警察法 第2条(警察の責務)
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- 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
- 2.警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。
この条文の基本情報
警察の責務とは何ですか?
定義警察の責務とは、警察法第2条に定められた規定で、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 警察法第2条(警察の責務)は、日本の警察法に含まれる条文です。
- 警察法第2条の条文原文は「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」で始まります。
- 警察法第2条は第一章 総則に置かれています。
- 警察法の公布日は昭和29年6月8日です。
- 警察法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 警察法第2条の前の条は警察法第1条です。
- 警察法第2条の次の条は警察法第3条です。
- 警察法第2条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第2条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000162 - 本サイト収録
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第2条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000162/2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点警察法2条は、個人の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防・捜査、交通の取締など公共の安全と秩序の維持を警察の責務と定め、その活動を責務の範囲に厳格に限定し権限濫用を禁じる。
Q · 警察に「民事不介入です」と言われたら、本当に動いてもらえないの?
動く責務はある。生命・身体の危険があれば民事絡みでも対象になる
警察法2条1項は、個人の生命、身体及び財産の保護を警察の責務の筆頭に掲げています。「民事不介入」は条文上の文言ではなく、2項の「責務の範囲に限る」という趣旨から実務上形成された運用原則にすぎません。金銭トラブルの背後に脅迫・暴行・つきまといがあれば1項の保護責務の対象です。窓口では相談記録を残すよう求め、対応が不十分なら同法79条に基づき公安委員会へ文書で苦情を申し出ることができます。
解説
交番で「それは民事ですから」と言われて引き下がった経験があるなら、あなたは警察法2条の半分しか知らなかったことになる。1項は警察の仕事を「個人の生命、身体及び財産の保護」から始めている。犯罪捜査より先に、あなたの身の安全が書かれているのである。2項は逆に、警察の活動は「厳格に」この範囲に限られ、憲法が保障する権利と自由に踏み込んではならないと釘を刺す。つまり本条は、警察にやらせる力と止める力を同時に持つ。やるべきことをしない警察には1項を示し、やりすぎる警察には2項を示せばよい。なお「民事不介入」は条文に書かれた言葉ではない。2項の趣旨から実務上生まれた運用上の原則にすぎず、身体や生命への危険が絡めば1項の保護責務が前に出る。どちらの項を使う場面なのかを見極められる人は、窓口でのやり取りそのものが変わる
法的な位置づけ
警察法2条は警察の責務を定める組織法上の一般規定であり、1項で個人の生命・身体・財産の保護、犯罪の予防・鎮圧・捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持を警察の責務とし、2項で警察活動を責務の範囲に厳格に限定するとともに、不偏不党・公平中正の原則と権限濫用の禁止を定める。
手順
- 1.危険の事実を時系列メモにまとめる つきまとい、脅迫、暴力の兆候について、日時・場所・内容・証拠(LINE 画面、写真、録音)を時系列に整理する。「生命・身体の危険」として具体的に説明できる形にしておく
- 2.窓口で被害届の提出または相談記録を明確に求める 「相談」ではなく「被害届の提出」であることをはっきり伝える。受理されない場合は理由の説明を求め、少なくとも相談内容を記録に残すよう依頼する
- 3.対応者の所属・氏名と日時を記録する 対応した警察官の所属と氏名、相談日時、言われた内容をその場でメモする。後日の苦情申出や国家賠償請求で警察の不作為を示す重要な材料になる
- 4.都道府県公安委員会へ文書で苦情を申し出る 対応が改善されない場合、警察法79条に基づき都道府県公安委員会宛てに、日時・場所・対応者・具体的発言を記載した文書で苦情を申し出る。処理結果は文書で通知される
- 5.弁護士と国家賠償請求を検討する 警察の不作為や違法行為で損害が生じた場合、国家賠償法1条に基づく請求を弁護士と検討する。損害及び加害者を知った時から3年(生命・身体侵害は5年)の時効に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1警察法2条とは何ですか?
警察の責務を定めた条文です。1項で生命・身体・財産の保護や犯罪捜査、交通の取締などを責務とし、2項で活動範囲の厳格な限定と権限濫用の禁止を定めています。
Q2民事不介入は法律で決まっているの?
法律の条文には書かれていません。警察法2条2項の趣旨から実務上生まれた運用原則であり、脅迫や暴力、つきまといが絡めば1項の保護責務の対象になります。
Q3警察が相談に乗ってくれないときはどうすればいい?
危険を具体的に時系列で伝え、相談記録に残すよう求めます。対応者の所属と氏名を控え、改善されなければ公安委員会へ文書で苦情を申し出る方法があります。
Q4一斉検問は違法ではないの?
最高裁は、短時間の停止と質問を任意の協力を求める形で行い、自由を不当に制約しない方法である限り、警察法2条1項を根拠に適法としています(最決昭和55.9.22)。
Q5職務質問は断ることができる?
職務質問は任意手段であり、原則として応じる義務はありません。ただし停止を求める程度の有形力行使が一定限度で許される場合もあるため、「任意ですか」と確認するのが有効です。
Q6警察が市民の情報を集めるのは違法?
責務の範囲を超え、憲法上の権利・自由に干渉する情報収集は2項に反しえます。大垣警察市民監視事件では、住民情報の収集と提供の違法が裁判で認められました。
Q7警察が動かなかったせいで被害を受けたら賠償請求できる?
危険を知りながら権限を行使しなかったことが著しく不合理な場合、国家賠償法1条により違法とされえます。新島砲弾爆発事件の最高裁判決が代表例です。
Q8不偏不党・公平中正とはどういう意味?
警察が特定の政党や団体に肩入れせず、誰に対しても公平に職務を行う原則です。警察法2条2項が定め、3条の服務の宣誓にも同じ趣旨が盛り込まれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1被害届を出そうとしたら「まず弁護士に相談して」と言われました。断られることってあるんですか?
犯罪捜査規範61条は、犯罪による被害の届出があれば管轄区域かどうかを問わず受理しなければならないと定めている。警察法2条1項の責務とあわせ、受理は原則である。実務のポイント:受理を渋られたら「相談」ではなく「被害届の提出」だとはっきり言い、断るなら理由と担当者名を教えてほしいと伝える。この一言で、窓口は記録が残ることを意識し、対応が変わることが多い
Q2検問で止められたけど、免許証を見せるのは義務ですか?
運転中であれば、警察官の提示要求に応じて免許証を示す義務がある(道路交通法95条2項)。一斉検問での短時間の停止は、警察法2条1項を根拠に任意手段として許されうる(最決昭和55.9.22)。実務のポイント:免許証提示と車内・トランクの捜索はまったく別物である。後者は令状がない限り任意であり、同意しない意思を明確にしておくことが後で争う際の分かれ目になる
Q3警察官の態度がひどかったんですが、どこに文句を言えばいいんですか?
警察法79条により、都道府県警察の職員の職務執行について、都道府県公安委員会に文書で苦情を申し出ることができる。公安委員会は誠実に処理し、結果を文書で通知しなければならない(同条2項)。実務のポイント:警察署の窓口に口頭で言うより、公安委員会宛ての文書のほうが法的な処理ルートに乗る。日時、場所、対応者、具体的な発言をそのまま書くのが効く
間違えやすい点 AI による整理
- 「民事不介入だから警察は動けない」と説明されると、それが法律の規定だと思い込む人が多い。だが警察法2条にその言葉は存在しない。2項の「責務の範囲に限る」という趣旨から実務上形成された運用原則であり、金銭トラブルの背後に脅迫、暴行、つきまといがあれば、それは最初から1項の保護責務の射程に入っている
- 「警察は法律に書いてあることしかできない」という理解は半分正しいが、半分は危うい。最高裁は一斉検問について、警察法2条1項を根拠に、強制力を伴わない任意手段である限り一般的に許容されると判断した(最決昭和55.9.22)。組織の責務を定めた条文が、任意活動の根拠として働きうるということである。任意の名のもとに行われる活動の範囲は、多くの人が思うより広い。だからこそ「任意ですか」と確かめる習慣に意味がある
- 視角を変えると景色が変わる。あなたにとって警察の不作為は「冷たい対応」にすぎないが、法律から見れば、危険を知りながら権限を行使しなかったことが国家賠償法上違法とされうる(最判昭和59.3.23、新島砲弾爆発事件)。この落差を知らずに「仕方ない」と諦めると、後から責任を問う材料となる相談記録すら残らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 警察法2条:警察組織全体の責務と活動の限界を定める一般規定 | 警察法63条:警察官が上官の指揮監督を受けて警察の事務を執行する旨の規定 警察法79条:職務執行に対する苦情申出の手続規定 |
| 主な名宛人 | 警察組織(都道府県警察・警察庁) | 個々の警察官 都道府県公安委員会(苦情を受理し処理する側) |
| 市民が使う場面 | 動かない警察には1項、行き過ぎた警察には2項を根拠として示す | 個々の警察官の職務執行が組織の指揮系統に基づくことを確認する 不適切な対応を文書で申し立て、結果の文書通知を受ける |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の警察法も任務規定を置き、警察職權行使法が比例原則を明文化する。日本より職権行使の根拠規定を個別法で具体化する傾向が強い
韓国も警察の任務を組織法で列挙し、경찰관 직무집행법で個別権限を定める。日本と同じく組織規範と作用規範を分ける構造
ドイツは州ごとに危険防止(Gefahrenabwehr)を警察の任務とし、一般条項による権限付与を認める。日本の2条は権限付与ではなく責務規定にとどまる点が異なる
米国には統一的な警察責務規定はなく、州の police power と修正4条による司法審査で警察活動の限界を画する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元交際相手から深夜に何十通も LINE が届き、家の前に車が停まっている。交番に行くと「今のところ実害はないので」と帰されそうになった。ここで引き下がらず、「生命・身体の保護」が警察の責務であること、ストーカー行為等の規制等に関する法律による警告・禁止命令の仕組みがあることを口にすると、相談の扱いが記録に残る形に変わりやすい
- もし、検問で車を止められ、トランクを開けるよう言われたら、拒否できるのか? 一斉検問そのものは警察法2条1項を根拠に任意手段として許されうるが(最決昭和55.9.22)、トランク開披の強制は別問題である。「任意ですか」と一言確認することが、あなたの権利の線引きを明確にする
- あなたが市役所の開発計画に反対する住民運動の世話役になった。後日、地元警察があなたの経歴や交友関係を事業者に伝えていたことが発覚する。これは2項が禁じる「個人の権利及び自由の干渉」の典型的な争点であり、実際に岐阜県大垣市の事案では、警察による情報収集と提供の違法性が裁判で認められた
- 職務質問中の警察官として、あなたは相手の腕をつかんで立ち去るのを止めた。これが「任意」の範囲を超えれば、2項の権限濫用として証拠排除や国家賠償の対象になりうる。現場の一瞬の判断が、後の公判で最初に争われる
- 被害届を持って警察署に行ったのは三回目。毎回「もう少し証拠を集めてから」と言われ、詐欺の相手はすでに連絡を絶ちかけている。口座凍結の依頼や証拠保全が間に合うかどうかは、あと数日の勝負である。犯罪捜査規範61条の受理義務を知っているかどうかで、その日のうちに動けるかが決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. つきまとい、脅迫、暴力の兆候は「身体の保護」の問題として具体的に伝える。日時・内容を時系列メモにして持参する2. 被害届は犯罪捜査規範61条で受理が原則とされていることを踏まえ、受理されない場合は理由と対応者名を記録する3. それでも動かなければ、警察法79条に基づき都道府県公安委員会へ文書で苦情を申し出る4. 危険が差し迫る場合は110番を優先し、通報記録を残す
訴えられた側:1. 職務質問や所持品検査には「任意か強制か」を確認し、任意なら拒否の意思を穏やかに明示する2. 身体への有形力行使があった場合は日時、場所、警察官の特徴を直後に記録し、可能なら同行者に証言を頼む3. 逮捕・勾留された場合は黙秘権を行使し、当番弁護士を呼ぶ4. 違法な情報収集や権限濫用が疑われれば、苦情申出(79条)と国家賠償請求(国家賠償法1条)を弁護士と検討する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。警察の違法行為・不作為に対する国家賠償請求は、損害及び加害者を知った時から3年(生命・身体侵害は5年、国家賠償法4条により民法724条・724条の2を適用)、不法行為時から20年。公安委員会への苦情申出(警察法79条)に法定期限はないが、記憶と証拠が新しいうちに行うほど調査が進みやすい
学説
通説(組織規範説):警察法2条は組織法上の責務規定であり、それ自体は国民の権利を制限する強制処分の根拠にはならない。ただし強制力を伴わない任意活動については、責務の範囲内である限り根拠となりうる。
警察消極目的・警察公共の原則:警察権は公共の安全と秩序の維持という消極目的に限られ、私生活・私的取引には原則として介入しない。民事不介入はこの原則の実務上の表現だが、生命・身体への危険があれば保護責務が優先する。
保護責務重視説:1項が生命・身体・財産の保護を筆頭に掲げる点を重視し、ストーカーや DV など私人間の危険にも積極的に介入すべきとする立場。桶川ストーカー事件以降の実務と立法に影響を与えた。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:旧警察法制定。GHQ の方針のもと国家地方警察と自治体警察の二本立てを採用し、警察の責務を個人の生命・身体・財産の保護等に限定する規定を置いた。
- 2.昭和29年(1954年) 新設:現行警察法制定により都道府県警察制度へ移行。本条で警察の責務を定め、2項で責務範囲の厳格な限定、不偏不党・公平中正、権限濫用の禁止を明文化した。
- 警察法 第1条民主的警察運営という法の目的
- 警察法 第3条不偏不党・公平中正の服務の宣誓
- 警察法 第63条警察官の職務執行の一般規定
- 警察法 第79条公安委員会への苦情申出制度
- 警察官職務執行法 第2条職務質問の要件、任意活動の個別根拠
- 国家賠償法 第1条警察の違法行為・不作為の賠償責任
- 刑事訴訟法 第189条司法警察職員の捜査権限の根拠
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