最低賃金法 第29条(報告)
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厚生労働大臣及び都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するため必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、賃金に関する事項の報告をさせることができる。
この条文の基本情報
報告とは何ですか?
定義報告とは、最低賃金法第29条に定められた規定で、「厚生労働大臣及び都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するため必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、賃金に関する事項の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 最低賃金法第29条(報告)は、日本の最低賃金法に含まれる条文です。
- 最低賃金法第29条の条文原文は「厚生労働大臣及び都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するため必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、賃金に関する事項の…」で始まります。
- 最低賃金法第29条は第四章 雑則に置かれています。
- 最低賃金法の公布日は昭和34年4月15日です。
- 最低賃金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 最低賃金法第29条の前の条は最低賃金法第28条です。
- 最低賃金法第29条の次の条は最低賃金法第30条です。
- 最低賃金法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第29条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 - 本サイト収録
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000137/29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点最低賃金法29条は、厚生労働大臣及び都道府県労働局長が、使用者又は労働者に対し賃金に関する事項の報告をさせることができると定める。報告拒否や虚偽報告は第41条の罰金の対象となる。
Q · 労働局から「賃金に関する事項の報告」という書面が届きました。これは何の権限で、出さなかったらどうなりますか?
最低賃金法29条の報告で、拒否も虚偽も罰金の対象です
最低賃金法29条により、厚生労働大臣及び都道府県労働局長は、法目的の達成に必要な限度で、使用者又は労働者に対し賃金に関する事項の報告をさせることができます。対象は会社だけでなく労働者個人にも及びます。報告をせず、又は虚偽の報告をした者は第41条により30万円以下の罰金、法人にも第42条の両罰規定で罰金が科されます。非協力は第32条の立入検査へ段階が上がる契機にもなります。提出前に賃金台帳と労働時間記録を突合し、最低賃金額を下回る月があれば遡及払いを済ませておくことが実務上の分かれ目です。
解説
「厚生労働大臣及び都道府県労働局長は、…使用者又は労働者に対し、賃金に関する事項の報告をさせることができる」。読み流せば地味な事務規定だが、仕掛けが二つ埋まっている。第一に、対象は「使用者又は労働者」。監督=会社への調査だと思っているなら、そこが誤り。パートで働くあなた個人のところにも、いくら支払われているかを問う報告が届きうる。第二に、これは任意のお願いではない。報告をせず、又は虚偽の報告をした者は第41条により30万円以下の罰金、第42条の両罰規定で法人にも罰金が科される。さらに、あなたが正直に書いたその一枚は、第4条違反(最低賃金額未満の支払い、第40条で50万円以下の罰金)を使用者自身の名で確定させた文書になる。逆に労働者の側から見れば、第34条の申告と組み合わせたとき、行政の手で会社の賃金台帳を開かせるレバーがここにある。同じ条文が、立つ位置で牙の向きを変える。
法的な位置づけ
最低賃金法29条は報告の徴収を定める規定であり、厚生労働大臣及び都道府県労働局長が、法目的の達成に必要な限度で、厚生労働省令の定めるところにより、使用者又は労働者に対して賃金に関する事項の報告を求める権限を規定する。労働基準監督官による立入検査(同法32条)の一段手前に位置する行政調査の手段であり、報告義務違反には罰則が付される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた書面の根拠条文と提出期限を確認する 文書の冒頭または末尾に記載された根拠条文を確認する。最低賃金法29条に基づく報告の求めか、法的根拠のない任意の資料提供依頼(行政指導)かで、拒否したときの効果が全く異なる。不明確なら担当官に「最低賃金法29条に基づく報告の求めですか」と確認してよい。同時に提出期限と提出先、指定様式の有無を控える
- 2.賃金台帳と労働時間記録を突合する 対象期間の賃金台帳、タイムカードまたは勤怠システムの記録、雇用契約書、シフト表を並べ、時間額に換算した実支給額が各月に適用される地域別最低賃金額を下回っていないかを月ごとに検証する。最低賃金の改定月をまたぐ場合は改定日で期間を区切って計算する
- 3.下回る月があれば報告前に遡及払いを実行する 最低賃金額を下回る月が見つかった場合、報告書を提出する前に差額を遡及して支払い、振込記録と是正内容を書面化する。是正勧告が出る前の自主是正であることが記録上明確になるよう、支払日と算定根拠を残す
- 4.期限内に正確な報告書を提出する 指定様式または求められた項目に沿って、実額を正確に記載する。数字を低く書けば虚偽報告として第41条の別個の罰則対象となり、本体の4条違反とは別に評価される。是正済みであればその事実と資料を添付し、控えを保管する
- 5.刑事手続に振れうる段階では相談相手を切り替える 報告後に是正勧告や再度の資料要求、立入検査(32条)へ進んだ場合、顧問社会保険労務士に加えて弁護士を関与させる。労働基準監督官は行政監督と司法警察員の職務を併せ持つため、供述と資料提出の位置づけが変わる
よくある質問 AI による整理
Q1最低賃金法29条の報告の徴収とは?
厚生労働大臣及び都道府県労働局長が、法目的の達成に必要な限度で、使用者又は労働者に賃金に関する事項の報告をさせる権限です。方法は厚生労働省令の定めによります。
Q2労働局の賃金報告は労働者個人にも来る?
来ます。29条の対象は「使用者又は労働者」であり、会社だけではありません。パートやアルバイトの個人にも、実際に支払われた賃金についての報告が求められることがあります。
Q3賃金の報告はいつまでに出す?
本条に一律の期限はなく、個別の求めの中で指定されます。実務では2週間程度が多く、書面に記載された提出期限が基準です。間に合わない事情があれば期限前に担当官へ連絡します。
Q4報告の徴収と立入検査の違いは?
29条の報告は書面で賃金の実態を提出させるもの、32条の立入検査は労働基準監督官が事業場に立ち入って調査するものです。報告への非協力は検査へ段階が上がる契機になります。
Q5最低賃金法の罰則はいくら?
最低賃金額未満の支払いは4条違反として40条の50万円以下の罰金、報告拒否や虚偽報告は41条の30万円以下の罰金です。法人にも42条の両罰規定により罰金が科されます。
Q6報告を出す前に最低賃金割れを直せる?
直せます。提出前に賃金台帳と労働時間記録を突合し、下回る月があれば遡及払いを実行して記録を残します。是正勧告前の自主是正は、行政の処分判断で有利に働きます。
Q7会社から回ってきた賃金確認票は会社に返す?
報告を求めているのは労働局であり、会社ではありません。数字は自分の給与明細、タイムカード、銀行入金額から取り、会社の言い値ではなく実額を記載するのが原則です。
Q8最低賃金法の報告と申告はどう違う?
29条の報告は行政が求めて提出させるもの、34条の申告は労働者が自ら違反の事実を行政に申し出るものです。申告を理由とする不利益取扱いは34条2項で禁止されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労働局から賃金の報告を求められたんですが、断ったらどうなりますか?
第29条に基づく正式な報告の求めであれば、拒否も虚偽の報告も第41条により30万円以下の罰金の対象で、法人にも第42条の両罰規定で罰金が科されます。実務のポイント:実務でいきなり罰金になる例は多くなく、非協力が記録されて第32条の立入検査へ段階が上がる方が早い。断るかどうかではなく、断った後に何が来るかで判断する
Q2正直に書くと最低賃金割れがバレるんですが、少なめに書いたらダメですか?
虚偽の報告は第41条で報告拒否と同じ罰則の対象になり、しかも本体の第4条違反(第40条、50万円以下の罰金)とは別個に評価されます。隠す方が結果的に重い。実務のポイント:送検まで行くかどうかを分けるのは違反の有無より「是正の意思」。報告前に遡及払いを済ませ、その事実を添えた事業場が刑事手続に進むことは実務上まれです
Q3監督官が集めた情報が、そのまま刑事事件の証拠になるって本当ですか?
労働基準監督官は行政監督に加え、労働基準法102条により司法警察員の職務も行い、最低賃金法にも同旨の規定があります。ただし行政調査は犯罪捜査のために認められたものではないとされ、実務上、解釈が分かれる領域です。実務のポイント:罰則付きの報告義務と憲法38条1項の自己負罪拒否特権の関係は、川崎民商事件(最大判昭和47.11.22)以来の論点。刑事に振れそうな段階で相談相手を弁護士に切り替えるかどうかが、実務の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 多くの人は「断ったらどうなるか」から考え始めるが、その問いの立て方自体が順序を誤っている。先に確かめるべきは、いま来ている要求が第29条に基づく報告の求めなのか、それとも法的根拠のない任意の資料提供依頼(行政指導)なのか。前者は拒否に罰則が付き、後者は付かない。監督機関に「これは最低賃金法29条に基づく報告の求めですか」と確認することは、正当な問いである
- 報告した内容が自分に不利に働きうることは、薄々分かっている人が多い。だが深刻度が理解されていない。労働基準監督官は行政監督を担うと同時に、労働基準法102条により司法警察員の職務も行い、最低賃金法にも同旨の規定がある。行政調査は犯罪捜査のために認められたものではないという建前と、実務上の連続性の間には落差がある
- あなたから見れば、報告は単なる書類提出の一件でしかない。行政から見れば、その一枚は「事業場の賃金実態を使用者自身の名で確定させた文書」である。後で説明を変えれば、本体の違反とは別に虚偽報告として評価される。この非対称に気付かずに書き飛ばした数字が、半年後の是正勧告と送検判断の基準線になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権限の主体 | 29条:厚生労働大臣及び都道府県労働局長 | 32条:労働基準監督官 34条:労働者本人(行政への申告) |
| 手段の内容 | 賃金に関する事項の報告を書面で提出させる | 事業場への立入り・帳簿等の検査 違反の事実を行政官庁に申し出る |
| 対象となる相手 | 使用者又は労働者(個人にも及ぶ) | 事業場(使用者側) 行政官庁が受け手 |
| 従わない・使った場合の帰結 | 報告拒否・虚偽報告は41条の30万円以下の罰金、42条の両罰規定 | 拒否・妨害等も41条の罰則対象 申告を理由とする不利益取扱いは34条2項で禁止 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は労働検査法により検査員の臨場検査と資料提出要求を定め、日本の29条(書面報告)と32条(立入検査)を一体として設計している。2023年制定の最低工資法により最低賃金の根拠法自体は独立した
韓国は労働基準法に、使用者又は労働者が雇用労働部長官・労働委員会・勤労監督官の要求があれば遅滞なく報告し又は出席すべき旨を定める。対象に労働者を含む点が日本29条と同じ構造
ドイツは最低賃金法に文書作成・保存義務と税関当局(FKS)の調査権限を規定し、履行確保を関税行政に担わせる点で日本と執行主体が異なる
米国は労働省賃金時間部(WHD)に調査権限と記録保存義務を定める。記録不備の場合、労働者側の概算立証で足りるとする判例法理があり、立証責任の配分が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 労働局から「賃金に関する事項の報告について」という書面が届き、提出期限は2週間後。もし期限までに出さなかったらどうなる? 督促が来て終わりではない。第41条の罰金の対象になりうるうえ、非協力の記録が残り、次は第32条の立入検査へ段階が上がる。残り14日で、賃金台帳と労働時間記録の突合を終わらせるかどうかが分かれ目になる
- 深夜帯の時給に、10月の地域別最低賃金の改定分を反映し忘れていた。正直な数字を書けば、第4条違反を自分の手で申告することになる。書かなければ虚偽報告で、別の罰則に乗る
- パートで働く友人から「会社経由で賃金の確認票が回ってきた、正直に書いていいのか」と相談された。あなたが伝えるべきは、報告を求めているのは会社ではなく労働局であること、そして労働者が虚偽の報告をした場合も第41条の対象になりうることだ。会社に忖度して低く書いた瞬間、守ろうとした会社の違反も、自分の立場も同時に壊れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 会社経由で回ってきた確認票でも、報告先は労働局。数字は自分の給与明細・タイムカード・銀行入金額から取り、会社の言い値で書かない2. 明細、シフト表、業務指示のLINE履歴を先に自分用に複製しておく3. 最低賃金割れが疑われるなら第34条の申告を併せて行い、事業場全体の調査として扱うよう求める4. 申告を理由とする解雇その他の不利益取扱いは第34条2項で禁止され、違反には刑罰がある
訴えられた側:1. 届いた文書の根拠条文を確認する。第29条に基づく報告か任意の協力依頼かで、拒否したときの効果が全く違う2. 提出前に賃金台帳と労働時間記録を突合し、割れている月があれば遡及払いを実行して記録を残す3. 報告は正確に書く。虚偽記載は第41条の別個の罰則であり、後から発覚すると悪質性の評価が跳ね上がる4. 刑事手続に発展しうる段階では、顧問社会保険労務士に加えて弁護士を入れる
時効(請求できる期限):本条自体に時効の定めはない。報告の期限は個別の求めで指定される(実務上2週間程度が多い)。報告義務違反(第41条)は罰金刑のみの罪なので公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。未払賃金請求権の消滅時効は当分の間3年(労働基準法115条、同附則143条3項。本則は5年。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政調査論):報告徴収は行政目的の実現に必要な限度で認められる行政調査であり、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。ただし労働基準監督官が司法警察員の職務を併有することから、行政調査と刑事手続の連続性をどう遮断するかが実務上の争点として残る。
有力説(自己負罪拒否特権との調整):本体の違反行為に刑事罰が科される領域では、罰則付き報告義務が実質的に自己負罪の強制に接近しうるため、報告事項の限定と、報告内容の刑事手続における利用制限によって調整すべきとする見解が主張されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)全部改正 最低賃金法の全部改正(平成20年7月1日施行)に伴い、雑則の監督規定が現在の配置に整理された。権限主体の表記も中央省庁再編後の「厚生労働大臣及び都道府県労働局長」となっている。条番号の変遷と各改正の具体的内容は人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:最低賃金法(昭和34年法律第137号)制定。最低賃金の履行確保のための監督・報告徴収の枠組みが設けられた。制定時の条番号は現行と異なり、人的検証を要する
- 2.平成19年(2007年) 改正:最低賃金法の全部改正(平成20年7月1日施行)に伴い、雑則の監督規定が現在の配置に整理された。権限主体の表記も中央省庁再編後の「厚生労働大臣及び都道府県労働局長」となっている
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