を切り分けた合意は請求として成立しない4. 離婚から2年を逆算し、協議がまとまらない見込みなら家庭裁判所の調停・審判で割合を定める段取りに切り替える
訴えられた側:1. 全期間が一体で扱われる以上、特定の期間だけを守る交渉は成立しない、対象期間の全体像を先に把握する2. 按分割合は下限が改定前の持分割合、上限が2分の1、動かせる幅はこの範囲のみ3. 婚姻期間外の記録は対象外なので、婚姻期間の始期と終期を正確に確定させることが実質的な防御になる4. 2年経過で請求権が失われる(第78条の2第1項ただし書)、期限は相手任せにせず自分でも管理する
時効(請求できる期限):標準報酬改定請求は離婚等をしたときから2年(第78条の2第1項ただし書)。起算点は離婚の成立日(協議離婚は届出日、裁判離婚は判決確定日)。本条により全期間を同時に請求する必要があるため、一部だけ期限内に出しても要件を満たさない。2年内に按分割合を定める調停・審判を申し立てていて確定が2年経過後になった場合は、確定日の翌日から6か月以内に請求できる特例がある(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)公布、平成27年(2015年)10月1日施行 被用者年金一元化により共済年金が厚生年金に統合され、第1号から第4号の厚生年金被保険者という種別が生じた。これに伴い、複数種別の期間を持つ者の離婚時分割について同時請求と期間合算を定める規定として新設された
改正の年表
- 1.平成24年(2012年)公布・平成27年(2015年)10月1日施行 新設:被用者年金一元化法により共済年金が厚生年金に統合され、第1号から第4号の厚生年金被保険者という種別が生じた。複数種別の期間を持つ者の離婚時分割について、同時請求と期間合算を定める適用調整規定として新設された
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