賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、適正に評価されなければならない。
要点最低賃金法 5 条は、現物給与や食事代などの控除額を最低賃金の計算に反映する際、適正に評価しなければならないと定める。使用者が付けた評価額はそのままでは通用しない。
Q · 寮費や食事代を給料から引かれていますが、その金額って会社が自由に決めていいんですか?
会社が付けた寮費や食事代の値段は、そのままでは通用しません
最低賃金法 5 条により、賃金が通貨以外のもので支払われる場合や、使用者が提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合、最低賃金の適用にあたりこれらは適正に評価されなければなりません。使用者が付けた評価額は当然には通用せず、実際の価値に照らして評価し直されます。水増しされた寮費やまかない代を控除して形式上最低賃金を満たしていても、適正評価に引き直した実質時給が地域別最低賃金を下回れば、最低賃金法 4 条違反となり差額の支払義務が生じます。
時給 1,100 円の求人に応募し、住み込みで働き始めた。給与明細を開くと寮費 4 万円、食費 3 万円が引かれ、手取りは月 10 万円を切っている。「部屋も食事も付いているのだから得だ」と言われて納得しかけたその場所に、最低賃金法 5 条が立っている。条文が要求しているのは一言、適正な評価である。使用者が「この部屋には月 4 万円の価値がある」と自分で値を付け、その額を賃金から差し引き、書類の上では最低賃金を満たしているように見せる。それを法は認めない。現物や食事は実際の価値に照らして客観的に評価されねばならず、水増しした値札で最低賃金の壁を跨ぐことはできない。さらに前提がある。賃金を現物で支払うには労働協約が必要である(労働基準法 24 条)。労働協約を結んでいない現物支給は、評価が適正かどうか以前に、そもそも賃金として計算に入らない。
最低賃金法 5 条は、現物給与および使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合における評価の準則を定める規定である。最低賃金額との比較にあたり、これらは実際の価値に照らして適正に評価されなければならず、使用者が一方的に設定した評価額は当然には効力を持たない。
通貨以外の形で支払われる賃金のことで、社宅・寮の提供、食事、通勤定期券などが典型です。労働基準法 24 条により、現物での賃金支払いには労働協約が必要です。
上限額の一覧表は存在しません。最低賃金法 5 条が求めるのは実際の価値に照らした個別評価であり、争点は金額の多寡ではなく、その額の根拠を使用者が説明できるかどうかです。
臨時に支払われる賃金、1 か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金との比較から除外されます。
材料費などの実費、または客観的な近隣相場が基準になります。提供回数が少ないのに定額で控除している場合、実際に食べた回数に引き直した額を超える部分は適正評価を超えます。
できます。最低賃金法 4 条 2 項により差額は法律上当然に発生する債権であり、退職後でも請求可能です。時効は賃金支払日ごとに 5 年、当分の間は 3 年です。
最低賃金法 7 条により、精神または身体の障害で著しく労働能力が低い者、試用期間中の者、認定職業訓練を受ける者、軽易業務・断続的労働に従事する者について、都道府県労働局長の許可で減額が認められます。
技能実習制度では食費・居住費の徴収を実費相当額に限る運用が求められており、最低賃金法 5 条の適正評価とあわせて二重の歯止めがかかります。根拠額の説明資料が必須です。
労働基準法 24 条 1 項の通貨払い原則の例外は、法令または労働協約に定めがある場合に限られます。労使協定では足りず、労働協約のない現物支給は賃金に算入できません。
控除そのものは、法令または労使協定があれば適法である(労働基準法 24 条 1 項但書)。違法かどうかの分かれ目は控除額の側にあり、最低賃金法 5 条により実際の価値に照らした適正な評価が求められる。業界裏話ヒント:まず労使協定の存在と、過半数代表者がどう選ばれたかを確認するとよい。会社が指名した親睦会の代表が署名しているだけの協定は、選出手続の瑕疵として無効を主張できる余地がある
その説明は通らない。最低賃金法 4 条 2 項により、最低賃金額に達しない賃金の定めはその部分が無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされる。まかないは 5 条で適正評価された額が算入されるにすぎない。業界裏話ヒント:この差額は合意ではなく法律の効果として発生する債権なので、その場で反論しなくても、辞めた後にまとめて請求できる。今すぐ揉める必要はなく、明細を残すことが先である
労働基準法 104 条 2 項は、監督署への申告を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止しており、違反には罰則がある(同法 119 条)。業界裏話ヒント:申告時に申告者を特定されたくない旨を伝えれば、監督官は個別の申告監督ではなく通常の臨検の形で事業場に入る運用がある。誰が言ったかを伏せたまま是正指導まで持っていける可能性は、実務上かなり高い
地域別最低賃金の違反は、最低賃金法 40 条により 50 万円以下の罰金である。業界裏話ヒント:産業別の特定最低賃金の違反には最低賃金法上の罰則がなく、労働基準法 24 条の全額払い違反として同法 120 条の 30 万円以下の罰金で処理される。自分にどちらの最低賃金が適用されるかで、会社が受ける圧力の重さが違う。交渉に入る前に、業種が特定最低賃金の対象かどうかを都道府県労働局のページで確認しておくと足場が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文が担う役割 | 最低賃金法 5 条:現物給与・控除額を適正に評価する準則 | — |
| 誰が判断するか | 使用者の評価額は当然には通用せず、労働基準監督官・裁判所が適正性を判断 | — |
| 違反した場合の効果 | 評価が引き直され、その結果 4 条違反が顕在化する | — |
| 労働者側の使いどころ | 控除額の根拠を説明させる攻め手 | — |
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