要点特許法 80 条は、無効審判の請求登録前に無効理由を知らずに実施していた元特許権者に通常実施権(中用権)を認める。事業は継続できるが、正当権利者へ相当の対価を支払う義務を負う。
Q · 自分の特許が無効審判で潰されたら、その技術を使った事業も止めるしかないんですか?
事業は続けられるが、正当権利者への対価の支払いが必要
特許法 80 条により、二以上の特許の一つが無効になった元特許権者などが、無効審判の請求登録前に無効理由を知らずに日本国内で発明を実施または準備していれば、その範囲で通常実施権(中用権)が法律上当然に発生します。遡及効(特許法 125 条)で特許が初めから無かったことになっても、操業は止まりません。ただし無償ではなく、同条 2 項により正当な特許権者へ相当の対価を支払う義務を負います。守られる範囲は「実施または準備をしていた発明及び事業の目的の範囲内」に限られ、請求登録後に始めた事業には及びません。
自社の特許を信じて生産ラインに数億円を投じた。ところが競合が無効審判を仕掛け、特許庁があなたの特許を無効と判断した。普通に考えれば、無効になった特許は初めから存在しなかった扱いになる(遡及効、特許法125条)。事業はたたむしかない、と思うだろう。だが特許法80条はそこに抜け穴を用意している。二つ以上の特許のうち一つが無効になった元特許権者、または正当権利者に特許が与え直された元特許権者が、無効審判の請求登録より前から、自分の特許に無効理由があると知らずに日本国内で事業を実施(または準備)していたなら、その範囲で通常実施権が法律上当然に発生する。中用権と呼ばれる仕組みだ。代わりに、いま発明の正当な権利者へ相当の対価を払う義務を負う。タダではないが、操業は守られる。
中用権とは、二以上の特許の一つが無効になった元特許権者などが、特許無効審判の請求登録前に無効理由を知らずに日本国内で当該発明を実施または準備していた場合に、その範囲で法律上当然に取得する通常実施権をいう。特許法 80 条 1 項が定め、同 2 項により正当権利者への相当の対価の支払いを伴う有償の実施権である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
無効になった特許の元特許権者などが、無効審判の請求登録前から善意で実施していた場合に取得する通常実施権です。特許法 80 条が根拠で、遡及効で消える事業を救います。
先使用権(79 条)は出願前から実施していた者の権利で原則無償。中用権(80 条)は無効になった元特許権者の権利で、正当権利者へ相当の対価を払う有償の実施権です。
特許法 80 条 2 項に基づき当事者協議が原則です。まとまらなければ訴訟で実施料相当額として算定されます。無償の先使用権とは異なります。
無効審判の請求登録前から善意で実施・準備していれば、要件を満たした時点で法律上当然に発生します。特別な申請や登録は不要です。
無効になった元特許権者、正当権利者へ与え直された場合の元特許権者、および登録時点の専用実施権者・通常実施権者です(80 条 1 項各号)。
「実施または準備をしていた発明及び事業の目的の範囲内」に限られます。請求登録時に実施していなかった新製品ラインには及びません。
実用新案法に準用規定があり、同様の中用権が問題となり得ます。現行の準用範囲は条文で確認が必要です。
無効審判の請求登録日より前の実施・準備を示す出荷記録、設備投資契約、製造日報などの客観証拠と、善意を裏づける資料が必要です。
善意で投資した事業者を保護するためだ。二つ以上の特許の一つが無効になった元特許権者などが、無効審判の請求登録前から無効理由を知らずに実施していれば、特許法80条1項により通常実施権が法律上当然に発生する。業界裏話ヒント:この「請求登録前」という基準日が決定的で、登録後に始めた事業には一切及ばない。だから無効審判を起こされた側は、登録日までに実施事実の証拠を固めるのが定石だ
違う。特許法80条2項で、正当な特許権者または専用実施権者は中用権者から相当の対価を受ける権利を持つ。事業は守られるが、無償ではなく有償の継続だ。業界裏話ヒント:対価の額は当事者協議が原則で、まとまらなければ訴訟で実施料相当額が算定される。先使用権(特許法79条)が原則無償なのと対照的で、ここを混同して「無料で使える」と誤解する経営者が驚くほど多い
その範囲では差止めできない。中用権は法律上当然に発生する通常実施権なので、要件を満たせば正当権利者でも操業を止められない。ただし範囲は「実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内」に限定される(80条1項)。業界裏話ヒント:争うべきは中用権の有無そのものより、その「範囲」だ。登録時点で実施していなかった新製品や、当初と異なる事業目的には及ばないと主張すれば、差止めできる領域が残る
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発生原因 | 80 条(中用権):自己の特許が無効審判で無効になった | — |
| 対価の要否 | 有償:正当権利者へ相当の対価を支払う(80 条 2 項) | — |
| 発生の仕方 | 要件を満たせば法律上当然に発生(登録・申請不要) | — |
| 保護範囲 | 無効審判の請求登録時に実施・準備していた範囲内 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。