厚生年金保険法 第78条の36(被扶養配偶者である期間についての特例)
クイックジャンプ
- 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の十四第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報酬についての同項の規定による請求は、他の期間に係る標準報酬についての当該請求と同時に行わなければならない。
- 2.前項の場合においては、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間を合算し、一の期間又は当該一の期間に係る被保険者期間のみを有する者とみなして第七十八条の十四第一項及び第七十八条の二十第一項の規定を適用し、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに第七十八条の十四第二項及び第三項、第七十八条の二十第二項及び第五項並びに附則第十七条の十一から第十七条の十三までの規定を適用する。この場合において、必要な読替えその他必要な事項は、政令で定める。
この条文の基本情報
被扶養配偶者である期間についての特例とは何ですか?
定義被扶養配偶者である期間についての特例とは、厚生年金保険法第78条の36に定められた規定で、「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の十四第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第78条の36(被扶養配偶者である期間についての特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第78条の36の条文原文は「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、第七十八条の十四第一項の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち一の期間に係る標準報…」で始まります。
- 厚生年金保険法第78条の36は第三章の四に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第78条の36の前の条は厚生年金保険法第78条の35です。
- 厚生年金保険法第78条の36の次の条は厚生年金保険法第78条の37です。
- 厚生年金保険法第78条の36には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の36 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の36(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法78条の36は、複数の種別の被保険者期間を持つ者の3号分割について、各種別の請求を同時に行うことを義務づける。片方だけの請求は受理されない。
Q · 元配偶者が公務員と会社員の両方を経験している場合、年金分割は制度ごとに別々に請求できますか?
できません。全種別を同時に請求する必要があります。
厚生年金保険法78条の36第1項により、二以上の種別の被保険者期間がある場合、3号分割の請求は各種別について同時に行わなければなりません。共済期間だけ先に請求し、民間企業の期間を後から追加するという分割払いの請求は受理されません。その間も離婚等の翌日から2年という期限は進みます。第2項は、請求の適用場面では全期間を合算して一の期間とみなし、給付に反映する場面では種別ごとの被保険者期間に戻して処理すると定めています。
解説
離婚届を出した後、専業主婦(主夫)だった側が相手の厚生年金記録を半分もらえる制度がある。3号分割(78条の14)だ。相手の同意は要らない。ところが相手が公務員から会社員へ、私学教職員から民間へと渡り歩いていた場合、その人の厚生年金記録は第1号から第4号までの「種別」ごとに、日本年金機構・国家公務員共済・地方公務員共済・私学事業団と、別々の実施機関に分かれて残っている。78条の36第1項が命じるのは、その全部について同時に請求せよということ。共済分だけ先に、会社員分は後から、という分割払いの請求は許されない。第2項は計算の作法を定める。標準報酬を改定するときは全期間を合算して一人分とみなし、給付に反映させるときは種別ごとにばらして処理する。つまりあなたが窓口で「年金分割をしたい」と言うとき、相手の職歴を年金制度の単位で洗い出し終えていなければ、請求そのものが立ち上がらない。
法的な位置づけ
厚生年金保険法78条の36は、二以上の被保険者の種別に係る期間を有する者についての3号分割の特例を定める規定である。第1項は各種別の期間に係る標準報酬改定請求を同時に行うべき義務を課し、第2項は全期間を合算して一の期間とみなして請求要件を適用したうえで、給付への反映は種別ごとの被保険者期間に戻して処理する読替えの枠組みを定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.元配偶者の職歴を年金制度の単位で洗い出す 勤務先名ではなく、加入していた年金制度(第1号=民間、第2号=国家公務員共済、第3号=地方公務員共済、第4号=私学共済)の単位で職歴を整理する。この段階で種別が何本あるかが、後の手続工数と期限管理を決める
- 2.年金分割のための情報提供請求を提出する 離婚前でも単独で請求できる。婚姻期間中の請求であれば情報通知書は請求者本人にのみ交付される。通知書により対象期間と被保険者種別の数を確定させる
- 3.各実施機関の記録取得日数を先に確認する 共済期間がある場合、国家公務員共済・地方公務員共済・私学事業団それぞれの記録取得に要する日数を窓口で聞き出す。同時請求が要件である以上、最も遅い実施機関が全体の締切を決める
- 4.3号分割と合意分割の対象期間を仕分ける 平成20年4月以降の第3号被保険者期間は同意不要の3号分割(78条の14)、それ以外の婚姻期間は合意分割(78条の2)となる。両者が併存する場合は協議・調停での争点を按分割合部分に絞り込む
- 5.全種別分の請求書を同時に提出する 揃った種別から順に出すことはできない。全種別の請求書を一括して提出する。離婚等の翌日から2年の期限から逆算し、半年前には記録収集を終えておく
よくある質問 AI による整理
Q1二以上の種別の被保険者期間とは何ですか?
厚生年金は第1号(民間・日本年金機構)、第2号(国家公務員共済)、第3号(地方公務員共済)、第4号(私学事業団)に区分されます。転職で制度をまたぐと、記録が複数の実施機関に分かれて残ります。
Q2年金分割の同時請求はなぜ必要なのですか?
種別ごとにバラバラの時期に標準報酬を改定すると再計算が二重に走り、後から請求された期間の扱いが先行処理と矛盾するためです。78条の36第1項が制度側の整合性を優先して同時請求を義務づけています。
Q3元配偶者が公務員だった場合、年金分割の請求先はどこですか?
被用者年金一元化後は年金事務所などでワンストップ受付されますが、記録自体は国家公務員共済・地方公務員共済・私学事業団が別々に保有しています。窓口が一つでも、記録取得の速度は各実施機関に依存します。
Q4年金分割の期限を過ぎたらどうなりますか?
原則として離婚等をした日の翌日から2年で請求できなくなります(78条の14第1項ただし書等)。同時請求が要件のため、最も記録取得に時間がかかる実施機関がそのまま期限管理のボトルネックになります。
Q53号分割に相手の同意は必要ですか?
必要ありません。平成20年4月以降の第3号被保険者期間について、2分の1の割合で当然に分割されます。ただし同意が不要であることと、手続が簡単であることは別問題です。
Q6年金分割のための情報提供請求は離婚前でもできますか?
できます。婚姻期間中に単独で請求した場合、情報通知書は請求した本人にのみ交付されます。この段階で元配偶者の被保険者種別が何本あるかを確定できるため、2年の期限を先取りできます。
Q7被用者年金一元化で年金分割はどう変わりましたか?
平成27年10月1日に共済年金が厚生年金へ統合され、共済期間も厚生年金の種別として扱われるようになりました。ただし記録管理は種別ごとに分かれたままで、その調整のために78条の36が置かれています。
Q8年金分割の請求が受理されないのはどんな場合ですか?
複数種別があるのに一部の種別しか請求していない場合、78条の36第1項違反として受理されません。ほかに対象期間の誤り、期限経過、必要書類の不備などが典型的な却下事由です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1元夫が公務員から会社員に転職してるんですけど、共済の分と厚生年金の分、別々に請求できないんですか?
できない。78条の36第1項が、各種別の期間に係る請求を同時に行うよう義務づけている。片方だけ提出しても受理されず、その間も2年の期限だけが進む。実務のポイント:一元化後はどの窓口でもワンストップで受付されるが、記録の取り寄せ自体は各実施機関の事務処理速度に依存する。窓口が一つになったことと、記録が一つになったことは全く別である
Q2共済期間の分は、分割しても計算のされ方が違うって聞いたんですが本当ですか?
計算の枠組みは78条の36第2項が定める。標準報酬の改定は全期間を合算して一人分とみなして行い、給付への反映は種別ごとの被保険者期間に戻して処理する。実務のポイント:年金分割は「将来の年金額を半分にする」制度ではなく、標準報酬の記録を分ける制度である。分割で得た期間は受給資格期間には算入されない。加入期間が足りない人が分割だけで受給資格を満たすことはできず、そこを知らずに離婚後の生活設計を組むと数字が狂う
間違えやすい点 AI による整理
- 「共済期間と厚生年金期間、どちらを先に請求したほうが有利か」という問いの立て方自体が成立しない。本条は選択の余地をあらかじめ消している。考えるべきは順番ではなく、全部の記録を期限内に揃えられるかという段取りの問題である
- 3号分割に相手の同意が要らないことは広く知られている。だが同意が不要であることと、手続が簡単であることは全く別だ。種別が複数あるだけで、情報提供請求から請求書提出までの実務工数はおよそ倍になり、2年という期限を静かに食い潰す
- あなたから見れば「元配偶者の年金」という一つの塊だが、制度から見れば第1号から第4号までの別個の被保険者期間であり、記録を保有する実施機関も別。この落差こそが、期限直前の駆け込み請求を失敗させる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 78条の36:複数種別がある場合の同時請求義務と読替え | 78条の14:3号分割の標準報酬改定請求権そのもの 78条の2:合意分割の請求 |
| 相手の同意 | 手続要件の規定であり同意の有無を左右しない | 不要(2分の1で当然に分割) 必要(協議または裁判所の按分割合決定) |
| 対象期間 | 各号の厚生年金被保険者期間すべて | 平成20年4月以降の第3号被保険者期間 婚姻期間中の厚生年金被保険者期間 |
| 請求の形式 | 全種別を同時提出、分割提出は受理されない | 単独請求が可能 合意書または調停・審判の結果を添付 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本のような年金記録そのものを分割する制度はなく、退職給付を婚後財産に含めて差額を金銭で調整する構成をとる。公務員については別途、離婚配偶者の退職給付分配請求の枠組みがある
韓国は分割年金として婚姻期間に対応する老齢年金の一部を離婚配偶者に支給する構成。日本のように標準報酬記録そのものを改定する方式ではない点で設計が異なる
ドイツは離婚時に裁判所が職権で年金権を調整する Versorgungsausgleich を採用し、公的年金・企業年金・私的年金を横断して調整する。日本の年金分割より対象範囲が広い
米国は裁判所命令(QDRO)により私的年金制度の給付を配偶者に割り当てる方式。公的年金は社会保障法上の離婚配偶者給付として別枠で処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 離婚から1年10か月、いまから情報通知書を取り寄せて間に合うか? 元夫は地方公務員を経て現在は民間企業。共済側の記録が届くのに数週間かかると言われた時点で、残り時間の主導権はあなたの手を離れている。同時請求が要件である以上、遅い方の記録が揃うまで一枚も提出できない
- あなたが分割される側に立つ場合。私学共済から民間企業へ移った経歴があり、元配偶者が3号分割を請求してきた。片方の期間だけ先に請求し、残りを後から追加するという二段構えの攻め方は本条が封じている。裏を返せば、あなたの側も一度で全体像を確認できるということだ
- 友人から「元夫が転職ばかりで年金分割が進まない」と相談された。あなたは、記録が種別ごとに別管理であること、同時請求が法律上の要件であることを説明できる。その一言で彼女の動き出しが二週間早まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離婚前でも「年金分割のための情報提供請求」を単独で提出、婚姻期間中の請求なら通知書はあなたにだけ届く2. 通知書で相手の被保険者種別が何本あるかを確認、共済期間があれば各実施機関の記録取得にかかる日数を先に聞き出す3. 平成20年4月以降の第3号被保険者期間と共働き期間を仕分け、3号分割と合意分割のどちらが動くか整理4. 請求書は全種別分を同時提出、一本欠ければ受理されない5. 期限は離婚等の翌日から2年、逆算して半年前には記録収集を終えておく
訴えられた側:1. 請求が来たら、対象期間が平成20年4月以降の第3号被保険者期間に正しく限られているか自分の記録と照合2. 3号分割部分は同意も按分割合の交渉も不要で2分の1が確定するため、争点は期間の認定に絞られる3. 種別が複数ある場合、本条によりあなたの側も全体を一度で確認できる、通知内容と実際の職歴の突合を必ず行う4. 記録に誤りがあれば社会保険審査官への審査請求という道がある、通知を受け取った日から期間が起算するので放置しない
時効(請求できる期限):3号分割・合意分割ともに、原則として離婚等をした日の翌日から起算して2年(厚生年金保険法78条の14第1項ただし書、78条の2第1項ただし書)。相手方の死亡後に請求する場合など期間が短縮される例外があるため、最新の改正状況をご確認ください。本条により複数種別がある場合は、最も記録取得に時間がかかる実施機関がそのままボトルネックになる
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)法律第63号、平成27年(2015年)10月1日施行 被用者年金一元化により共済年金が厚生年金に統合されたことに伴い、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者の特例として新設。3号分割の請求について同時請求の義務と、合算みなし計算の読替枠組みを定めた
改正の年表
- 1.平成24年(2012年) 新設:被用者年金制度の一元化等を図るための法律(平成24年法律第63号)により、二以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例として新設された
- 2.平成27年(2015年) 改正:平成27年10月1日に被用者年金一元化が施行され、共済年金が厚生年金に統合。本条による同時請求義務と合算みなし計算の読替枠組みが実際に機能を開始した
- 厚生年金保険法 第78条の143号分割の標準報酬改定請求権の本体
- 厚生年金保険法 第78条の20被扶養配偶者みなし被保険者期間の効果
- 厚生年金保険法 第78条の2合意分割の請求、本条と並行して動く制度
- 厚生年金保険法 第78条の35離婚等の場合における同章の並行特例(現行効力を要確認)
- 国民年金法 第7条第3号被保険者の定義、3号分割の前提
- 民法 第768条財産分与、年金分割とは別個の請求権
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める