最低賃金法 第5条(現物給与等の評価)
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賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、適正に評価されなければならない。
この条文の基本情報
現物給与等の評価とは何ですか?
定義現物給与等の評価とは、最低賃金法第5条に定められた規定で、「賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 最低賃金法第5条(現物給与等の評価)は、日本の最低賃金法に含まれる条文です。
- 最低賃金法第5条の条文原文は「賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、…」で始まります。
- 最低賃金法第5条は第一節 総則に置かれています。
- 最低賃金法の公布日は昭和34年4月15日です。
- 最低賃金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 最低賃金法第5条の前の条は最低賃金法第4条です。
- 最低賃金法第5条の次の条は最低賃金法第6条です。
- 最低賃金法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137 - 本サイト収録
最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000137/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点最低賃金法5条は、現物給与や食事代などの控除額を最低賃金の計算に反映する際、適正に評価しなければならないと定める。使用者が付けた評価額はそのままでは通用しない。
Q · 寮費や食事代を給料から引かれていますが、その金額って会社が自由に決めていいんですか?
会社が付けた寮費や食事代の値段は、そのままでは通用しません
最低賃金法5条により、賃金が通貨以外のもので支払われる場合や、使用者が提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合、最低賃金の適用にあたりこれらは適正に評価されなければなりません。使用者が付けた評価額は当然には通用せず、実際の価値に照らして評価し直されます。水増しされた寮費やまかない代を控除して形式上最低賃金を満たしていても、適正評価に引き直した実質時給が地域別最低賃金を下回れば、最低賃金法4条違反となり差額の支払義務が生じます。
解説
時給1,100円の求人に応募し、住み込みで働き始めた。給与明細を開くと寮費4万円、食費3万円が引かれ、手取りは月10万円を切っている。「部屋も食事も付いているのだから得だ」と言われて納得しかけたその場所に、最低賃金法5条が立っている。条文が要求しているのは一言、適正な評価である。使用者が「この部屋には月4万円の価値がある」と自分で値を付け、その額を賃金から差し引き、書類の上では最低賃金を満たしているように見せる。それを法は認めない。現物や食事は実際の価値に照らして客観的に評価されねばならず、水増しした値札で最低賃金の壁を跨ぐことはできない。さらに前提がある。賃金を現物で支払うには労働協約が必要である(労働基準法24条)。労働協約を結んでいない現物支給は、評価が適正かどうか以前に、そもそも賃金として計算に入らない。
法的な位置づけ
最低賃金法5条は、現物給与および使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合における評価の準則を定める規定である。最低賃金額との比較にあたり、これらは実際の価値に照らして適正に評価されなければならず、使用者が一方的に設定した評価額は当然には効力を持たない。
手順
- 1.給与明細の控除欄を3か月分書き出す 給与明細を最低3か月分確保し、控除欄の項目名と金額をそのまま書き出す。寮費・食費・水道光熱費など、現物提供に対応する控除を色分けして特定する
- 2.現物の実際の価値を裏付ける資料を集める 部屋の広さ・設備、まかないを実際に食べた回数、周辺の家賃相場のスクリーンショットを記録する。シフト表と実食回数の対応を残せば、定額控除との差が数字で出る
- 3.控除額の算定根拠を書面で会社に質問する 在職中にメールなど記録の残る形で、寮費と食費の算定根拠を会社に尋ねる。「近隣相場で決めた」「以前からこの額」といった回答は、適正評価の不存在を示す証拠として機能する
- 4.適正評価に引き直した実質時給を計算する 支払賃金から最低賃金に算入されない賃金を除き、水増し分の控除を戻したうえで所定労働時間で割る。算出額を都道府県の地域別最低賃金額と比較する
- 5.労働基準監督署へ申告する 実質時給が地域別最低賃金を割っていれば、証拠一式を持って事業場を管轄する労働基準監督署へ申告する。申告者を特定されたくない旨を伝えれば、通常の臨検の形で調査に入る運用がある
よくある質問 AI による整理
Q1現物給与とは何ですか?
通貨以外の形で支払われる賃金のことで、社宅・寮の提供、食事、通勤定期券などが典型です。労働基準法24条により、現物での賃金支払いには労働協約が必要です。
Q2寮費はいくらまで天引きできますか?
上限額の一覧表は存在しません。最低賃金法5条が求めるのは実際の価値に照らした個別評価であり、争点は金額の多寡ではなく、その額の根拠を使用者が説明できるかどうかです。
Q3最低賃金の計算に含まれない賃金は何ですか?
臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金との比較から除外されます。
Q4まかない代の適正な金額はどう決まりますか?
材料費などの実費、または客観的な近隣相場が基準になります。提供回数が少ないのに定額で控除している場合、実際に食べた回数に引き直した額を超える部分は適正評価を超えます。
Q5最低賃金を下回っていた分は後から請求できますか?
できます。最低賃金法4条2項により差額は法律上当然に発生する債権であり、退職後でも請求可能です。時効は賃金支払日ごとに5年、当分の間は3年です。
Q6最低賃金の減額特例とは何ですか?
最低賃金法7条により、精神または身体の障害で著しく労働能力が低い者、試用期間中の者、認定職業訓練を受ける者、軽易業務・断続的労働に従事する者について、都道府県労働局長の許可で減額が認められます。
Q7技能実習生の寮費控除はどこまで認められますか?
技能実習制度では食費・居住費の徴収を実費相当額に限る運用が求められており、最低賃金法5条の適正評価とあわせて二重の歯止めがかかります。根拠額の説明資料が必須です。
Q8労働協約がないと現物支給はできませんか?
労働基準法24条1項の通貨払い原則の例外は、法令または労働協約に定めがある場合に限られます。労使協定では足りず、労働協約のない現物支給は賃金に算入できません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1寮費や食費を給料から引かれるのって、そもそも違法なんですか?
控除そのものは、法令または労使協定があれば適法である(労働基準法24条1項但書)。違法かどうかの分かれ目は控除額の側にあり、最低賃金法5条により実際の価値に照らした適正な評価が求められる。実務のポイント:まず労使協定の存在と、過半数代表者がどう選ばれたかを確認するとよい。会社が指名した親睦会の代表が署名しているだけの協定は、選出手続の瑕疵として無効を主張できる余地がある
Q2まかない付きだから時給は最低賃金より低くていい、と店長に言われました
その説明は通らない。最低賃金法4条2項により、最低賃金額に達しない賃金の定めはその部分が無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされる。まかないは5条で適正評価された額が算入されるにすぎない。実務のポイント:この差額は合意ではなく法律の効果として発生する債権なので、その場で反論しなくても、辞めた後にまとめて請求できる。今すぐ揉める必要はなく、明細を残すことが先である
Q3労基署に言ったら会社にバレて、職場に居づらくなりませんか?
労働基準法104条2項は、監督署への申告を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止しており、違反には罰則がある(同法119条)。実務のポイント:申告時に申告者を特定されたくない旨を伝えれば、監督官は個別の申告監督ではなく通常の臨検の形で事業場に入る運用がある。誰が言ったかを伏せたまま是正指導まで持っていける可能性は、実務上かなり高い
Q4最低賃金を下回っていたら、会社にはどんな罰があるんですか?
地域別最低賃金の違反は、最低賃金法40条により50万円以下の罰金である。実務のポイント:産業別の特定最低賃金の違反には最低賃金法上の罰則がなく、労働基準法24条の全額払い違反として同法120条の30万円以下の罰金で処理される。自分にどちらの最低賃金が適用されるかで、会社が受ける圧力の重さが違う。交渉に入る前に、業種が特定最低賃金の対象かどうかを都道府県労働局のページで確認しておくと足場が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「寮も食事も付いているのだから、時給は最低賃金より低くてよい」と説明されて受け入れてしまう人が多いが、逆である。最低賃金法4条2項により、最低賃金額に達しない賃金を定めた部分は無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなされる。現物提供は最低賃金を下げる理由にならず、5条によって適正な価値に評価し直されたうえで計算に組み込まれるだけである
- 「給与からの天引きは労使協定さえあれば適法だ」ということは知っている人でも、その先を知らない。労使協定が正当化するのは控除という行為だけであり、控除額が適正かどうかは別問題である。労使協定を結んでいても、水増しされた評価額は最低賃金法5条で否定される。適法な天引きと、最低賃金の計算に算入できる控除額は、まったく別の関門である
- 「寮費はいくらまでなら引いていいのか」という問いの立て方自体が誤っている。上限額の一覧表が存在するわけではない。5条が求めるのは実際の価値に照らした個別評価であり、争点は金額の多寡ではなく、その額の根拠を使用者が説明できるかどうかに移る。問うべきは「いくらまで」ではなく「その4万円は何を根拠に4万円なのか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が担う役割 | 最低賃金法5条:現物給与・控除額を適正に評価する準則 | 最低賃金法4条:最低賃金額以上を支払う義務と、下回る定めの無効 最低賃金法7条:許可による最低賃金額の減額特例 |
| 誰が判断するか | 使用者の評価額は当然には通用せず、労働基準監督官・裁判所が適正性を判断 | 支払額と最低賃金額の比較は客観的計算で決まる 都道府県労働局長の許可が必要(申請主義) |
| 違反した場合の効果 | 評価が引き直され、その結果4条違反が顕在化する | 定めた部分が無効となり最低賃金額と同じ定めとみなされ、差額債権が発生 許可がなければ減額は認められず、原則額での支払義務が残る |
| 労働者側の使いどころ | 控除額の根拠を説明させる攻め手 | 差額請求の法的根拠 会社が減額特例を主張したときに許可書の提示を求める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は工資の一部を実物で給付する場合、労働契約に明記したうえで「実物之作價應公平合理」と条文上明示する。日本の適正評価とほぼ同じ発想を、契約への明記要件とセットで規定している点が特徴
韓国も通貨払い原則を基礎に、最低賃金に算入する賃金の範囲を法令で限定する構造。現物給与の充当は例外的に扱われ、日本と同様に使用者の一方的な評価は許されない
ドイツは最低賃金を金銭で支払うことを原則とし、現物給付の充当は営業法上の制限に服する。充当額に差押禁止限度との関係で上限が置かれる点で、日本より形式的な歯止めが強い
米国は board・lodging などの facilities について、使用者の利益を含まない reasonable cost に限り最低賃金への充当を認める。利益を上乗せした評価を排除する点で、日本の適正評価と同じ機能を果たす
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 居酒屋のホールで時給1,020円。まかない代として毎月8,000円が控除されている。実際に食べたのは月10回、材料の実費に引き直せば3,000円程度。差額の5,000円は適正な評価を超えた控除であり、その分あなたの実質時給は最低賃金を割っている可能性が高い。給与明細3か月分とシフト表を並べれば、労働基準監督署はそれだけで動く
- もし、社宅の家賃を相場の三倍に設定して給与から天引きしたら、どうなる? 会社側は福利厚生だと説明するが、最低賃金の計算では、その控除が適正評価かどうかを労働基準監督官が独自に判断する。会社が付けた値札は、そのままでは通用しない
- 小さな美容室を経営していて、住み込みのスタッフに部屋と食事を提供し、その分を給料から引いている。悪意はまったくない。だが労働協約を結んでいなければ、現物での賃金支払いは労働基準法24条の通貨払い原則違反であり、その現物分を賃金に算入できない結果、最低賃金法4条違反にもなる。地域別最低賃金の違反は50万円以下の罰金である(最低賃金法40条)
- 農場の寮に住み込みで働く外国人労働者。寮費と食費を引かれ、手元に残るのは月6万円台。控除額の根拠を誰も説明できないなら、それは5条が禁じている状態そのものである
- 退職まであと2週間。過去に引かれた寮費が過大だったと今さら気付いても、賃金請求権の消滅時効は5年、ただし当分の間は3年である(労働基準法115条、附則143条)。辞めた後に社内の資料を集めるのは格段に難しくなる。給与明細、寮の使用に関する書面、まかないの提供実態が分かるシフト表を、在職中の今日のうちにスマホで撮っておくかどうかで、取り戻せる金額が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 給与明細を最低3か月分確保し、控除欄の項目名と金額をそのまま書き出す2. 寮や食事の実態を記録する。部屋の広さと設備、まかないを実際に食べた回数、周辺の家賃相場のスクリーンショット3. 会社に控除額の算定根拠を書面かメールで質問し、回答を保存する4. 控除を適正な価値に引き直した実質時給が地域別最低賃金を割っていれば、労働基準監督署へ申告する。差額は最低賃金法4条2項により当然に発生している債権であり、退職後でも請求できる
訴えられた側:1. 現物での賃金支払いをしているなら、労働協約の有無を最初に確認する。労働協約がないなら評価額の議論以前に労働基準法24条違反であり、直ちに通貨払いへ切り替える2. 控除については労使協定の有無と、過半数代表者の選出手続が適正だったかを点検する3. 寮費と食費は実費または客観的な近隣相場に基づく積算資料を残し、いつでも説明できる状態にする4. 実質時給が最低賃金を割っていた期間があれば、監督署の指導を待たずに自主的に遡及して差額を支払う。是正の先行は罰則適用の判断で大きく効く
時効(請求できる期限):差額賃金の請求権は、各賃金支払日ごとに5年、ただし当分の間は3年で消滅する(労働基準法115条、同法附則143条3項)。起算点は月ごとの賃金支払日であり、古い月から順に消えていく。地域別最低賃金違反の罰則は50万円以下の罰金であり(最低賃金法40条)、公訴時効は3年である(刑事訴訟法250条2項)
学説
通説:最低賃金法5条の適正評価は、使用者が設定した名目額ではなく、実費または客観的な市場価値を基準として個別に判断される。労使協定による控除の適法性と、最低賃金の計算に算入できる控除額とは別個の関門であると解されている
実務運用:労働基準監督実務では、寮費・食費の控除について使用者に積算資料の提示を求め、根拠を説明できない部分は適正評価を超える控除として取り扱う運用がとられている。控除額の説明責任が事実上使用者側に置かれる点が実務上の要である
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:最低賃金法を制定。労働基準法28条の委任を受け、賃金の最低基準に関する制度を単独法として整備した
- 2.昭和43年(1968年) 改正:業者間協定に基づく最低賃金方式を廃止し、最低賃金審議会の調査審議を経て決定する方式へ転換した
- 3.平成19年(2007年) 改正:全部改正に近い大改正。地域別最低賃金の決定にあたり生活保護との整合性に配慮すべきことを明記し、地域別最低賃金違反の罰金を50万円以下に引き上げた
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