特許法 第135条(不適法な審判請求の審決による却下)
クイックジャンプ
不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。
この条文の基本情報
不適法な審判請求の審決による却下とは何ですか?
定義不適法な審判請求の審決による却下とは、特許法第135条に定められた規定で、「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第135条(不適法な審判請求の審決による却下)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第135条の条文原文は「不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。」で始まります。
- 特許法第135条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第135条の前の条は特許法第134条の3です。
- 特許法第135条の次の条は特許法第136条です。
- 特許法第135条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第135条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第135条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/135
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法135条は、不適法で補正できない審判請求を、被請求人に答弁書の機会を与えず審決で却下できると定める。請求人適格の欠缺や請求期間の徒過が典型例である。
Q · 審判の請求書を出したのに、審理もされず却下されることってあるの?
補正できない不適法な請求は答弁なしで却下されます
特許法135条により、審判の請求が不適法で、しかも補正によって直せない場合、審判官は被請求人に答弁書を提出する機会を与えず、審決で請求を却下できます。請求人適格の欠缺(無効審判の利害関係)や請求期間の徒過(拒絶査定不服審判の3か月)が典型例です。方式的な不備なら133条の補正命令で救済されますが、構造的な不適法は補正できず即却下されます。却下審決には送達から30日以内の審決取消訴訟(178条)で不服を申し立てられます。
解説
あなたが他社の特許を無効にしようと無効審判を請求したとする。請求書を出したものの、無効審判を請求できる利害関係を示せていなかったり、主張する無効理由が法定外だったり、そもそも請求できる期間を過ぎていたり。普通なら相手の特許権者が答弁書で反論し、口頭審理で争うと思うだろう。ところが特許法135条は、その手前で扉を閉ざす。請求が「不適法」で、しかも「補正によって直せない」場合、特許庁の審判官は相手に答弁の機会すら与えず、いきなり審決で却下できる。あなたの請求は審理に入る前に死ぬ。鍵を握るのは「補正できるか」の一線だ。書式の不備で直せるものは133条の補正命令で救済される。だが請求の根幹が腐っていれば、補正の余地なく即却下。この一線のどちら側に自分の請求が立つかを出す前に見極めることが、弁理士費用と数か月の時間を守る。
法的な位置づけ
特許法135条は、審判請求の却下を定める規定である。審判の請求が不適法であり、かつその補正をすることができない場合に、審判官が被請求人に答弁書を提出する機会を与えないまま、審決によって請求を却下できる旨を規定する。方式違反の補正命令(133条)とは異なり、補正不能な不適法のみを即時却下の対象とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求前に不適法要件を点検する 審判請求書を出す前に、請求人適格(無効審判なら利害関係人か、特許法123条2項)、請求期間(拒絶査定不服審判は査定謄本送達から3か月、特許法121条)、請求の趣旨と理由の法定根拠を点検する。出した後では直せない不備が、出す前なら設計し直せる
- 2.補正可能な不備か補正不能な不適法かを見極める 方式的な不備(請求の趣旨の記載ミス等)は133条の補正命令で救済されるが、請求人適格の欠缺や請求期間の徒過など構造的な不適法は補正できず135条で即却下される。どちら側に立つかを提出前に確定させる
- 3.却下審決を受けたら30日以内に不服を判断する 却下審決が出たら、審決謄本の送達日から30日以内(特許法178条3項、不変期間)に知財高裁へ審決取消訴訟を提起するか否かを即断する。一日でも過ぎれば却下審決が確定し、争う道が閉じる
- 4.同一理由の再請求ではなく別ルートを検討する 却下理由が請求人適格や請求期間のような構造的なものだと、書き直して再請求しても同じ却下になる。侵害訴訟での無効の抗弁(特許法104条の3)など別ルートを検討する
よくある質問 AI による整理
Q1審判請求の却下とは何ですか?
審判の請求が不適法で補正もできない場合に、本案審理に入らず審決で門前払いする処分です。特許法135条が根拠で、被請求人の答弁の機会も省かれます。
Q2却下審決と棄却審決はどう違いますか?
却下は不適法な請求を入口で退けるもの(135条)、棄却は本案審理の結果、理由がないとして退けるものです。却下は中身を判断せず、棄却は中身を判断した結果です。
Q3拒絶査定不服審判の請求期間はいつまでですか?
査定謄本の送達から3か月です(特許法121条)。この期間を過ぎると補正で取り戻せず、請求しても135条で却下されます。
Q4特許無効審判は誰でも請求できますか?
利害関係人に限られます(特許法123条2項)。利害関係を示せない請求は補正できない不適法として、答弁なしで却下される可能性があります。
Q5審判の補正命令とは何ですか?
方式に違反した請求について、審判長が期間を定めて補正を命じる制度です(特許法133条)。方式的不備はこれで救済され、135条の即時却下とは区別されます。
Q6却下審決に不服がある場合どうしますか?
審決謄本の送達から30日以内に知財高裁へ審決取消訴訟を提起します(特許法178条3項)。この期間は不変期間で、過ぎると却下審決が確定します。
Q7特許審判が却下されると費用はどうなりますか?
納付済みの審判請求手数料は原則返還されません。加えて再請求や審決取消訴訟の費用が重なるため、請求前の不適法チェックが費用防衛の要になります。
Q8審判請求書に不備があるとすぐ却下されますか?
不備の種類によります。方式的な不備は133条の補正命令で救済されますが、請求人適格や請求期間のような補正不能な不適法は135条で即却下されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審判の請求書を出したのに、相手の反論もなく却下されました。これって不公平じゃないんですか?
不公平に見えますが、135条が答弁の機会を省くのは、その請求が不適法で補正もできず、却下が確実だからです。相手(被請求人)にとっては有利な結末なので、わざわざ答弁させる必要がないという効率の論理です。実務のポイント:却下審決にも審決取消訴訟(特許法178条)で争う道は残っており、不服なら送達から30日以内に知財高裁へ。ただし請求人適格や期間徒過のような構造的な却下は、訴訟でも覆りにくいのが実情です
Q2却下されたら、もう一回ちゃんと書き直して出せば通りますか?
不備の種類によります。請求の趣旨の書き方など方式的なものなら133条の補正命令で直せますが、請求人適格がない、請求期間を過ぎたといった構造的な不適法は、書き直しても同じ却下になります(特許法135条)。実務のポイント:弁理士は請求前に「これは補正可能な不備か、補正不能な不適法か」を必ず見分けます。ここを誤ると、費用と時間を払って門前払いされる。出す前の一回の確認が、数か月を守ります
間違えやすい点 AI による整理
- 「請求書を出せば必ず審理してもらえる」と思っている人が多い。だが135条は、不適法で補正もできない請求を本案審理に入れず却下する。土俵に上がる前に弾かれる請求が現実に存在する
- 「却下されても、また出し直せばいい」と軽く考えがちだが、却下の原因が請求人適格や請求期間のような構造的なものだと、出し直しても同じ結果になる。同じ壁に二度ぶつかるだけで、却下審決にも審決取消訴訟(特許法178条、出訴期間30日)という不服申立ての負担がついて回る。問題は再請求できるかではなく、その却下がどれほど覆りにくいかだ
- 「答弁書をもらえなかったのは手続違反だ」と憤る特許権者がいるが、問いの立て方が逆になっている。答弁の機会を省いたのは、その請求が却下される、つまりあなたに有利に終わるからだ。答弁させないことが、あなたを守っている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 特許法135条:補正できない不適法な審判請求の却下 | 特許法133条:方式違反への補正命令 特許法134条:答弁書の提出 |
| 救済の余地 | 補正不能なため即却下、救済なし | 期間内に補正すれば救済される 被請求人が本案について反論する機会 |
| 答弁の機会 | 被請求人に答弁書の機会を与えない | 補正命令は請求人に対する手続 答弁の機会そのものを保障する規定 |
| 不服申立て | 却下審決に対し審決取消訴訟(178条、30日) | 補正しないと却下に至る 本案審理を経て審決へ |
他国ではどう定めているか 3 か国
韓国特許法141条は「不適法な審判請求の却下」を明文で定め、補正できない不適法な審判請求について答弁の機会を与えず審決で却下できる点で日本135条とほぼ同旨
ドイツは特許無効訴訟を連邦特許裁判所(BPatG)が扱い、不適法な訴えは却下される。審判機関の構成と手続構造は日本と異なるが、入口段階での不適法却下という発想は共通
米国は当事者系レビュー(IPR)で PTAB が開始判断を行い、要件を満たさない請願は不受理(non-institution)となる。答弁機会に関する構造は異なるが、本案前の門前遮断という機能面で対照可能
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 拒絶査定を受けて拒絶査定不服審判を請求しようとしたが、査定謄本の送達から3か月の請求期間(特許法121条)を過ぎていた。期間徒過は補正で取り戻せない。請求しても135条で答弁の機会なく却下される。残された道は別の手続を探すことだけ。あと数日という段階で気付いても、もう間に合わない
- あなたの会社の特許に、競合が嫌がらせのように無効審判を仕掛けてきた。だが相手は利害関係を示せず、無効理由も条文にない主張ばかり。身構えて答弁書の準備を始めたが、審判官は答弁の機会を与えず却下審決を出した。あなたは弁理士費用を一円も使わずに防ぎ切った
- 請求の趣旨を書き間違えただけなら、即却下されるのか? いや、それは方式違反として補正命令(特許法133条)の対象になる。135条が動くのは「直しようがない」不適法に限られる
- もし、自分の請求が「不適法だが補正できる」のか「補正できない」のか判断がつかなかったら? 審判官の判断次第で、補正命令が来るか即却下かが分かれる。請求前に弁理士へ「これは135条で弾かれるリスクがあるか」と一言確認するだけで、結果が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 請求前に、自分の請求が不適法に当たらないか点検:請求人適格(無効審判なら利害関係人か、特許法123条2項)、請求期間(拒絶査定不服審判は3か月、特許法121条)、請求の趣旨と理由の法定根拠2. 直せる方式不備なら補正命令(特許法133条)で救済されるが、構造的な不備は補正不能なので、出す前に固める3. 却下審決が出たら、送達から30日以内に知財高裁へ審決取消訴訟(特許法178条)を起こすか判断4. 同じ理由での再請求は無意味、別ルート(侵害訴訟での無効の抗弁、特許法104条の3等)を検討する
訴えられた側:1. 不適法な審判を仕掛けられても、答弁の機会が与えられなければ却下が見込まれるサイン、慌てて答弁書を作る前に審判官の動きを見る2. ただし補正可能な不備は相手が直してくる可能性があるので、本案の防御(無効理由への反論、訂正請求等)の準備も並行3. 相手の請求人適格や請求理由の欠缺を、こちらから上申書で指摘して135条却下を後押しすることもできる4. 却下されても相手が審決取消訴訟を起こす余地があるため、審決確定まで気を抜かない
時効(請求できる期限):135条の却下審決自体に固有の期限はないが、却下審決を受けた請求人は審決謄本の送達日から30日以内(特許法178条3項、不変期間)に知財高裁へ審決取消訴訟を提起しなければ却下審決が確定する。請求側の請求期間(拒絶査定不服審判は査定謄本送達から3か月、特許法121条)の徒過は、補正不能な不適法の典型例(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:135条は、不適法で補正不能な審判請求を本案審理に乗せず却下することで審判資源の浪費を防ぐ効率装置であり、答弁の機会省略は却下が請求人に終局的不利益を課さない限度で許容されると解される。却下審決には審決取消訴訟という出口が残されている点が正当化の基盤とされる。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める